木戸きど大聖たいせいはいま最もっとも“沼ぬま落おち”させる俳優はいゆう　『兄あにとのはじまり』はスピンオフを超こえた重要じゅうよう作さくに

　目黒めぐろ蓮れん（Snow Man）が主演しゅえんを務つとめるドラマ『海うみのはじまり』（フジテレビ系けい）のスピンオフドラマ『兄あにとのはじまり』が、民放みんぽう公式こうしきテレビ配信はいしんサービス・TVerにて独占どくせん配信はいしん中ちゅうだ。その最終さいしゅうエピソードとなる第だい4話わが、8月がつ5日にちに配信はいしんされた。

　『海うみのはじまり』は、主人公しゅじんこうの月岡つきおか夏なつ（目黒めぐろ）が大学だいがく時代じだいに付つき合あっていた南みなみ雲水うんすい季き（古川ふるかわ琴こと音おん）の葬儀そうぎで、その彼女かのじょと自分じぶんとの間あいだにできた海うみ（泉谷いずみや星奈ほしな）という娘むすめがいたことを知しるところからストーリーが展開てんかいされる愛あいの物語ものがたりだ。

　手てがけるのは、脚本きゃくほん家かの生方うぶかた美久みく、プロデューサーの村瀬むらせ健けん、演出えんしゅつの風間かざま太ふとし樹きら、2022年ねんの大だいヒット作さく『silent』（フジテレビ系けい）を生うみ出だしたチーム。生方うぶかたは2023年ねんにも『いちばん好すきな花はな』（フジテレビ系けい）を手てがけ、年としに一いち度どのペースで秀作しゅうさくを世よに送おくり出だしてきた。本ほん作さくも全ぜん2作さくに続つづき、“ながら見み”や“倍速ばいそく視聴しちょう”を許ゆるさない密度みつどの濃こい内容ないようとなっており、放送ほうそう後ごはいつもSNSで話題わだいとなっている。

　そんな本ほん作さくのスピンオフドラマ『兄あにとのはじまり』では、夏なつの弟おとうと・大和やまと（木戸きど大聖たいせい）の視点してんで物語ものがたりが紡つむがれていく。いろいろなことを考かんがえすぎて言葉ことばにするのが苦手にがてな夏なつと、考かんがえる前まえに声こえが出でてしまう大和やまと。対照たいしょう的てきだけど仲なかが良よい2人ふたりの間あいだに、血ちの繋つながりはない。夫おっとと離婚りこんした夏なつの実母じつぼ・ゆき子こ（西田にしだ尚美なおみ）と、妻つまと死別しべつした大和やまとの実父じっぷ・和哉かずや（林はやし泰文やすふみ）が再婚さいこんし、兄弟きょうだいとなった。第だい1話わでは、そんな2人ふたりの出会であいが描えがかれる。

　本ほん作さくは「家族かぞく」がテーマとなっているが、そのはじまりは“海うみのはじまり”と同おなじく、明確めいかくにはい表いあらわせない曖昧あいまいなものだ。戸籍こせきが一緒いっしょになったからといって、同おなじ屋根やねの下したで暮くらし始はじめたからといって、自動的じどうてきに家族かぞくになれるわけじゃない。本編ほんぺんでは家族かぞく揃そろうと会話かいわが絶たえない月岡つきおか家かのリビングにも、最初さいしょは気きまずい雰囲気ふんいきが流ながれていたことがスピンオフでは明あきらかになる。特とくに7歳さいで突然とつぜん、2人ふたり目めの母ははと兄あにができた大和やまとにとっては喜よろこびより戸惑とまどいの方ほうが大おおきかった。

　そんな大和やまとに3歳さい年上としうえの夏なつが寄より添そい、少すこしずつ家族かぞくとしての輪郭りんかくがはっきりしていく。本編ほんぺんでは夏なつと現在げんざいの恋人こいびと・弥生やよい（有村ありむら架か純じゅん）が海うみと関係かんけい性せいを築きずいている最中さいちゅうだが、今後こんご2人にんが海うみを引ひき取とって共ともに暮くらす可能かのう性せいもある。そんな彼かれらの少すこし先さきの未来みらいを体現たいげんしているのが、このスピンオフで描えがかれる月岡つきおか家かの姿すがたと言いえるだろう。

　そして、第だい2話わでは水みず季き、第だい3話わでは弥生やよいがフューチャーされ、大和やまとから見みた2人ふたりの第だい一いち印象いんしょうが描えがかれる。本編ほんぺんで見みる水みず季きと弥生やよいはどちらもそれぞれ魅力みりょくはあるものの、一見いっけん対照たいしょう的てきで夏なつの好すきなタイプがよくわからないと思おもう人ひともいるのではないか。性格せいかくはもちろんのこと、本編ほんぺんの第だい4話わで強調きょうちょうされたように、妊娠にんしんが分わかった時ときに両親りょうしんが親身しんみになってくれた水みず季きと、母親ははおやに突つき放はなされた弥生やよいは生おい立たちも大おおきく異ことなる。だけど、根本こんぽんは似にていて、それがよくわかるのが、スピンオフで家族かぞくのことを大和だいわが打うち明あけた時ときの反応はんのう。複雑ふくざつな家族かぞく構成こうせいゆえに気きまずい思おもいをさせてしまったのでは、と気遣きづかう大和やまとにかける言葉ことばに、夏なつが2人ふたりのことを好すきになった理由りゆうが溢あふれている。