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ニセコ町に誕生の「最強断熱の集合住宅」、屋外マイナス14度でも室内エアコンなしで20度! 温室効果ガス排出量ゼロのまちづくりにも注目 | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
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連載れんさい断熱だんねつしん時代じだい
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田方たかた みき
2023ねん1がつ10日とおか ()

ニセコまち誕生たんじょうの「最強さいきょう断熱だんねつ集合しゅうごう住宅じゅうたく」、屋外おくがいマイナス14でも室内しつないエアコンなしで20温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょうゼロのまちづくりにも注目ちゅうもく

ニセコ町に誕生の「最強断熱の集合住宅」、屋外マイナス14℃でも室内エアコンなしで20℃! 温室効果ガス排出量ゼロのまちづくりにも注目
画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち)
良質りょうしつなパウダースノーがたのしめるスキーリゾートとして世界せかいてき注目ちゅうもくあつめる北海道ほっかいどうのニセコ。そのニセコエリアで、二酸化炭素にさんかたんそなどの温室おんしつ効果こうかガスの排出はいしゅつりょうをゼロにする持続じぞく可能かのうなまちづくりに、官民かんみん一体いったいとなっていどんでいるのがニセコまちだ。環境かんきょう先進せんしんこく・ドイツのエコハウスをお手本てほんに、2ねんまえ、ニセコまち郊外こうがい完成かんせいした賃貸ちんたい集合しゅうごう住宅じゅうたくと、市街地しがいち中心ちゅうしんちかくで工事こうじすすめられているあらたなまち「ニセコミライ」でのみが、そのスタート地点ちてん。なぜ、ニセコまち持続じぞく可能かのうなまちづくりの一環いっかんとして住宅じゅうたくしょうエネまちをあげて、んでいるのだろうか。ニセコミライの開発かいはつ手掛てがけるまちづくり会社かいしゃ株式会社かぶしきがいしゃニセコまちにはなしいた。

ニセコまちってどんなまち?みんながイメージするあの国際こくさいてきリゾート・ニセコひらふとはちがまち

「ニセコ」といておおくのひとがイメージするのは、おおくの外国がいこく資本しほんによる高級こうきゅうホテルやコンドミニアムがならび、国内外こくないがい富裕ふゆうそうあつまるはなやかなスキーリゾートだろう。ただし、今回こんかいげる「ニセコまち」は、そのイメージとはすこことなる。

「ニセコ」というのは羊蹄山ようていざん中心ちゅうしんに、おも倶知安くっちゃん(くっちゃん)まち、ニセコまち蘭越らんこし(らんこし)まちにまたがるエリアをし、そのうち、スキーリゾートNISEKOの中心ちゅうしん「ニセコひらふ」があるのは倶知安くっちゃんまち。ニセコまちは、倶知安くっちゃんまちとなりまちだ。国定こくてい公園こうえんニセコアンヌプリと、蝦夷えぞ富士ふじともばれる羊蹄山ようていざん(ようていざん)の裾野すその位置いちする人口じんこうやく5000にんちいさなまち。ジャガイモやアスパラガス、メロン、ゆりなどを生産せいさんする農業のうぎょうと、四季しき折々おりおりゆたか自然しぜんかした観光かんこう主要しゅよう産業さんぎょう。ニセコまちにも、スキーじょうやホテルがあり、外国がいこくからの移住いじゅうしゃおおいが、倶知安くっちゃんまちのニセコひらふ周辺しゅうへんくらべるといたしずかなまちである。

札幌市や新千歳空港からは車で約2時間。外国からの投資でにぎわうニセコリゾートの中心・倶知安町の隣にあるのがニセコ町(画像提供/ニセコまち)

札幌さっぽろしん千歳空港ちとせくうこうからはくるまやく2あいだ外国がいこくからの投資とうしでにぎわうニセコリゾートの中心ちゅうしん倶知安くっちゃんまちとなりにあるのがニセコまち画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち)

ニセコ町は羊蹄山(写真中央の山)の裾野に位置する、静かで自然豊かな町だ(画像提供/ニセコ町)

ニセコまち羊蹄山ようていざん写真しゃしん中央ちゅうおうやま)の裾野すその位置いちする、しずかで自然しぜんゆたかなまちだ(画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち

地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうしったなしのいまだい規模きぼ産業さんぎょうのないニセコまち建物たてものこう断熱だんねつ

