日本にっぽん初はつのインターネット専業せんぎょう銀行ぎんこうとして2000年ねんに営業えいぎょうを開始かいししたPayPay銀行ぎんこう（旧きゅう社名しゃめい：ジャパンネット銀行ぎんこう）は、20年ねん以上いじょうにわたり通常つうじょうの銀行ぎんこう業務ぎょうむである預金よきん取引とりひきや資産しさん運用うんようはもちろん、JNB Visaデビット、外国がいこく為替かわせ証拠しょうこ金きん取引とりひき（JNB-FX PLUS）、スポーツ振興しんこうくじ（toto）、公営こうえい競技きょうぎ、宝たからくじ（ロト・ナンバーズ）といった、インターネット専業せんぎょう銀行ぎんこうならではの特長とくちょうを生いかした、様々さまざまな商品しょうひん・サービスを開発かいはつ・提供ていきょうしている。

その先進せんしん的てきな金融きんゆうサービスとミッションクリティカルシステムの安定あんてい稼働かどうを支ささえているのがIT本部ほんぶだ。「空気くうきのように身近みぢかな金融きんゆうサービス」というPayPay銀行ぎんこうのコンセプトを実現じつげんするため、同どう本部ほんぶでは勘定かんじょう系けいや周辺しゅうへんシステムも含ふくめ、あらゆるシステムのメンテナンス時間じかんを極小きょくしょう化かし、年間ねんかん30分ふん以下いかのダウンタイムという厳きびしい目標もくひょうを掲かかげている。

また同行どうこうは、ダイバーシティ経営けいえいと女性じょせい活躍かつやくの推進すいしんをリード。システム開発かいはつや運用うんよう保守ほしゅの現場げんばでも多おおくの女性じょせい社員しゃいんが活躍かつやくしている。その1人ひとりが掛かけ谷たに 野の百ひゃく合ごう氏しである。

「私わたしが所属しょぞくする開発かいはつ二に部ぶはインフラ基盤きばん担当たんとうチームで、勘定かんじょう系けいシステムや提携ていけい先さき接続せつぞくするための周辺しゅうへんシステム、社内しゃないシステムまで様々さまざまなシステムの基盤きばん整備せいびを担になっています。私わたし自身じしん、ITには全まったく関係かんけいのない文系ぶんけい出身しゅっしんですが、当社とうしゃにはOJTによる教育きょういく体制たいせいや女性じょせいのキャリア形成けいせい、働はたらきやすさを支援しえんする制度せいどが充実じゅうじつしていますので、男女だんじょを問とわず誰だれでもチャレンジングな仕事しごとができる環境かんきょうだと思おもいます」（掛かけ谷だに氏し）

PayPay銀行ぎんこうではこれまで、インフラ基盤きばんの多おおくをオンプレミスで構築こうちくしてきた。しかし約やく5年ねんごとに行おこなわれるハードウエア更改こうかいでは、物理ぶつり的てきな調達ちょうたつ・構築こうちくの手間てまや拡張かくちょう性せいの限界げんかい、膨大ぼうだいな初期しょきコストなどが年々ねんねん大おおきな負担ふたんになっていたという。

「大おおきな課題かだいだったのが、柔軟じゅうなんにITリソースを増ふやせないこと、更改こうかい対応たいおうにかかる作業さぎょう負荷ふかでした。新しんサービスの導入どうにゅうやスパイク対応たいおうに向むけ、あらかじめスケールアップの用意よういはしていましたが、リソースを増ふやす際さいの手間てまや一時いちじ的てきな可用性かようせい低下ていかなどが懸念けねんされますし、システム移行いこうの際さいにも冗長じょうちょう構成こうせいの切きり替かえに時間じかんがかかり、システム更改こうかいが重かさなるタイミングではダウンタイムをいかに抑おさえるかで非常ひじょうに苦労くろうしていたのです」（掛かけ谷だに氏し）

