溢あふれて止とまらない好すきという気持きもちをぶつけたり、失恋しつれんの絶望ぜつぼうにも似にた悲かなしみを吐はき出だしたりといった、エモーショナルな感情かんじょう表現ひょうげんだけがラブソングではない。Dannie Mayの最新さいしん曲きょく“ふたりの暮くらし”は、とても穏おだやかに、ふたりで暮くらす日々ひびの尊とうとさを描えがいたバラードだ。

歌詞かしに描えがかれるふたりは、《落おち込こんだ日ひ》以外いがいは発泡はっぽう酒しゅを飲のんでいたり、節約せつやくして乾燥かんそう機きを買かうのを目標もくひょうにしていたり、慎つつましい暮くらしをしているが、その心しんは幸しあわせで満みたされていることが伝つたわってくる。SNSを見みればキラキラと派手はでな生活せいかつがたくさん目めに入はいってきてしまう日々ひびだけど、周まわりと比くらべることなく《2人ふたりだけのオーダーメイドなぬるい暮くらし方かた》を大切たいせつにしているのだ。
他人たにんから見みれば平凡へいぼんな暮くらしに見みえるかもしれない。でも、サビの《ありきたりなラブソングなんか君きみには勿体無もったいない 》というフレーズが、この暮くらしを肯定こうていする最大さいだい級きゅうの称賛しょうさんになっている。ゼロ年代ねんだいのラブソングを彷彿ほうふつとさせるような優やさしいラブソング、きっとこういう曲きょくを求もとめていた！という人ひとも多おおくいるのではないだろうか。

ところで、“ふたりの暮くらし”はマサ（Vo・G）が1曲きょく通とおして歌唱かしょうを担になっているが、Dannie Mayは田中たなかタリラ（Vo・Key）とYuno（Vo・Kantoku）の3人にんのボーカリストからなる少すこし変かわった編成へんせいのバンドだ（ちなみにYunoの「Kantoku」という役割やくわりは映像えいぞう制作せいさく等とうを意味いみしており、今回こんかいもMVのディレクションを担当たんとうしている）。
そして他たの曲きょくを聴きくと、ゴリゴリなビートで体からだを揺ゆらせるアッパーチューンが多おおいので、そのギャップにも驚おどろくかもしれない。
独自どくじの編成へんせいとアプローチでバラエティに富とんだ楽曲がっきょくを生うみ出だしているDannie May、今後こんごもぜひ注目ちゅうもくしていてほしい。ちなみに、アルバム『Ishi』に収録しゅうろくされた“ただ生いきる”もマサ作詞さくし曲きょくの名めいバラードです。（有本ありもと早さ季き）

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