あいみょんの約やく5年ねんぶりとなる対たいバンツアー「AIMYON vs TOUR 2024 “ラブ・コール2”」が6月がつ25日にち（火ひ）と26日にち（水みず）の愛知あいち・名古屋なごやのセンチュリーホール公演こうえんからスタートした。あいみょんはライブ中ちゅうに対たいバンならではの楽たのしみや喜よろこびについて語かたっていたが、まさにその通とおりで、大好だいすきなアーティストと同おなじステージに立たつというシチュエーションは、ワンマンライブともフェスとも違ちがうムードを醸かもし出だしていた。ひと言ことでいえば、センチュリーホールのあいみょんは、2日間にちかんともめちゃくちゃ楽たのしそうだった。声こえにもパフォーマンスにもMCにもそれがよく表あらわれていた。

一応いちおう断ことわっておくと、もちろんワンマンのあいみょんが楽たのしそうじゃないというわけではない。オーディエンスとの、まるで友達ともだちとお茶ちゃでもしに来きたみたいな距離きょり感かんのコミュニケーションや勝手かって知しったるバンドメンバーとのやり取とりなど、あいみょんのライブの楽たのしさの根本こんぽんみたいなところは何なにも変かわっていなかったし、何なによりその楽曲がっきょくが心しんにガツンと入はいってくる速度そくどはワンマンだろうと対たいバンだろうと違ちがいはない。だがそれにプラスアルファで、対たいバンならではの──あえてベタない方いかたをするなら「化学かがく反応はんのう」が生うまれ、いつも以上いじょうにハッピーな空気くうきが会場かいじょうを包つつみ込こんでいたのだ。

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●6.25 vs. HY

名古屋なごや初日しょにちのゲストはHY。実じつは彼かれらは今回こんかいのラインナップで唯一ゆいいつ、前回ぜんかいの対たいバンツアーでもあいみょんと共演きょうえんしたアーティスト。今回こんかいあいみょんからの「おかわり」ラブ・コールを受うけて、この重要じゅうような初日しょにちのステージに立たつこととなった。沖縄おきなわ民謡みんようのSEに乗のって、かりゆしウェアを着きた新里にいさと英之ひでゆき（Vo・G）、仲宗根なかそね泉いずみ（Key・Vo）、名めい嘉よしみ俊しゅん（Dr）、許田きょだ信介しんすけ（B）が登場とうじょう。「ラブコールを受うけました！ 沖縄おきなわから来きました、HYです！」という新里にいさとの挨拶あいさつから、“no rain no rainbow”でライブをスタートさせると、新里にいさとの求もとめに応おうじてオーディエンスがジャンプ、ジャンプ。いきなりあたたかな一体いったい感かんが生うまれていった。

「最高さいこうの時間じかんを作つくっていこうね！」という新里にいさとの声こえに続つづいて仲宗根なかそねが弾ひき始はじめたのは「あの」イントロ。瞬時しゅんじに理解りかいしたオーディエンスが歓声かんせいを上あげる。そう、“AM11:00”だ。アコースティックギターを弾ひきながら歌うたう新里にいさとが「いーず！」と声こえをかけると仲宗根なかそねのパートへ。彼女かのじょが「歌うたって！」と叫さけぶと、客席きゃくせきでシンガロングが起おきる。あまりにも自然しぜんな声こえのリレーに、一瞬いっしゅんこれはHYのワンマンライブか？と錯覚さっかくしてしまう。これは次つぎの日ひの大塚おおつか 愛あいのライブでもそうだったのだが、観客かんきゃくがあいみょんだけでなく対たいバン相手あいてにも全力ぜんりょくで愛あいとリスペクトを注そそぎながらこの日ひに臨のぞんでいるのだ。

ツインボーカルが美うつくしく響ひびき渡わたった“Ocean”を経へて、「おかわりはHYだけみたいです。うれシーサー！」と改あらためてあいみょんに感謝かんしゃを伝つたえる新里にいさと。HYとあいみょんの音楽おんがくには通つうじるものがある、という。「あたたかくて、ストレートに思おもいをぶつける」──そんなところに共通きょうつう点てんを感かんじると打うち明あけると、会場かいじょうからは共感きょうかんの拍手はくしゅが巻まき起おこった。そして新しん里さとが三さん線せんを弾ひき、エイサーの太鼓たいこも登場とうじょうして盛もり上あげた“帰かえる場所ばしょ”や同おなじく三さん線せんの音色ねいろとともに届とどけられた“三さん月がつの陽炎かげろう”へ。彼かれらのホームである沖縄おきなわへの思おもいが溢あふれ、とてもエモーショナルにライブは展開てんかいしていった。

「HY、今年ことしで25周年しゅうねんを迎むかえることができました！」とバンドが節目ふしめを迎むかえたことを告つげつつ、「嬉うれしかったこと」としてHYの楽曲がっきょくから着想ちゃくそうを得えたドラマ『366日にち』について話はなし出だす新里にいさと。長ながい時間じかんの中なかで楽曲がっきょくの持もつ意味いみが変かわってきたことに触ふれ、その“366日にち”を、ツインボーカルで歌うたう「Official Duet ver.」で披露ひろうする。仲宗根なかそねの「歌うたって！」の声こえに、またしても会場かいじょう中ちゅうで大だい合唱がっしょうが起おきた。

