生成AIを最大限に生かせるPCのポイントとは?
デル・テクノロジーズ
クライアント・ソリューションズ統括本部
クライアント製品本部
フィールドマーケティングコンサルタント
白木 智幸 氏
2023年9月、Windows 11に新しく搭載された「Copilot in Windows」の無償提供が開始された。OSに組み込まれた生成AIが、Windowsの設定や機能の変更、アプリの起動、情報検索、Webページの内容要約など、様々な作業をアシストしてくれる。マウス操作のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)から会話型のUIへ、Copilotはユーザーに直感的でスピーディーな操作性をもたらす。
オフィスとリモートワークを組み合わせたハイブリッドワークを採用する企業は多い。ノートPCを接点に、働く一人ひとりの生産性や創造性の向上が図れる。新しい働き方には、新しいツールが必要だ。いま、生成AIの能力を最大限に引き出す「AI PC」が話題を集めている。ハイブリットワークで生成AIを利用するためには、クラウドで行っていたAI処理をノートPCで処理することが求められるからだ。インテルとマイクロソフトが共同策定した「AI PC」の定義は、「CPU、GPUに加え、AI処理に特化したNPU (Neural Processing Unit)を搭載し、CopilotとCopilotキーが実装されているもの」とした。
「AI PC」を使いこなす観点では、ハイブリッドワーク時代に応えるノートPCの機能やバリエーションも重要な要件となる。日常業務で使う「AI PC」に求められる3つのポイント「1.Copilotキー、2.パフォーマンス、3.作業の最適化」について、デル・テクノロジーズ クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティングコンサルタントの白木智幸氏が解説する。
1. Copilotキー
「AI PC」選択の目印となるのが、Windows PCのキーボートに存在する「Copilotキー」だ。その名の通り、「Copilot in Windows」をスピーディーに呼び出すためのキーとなる。「デル・テクノロジーズの最新『AI PC』には、Copilotキーが搭載されています。このキーを押すことで、Copilot in Windowsをすぐに利用できる。そのポテンシャルは非常に高いです」(白木氏)。
Copilotキーを直接押すだけでCopilot in Windowsをすぐに呼び出せる
2.パフォーマンス
ノートPCで生成AIを快適に利用するためには、優れたパフォーマンスが必要となる。インテル® Core™ Ultraプロセッサーは、高速レスポンスのCPU、高スループットのGPU、高いAI処理性能・低電力のNPUを備えている。さらにメモリーの高速化・大容量化も実現し、生成AIの能力を最大限に引き出すことができる。その実力は数値でも明らかだ。インテルによると、第11世代のCPUに比べて最大47%性能が向上、第13世代(前世代)のCPUと比較し、ビデオ会議でのプロセッサー電力消費が36%削減、ビデオ編集におけるAIパフォーマンスが2.2倍と大きく向上している。
インテル® Core™ Ultraプロセッサーは生成AIの能力を最大限に引き出す
「AIを効率的に処理できるこのNPUにより、Webミーティングを行う際に、豊かな表現力でコミュニケーションできます。例えば、プロンプターを利用したようなカメラ目線や、一眼レフで撮影したかのような自然な背景のボケ感、被写体が常に中心にくるカメラワーク(オートフレミング)などといった様々な効果を、特別な機器や人員体制を組まなくても、手軽に得られます。また、アプリケーションやユースケースに応じてNPUにオフロードされるため、デバイス全体のパフォーマンス向上、バッテリー寿命の延長が図れます。デル・テクノロジーズは、インテル® Core™ Ultraプロセッサーを採用した製品をいち早くお届けし、ユーザーの用途やニーズに応えるラインアップをそろえています」(白木氏)
3.作業の最適化
ハイブリッドワークの利用拡大に伴い、リスクも大きくなる。「AI PC」を安全かつ快適に利用するための環境づくりが必要だ。「AI内蔵の最適化ソフトウエア『Dell Optimizer』は、ユーザーの作業を機械学習しシーンに合わせてサポートします」(白木氏)。
生成AIの能力を最大限に生かすために重要な3つのポイント「1.Copilotキー、2.パフォーマンス、3.作業の最適化」
