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“スマートで安全”を目指し進化するクルマ 次世代車の普及を半導体で支えるTIの技術力 - 日経クロステック Special

“スマートで安全あんぜん”を目指めざ進化しんかするクルマ 次世代じせだいしゃ普及ふきゅう半導体はんどうたいささえるTIの技術ぎじゅつりょく

社会しゃかい利便りべんせい向上こうじょう地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさくなど、社会しゃかい課題かだい解決かいけつ目指めざ自動車じどうしゃ業界ぎょうかい一大いちだいトレンド「CASE(Connected,Autonomous,Shared&Services,Electric)」。より便利べんり安全あんぜん環境かんきょうにやさしい存在そんざいへと自動車じどうしゃ進化しんかさせ、社会しゃかいもとめる変革へんかくこすためには、おおくのユーザーが幅広はばひろ車種しゃしゅからCASEの効果こうか実感じっかんできるようにしたい。次世代じせだいしゃ実現じつげん普及ふきゅうささえる多様たよう車載しゃさい半導体はんどうたいソリューションを提供ていきょうするテキサス・インスツルメンツ(TI)が、2024ねん5がつ22にち~24にち開催かいさいされた「ひととくるまのテクノロジーてん 2024 YOKOHAMA」(以後いごひととくるまてん)で最新さいしんのソリューションを披露ひろうした。
「人とくるまのテクノロジー展2024 YOKOHAMA」に出展した日本TIのブース

ひととくるまのテクノロジーてん2024 YOKOHAMA」に出展しゅってんした日本にっぽんTIのブース

 これまでの次世代じせだいしゃ開発かいはつでは、先進せんしんてきビジョンをかかげ、その達成たっせいいそ傾向けいこうがあった。自動じどうでは完全かんぜん自動じどう運転うんてんしゃ普及ふきゅうもとめ、電動でんどうではバッテリー電気でんき自動車じどうしゃ(BEV)の生産せいさん理想りそうとしていた。

 ただ、こうした機能きのう搭載とうさいできるのが高級こうきゅうしゃだけでは、CO2排出はいしゅつりょう低減ていげん交通こうつう事故じこ削減さくげんといった次世代じせだいしゃ開発かいはつ社会しゃかいてき目的もくてきたすのはむずかしい。おおくのユーザーが利用りようする多様たよう車種しゃしゅにおいて、現実げんじつてき社会しゃかいてき意義いぎおおきいしん技術ぎじゅつ早期そうき導入どうにゅうもとめられている。

 時代じだい社会しゃかい要請ようせいこたえるべく、より安全あんぜんでスマートな次世代じせだいしゃ実現じつげん普及ふきゅう後押あとおしする半導体はんどうたいメーカーの1しゃがTIだ。先進せんしんせい追求ついきゅうするだけでなく、次世代じせだいしゃ多様たようなありかたにきめこまかく対応たいおうする豊富ほうふなソリューションを提供ていきょうしている。

先進せんしん運転うんてん支援しえんシステムを普及ふきゅうしゃにも展開てんかい

 幅広はばひろ車種しゃしゅ搭載とうさいされるようになった先進せんしん運転うんてん支援しえんシステム(Advanced Driver-Assistance Systems:ADAS)。事故じこ未然みぜん防止ぼうしする予防よぼう安全あんぜんひろめるため、各国かっこく政府せいふ規制きせい当局とうきょく業界ぎょうかい団体だんたいは、対象たいしょう車種しゃしゅわずADASの搭載とうさい義務付ぎむづける方針ほうしんである。

 こうした事情じじょう背景はいけい日本にっぽんTIは「ひととくるまてん」で、高級こうきゅうしゃからミドルクラスけ、さらにはていコストで必要ひつよう十分じゅうぶん予防よぼう安全あんぜん機能きのう実装じっそうする普及ふきゅうしゃけまで、多様たようなADASソリューションを披露ひろうした。主要しゅよう機能きのう処理しょりするプロセッサーのアーキテクチャーを「Arm®」に統一とういつ開発かいはつ資産しさん有効ゆうこう利用りよううながし、よりおおくの車種しゃしゅへの展開てんかい後押あとおししている。

