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目指すべきは「相互に行き来できるマルチクラウド」 実現に必要な「3つのアプローチ」とは - 日経クロステック Special
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マルチクラウド環境かんきょうかんする調査ちょうさ
目指めざすべきは「相互そうごできるマルチクラウド」

実現じつげん必要ひつよう

「3つのアプローチ」とは

近年きんねん「クラウドファースト」をじくにシステムを構成こうせいする企業きぎょうえている。ただ、その一方いっぽうでパブリッククラウド活用かつようにおいて様々さまざま課題かだい直面ちょくめんする企業きぎょうすくなくない。ここでは、アンケート調査ちょうさえてきたパブリッククラウド活用かつよう状況じょうきょうと、指摘してきされている課題かだいげたうえで、課題かだい解決かいけつけたアプローチをかんがえてみたい。

全面ぜんめんてき活用かつよう」がたりまえになった
パブリッククラウド

企業きぎょう組織そしきにおけるパブリッククラウドの活用かつようは、急速きゅうそくいきおいですすんでいる。「クラウドファースト」のかんがかたも、すで完全かんぜん定着ていちゃくしたようだ。これは2023ねん7がつに「日経にっけいクロステック」が実施じっししたアンケート調査ちょうさにも、明確めいかくあらわれている。それをしめしたのが以下いかだ。「パブリッククラウドの利用りよう方針ほうしん」にかんする設問せつもんたいして、46%が「パブリッククラウドを全面ぜんめんてき活用かつよう」、54%が「条件じょうけん一部いちぶのシステムでパブリッククラウドを全面ぜんめんてき活用かつよう」と回答かいとうしており、「その」の回答かいとう皆無かいむだった。

2023ねん7がつに「日経にっけいクロステック」が実施じっししたアンケート調査ちょうさなかおこなわれた、「パブリッククラウドの利用りよう方針ほうしん」にかんする設問せつもんへの回答かいとう
「パブリッククラウドを使つかわない」という選択肢せんたくしは、もはや存在そんざいしないことがかる
出所しゅっしょ日経にっけいクロステック)

その背景はいけいとしては、おおきく3つの状況じょうきょうかんがえられる。

1.パブリッククラウド利用りよう抵抗ていこうかん減少げんしょう
コロナのリモートワークを経験けいけんしたことで、パブリッククラウド利用りようへの抵抗ていこうかん一気いっきうすれたことだ。すでにWeb会議かいぎやクラウドがたグループウエアの活用かつよう、オンラインストレージによるファイル共有きょうゆうたりまえのものになっている。パブリッククラウド活用かつようがこれだけ一般いっぱんすれば、全面ぜんめんてきにパブリッククラウドを活用かつようしたいというかんがえにいたるのも、当然とうぜんながれだといえるだろう。

2.アジャイル開発かいはつやマイクロサービスとのたか親和しんわせい
DX推進すいしん必要ひつような「アジャイル開発かいはつ」のスタイルにてきしているてんだ。パブリッククラウドであれば、ちいさな初期しょきコストで利用りよう開始かいしでき、開発かいはつ必要ひつよう仮想かそうマシンの調達ちょうたつ容易ようい。また昨今さっこんではコンテナ技術ぎじゅつなどを活用かつようした「マイクロサービス」へのシフトもすすみつつあるが、これとの親和しんわせいたかい。

3.政府せいふ主導しゅどうによる「クラウドファースト」の推進すいしん
政府せいふ主導しゅどうで「クラウドファースト」が推進すいしんされてきたことだ。政府せいふ規制きせいではなく後押あとおしするのであれば、パブリッククラウドへの安心あんしんかんたかまるのも自然しぜんななりゆきだといえる。

これらにくわえて、もう1つ注目ちゅうもくしたいてんがある。それは、複数ふくすうのパブリッククラウドとオンプレミスをわせて使つかう「マルチクラウド」もすすみつつあることだ。「日経にっけいコンピュータ」2023ねん9がつ14にちごう掲載けいさいされた「クラウド活用かつようのリアル」によれば、すでに63%がシステムごとにクラウドを使つかける「マルチクラウド」になっているという。

