縄文じょうもん人じんさん、「竪穴たてあな住居じゅうきょ」でどんな暮くらしを送おくっていたんですか？

縄文じょうもんガールは「使つかいやすい複式ふくしき炉ろ」がお好すき

ある日ひ、面白おもしろいフリーペーパーを見みつけた。その名なも『縄文じょうもんZINE』。縄文じょうもん時代じだいのあれやこれやをさまざまな角度かくどから取とり上あげている。しかも、デザインワークから記事きじの切きり口くちまで何なにしろポップなのだ。

この編集へんしゅう長ちょうなら竪穴たてあな住居じゅうきょでの暮くらしについて何なにか知しっているに違ちがいない。

最新さいしん号ごうの表紙ひょうしはラップユニットの「ENJOY MUSIC CLUB」（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「（架空かくうの）縄文じょうもん人じん同士どうしのガールズトーク」という記事きじでは「『一緒いっしょに貝塚かいづかをつくろう』と言いわれたらグッときちゃうかな」「集落しゅうらくのいちばん日当ひあたりのいい場所ばしょにふたりだけの可愛かわいい竪穴たてあな住居じゅうきょをつくって」などの発言はつげんが飛とび出だす。

「炉ろは使つかいやすい複式ふくしき炉ろ」がいいそうです（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

このイカしたフリーペーパーをつくっているのは、株式会社かぶしきがいしゃニルソンデザイン事務所じむしょ代表だいひょうの望月もちづき昭秀あきひでさん（48歳さい）。縄文じょうもん関連かんれんの書籍しょせきも何なん冊さつか出版しゅっぱんしている。

手てにしているのは最新さいしん刊かんの『縄文じょうもん人じんに相談そうだんだ』（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

望月もちづきさん、なんでまた縄文じょうもん時代じだいなんですか？

「僕ぼくは静岡しずおか県けん生うまれで、子こどものころから近ちかくの登呂とろ遺跡いせきを自転車じてんしゃで見みに行いったりしていて。当時とうじから遺跡いせきは身近みぢかな存在そんざいだったんです。決定的けっていてきだったのは、10年ねんぐらい前まえに長野ながのをドライブしている途中とちゅうでふらっと入はいった尖とんが石いし縄文じょうもん考古こうこ館かん。そこで、縄文じょうもんの土器どきや土偶どぐうが持もつ造形ぞうけいの面白おもしろさを再さい認識にんしきしました」

「竪穴たてあな住居じゅうきょを復元ふくげんしている人ひとをご紹介しょうかいしましょうか？」

すっかり縄文じょうもんにハマった望月もちづきさんは、2015年ねんから『縄文じょうもんZINE』をつくり始はじめる。現在げんざい、11号ごう目めを配布はいふ中ちゅうだ（不定期ふていき刊行かんこう）。

公式こうしきサイトでは縄文じょうもんグッズも販売はんばいしている（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

そうそう、今回こんかいは縄文じょうもん時代じだいの家いえについて聞ききに来きたのだ。いわゆる、竪穴たてあな住居じゅうきょですよね。

「竪穴たてあな住居じゅうきょの屋根やねは茅ちがや葺のイメージでしたが、最近さいきんの研究けんきゅうでは土盛どもりが多おおかったという説せつが有力ゆうりょくになりました。当時とうじの庶民しょみんの生活せいかつって記録きろくが残のこっていないから、分わからないことだらけなんですよ」

残念ざんねんながら、『縄文じょうもんZINE』では竪穴たてあな住居じゅうきょの特集とくしゅうを組くんだことがないという。しかし、ここから意外いがいな展開てんかいが待まっていた。

「山梨やまなし県けんで竪穴たてあな住居じゅうきょを復元ふくげんしている人ひとがいるので、ご紹介しょうかいしましょうか？ 何なん度どか現場げんばを見学けんがくしましたが、山やまを背景はいけいに炊事すいじの煙けむりが上あがっていたりして、かなりいい雰囲気ふんいきですよ」

おおお、21世紀せいきの縄文じょうもん人じんだ。よろしくお願ねがいします。

縄文じょうもん時代じだい中期ちゅうきの環状かんじょう集落しゅうらく跡あと「梅之木うめのき遺跡いせき」

12月上旬じょうじゅん、新宿しんじゅく駅えきから特急とっきゅうあずさに乗のり込こんだ。約やく1時じ間あいだ半はんで山梨やまなし県けんの韮崎にらさき駅えきに到着とうちゃく。

山やまから吹ふき降おろす風かぜが冷つめたい（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

ここから車くるまで20分ふんほどの場所ばしょに目指めざす「梅之木うめのき遺跡いせき」がある。

約やく5000年ねん前まえ、縄文じょうもん時代じだい中期ちゅうきの環状かんじょう集落しゅうらく跡あとで北きた杜もり市しが管理かんり運営うんえいしている（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