ニセコまちは2014ねん二酸化炭素にさんかたんそ排出はいしゅつりょうを86%削減さくげんしゼロカーボンを目指めざす「環境かんきょうモデル都市とし」にくにから認定にんていされ、さらに、2018ねんには内閣ないかくから「SDGs未来みらい都市とし」に選定せんていされている。はやくから環境かんきょうへの負荷ふか低減ていげんするためのみをおこなってきた。しかし、地球ちきゅう温暖おんだん異常いじょう気象きしょう簡単かんたんおさえられるものではなく、それはスキーじょう資源しげんであるパウダースノーのしちや、農作物のうさくもつ生育せいいくおおきく影響えいきょうする。観光かんこう農業のうぎょう生計せいけいてている町民ちょうみん生活せいかつをおびやかす。実際じっさい、ニセコまちでも近年きんねんはスキーじょうゆきしつ変化へんかられるという。地球ちきゅう温暖おんだん防止ぼうしったなしの状況じょうきょうだ。

環境かんきょう負荷ふかをかけずに二酸化炭素にさんかたんそ排出はいしゅつりょう削減さくげんし、実質じっしつゼロにするには「発電はつでん産業さんぎょう運輸うんゆなど、化石かせき燃料ねんりょうをエネルギーげんとして使用しようするさい二酸化炭素にさんかたんそ発生はっせいらす」「太陽光たいようこう風力ふうりょく水力すいりょく地熱じねつ、バイオマスなどを利用りようした再生さいせい可能かのうエネルギーから電気でんきをつくり使用しようする」などの方法ほうほうがある。

「ニセコまち場合ばあい立地りっち条件じょうけんなどから風力ふうりょく発電はつでん水力すいりょく発電はつでんいていません。林業りんぎょう酪農らくのうぎょう規模きぼおおきくないため、間伐かんばつざいからつくられるチップをやすバイオマス発電はつでんや、酪農らくのうぎょうからられる家畜かちくのふん尿にょう使つかったバイオガス発電はつでんむずかしい。再生さいせい可能かのうエネルギーの活用かつようむずかしいのであれば、使用しようするエネルギーを削減さくげんすることで二酸化炭素にさんかたんそ排出はいしゅつりょうらすしかありません。しかし、ニセコまちにはエネルギー消費しょうひりょうおおきなだい規模きぼ工場こうじょう稼働かどうするような産業さんぎょうがなく、町内ちょうないでのエネルギー消費しょうひやく7わり一般いっぱん家庭かていやホテル、公共こうきょう施設しせつなど建物たてもの由来ゆらいとくに、ニセコまちふゆ最高さいこう気温きおんがマイナスのつづくため、暖房だんぼう使つかわれるエネルギーがおおきい。それをらすために、建物たてもの断熱だんねつ性能せいのうたかめるという選択せんたくにたどりいたのです」(株式会社かぶしきがいしゃニセコまち・村上むらかみあつしさん。以下いか村上むらかみさん)

建物たてもののエネルギー消費しょうひ削減さくげんしなければというニセコまちおもいは、ニセコまち役場やくば庁舎ちょうしゃにもることができる。2021ねん竣工しゅんこうしたしん庁舎ちょうしゃは、高性能こうせいのう断熱だんねつざい、アルゴンガスりトリプルガラスの木製もくせいサッシが導入どうにゅうされたちょうこう断熱だんねつ建物たてものなつすずしく、ふゆあたたかい庁舎ちょうしゃには、町民ちょうみんホールやキッズコーナー、授乳じゅにゅうしつなどがもうけられ、自然しぜん町民ちょうみんあつまる地域ちいき交流こうりゅうにもなっている。

ニセコ町役場新庁舎。LPGガスによるコージェネレーションシステム、高断熱材、高気密高断熱のトリプルサッシを導入。躯体外皮性能0.18W/平米・Kを実現し、全国の庁舎でもトップレベルの省エネ性能だ(画像提供/ニセコ町)

ニセコまち役場やくばしん庁舎ちょうしゃ。LPGガスによるコージェネレーションシステム、こう断熱だんねつざいこう気密きみつだか断熱だんねつのトリプルサッシを導入どうにゅうむくろ体外たいがいがわ性能せいのう0.18W/平米へいべい・Kを実現じつげんし、全国ぜんこく庁舎ちょうしゃでもトップレベルのしょうエネ性能せいのうだ(画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち

木の温もりが感じられるニセコ町役場。1~2階は町民窓口がある執務室や防災対策室など、3階には町民が多目的に利用できる町民ホールや、コワーキングスペースにも使えるフリースペースがある(撮影/笠井義郎)