ノートPC自体がユーザーに代わって周囲を監視
白木氏は、Dell OptimizerをADAS(Advanced Driver-Assistance Systems=先進運転支援システム)」に例えて説明する。「ADASは、ドライバーの安全性、快適性を実現するために、自動車に搭載されたセンサーなどを通じて周囲の情報を収集・把握し、ドライバーに警告やアドバイス、自動制御を行う機能です。デル・テクノロジーズの先進ノートPCには、ADASにコンセプトが近いDell Optimizerが搭載されています」。
カフェでリモートワークをしていると、背後の人からの視線が気になる。Dell OptimizerはノートPC搭載カメラのセンシング機能を使って背後からの「のぞき見」を検出し、ユーザーに通知。それと同時にプライバシースクリーンをかけ、背後からの画面を見づらくできる。ユーザーは安心して作業が可能だ。
「ノートPC自体がユーザーに代わって周囲を監視し、『のぞき見』を防止。加えてユーザー自身の視線も検知し、画面から視線を離すと画面を自動で暗くします。さらにPCから離れると、画面をロックします。情報保護とバッテリー節約の両方を実現できます」(白木氏)
ノートPC自体がセンシング機能で周辺を監視し、のぞき見を防止してくれる
リモートワークで使うノートPCでは、バッテリーの劣化も課題となる。Dell Optimizerは、バッテリー利用状態を監視し充電状態をコントロールすることが可能だ。「常に電源に接続して利用しているときは、過充電とならないように制御します。頻繁に外出して利用しているときはバッテリーを急速充電します。利便性とバッテリーの劣化予防を両立する最適な制御が可能です」(白木氏)。さらには卓越したバッテリー持続時間をもたらすインテル® Core™ Ultra プロセッサーを採用しているため、充電できない場所でも長く作業を続けられることも付記しておきたい。こうした機能の相乗効果で、バッテリー切れの心配から解放されるだろう。
Web会議は効率的なコミュニケーションだが、課題となるのは音声だ。会話がクリアに聞こえないことはフラストレーションの原因にもなる。「Dell Optimizerは周囲の雑音をAIが検出し、自分と相手、双方向の雑音を消去します。キーボードを叩く音も聞こえなくなります。外出先でもクリアな会議ができ、意見交換もスムーズに進みます」(白木氏)。
働き方の多様化が進む中で、PC自身がユーザーをサポートするDell Optimizerも進化していく。ハードとソフト両面の最新技術により、デル・テクノロジーズの「AI PC」は、働く一人ひとりの可能性を広げる。白木氏は、ハイブリッドワーク時代のノートPCでは、パスワードレスが重要なポイントになると付け加える。
「カフェや新幹線、シェアオフィスなど人目につく環境でパスワードを入力する場合、第三者に見られたり、スマホで録画されたりとリスクを伴います。これを回避するためには、パスワードを入力しないオペレーションが求められます。Windows Helloを利用することで、顏認証、指紋認証といった生体認証によりWindowsにログインできます。デル・テクノロジーズの先進ノートPCでは、顏認証と指紋認証の両方を搭載(カスタマイズで対応)。マスク着用時には指紋認証でログインなど、TPOで生体認証を使い分けることができます」
ビジネス向け「AI PC」ではセキュリティーと
運用管理の視点が大切
インテルのPC向けブランドとして多くの人が思い浮かべるのは、「インテル® Core™プロセッサー」だろう。Core™はCPUブランド。最新世代はCore™ Ultraだ。ビジネス向けにはもう1つ重要なブランドがある。PCの管理機能や高度なハードウェアセキュリティなどを提供するプラットフォームのブランド「インテル® vPro® プラットフォーム」は、情報システム部門からの評価も高い。「インテル® Core™ Ultraプロセッサー搭載 インテル® vPro® プラットフォーム」は、「AI PC」のビジネス適用を加速する。
サイバー攻撃の高度化・拡大が進む中、社外のデバイスをいかに守るか。「インテル® Core™ Ultraプロセッサー搭載 インテル® vPro® プラットフォーム」を活用することで、「AI PC」自体のセキュリティー強化が図れる。ポイントは、アンチウイルスソフトなどでは検知できない領域となるOSやファームウェアを、脅威から防御できるという点だ。