標高ひょうこうは約やく800m。気温きおんはさらに下さがった。敷地しきち内ないは公園こうえんとして整備せいびされ、自由じゆうに見学けんがくできる。正面しょうめんには標高ひょうこう3000mに迫せまる甲斐かい駒ヶ岳こまがだけを含ふくむ南みなみアルプスの連山れんざんを望のぞむ。

斜面しゃめんに点在てんざいしているあれが竪穴たてあな住居じゅうきょ？（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

肌寒はだざむいが冬ふゆの日差ひざしは柔やわらかい。聞きこえるのはとカラスの鳴なき声ごえのみ。のどかだ。まさしく縄文じょうもん日和びよりではないか。

北きた杜もり市しが立たち上あげた竪穴たてあな住居じゅうきょ復元ふくげんプロジェクト

縄文じょうもん人じんはすぐに見みつかった。

満まんを持もたしてご登場とうじょう（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

こちらは東京とうきょう・杉並すぎなみ区くで造園ぞうえん業ぎょうの「熊くま造園ぞうえん」を営いとなむ黒田くろだ将行まさゆきさん（44歳さい）。現代げんだい美術びじゅつ作家さっかという別べつの顔かおも持もつ。

ちなみに、いかにも縄文じょうもんスタイルのコートは猟師りょうしが獲えった鹿しかの皮かわを黒田くろださんがなめして毛皮けがわにしたものだ。

2016年ねん、北きた杜もり市しは梅之木うめのき遺跡いせき内ないの竪穴たてあな住居じゅうきょを復元ふくげんするプロジェクトを立たち上あげた。復元ふくげんにあたっての条件じょうけんは、できるだけ縄文じょうもんの道具どうぐと資材しざいだけで建たてること。そこで白羽しらはの矢やが立たったのが、造園ぞうえん技術ぎじゅつに長たけていて木きと石いしを使つかった立体りったい物ぶつの制作せいさくも得意とくいな黒田くろださんだ。

挨拶あいさつもそこそこに、まずはガイダンス館かんを案内あんないしてもらった。

遺跡いせきの解説かいせつパネルや遺跡いせき出土しゅつど品ひんが展示てんじされている（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

1万まん年ねん以上いじょう続つづいたとされる縄文じょうもん時代じだい。この遺跡いせきでも長期ちょうきにわたって人々ひとびとが生活せいかつしたのだろう。

「いえ、じつはここで人ひとが暮くらしたのは500年間ねんかんぐらい。150軒けんほどの住居じゅうきょ跡あとが見みつかっていますが、縄文じょうもん時代じだい中期ちゅうきに地球ちきゅう規模きぼの気候きこう変動へんどうが起おこったことで、ちょっと先さきにあるエリアに移動いどうしたようです」

カナダの先住民せんじゅうみんが残のこした竪穴たてあな住居じゅうきょの廃屋はいおくに注目ちゅうもく

竪穴たてあな住居じゅうきょの中なかからは土器どきや石器せっきも出土しゅつどした。

調理ちょうりのための深ふか鉢はち型がた土器どきや伐採ばっさい用ようの石斧せきふなど（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

出土しゅつど品ひんの中なかでも最もっとも貴重きちょうなのは香炉こうろ型がた土器どきだという。

縄文じょうもん時代じだい特有とくゆうの文様もんようで装飾そうしょくが施ほどこされた香炉こうろ型がた土器どき（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「焦こげた跡あとがあることから、燭台しょくだいとして使つかっていたんじゃないかと言いわれています。ロウのように加工かこうした鹿しかの油あぶらとかを入いれてから、真まん中なかのふちに縄なわを通とおして火ひを灯ともしていたんだと思おもいます」

なお、竪穴たてあな住居じゅうきょの復元ふくげんにあたってはカナダ・ブリティッシュコロンビア州しゅうの先住民せんじゅうみんが残のこした竪穴たてあな住居じゅうきょの廃屋はいおくに注目ちゅうもくした。日本にっぽんとほぼ同おなじ緯度いどに位置いちし、狩猟しゅりょう・採集さいしゅうで暮くらしていた彼かれらの住居じゅうきょは、縄文じょうもん人じんの住居じゅうきょを考かんがえる際さいに参考さんこうになるのだ。

ちょっと広ひろめのワンルームといった風情ふぜい

黒田くろださんはこれらの情報じょうほうをもとに現代げんだい版ばんの設計せっけい図ずを作成さくせいした。

円錐えんすい形がたの土ど屋根やねで、排煙はいえん・採光さいこう用ようの天窓てんまどを設もうけるのが特徴とくちょう（写真しゃしん提供ていきょう／黒田くろだ将行まさゆき）