ぬくもりがかんじられるニセコまち役場やくば。1~2かい町民ちょうみん窓口まどぐちがある執務しつむしつ防災ぼうさい対策たいさくしつなど、3かいには町民ちょうみん目的もくてき利用りようできる町民ちょうみんホールや、コワーキングスペースにも使つかえるフリースペースがある(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

窓はシラカバ材の木製サッシ。トリプルガラスが採用されている(撮影/笠井義郎)

まどはシラカバざい木製もくせいサッシ。トリプルガラスが採用さいようされている(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

ニセコまち誕生たんじょうする官民かんみんでつくるあらたなまち「ニセコミライ」。環境かんきょう住宅じゅうたく問題もんだいふだ

環境かんきょう負荷ふか低減ていげんのほか、ニセコまちかかえる慢性まんせいてき住宅じゅうたく不足ふそく対応たいおうする、SDGsの視点してんから計画けいかくされたあたらしいまちが「ニセコミライ」だ。開発かいはつ主体しゅたいとなっているのは、ニセコまち地元じもと企業きぎょう専門せんもん家集かしゅうだん出資しゅっしし、官民かんみん一体いったいげたまちづくり会社かいしゃ・ニセコまち。

「ニセコまちはもともと『まちづくりの主体しゅたい町民ちょうみんである』という住民じゅうみん自治じち理念りねん基本きほんにあるまちです。行政ぎょうせい主導しゅどうでもなく、地域ちいきがい大手おおて企業きぎょうに100%ゆだねるのでもなく、地域ちいきひと企業きぎょうみ、官民かんみん連携れんけい挑戦ちょうせんしようとしています。そのため、住民じゅうみん主体しゅたいとなってうごけるように株式会社かぶしきがいしゃニセコまちが設立せつりつされました」(村上むらかみさん)

ニセコミライがつくられるのはニセコまち役場やくばなどの公共こうきょう施設しせつ小中こなか高校こうこう幼児ようじセンター、飲食いんしょくてんなどにあるいてける場所ばしょ将来しょうらいてき計画けいかくでは、やく9haの敷地しきちに、最大さいだいで450にん程度ていどらすまちになる。

だい1こうは2022ねん10がつから案内あんない開始かいししました。低層ていそう木造もくぞう集合しゅうごう住宅じゅうたく木質もくしつマンション)で分譲ぶんじょうとう2むね賃貸ちんたいとう1むね駐車ちゅうしゃじょう予定よていし、現在げんざい造成ぞうせい工事こうじちゅう。オール電化でんか二酸化炭素にさんかたんそ極力きょくりょくさない住宅じゅうたくらしがコンセプトです。最小限さいしょうげん光熱こうねつ家中いえじゅうあたたかで、入居にゅうきょしゃ個人こじん除雪じょせつ敷地しきち管理かんり負担ふたんすくなくらしやすい住環境じゅうかんきょうととのえます。また、だい1こう敷地しきちないにはニセコミライの住民じゅうみん同士どうし周辺しゅうへん住民じゅうみんほうとの交流こうりゅうどもたちのあそなど自由じゆう使つかえる住民じゅうみん共有きょうゆう広場ひろばもうけられます」(株式会社かぶしきがいしゃニセコまち・田中たなかけんじんさん。以下いか田中たなかさん)

ニセコミライには、人口じんこう移住いじゅう希望きぼうしゃおおい、それなのに住宅じゅうたくりないというまちかかえる課題かだい解消かいしょう期待きたいされる。

「ニセコミライのターゲットはおもに、『現在げんざいいえひろすぎる、除雪じょせつ大変たいへん市街地しがいちちかくで生活せいかつをしたいなどでえをかんがえているニセコにらしているほう』『都市としからニセコにうつってきて、もっとニセコにみたいひと』『ニセコにみたいけれど、いえがない』という方々かたがたです。分譲ぶんじょう開始かいししてからは、別荘べっそうとして使用しようしたいというほうからのお問合といあわせもおおいです。しかし、ニセコミライはもともと、町民ちょうみんえや、ニセコにったらしをしたいひと移住いじゅう想定そうていしています。ですから、とくに、だい1こうひと建物たてものについては、最終さいしゅうてきにご購入こうにゅういただくほうすべてとおはなしさせていただき、これからまちづくりに積極せっきょくてきかかわることを了承りょうしょうしていただけるほう、ニセコまちのSDGsの理念りねん共感きょうかんするほう優先ゆうせんしてご案内あんないしています」(田中たなかさん)