さらに、情報じょうほうけいシステムや社外しゃがいけシステムでのパブリッククラウド利用りよう意向いこうたか一方いっぽうで、社内しゃない業務ぎょうむシステムをクラウドするケースも増大ぞうだいしている。そしてすでべたように、コンテナ技術ぎじゅつ活用かつようしたマイクロサービスも、着々ちゃくちゃくすすみつつある。コンテナに関連かんれんする管理かんりツールやサービスを利用りようちゅう企業きぎょうも、すでやく4わりえた。これにかんしては、Kubernetesが普及ふきゅう後押あとおししているとかんがえられる。

パブリッククラウド活用かつよう直面ちょくめんする
「3つの課題かだい

その一方いっぽうで、パブリッククラウド活用かつようにおける課題かだいえてきた。以下いかしめすのは、前述ぜんじゅつの「日経にっけいクロステック」のアンケート調査ちょうさにおける「パブリッククラウドを活用かつようするさい課題かだいについて」という設問せつもんへの回答かいとう件数けんすうだ。

社内しゃない人材じんざい不足ふそく」「コストへの不安ふあん」「クラウドベンダーにロックインされる不安ふあん」が突出とっしゅつしている。
また従来じゅうらいから指摘してきされてきた「性能せいのうへの不安ふあん」「可用性かようせいへの不安ふあん」「セキュリティーへの不安ふあん」も、完全かんぜん解消かいしょうされたわけではない
出所しゅっしょ日経にっけいクロステック)

このグラフからかるのは、「社内しゃない人材じんざい不足ふそく」「コストへの不安ふあん」「クラウドベンダーにロックインされる不安ふあん」が突出とっしゅつしておおてんだ。

まず「社内しゃない人材じんざい不足ふそく」だが、これは長年ながねんにわたってオンプレミス中心ちゅうしんにシステムを展開てんかいしてきたため、いたかたないことかもしれない。とく日本にっぽんでは、実際じっさいのシステム開発かいはつ運用うんようをSIerにまかせてしまう傾向けいこうつよく、IT人材じんざい社内しゃない十分じゅうぶんそだっていない、という事情じじょうもある。マルチクラウドやコンテナ活用かつようすすんでいけば、るべき技術ぎじゅつ要素ようそ一気いっき増大ぞうだいするため、人材じんざい不足ふそくはさらに深刻しんこくしていくはずだ。

「コストへの不安ふあん」にかんしては、パブリッククラウドのしたがえりょう課金かきん為替かわせ変動へんどうといった「確定かくてい要素ようそ」が指摘してきされているが、そもそもパブリッククラウドはオンプレミスにくらべてシャドウITしやすいという側面そくめんもある。そのため、IT部門ぶもんのコントロールやガバナンスが十分じゅうぶんいていない領域りょういきえないコストが増大ぞうだいする、という問題もんだい存在そんざいかんがえられる。

そして「クラウドベンダーのロックイン」にかんしては、おおきく2種類しゅるいのロックインがかんがえられる。1つは、いったんパブリッククラウドじょうせたデータをほかのパブリッククラウドやオンプレミスにうつすことがむずかしくなってしまうという「データのロックイン」。もう1つは、「システム運用うんようかんするスキルがロックインされてしまうこと」だ。システム運用うんようかんがかた手法しゅほうは、パブリッククラウドごとにことなっている。いったん1つのパブリッククラウドにれてしまうと、ほかのパブリッククラウドにうつることに抵抗ていこうかんまれてしまうわけだ。

これにくわえ「性能せいのうへの不安ふあん」「可用性かようせいへの不安ふあん」「セキュリティーへの不安ふあん」がげられていることもおおきい。これらは以前いぜんから「パブリッククラウドを採用さいようしない理由りゆう」としてげられていたが、クラウドファーストが浸透しんとうした現在げんざいでも、完全かんぜんふっしょくされたわけではないようだ。

機密きみつせいたかいデータをあつかうシステムや、レスポンス時間じかん重要じゅうようなシステム、まることがゆるされないシステムなどは、今後こんごもオンプレミスでの運用うんようもとめられることになるだろう。実際じっさい世界せかいてきても、こうしたシステムについては「オンプレミス回帰かいき」といううごきも目立めだつようになっている。