 高級こうきゅうしゃけとしては、韓国かんこくStradVisionしゃ共同きょうどう開発かいはつした自動じどう駐車ちゅうしゃ運転うんてんなどの機能きのうそなえるADASソリューションを展示てんじした。フロントカメラと車両しゃりょう前後ぜんご左右さゆう配置はいちした4だいさかなカメラで収集しゅうしゅうした200まん画素がそ映像えいぞうデータ5つを、TIせいSoC(System on a Chip)「TDA4VH-Q1」1つでディープラーニング(DL)技術ぎじゅつ使つかって解析かいせきし、ADASとレベル2+以上いじょう自動じどう運転うんてんシステムを実現じつげんする。「TDA4VH-Q1」にはDLようアクセラレーター「C7xDSP」を4つ搭載とうさいしている。

「TDA4VH-Q1」SoCを搭載したADASソリューション。単一の「TDA4VH-Q1」を使用し、駐車と運転の双方に対応できるよう最適化している

「TDA4VH-Q1」SoCを搭載とうさいしたADASソリューション。単一たんいつの「TDA4VH-Q1」を使用しようし、駐車ちゅうしゃ運転うんてん双方そうほう対応たいおうできるよう最適さいてきしている

 ミドルクラスけとしては、カナダLeddarTech®しゃ共同きょうどう開発かいはつしたADASソリューションを披露ひろうした。センサーフュージョンのアルゴリズムを、「C7xDSP」を1つ搭載とうさいしたSoC「TDA4VM-Q1」に最適さいてきした。ミリレーダー2だいとフロントカメラ1だいからたデータをもとに、悪天候あくてんこうでも精度せいどとさず周囲しゅうい検知けんちできる。

Leddartech®と共同開発したADASソリューションは遮蔽された物体に対する検出性能を備える

Leddartech®と共同きょうどう開発かいはつしたADASソリューションは遮蔽しゃへいされた物体ぶったいたいする検出けんしゅつ性能せいのうそなえる

 普及ふきゅうしゃけには、べいPhantom AIしゃ共同きょうどう開発かいはつしたソリューションを用意ようい。200まん画素がそのフロントカメラ1だいで、予防よぼう安全あんぜん機能きのう実現じつげんする。2TOPS(Tera Operations per Second)の演算えんざん性能せいのうつDLアクセラレーター「C7x256v」を搭載とうさいしたSoC「AM62A7-Q1」で、自動車じどうしゃ安全あんぜん性能せいのう評価ひょうかであるNCAP(New Car Assessment Program)の基準きじゅんたすシステムを構成こうせいする。

 くるま室内しつない状況じょうきょう検知けんちするソリューションも展示てんじした。AI(人工じんこう知能ちのう)による目線めせん検知けんち技術ぎじゅつ保有ほゆうする、スウェーデンSmart Eyeしゃ共同きょうどう開発かいはつした車内しゃないモニタリング・ソリューションは、ドライバーの注意ちゅうい散漫さんまん眠気ねむけ検知けんちして警告けいこくはっする機能きのう実装じっそうどもの検知けんちシステムけに、遮蔽しゃへいぶつとおしてどものうごきを検知けんちするミリセンサーをもちいたソリューションも披露ひろうした。

AM62Aプロセッサーを搭載した、ドライバーおよび車内モニタリングシステム。ドライバーの状態と車内のアクティビティを同時に監視できる

AM62Aプロセッサーを搭載とうさいした、ドライバーおよび車内しゃないモニタリングシステム。ドライバーの状態じょうたい車内しゃないのアクティビティを同時どうじかんできる

ソフトウエアをワンストップで支援しえん

 自動車じどうしゃ業界ぎょうかい注目ちゅうもくたかまっているのが、市場いちば投入とうにゅうしたのち機能きのう追加ついか更新こうしんできる「ソフトウエア定義ていぎ車両しゃりょう(Software Defined Vehicle:SDV)」である。このSDVを実現じつげんするために、電気でんき電子でんしシステムを「ゾーンアーキテクチャー」へと刷新さっしんするうごきがすすんでいる。