目指めざすのは、ニセコにり、コミュニティーに参加さんかするひとらすまち。2025ねん以降いこう着工ちゃっこう予定よていだい2こう賃貸ちんたい住宅じゅうたくとエネルギーセンター、シェアハウス、アトリエ、ランドリーカフェなどを予定よてい。その着工ちゃっこうするだい3こうだい4こうはまちの需要じゅようわせた賃貸ちんたい住宅じゅうたく分譲ぶんじょうマンションが計画けいかくされている。

ニセコミライは、環境に配慮し、「冬でも暖かく快適な暮らしをしたい」という町民の希望から導き出したコンセプトを形にする新しい街区(画像提供/ニセコまち)

ニセコミライは、環境かんきょう配慮はいりょし、「ふゆでもあたたかく快適かいてきらしをしたい」という町民ちょうみん希望きぼうからみちびしたコンセプトをかたちにするあたらしいまち画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち)

2ねんまえてられた集合しゅうごう住宅じゅうたく実証じっしょう実験じっけんちゅう。これからまれるニセコミライのいえかされる

ニセコミライの集合しゅうごう住宅じゅうたくは、ニセコのきびしいふゆをどれだけ快適かいてきえられるのだろうか。2ねんまえ、ニセコまち郊外こうがいにプロトタイプとなる集合しゅうごう住宅じゅうたくてられた。施工しこうはニセコ町内ちょうない工務こうむてん担当たんとうし、専門せんもんてき技術ぎじゅつやノウハウは、ニセコまちと包括ほうかつ連携れんけい協定きょうていむすんでいる株式会社かぶしきがいしゃWELLNESTHOMEに全面ぜんめんてき協力きょうりょくあおいでいる。ニセコミライを開発かいはつするスタッフとともに、こう断熱だんねつ住宅じゅうたく先進せんしんこく・ドイツをたず先進せんしんこう断熱だんねつ住宅じゅうたくづくりをまなぶなど、地元じもと工務こうむてんにとっては技術ぎじゅつりょくたかめる機会きかいにもなっている。(現在げんざいは、ニセコ町内ちょうない会社かいしゃ従業じゅうぎょういんりょうとして使つかわれているため取材しゅざいのみ公開こうかい

ニセコまちのプロジェクトの実証実験として建てられた集合住宅(画像提供/ニセコまち)

ニセコまちのプロジェクトの実証じっしょう実験じっけんとしててられた集合しゅうごう住宅じゅうたく画像がぞう提供ていきょう/ニセコまち)

ちょうこう断熱だんねつこう気密きみつ外壁がいへきまど採用さいようしているため、冬季とうき使用しようする暖房だんぼうは、建物たてもの全体ぜんたいあたためる共用きょうよう廊下ろうかのエアコン2だい。このエアコンだけでそとがマイナス14でも、部屋へや温度おんどは19~20下回したまわることはありません。もうすこあたたかくしたい場合ばあいは、かく部屋へやについている500Wのパネルヒーターで室温しつおんげられます」(村上むらかみさん)

過酷かこく環境かんきょうが、建物たてもの耐久たいきゅうせいにどう影響えいきょうするかもになるところ。

ふゆは1かいまどした半分はんぶんくらいまでゆきうずもれてしまいます。外壁がいへきにクラック(ひび)がはいらないか、おもみで圧縮あっしゅくされてこおりになってしまうゆきそう住宅じゅうたくにどのような影響えいきょうあたえるのか、経過けいかながら、どれくらい耐久たいきゅうせいがあるかのテストをしているところです。結果けっかは、ニセコミライでてる住宅じゅうたくかしていく予定よていです」(村上むらかみさん)

共用廊下には2台のエアコンが設置されている。各住戸の玄関ドアの上に設けられた給気口から、基礎暖房として共用廊下のエアコンで温められた空気を室内に取り込む(撮影/笠井義郎)

共用きょうよう廊下ろうかには2だいのエアコンが設置せっちされている。かく住戸じゅうこ玄関げんかんドアのうえもうけられたきゅうこうから、基礎きそ暖房だんぼうとして共用きょうよう廊下ろうかのエアコンであたためられた空気くうき室内しつないむ(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

窓の下にあるのは補助暖房として付けられているパネルヒーター。寒冷地ではトイレや脱衣室で使われるサイズだ。この集合住宅では、毎月数千円の共益費に基礎暖房代、駐車場代、除雪費、共用部分の清掃費が含まれている(撮影/笠井義郎)