必要ひつようなのはオンプレミスとパブリッククラウドの融合ゆうごう

とはいえ、パブリッククラウド活用かつようひろがりは、もはやめようもない潮流ちょうりゅうになっている。パブリッククラウドには前述ぜんじゅつのような課題かだいがあるものの、メリットもおおきいからだ。

その一方いっぽうで「オンプレミス回帰かいき」がられるように、オンプレミスが完全かんぜんになくなってしまうこともかんがえにくい。複数ふくすうのパブリッククラウドとオンプレミスをわせて使つかう「マルチクラウド」は、今後こんごすすんでいくとかんがえられる。冒頭ぼうとう引用いんようしたアンケート調査ちょうさ結果けっかで、半数はんすう以上いじょうが「条件じょうけん一部いちぶのシステムでパブリッククラウドを全面ぜんめんてき活用かつよう」となっていることも、この傾向けいこうしめすものだといえるだろう。

それではパブリッククラウドの課題かだいをどのようにして解決かいけつすべきなのか。おおきな方向ほうこうせいとしてかんがえておきたいのが、「パブリッククラウドのメリットとオンプレミスのメリットを融合ゆうごうすること」である。

まずパブリッククラウドのメリットとしては、シンプルでかりやすいユーザー体験たいけん初期しょき投資とうし抑制よくせいできるしたがえりょう課金かきん、インターネットとの親和しんわせいたかさなどがげられる。つまり、ユーザーにとって垣根かきねひくく、簡単かんたん利用りよう開始かいしできることがおおきなメリットといえる。

その一方いっぽうでオンプレミスには、セキュリティーやガバナンスを担保たんぽしやすいこと、最新さいしんのストレージ製品せいひん活用かつようすることですぐれたデータ管理かんり実現じつげんしやすいこと、性能せいのう可用性かようせい確保かくほしやすいことなどがげられる。安全あんぜんせい安定あんていせい・データ保護ほご堅牢けんろうせいなどがおおきな特徴とくちょうだといえるだろう。

融合ゆうごうのためにすすめるべき「3つのアプローチ」

それでは両者りょうしゃのメリットを融合ゆうごうするには、どのようなアプローチがかんがえられるのか。

1.パブリッククラウドのメリットを、オンプレミスに
「パブリッククラウドのいくつかのメリットを、オンプレミスにむこと」だ。その1つがしたがえりょう課金かきん採用さいようである。これまでもすでに、オンプレミスけのハードウエア製品せいひんを、したがえりょう課金かきん利用りよう可能かのうにするサービスやプランは登場とうじょうしている。これを利用りようすることで初期しょき投資とうし抑制よくせい可能かのうだ。また、サーバーやストレージといったハードウエアリソースの調達ちょうたつも、パブリッククラウドで仮想かそうマシンをげるように、コンソールから簡単かんたんおこなえるようにすることがのぞまれるが、このようなサービスもすで存在そんざいする。

2.オンプレミスのメリットを、パブリッククラウドに
1つぎゃくに「オンプレミスのメリットをパブリッククラウドにむ」というアプローチだ。具体ぐたいてきには、オンプレミス製品せいひんつちかわれてきた先進せんしんてきかつ高機能こうきのう各種かくしゅ製品せいひん機能きのうを、パブリッククラウドでも利用りよう可能かのうにするのである。

近年きんねんのハードウエア製品せいひんとくにストレージ製品せいひんは、ベースとなるハードウエアのうえ各種かくしゅソフトウエアを稼働かどうさせ、ソフトウエアで高度こうど機能きのう実現じつげんした「ソフトウエア・デファインド」なものがえている。このような製品せいひんであれば、ソフトウエア機能きのうをパブリッククラウドの仮想かそうマシンじょうせることで、同等どうとう機能きのう利用りようできるようになる。

たとえばストレージ製品せいひん機能きのうをパブリッククラウドにせることで、重複じゅうふく排除はいじょによるデータりょう圧縮あっしゅくや、ストレージ領域りょういき仮想かそうによる容量ようりょう有効ゆうこう活用かつよう冗長じょうちょうやスナップショットによるデータ保護ほご、ランサムウエアへの各種かくしゅ対策たいさく機能きのうなどが実装じっそうしやすくなる。またオンプレミスけストレージではたりまえになっているレプリケーション機能きのうなどを活用かつようすれば、複数ふくすうのパブリッククラウドあいだやオンプレミスとのあいだで、データの相互そうご運用うんようせいたかめることも容易よういになる。