 ゾーンがたでは、これまで自動車じどうしゃ各所かくしょ設置せっちしたマイクロコンピュータ(マイコン)で分散ぶんさん処理しょりしていた多様たよう制御せいぎょ機能きのうを、中央ちゅうおう高性能こうせいのうコンピュータや要所ようしょ配置はいちしたゾーンコントローラーに集中しゅうちゅうさせる。それぞれを高速こうそく車載しゃさいEthernetで接続せつぞくし、機能きのうをソフトウエアで実現じつげんすることでハードウエア構成こうせい簡素かんそする。

自動車の代表的なゾーンアーキテクチャー。ゾーンアーキテクチャーでは車内の物理的な位置に基づいて ECU(Electronic Control Unit) を分類し、集中型ゲートウェイを用いて通信を管理する

自動車じどうしゃ代表だいひょうてきなゾーンアーキテクチャー。ゾーンアーキテクチャーでは車内しゃない物理ぶつりてき位置いちもとづいて ECU(Electronic Control Unit) を分類ぶんるいし、集中しゅうちゅうがたゲートウェイをもちいて通信つうしん管理かんりする

 TIは、かくOEMがおもえがくゾーンがたへの移行いこうシナリオにおうじて、円滑えんかつかつ効率こうりつ移行いこうできるスケーラブルな半導体はんどうたいソリューションを展示てんじした。

 TIでは、中央ちゅうおうのコンピュータやゲートウェイに搭載とうさいする高性能こうせいのうプロセッサー、ゾーンコントローラーけの高性能こうせいのうコントローラー、今後こんご限定げんていてきのこるエッジ制御せいぎょようマイコンまで幅広はばひろ提供ていきょうする。いずれもArm®アーキテクチャーで統一とういつしており、チップじょう動作どうさするソフトウエアを共用きょうようすることで、多様たよう車種しゃしゅ効率こうりつてき開発かいはつ可能かのうにしている。さらに「LIN」などの従来じゅうらい技術ぎじゅつから、「CAN-FD」や車載しゃさいEthernetの「10BASE-T1」などのしん技術ぎじゅつまで様々さまざま規格きかく対応たいおうするIPを保有ほゆうしており、ゾーンがた移行いこうする過渡かとでの要求ようきゅうたい柔軟じゅうなんこたえられる。

Arm®アーキテクチャーで統一された半導体ソリューション

Arm®アーキテクチャーで統一とういつされた半導体はんどうたいソリューション

GaNやSiCなどしん半導体はんどうたい材料ざいりょう積極せっきょく活用かつよう

 電動でんどう領域りょういきでは、BEVだけでなく、ハイブリッドしゃ(HEV)や燃料ねんりょう電池でんちしゃ(FCV)などの電動でんどうしゃ適材適所てきざいてきしょ投入とうにゅうしていく機運きうんたかまっている。これにともない、もとめられるパワーエレクトロニクスの仕様しよう多様たようになってきている。

 TIは、制御せいぎょようコントローラーからドライバーIC、パワースイッチまで、パワーエレクトロニクス・システムを構成こうせいする半導体はんどうたい一括いっかつ供給きょうきゅうできるメーカーとして、オンボードチャージャー(OBC)やトラクションインバーター、バッテリー管理かんりシステム(BMS)といった電動でんどう要所ようしょで、競争きょうそうりょくたかいソリューションを提供ていきょうしている。

 OBCでは高速こうそくスイッチング周波数しゅうはすう動作どうさするGaN FETを利用りようしたソリューションを用意よういし、さらなる小型こがた軽量けいりょう支援しえんする。トラクションインバーターでは、SiC FETを利用りようしたソリューションによって、一層いっそうこう効率こうりつとサイズ・重量じゅうりょう削減さくげんすすめる。BMSでは、ケーブルを削減さくげんして車両しゃりょう軽量けいりょうにするワイヤレスBMSにけて、制御せいぎょソフトウエアもふくめたソリューションを用意よういする。

 TIのパワーエレクトロニクス・ソリューションは、機能きのう単位たんい基板きばん分割ぶんかつしたモジュラー設計せっけい採用さいようしている。このため、車種しゃしゅごとのシステム要件ようけんおうじて、容易たやすかつ迅速じんそくにシステムを構成こうせいできる。

 CASEによるしん世界せかい実現じつげんするため、クルマは日々ひび進化しんかしている。その恩恵おんけいおおくのユーザーにとどけるための一翼いちよくをTIがにないそうだ。