東京とうきょうで造園ぞうえん業ぎょうの仕事しごとをしながら、週末しゅうまつは梅之木うめのき遺跡いせきに通かよう生活せいかつが1年ねん半はん続つづいた。何なにしろ、住居じゅうきょを建たてるための縄なわや石斧せきふをつくるところから始はじめたのだ。数々かずかずの苦労くろうを経へて竪穴たてあな住居じゅうきょは完成かんせいした。

さて、室内しつないを拝見はいけんしよう。

予想よそう以上いじょうに広ひろかった（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「30平米へいべいぐらいですね。中央ちゅうおうの炉ろの灰はいの中なかに土器どきを立たてます。ここで料理りょうりをしたりお茶ちゃを飲のんだりしていたと思おもわれます。周囲しゅういの段差だんさはいわゆる収納しゅうのうスペースです」

床ゆかは土どに石灰せっかいとにがりを混まぜて固がためたもの。

排煙はいえん・採光さいこう用ようの天窓てんまどもちゃんとある（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

木きと木きをつなぎ止とめるのは藤ふじの蔓づるでつくった縄なわだ（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

玄関げんかん、キッチン、収納しゅうのう、天窓てんまど。ちょっと広ひろめのワンルームといった風情ふぜいだ。ところで黒田くろださん、肝心かんじんのベッドはどこですか？

「あくまでも推測すいそくですが、枝えだや丸太まるたを横よこに渡わたして、その上うえに寝ねていたんじゃないでしょうか。それだけだと背中せなかが痛いたくて無理むりでしたが、さらに草くさやゴザを敷しいたら寝心地ねごこちは結構けっこうよかったです」

体からだを張はって試行錯誤しこうさくご中ちゅうです（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

収納しゅうのうスペースには手てづくりの石斧せきふがあった。

握にぎりやすいようにグリップを削けずっている（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「明日あした、ジビエを食たべながら土器どきを焼やくイベントがあるんですよ。だから、今日きょうは薪たきぎをたくさん割わっとかないと。やってみます？」

案内あんないされたのは資材しざいや道具どうぐ類るいを保管ほかんしている「事務所じむしょ」。

竪穴たてあなを掘ほらない“平地ひらち式しき”タイプ（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「薪たきぎはこの辺あたりから伐きり出だしてくるコナラ、カエデ、クヌギなどです」

一発いっぱつで仕留しとめる黒田くろださん（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

なお、石斧せきふでは時間じかんがかかりすぎるため、イベント用ようの薪割まきわりはさすがに文明ぶんめいの利器りきに頼たよるそうだ。

へっぴり腰ごしながら僕ぼくも何なん度目どめかで成功せいこう（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

樹皮じゅひを土どで覆おおう屋根やねで断熱だんねつ性せいアップ

現在げんざい、遺跡いせき内ないには計けい4棟むねの竪穴たてあな住居じゅうきょがある。順番じゅんばんに見みせてもらった。まずは、2棟むね目め（1棟むね目めはタイトル画像がぞうのもの）。

こちらも1棟むね目めと同様どうよう、樹皮じゅひを敷しいた上うえにこれから土どを被かぶせて土ど屋根やねにする（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

3棟むね目めの屋根やねは樹皮じゅひの上うえから土どで覆おおう構造こうぞう。

これによって断熱だんねつ効果こうかが高たかまるそうだ（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

入口いりくちの高たかさの感覚かんかくが分わからず、頭あたまをぶつけるのでのれんを下さげた（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

縄文じょうもん人じんは我々われわれと比くらべて身長しんちょうもずいぶん低ひくかったのだ。

4棟むね目めは現在げんざい建築けんちく中ちゅう。初期しょきの骨組ほねぐみがよく分わかる。柱はしらの根元ねもとを焦こがすのは腐食ふしょく防止ぼうしのためだという。

奥おくに見みえるのは子こどもたち用ようの竪穴たてあな住居じゅうきょ製作せいさく体験たいけんキット（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

きれいなサークル状じょうの敷石しきいしはサウナ跡あと？

敷地しきち内ないには国くに指定してい天然記念物てんねんきねんぶつの「山高やまたか神代かみよザクラ」の子孫しそん樹じゅもあった。春はるになると花はなを付つける。

樹齢じゅれい2000年ねんの古木ふるきの種子しゅしから育そだてた1本ほん（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

地球ちきゅうを4100周しゅうして還かえってきた種子しゅし（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

同おなじ囲がこいの中なかでは「ツルマメ生育せいいく実験じっけん」も行おこなわれていた。植物しょくぶつ性せいタンパク質たんぱくしつが豊富ほうふなツルマメはダイズの原種げんしゅで、縄文じょうもん時代じだいから食用しょくようとして利用りようされていた。ここでは、その利用りようの実態じったいを解明かいめいするために育そだてられている。