- ・OS上層はインテル® スレット・ディテクション・テクノロジーによりハードウェア・レベルで監視し高度な攻撃を検出。従来のインテル® vPro® プラットフォームには、ウイルススキャン時のCPU負荷をGPUにオフロードできる機能がある。今回、電力効率の高いNPUへもオフロード可能となったことで、ウイルススキャンに伴う消費電力への影響を最小化。
- ・OS層はWidows 11 Proと連携し、シリコン(CPUやチップセット)で対応するセキュリティーを強化。
- ・OS下層は、ファームウェア認証専用チップのインテル® セキュリティ・エンジンにより、PC起動時にファームウェアの改ざんがないかをシリコンベースで確認。「インテル® Core™ Ultraプロセッサー搭載 インテル®vPro ® プラットフォーム」対応の「AI PC」なら、リモートワークや在宅勤務でも生成AIをより安全安心に利用できる。
セキュリティーに加え、運用管理面で役立つ機能も豊富だ。本体電源がオフでも制御や監視ができるインテル® AMT(アクティブ・マネジメント・テクノロジー)の機能を、社外のデバイスに対しても利用可能にするインテル® EMA(エンドポイント・マネジメント・アシスタント)を活用することで、社内外を問わずハイブリッドワーク環境におけるPCのリモート一元管理を実現。PCの管理強化とともに、管理者の業務効率化、負荷軽減が図れる。
ビジネスにおける「AI PC」の可能性は、利用者の数だけ広がる。生成AIのメリットを享受するためには、パフォーマンス、作業環境とともに、利用シーンや用途に合わせて最適な製品を選ぶことが重要だ。
デル・テクノロジーズの「AI PC」は
選べるラインナップも豊富
デル・テクノロジーズのノートPC「Latitude(5000/7000/9000シリーズ)」は、「AI PC」として「1.Copilotキー、2. インテル® Core™ Ultraプロセッサー、3.Dell Optimizer」という、3つのポイントを満たす。2024年春モデルは、ビジネスシーンに合わせて選べる豊富なラインアップを用意している。
TeamsやZoomで会議を行う際、通信環境の快適化、雑音防止のためマイクやカメラのミュート・解除などを細かく操作することもある。これを手元のタッチパネルで行えるのが、コラボレーションタッチパッドだ。「従来、トップエンドの9000シリーズでのみ提供していたのですが、7000シリーズへも適用を拡大しました。アイコンはTeamsやZoomと連動し、Web会議中にアクティブになり、終了時には消えるようになっています」(白木氏)。
TeamsやZoomと連動し、必要な時に手元のタッチパネルでマイクやカメラのミュート・解除などを行える
Latitude9000シリーズ、そしてタブレットPCとPCの利点をバランスよく実現したLatitude 7350 Detachableでは、HDR(ハイダイナミックレンジ)対応のカメラ選択が可能になった。「逆光の状態でライブ配信する場合、顏や商品などが暗くなり、相手からの印象が悪くなるおそれがあります。これを自動的に補正してくれるのがHDRです」(白木氏)。またLatitude 7350は、ノートブックモードにするとパフォーマンス重視の、タブレットモードに切り替えると静粛性重視の使い方ができる。さらにLatitude 7350 Ultralightは、989gの超軽量で携帯性に優れた「AI PC」だ。
ノートPCの周辺機器にもAIが搭載されている。デル・テクノロジーズのヘッドセットは装着するだけで、まるでミーティングルームにいるかのような静粛性を発揮する。「2つ機能があります。1つは自分に聞こえてくる周囲の騒音を遮断し、集中して会議ができるアクティブノイズキャンセル(ANC)。もう1つは、周囲の雑音が通話の相手に聞こえないAIノイズキャンセルマイクです。カフェなどでWeb会議をするとマイクを通じて周囲の声が相手に届いてしまい、き取りづらくなります。人の声だけでなく電車の音なども消してくれます」(白木氏)。
2023年11月、「Copilot for Microsoft 365」法人向け一般提供がスタート。Teams会議の要約、WordやPowerPoint資料の要約など、使い慣れたMicrosoft 365のOfficeアプリで生成AIを使うことにより、ユーザー自身の能力が拡張していく。Copilot + 「インテル® Core™ Ultraプロセッサー搭載 インテル® vPro®プラットフォーム」+ デル・テクノロジーズによる「AI PC」で、ハイブリッドワークをアップデート。未来の働き方を「今」手に入れよう。