そこでIT本部ほんぶが注目ちゅうもくしたのが、サーバー仮想かそう化かを実現じつげんするのに必要ひつような機能きのうをワンシステムにまとめたHCI（ハイパー・コンバージド・インフラストラクチャ）だった。

HCIはサーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想かそう化か機能きのうをシンプルなx86サーバーに集約しゅうやくしたシステムで、1ノード単位たんいでシステムを無む停止ていしで拡張かくちょうできる。これまで専門せんもん的てきなスキルを必要ひつようとしていたシステム増強ぞうきょうが容易よういに行おこなえるほか、メンテナンスや運用うんようもシンプル化かされ、ITコストの最適さいてき化かと管理かんり業務ぎょうむの負担ふたん低減ていげんにもつながる。

「HCIならITリソースを必要ひつような分ぶんだけ拡張かくちょうできますし、5年ねんごとのサーバー更改こうかいやEOS（保守ほしゅ期限切きげんぎれ）への対応たいおうにも苦慮くりょすることなく、ダウンタイムなしにシステム移行いこうが行おこなえます。これなら可用性かようせいを担保たんぽした銀行ぎんこう業務ぎょうむの共通きょうつう基盤きばんが構築こうちくできると考かんがえました」と、同社どうしゃの近藤こんどう 毅あつし宏ひろし氏しは話はなす。

当初とうしょは3Tier構成こうせいの仮想かそう基盤きばんも検討けんとうされたが、HCIの方ほうがダウンタイムなく増強ぞうきょうできること、運用うんよう管理かんりの属人ぞくじん化かが防ふせげるという観点かんてんで軍配ぐんばいが上あがった。こうして、同社どうしゃでは勘定かんじょう系けいの周辺しゅうへんシステムをHCIに集約しゅうやくするプロジェクトをスタートさせたのである。

HCIの選定せんていでは複数ふくすうベンダーが候補こうほに上あがった。そして導入どうにゅう実績じっせき、運用うんよう性せい、拡張かくちょう性せい、サポートなどの総合そうごう評価ひょうかで採用さいようされたのが「Dell VxRail」だ。

「Dell VxRailはVMwareとの親和しんわ性せいが高たかく、高信頼こうしんらいの仮想かそう環境かんきょうに最適さいてき化かされている点てんを評価ひょうかしました。ワールドワイドでトップシェアであることも安心あんしん材料ざいりょうでしたし、導入どうにゅう時じのテストや検証けんしょうもデル・テクノロジーズ内ないで実施じっし済ずみのため、カットオーバーまでの工数こうすうが大幅おおはばに低減ていげんされる点てんも嬉うれしかったですね」と掛かけ谷たに氏しは語かたる。

一方いっぽう、近藤こんどう氏しはDell VxRailを選定せんていした理由りゆうの1つに、デル・テクノロジーズの調達ちょうたつ力りょくを挙あげる。

「選定せんてい当時とうじはコロナ禍かやウクライナ侵攻しんこうの影響えいきょうから、サーバーやパーツの調達ちょうたつが世界せかい的てきにも難むずかしい時期じきにありました。その当時とうじもデル・テクノロジーズは必要ひつようなサーバーをしっかり供給きょうきゅうできる体制たいせいを整ととのえており、将来しょうらいにわたる安定あんてい供給きょうきゅうの面めんでも信頼しんらいできると判断はんだんしました。我々われわれはダウンタイムを最小さいしょう化かしたビジネス継続けいぞくを何なによりも重要じゅうようなミッションとしていますから、このポイントは非常ひじょうに大おおきかったです」（近藤こんどう氏し）

そしてDell VxRailの導入どうにゅうと同時どうじに採用さいようされたのが「Dell APEX Flex on Demand」だ。これは事前じぜんにバッファーを含ふくめた容量ようりょうのシステムを設置せっちし、オンデマンドでリソースを拡張かくちょうできるサービスである。料金りょうきん体系たいけいは基本きほん容量ようりょうと追加ついかで利用りようした分ぶんの従したがえ量りょう課金かきん制せいなので、IT投資とうしのリスクを回避かいひしながら、オンプレミスのITインフラに柔軟じゅうなん性せいと拡張かくちょう性せいを提供ていきょうする。