最後さいごに、遺跡いせきのすぐ下かの小川おがわに連つれて行いってくれた。「面白おもしろいものがあるんですよ」と黒田くろださん。

きれいなサークル状じょうの敷石しきいしを復元ふくげんしたもの（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

小川おがわの脇わきでも縄文じょうもん人じんが使つかっていたと思おもわれる遺跡いせきがいくつか発見はっけんされた。このサークル状じょうの敷石しきいしもそのひとつだ。

「ここで何なにが行おこなわれていたかは分わからないんです。儀式ぎしきや出産しゅっさんのための場所ばしょとも言いわれていますが、個人こじん的てきな妄想もうそうとしてはサウナだったらいいなあと（笑）。下したが土どだと汗あせをかいてドロドロになるので石いしを敷しいた。このスペースで火ひを焚たくとかなり熱あついでしょ。限界げんかいがきたら下したの小川おがわの水みずで体からだを冷ひやす。縄文じょうもん時代じだいの交互こうご浴よくですよ（笑）」

火ひが点つく日ひと点つかない日ひは半々はんはんぐらい

縄文じょうもんツアーもいよいよクライマックス。そう、ラストを飾かざるのは竪穴たてあな住居じゅうきょ内ないでの焚たき火びだ。黒田くろださんが説明せつめいする。

「着火ちゃっか剤ざいはよく揉もんだよもぎの葉はっぱと麻あさ縄なわ。あとは、全力ぜんりょくで棒ぼうを回転かいてんさせます」

しかし、苦戦くせんする黒田くろださん（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

「バトンタッチしましょうか」の一言ひとことで、初はつの火ひ起おこし体験たいけん。

これはかなりしんどいぞ（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

15分ふんほど挑戦ちょうせんしたのちに「今日きょうはあきらめましょう。火ひが点つく日ひと点つかない日ひは半々はんはんぐらいですね。ゲストの日ひごろの行おこないに左右さゆうされます（笑）」。黒田くろださんは潔いさぎよくライターで点火てんかした。パチパチという心地ここちよい音おと、枝えだの水分すいぶんが蒸発じょうはつするジューという音おとが竪穴たてあな住居じゅうきょの中なかに響ひびく。

縄文じょうもん人じんもこうして同おなじ光景こうけいを見みていたのだろう（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

屋根やねの角度かくど「30度ど」は山やまの傾斜けいしゃとほぼ同おなじ

「竪穴たてあな住居じゅうきょをつくっているうちに分わかってきたことですが」と前置まえおきして黒田くろださんが語かたり出だす。

「『め』『き』『て』といった単音たんおん節ぶし、つまりひとつの音節おんせつだけでできた言葉ことばに縄文じょうもん語ごが潜ひそんでいるんじゃないかと思おもうんです。例たとえば住すまいは『す』で、つまりは巣す。竪穴たてあな住居じゅうきょの天井てんじょうを見上みあげると蜘蛛くもの巣すみたいでしょう」

さらに、「光ひかり（ひかり）」は「火ひ（ひ）」と「狩かり（かり）」ではないかという持論じろんも飛とび出だした。

それ、すごい発見はっけんなんじゃないですか（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

なお、今日きょう見みた竪穴たてあな住居じゅうきょの屋根やねの角度かくどは約やく30度ど。これが高たかさを確保かくほしながらも土どが崩くずれにくい最適さいてきな角度かくどなんだそうだ。

「山やまの傾斜けいしゃもだいたい30度どなんですよ。土砂どしゃが崩くずれない角度かくどが自然しぜんにできているんだと思おもいます。縄文じょうもん人じんもそういうところからヒントを得えて住居じゅうきょをつくっていたのでは」

週末しゅうまつ限定げんていの縄文じょうもん人じんとして暮くらす中なかで見みえてきた縄文じょうもん人じんの生活せいかつや価値かち観かん。今回こんかいの取材しゅざいでは、その片鱗へんりんに触ふれることができた。

炎ほのおが安定あんていしてきた（写真しゃしん撮影さつえい／石原いしはらたきび）

そういえば、望月もちづきさんからは「せっかくなので泊とまっていってはいかがですか？」と言いわれた。黒田くろださん、ぶっちゃけ泊とまれますか？

「冬ふゆの朝あさは軽かるく氷点下ひょうてんかになるし、一いち晩ばん中ちゅう火ひの番ばんをしなければいけなくなるのでやめたほうがいいですね。そもそも、施設しせつ自体じたいが17時じに閉しまってしまいます（笑）」

とはいえ、竪穴たてあな住居じゅうきょの中なかでぼんやりとたたずむだけで縄文じょうもん人じんの感覚かんかくに少すこし近付ちかづけた気きがした。