3.コンテナ環境かんきょう共通きょうつうはか
活用かつようすすみつつあるコンテナ環境かんきょう共通きょうつうはかることである。オンプレミスとパブリッククラウドで技術ぎじゅつやフレームワークを共通きょうつうすることで、相互そうご運用うんようせい確保かくほするのだ。そのいちれいとして理解りかいしやすいのが、同一どういつのKubernetes製品せいひんをオンプレミスとパブリッククライドに導入どうにゅうすることである。コンテナ環境かんきょう共通きょうつうされれば、アプリケーション機能きのう相互そうご運用うんようせい実現じつげんしやすくなる。

目指めざすべきは「双方向そうほうこうできる」マルチクラウドの実現じつげん

これら3つのアプローチによって、オンプレミスと複数ふくすうパブリッククラウドのあいだ相互そうご運用うんようせい飛躍ひやくてきたかまり、データとアプリケーションが双方そうほう自由自在じゆうじざいできるようになる。もはや、アプリケーションやデータが「どこにあるか」は問題もんだいではなくなり、状況じょうきょうおうじて使つかければよいだけとなる。たとえば、セキュアに実行じっこうすべきデータ処理しょりはオンプレミスがわおこない、BIツールやAIを活用かつようしただい規模きぼなデータ分析ぶんせきはクラウドじょうおこなうといったことが、容易ようい実現じつげんできるようになるわけだ。このような環境かんきょうこそが、これから実現じつげんすべき「マルチクラウド環境かんきょう」だといえるだろう。

これを実現じつげんすることで、前述ぜんじゅつのパブリッククラウドの問題もんだいを、すべて解決かいけつできるようになる。

まず「人材じんざい不足ふそく不安ふあん」にかんしては、利用りよう技術ぎじゅつ共通きょうつうすることでっておくべき知識ちしき限定げんていされることで、必要ひつよう人材じんざい確保かくほしやすくなる。えるべきハードルが一気いっきひくくなるからだ。

「コストへの不安ふあん」も、データやアプリケーションの容易よういになり、適材適所てきざいてきしょでの配置はいち可能かのうになることで、解消かいしょうしやすくなるだろう。トータルコストがもっとひくくなるように、データやアプリケーションをさい配置はいちすればいいからだ。

もちろん「クラウドベンダーによるロックインへの不安ふあん」も解消かいしょうできる。オンプレミスの技術ぎじゅつでデータ管理かんりおこなうことで、データの相互そうご運用うんようせい確保かくほしやすくなるからだ。また運用うんよう共通きょうつうによって、スキルのロックインも回避かいひできる。

さらに、オンプレミスでもクラウドライクな調達ちょうたつ運用うんよう可能かのうになれば、性能せいのう可用性かようせい、セキュリティーの確保かくほ必要ひつようなアプリケーションをオンプレミスで運用うんようする、といった判断はんだんくだしやすくなる。そこでポイントになるのは「オンプレミスしか選択せんたくできない」といったネガティブな判断はんだんではなく、「パブリッククラウドも選択肢せんたくしになりうるが、条件じょうけんによりてきした環境かんきょうとしてオンプレミスを選択せんたくする」といった、ポジティブな判断はんだん可能かのうになることだ。

ここまでてきたように、オンプレミスとパブリッククラウドが融合ゆうごうしたマルチクラウドは、けっして実現じつげん不可能ふかのうなものではない。適切てきせつなアプローチをおこなうことで具現ぐげんできるのだ。ここで重要じゅうようなことは、「オンプレミスからパブリッククラウドへ」「パブリッククラウドからオンプレミスに回帰かいき」といった一方いっぽう通行つうこううごきではなく、「オンプレミスとクラウドとのあいだ双方向そうほうこうできる世界せかい」を目指めざすことではないだろうか。

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わせ

デル・テクノロジーズ株式会社かぶしきがいしゃ

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