一般いっぱん的てきなHCI環境かんきょうではリソース追加ついかのため一定いっていの作業さぎょう負担ふたんやコストが発生はっせいするが、Dell APEX Flex On Demandを利用りようすれば、必要ひつようなタイミングで必要ひつようなだけリソースを増強ぞうきょうできるため、キャッシュフローの最適さいてき化かにもつながる。

「将来しょうらい的てきなシステムアップデートの際さいも、Dell APEX Flex on Demandならデル・テクノロジーズ側がわから最新さいしん技術ぎじゅつを生いかした改善かいぜん提案ていあんをもらえるので、少すくないメンバーで多数たすうのシステムを見みている私わたしたちにとっては、負荷ふかが大幅おおはばに軽減けいげんできるのではないかと期待きたいしています」（掛かけ谷だに氏し）

新あらたな銀行ぎんこう共通きょうつう基盤きばんとなるDell VxRailは、Dell APEX Flex on Demandの適用てきようにより、構築こうちくのみであれば1カ月かげつ程度ていどでカットオーバー。HCI環境かんきょうは本番ほんばん3クラスタと開発かいはつ1クラスタの合計ごうけい4システムで構成こうせいされ、機器ききの障害しょうがい検知けんち／バックアップ用ようのDell PoweEdgeサーバー、ネットワークスイッチのDell PowerSwitchも追加ついかされた。今後こんごはこの基盤きばん上じょうに、サーバー更改こうかいやEOSを迎むかえるシステムが順次じゅんじ、集約しゅうやくされていくことになる。

「機微きびな個人こじん情報じょうほうを扱あつかう銀行ぎんこうでは、クラウド移行いこうするためにはセキュリティーリスク整理せいり・対応たいおうに時間じかんがかかるため、オンプレミスを選択せんたくしているシステムが多数たすうあります。今後こんごは『物理ぶつりサーバーで運用うんようするもの』『HCIでプライベートクラウド的てきに運用うんようするもの』『外部がいぶのパブリッククラウドで運用うんようするもの』と大おおきく3パターンで適材適所てきざいてきしょに運用うんようしていきます。特とくにHCIには、外部がいぶのクラウドには出だしにくい勘定かんじょう系けいの周辺しゅうへんシステムを集約しゅうやくし、オンプレミスでの導入どうにゅうメリットを最大さいだい化かしていきます」（近藤こんどう氏し）

さらに今回こんかいのプロジェクトで注目ちゅうもくしたいのは、デル・テクノロジーズの様々さまざまな支援しえんサービスを活用かつようし、IT人材じんざい不足ふそくにうまく対応たいおうした点てんだ。

その1つが、「運用うんよう設計せっけい・文書ぶんしょ化か整備せいびのコンサルティングサービス」である。これは銀行ぎんこう共通きょうつう基盤きばん（HCI）の運用うんよう設計せっけい書しょを文書ぶんしょ化かし、プロビジョニング、稼働かどう監視かんし、リソース管理かんり、障害しょうがい対応たいおう、テストといった複雑ふくざつな業務ぎょうむを標準ひょうじゅん化かできるよう支援しえんするもの。これにより属人ぞくじん化かした運用うんようプロセスから脱だっし、担当たんとう引ひき継つぎも含ふくめて様々さまざまな事象じしょうを共有きょうゆうできるようになりつつあるという。

さらに、専門せんもん知識ちしきとスキルを持もつデルの認定にんてい技術ぎじゅつ者しゃがPayPay銀行ぎんこうのITスタッフとして赴おもむき、既存きそん環境かんきょうからHCIへの移行いこう、日々ひびの運用うんよう、最新さいしんテクノロジーを生いかしたROIの最大さいだい化かなどを支援しえんする「レジデンシーサービス」や、サポート対応たいおうをはじめとした一括いっかつ窓口まどぐちを提供ていきょうするサービスアカウントマネージャー（SAM）も活用かつようしているという。

