巨人きょじん・内海うつみ哲也てつやが持もつ球界きゅうかいトップクラスの３みっつの武器ぶき (2ページ目め)

中谷なかたに仁ひとし（なかたに・じん）1979年ねん５月がつ５日にち、和歌山わかやま県けん生うまれ。甲子園こうしえんの名門めいもん、智弁和歌山ちべんわかやま高校こうこう出身しゅっしん。甲子園こうしえんには正せい捕手ほしゅとして３度ど出場しゅつじょうし、２年生ねんせいだった 1996年ねんセンバツ大会たいかいでは準じゅん優勝ゆうしょう。３年生ねんせいの1997年ねん夏なつの甲子園こうしえんでは主将しゅしょうとして全国ぜんこく制覇せいはを成なし遂とげる。同年どうねんのドラフト１位いで阪神はんしんに入団にゅうだん。その後ご、 2005年ねんオフに金銭きんせんトレードで楽天らくてんへ移籍いせき。2012年ねんからは巨人きょじんに移籍いせき。その年としを最後さいごに引退いんたいし、巨人きょじんブルペン捕手ほしゅとしてリーグ優勝ゆうしょうに貢献こうけん。2013年ねんの WBC日本にっぽん代表だいひょうでもブルペン捕手ほしゅとしてチームに帯同たいどうした。現在げんざいは大阪おおさかの野球やきゅう教室きょうしつ「上達じょうたつ屋や」でプロ野球やきゅう選手せんしゅから子こどもたちまで幅広はばひろく指導しどうを行おこなっている。

　次つぎに内海うちうみのピッチングについての話はなしをしたいと思おもいます。彼かれの生命せいめい線せんはタテに曲まがる変化球へんかきゅうです。一見いっけん、カーブにも見みえるのですが、実じつはスライダーなんです。内海うちうみ曰いわく「スライダーは鋭するどく曲まがり、ミスが少すくない球たま種しゅ」ということで、大事だいじにしているウイニングショットなのです。

　昔むかしから、左腕さわんでいいタテの変化球へんかきゅうを持もっている投手とうしゅは大成たいせいすると言いわれてきました。400勝しょう投手とうしゅの金田かねだ正一しょういちさんや、西武せいぶ、ダイエー（現げん・ソフトバンク）、巨人きょじんなどで活躍かつやくした工藤くどう公こう康やすしさん、スローカーブの使つかい手てだった星野ほしの伸之のぶゆきさん（元もとオリックス、阪神はんしんなど）などがそうです。スライダーにしても、カーブにしても、なぜ左ひだり投手とうしゅのタテの変化球へんかきゅうが有効ゆうこうかといえば、この種たねのボールは左ひだり打者だしゃを抑おさえられるからなんです。

　左ひだり打者だしゃはわかっていてもなかなか打うてない。たとえば、右みぎ投手とうしゅ対たい右みぎ打者だしゃで同おなじようなカーブを投なげられても、そう苦くにする人ひとはいないと思おもいます。それはなぜか？　考かんがえられるのは、野球やきゅうというスポーツは、打者だしゃは打うつと一塁いちるいへ走はしりますよね。つまり、打者だしゃは本能ほんのう的てきに一塁いちるいへ動うごこうとするのですが、左ひだり打者だしゃの場合ばあい、その球たま種しゅは逃にげていく軌道きどうになってしまうので打うちづらいのです。これまで２度ど、最多さいた勝しょうに輝かがやいている内海うちうみですが、このボールを自在じざいに操あやつれることが大おおきかったと思おもいます。

　それに内海うちうみのスライダーは、ほとんどが低ひくめに制球せいきゅうされる。よくピッチャーは低ひくめに投なげろと言いわれますが、なぜ低ひくめがいいのかを少すこし説明せつめいさせていただきます。ピッチャーが変化球へんかきゅうを投なげるひとつの理由りゆうに、タイミングを外はずすというものがあります。バッターにしてみれば、タイミングを外はずされた上うえに低ひくめに投なげられると、コンタクトしにくくなる。これが高たかめに行いってしまうと、バッターはタイミングを外はずされてもバットを操作そうさしやすく、ミートするのもそれほど困難こんなんではない。それに変化球へんかきゅうは、基本きほん的てきにストライクゾーンからボールゾーンに行いく軌道きどうが理想りそう的てきです。その方ほうが空振からぶりを取とりやすいですし、ミートされる確かく率りつも低ひくくなる。こうした投球とうきゅうができるのも、内海うつみの優すぐれている点てんといえます。