さらにここでサプライズ。「あいみょんさんが大好だいすきな曲きょく、みんなに届とどけるよ！ しかもあいみょんも一緒いっしょに歌うたうよ！」という新里にいさとの言葉ことばで、メンバーとお揃ぞろいのシャツを着きたあいみょんがステージに呼よび込こまれた。すかさず花束はなたばを彼女かのじょに渡わたす新里にいさと。これこそ本当ほんとうにサプライズだったようで、あいみょんも目めを丸まるくして「嬉うれしいー！」と喜よろこんでいる。そんな中なか、HY＋あいみょんで演奏えんそうされるのは“ベンジャミンベンジャミン”だ。ステージ上じょうの全員ぜんいんが笑顔えがおで、もちろんお客きゃくさんも笑顔えがお。最高さいこうのムードがライブを一気いっきに盛もり上あげる。新里にいさとの「あいみょん、楽たのしんでる？」という言葉ことばに「イェー！ HY最高さいこう！」と応こたえるあいみょん。さっきもらったばかりの花束はなたばを置おいて帰かえりそうになるあたり、本当ほんとうに楽たのしくて浮うき足立あしだっていたのだと思おもう。

そうしてすっかりひとつになったセンチュリーホールに投下とうかされた新曲しんきょく“明日あした種しゅ〜アシタネ〜”ではお客きゃくさんも振ふり付つけに挑戦ちょうせん、“ワラッタラッタ”では客席きゃくせき中ちゅうでタオルが回まわる。最後さいごは「僕ぼくたちのスタートの曲きょくです」と“ホワイトビーチ”を披露ひろうし、全員ぜんいんでのジャンプでライブを終おえたHY。初はじめて観みた人ひとも絶対ぜったいに彼かれらのことが好すきになってしまうような、優やさしくて人懐ひとなつっこいステージで、あいみょんへとバトンを繋つないだ。

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そして先さきほどの共演きょうえんの感動かんどうも冷さめやらぬ中なか“ジェニファー”でライブをスタートさせたあいみょん。HYですっかりあたたまった客席きゃくせきはのっけから気持きもちよさそうに揺ゆれている。あいみょん自身じしんの声こえも心しんなしか弾はずんで聞きこえてくる。ツアーは始はじまったばかりなのでセットリストの全貌ぜんぼうは明あかせないのだが、その後ごの曲きょくでもあいみょんは間違まちがいなくテンションが高たかかった。

MCでも（これはいつものことだが）、お客きゃくさんと超ちょうフレンドリーに会話かいわを繰くり広ひろげる。「（衣装いしょうの）お尻しりがかわいい！」という声こえを聞ききつければ「確たしかに！ そうかも！」と返かえし、HYと一緒いっしょに歌うたった“ベンジャミンベンジャミン”について「めっちゃ緊張きんちょうしてたよ！」と心情しんじょうを吐露とろ。そうやって言葉ことばを交かわすたびに、あいみょんのライブはぎゅっとひとつに、そしてアットホームになっていく。それが彼女かのじょと彼女かのじょのファンの関係かんけい性せい。HYにとってもそれは驚おどろきだったようで、「終おわったあと、HYがみんなのことをめっちゃ褒ほめてたで！ 『いちいち優やさしい』って」とコメントをもらったことを報告ほうこく……しつつ、返かえす刀かたなで「私わたしのファン、タオルって振ふれんねや！」と先さきほどのライブで生うまれた光景こうけいにツッコんで笑わらいを取とる。対たいバンなので当然とうぜんあいみょんのライブ自体じたいはいつもより時間じかんが短みじかい。だからそのぶん濃こいものにしようと、歌うたもMCもこれでもかと全力ぜんりょく投球とうきゅう。そういう姿すがたが見みられるのも対たいバンツアーならでは、なのかもしれない。

ライブ中盤ちゅうばん、「“Ocean”ヤバくない？」とか言いいながらHYが自身じしんにとって青春せいしゅんのアーティストであることを改あらためて明あかし、「自分じぶんの音楽おんがくもこうやって育そだってくれたらいいなって思おもえるアーティスト」だとリスペクトをあらわにするあいみょん。「HYの楽曲がっきょくで恋こいを乗のり越こえてきました。この曲きょくもずっとそばにありました」という言葉ことばから歌うたい出だしたのはHYの名曲めいきょく“NAO”だ。丁寧ていねいに丁寧ていねいに、メロディと言葉ことばを愛めでるように歌うたうあいみょん。その情感じょうかんの豊ゆたかさが、彼女かのじょにとってこの曲きょくがいかに大事だいじなものなのか、いかに心しんに染しみついたものなのかが伝つたわってくる。歌うたい終おえると深々ふかぶかと一礼いちれい。もちろんその姿すがたには大おおきな拍手はくしゅが送おくられた。

その“NAO”のカバーに続つづいては“裸はだかの心しん”も披露ひろう。ちなみにこの流ながれをあいみょんとバンドメンバーの間あいだでは「（vs TOURだけに）バラード対決たいけつ」と呼よんでいたそう。もちろんどっちが勝かった負まけたの話はなしではないけれど、そんな心持こころもちでライブに挑いどんでいくのもこういうツアーだからこそだろう。「“あなた”も歌うたいたかったし“Song for...”も歌うたいたかった」とHY愛あいを炸裂さくれつさせつつ、最後さいごまでリスペクトダダ漏もれでライブを終おえた初日しょにちのあいみょん。「昔むかしは対たいバンのほうが多おおかったから……」という言葉ことば通どおり、音楽おんがくに憧あこがれてこの世界せかいに飛とび込こんだひとりのシンガーソングライターの原点げんてんが、そのステージには顔かおをのぞかせていた。