「顧客こきゃく影響えいきょうのあるシステムも稼働かどうするための共通きょうつう基盤きばんであるHCIですから構築こうちく後ごの運用うんようも重要じゅうようだと考かんがえました。そこでデル・テクノロジーズのエンジニアと我々われわれのチームが一体いったいとなって、日々ひびの運用うんようやトラブル対応たいおう、業務ぎょうむ改善かいぜんを行おこなえる仕組しくみとして、それらのサービスを導入どうにゅうしました。まだ始はじめたばかりですが、我々われわれだけでは手てが回まわらない部分ぶぶんのサポートや、今後こんごの改善かいぜんに向むけた提案ていあんを多々たたいただいており、これからの運用うんよう強化きょうかに期待きたいが持もてます」と、近藤こんどう氏しは評価ひょうかする。

Dell APEX Flex on Demandを適用てきようしたDell VxRailは、オンプレミスのシステムでありながらクラウドライクな柔軟じゅうなん性せい・拡張かくちょう性せいを実現じつげんすると同時どうじに、大おおきなコストメリットを生うみ出だした。従来じゅうらい必要ひつようだった5年ねんごとのハードウエア調達ちょうたつ費ひやSIコストなどが平準へいじゅん化かして吸収きゅうしゅうされるため、「10年ねん単位たんいで見みると約やく3割わりのコスト削減さくげんとなる試算しさんが出でている」と近藤こんどう氏しは話はなす。

ITリソースを集約しゅうやくすることによる運用うんよう管理かんりの一元化いちげんか、運用うんよう負荷ふかの削減さくげんも合あわせれば、その効果こうかはさらに大おおきなものになっていくという。

また、開発かいはつスピードの迅速じんそく化か、高たかい耐たい障害しょうがい性せいによるサービスレベルの向上こうじょうといったビジネス面めんでの効果こうかも大おおきい。

従来じゅうらいなら新あらたなハードウエアを調達ちょうたつするのに数カ月すうかげつ、構築こうちくも含ふくめれば半年はんとし以上いじょうはかかっていたインフラ導入どうにゅう／増設ぞうせつ／更改こうかいのリードタイムが、HCIなら1時じ間あいだ程度ていどしかかからない。

「調整ちょうせい作業さぎょうも含ふくめれば実際じっさいには1週間しゅうかん程度ていどかかるかもしれませんが、ビジネス要求ようきゅうにタイムリーに応こたえられる環境かんきょうとしては十分じゅうぶん満足まんぞくできるスピードです」と掛かけ谷たに氏しは話はなす。

近藤こんどう氏しも「他社たしゃのサーバーと比較ひかくしてDell VxRailは安全あんぜん性せいが高たかいと感かんじています。安定あんてい稼働かどうがしばらく続つづいているので障害しょうがい問とい合あわせも大幅おおはばに減へりました」と喜よろこぶ。

PayPay銀行ぎんこうは今後こんご、多様たようなニーズに迅速じんそくに対応たいおうできる銀行ぎんこう共通きょうつう基盤きばんをさらに進化しんかさせながら、将来しょうらい的てきにはハイブリット／マルチクラウド化かも検討けんとうしていくという。

「まずはHCIによる運用うんようを最適さいてき化かしながらサブシステムの集約しゅうやくを進すすめていくことが目標もくひょうとなります。それと並行へいこうしてストレージのDell APEX Flex on Demand化かやハイブリット／マルチクラウド化かも視野しやに入はいってきますので、デル・テクノロジーズさんには引ひき続つづき手厚てあついサポートと高信頼こうしんらいのハードウエア、最適さいてきなソリューションの提案ていあんをお願ねがいしたいと思おもいます」（掛かけ谷だに氏し)

インターネットをベースに、常つねに先進せんしん的てきな金融きんゆうサービスを提供ていきょうし続つづけるPayPay銀行ぎんこう。今後こんごも高信頼こうしんらいなインフラを軸じくにさらなる成長せいちょうを目指めざす考かんがえだ。