まどしたにあるのは補助ほじょ暖房だんぼうとしてけられているパネルヒーター。寒冷かんれいではトイレや脱衣だついしつ使つかわれるサイズだ。この集合しゅうごう住宅じゅうたくでは、毎月まいつきすうせんえん共益きょうえき基礎きそ暖房だんぼうだい駐車ちゅうしゃ場代ばだい除雪じょせつ共用きょうよう部分ぶぶん清掃せいそうふくまれている(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

外壁は厚さ10cmの柱と柱の間に、断熱材としてセルロースファイバー(蓄熱効果もあり、万が一火災で燃えても汚染物質を排出しない自然素材)が吹き込まれている。この集合住宅では、さらに防火性能の高いロックウールで外側をぐるりと囲む外断熱工法も採用し、ダブルでの断熱を実現している(撮影/笠井義郎)

外壁がいへきあつさ10cmのはしらはしらあいだに、断熱だんねつざいとしてセルロースファイバー(蓄熱ちくねつ効果こうかもあり、まんいち火災かさいえても汚染おせん物質ぶっしつ排出はいしゅつしない自然しぜん素材そざい)がまれている。この集合しゅうごう住宅じゅうたくでは、さらに防火ぼうか性能せいのうたかいロックウールで外側そとがわをぐるりとかこそと断熱だんねつ工法こうほう採用さいようし、ダブルでの断熱だんねつ実現じつげんしている(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

窓にはアルゴンガス入りのトリプルガラスを採用。スマホで光を当てると、それぞれのガラスに光が反射し、3枚のガラスが使われていることがわかる(撮影/笠井義郎)

まどにはアルゴンガスりのトリプルガラスを採用さいよう。スマホでひかりてると、それぞれのガラスにひかり反射はんしゃし、3まいのガラスが使つかわれていることがわかる(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

ニセコまちの田中健人さん(写真左)と村上敦さん(写真右)(撮影/笠井義郎)

ニセコまちの田中たなかけんじんさん(写真しゃしんひだり)と村上むらかみあつしさん(写真しゃしんみぎ)(撮影さつえい笠井かさい義郎よしお

ウッドショックで価格かかく上昇じょうしょうするなら、こう断熱だんねつ電気でんきのサブスクで住居じゅうきょおさえる

町民ちょうみん移住いじゅう希望きぼうしゃのための分譲ぶんじょう住宅じゅうたく賃貸ちんたい住宅じゅうたく計画けいかくされているニセコミライだが、ここへきてウッドショックなどの建築けんちく資材しざい高騰こうとう影響えいきょう販売はんばい価格かかく想定そうてい家賃やちん当初とうしょ予定よていよりも上昇じょうしょうせざるをない状況じょうきょう。それでも通常つうじょう住宅じゅうたく比較ひかくして入居にゅうきょしゃ経済けいざいてきメリットに可能かのうせいめているのは、建物たてものたか断熱だんねつ性能せいのう電気でんき料金りょうきんのサブスクだ。

「ニセコではふゆるための暖房だんぼう処分しょぶん所得しょとく圧迫あっぱくします。光熱こうねつらしかたなどでことなりますが、4にん家族かぞく一般いっぱんてき木造もくぞう一戸建いっこだてでつき5まん~7まんえんというケースもみみにしました。さらにこれからも、電気でんきだいなどの光熱こうねつがっていく見通みとおしです。しかし、断熱だんねつ性能せいのうたかいニセコミライの住宅じゅうたくでは、2ねんまえ完成かんせいした集合しゅうごう住宅じゅうたく結果けっかているように光熱こうねつおおきくおさえてもあたたかく快適かいてき生活せいかつすることが可能かのうです。住宅じゅうたくローンの返済へんさい毎月まいつき家賃やちんがこれまでよりも多少たしょうえたとしても、光熱こうねつ大幅おおはば削減さくげんでトータルでの住居じゅうきょおさえられるのではとかんがえています」(田中たなかさん)

さらに、検討けんとうちゅうなのが電気でんきやす時間じかんたい購入こうにゅうし、電気でんきだい定額ていがく低額ていがくおさえる電気でんき料金りょうきんのサブスクモデルだ。

「どの時間じかんたいにどの電気でんき購入こうにゅうするのかはHEMSと自動じどう制御せいぎょ導入どうにゅうして管理かんり会社かいしゃであるわたしたちニセコまちがおこないます。基本きほんはオール電化でんか住宅じゅうたく電気でんき基本きほん料金りょうきんとエアコン、エコキュートのリースだい・メンテナンスだいふくめてつき1まん6000えん定額ていがくせい計画けいかくしています」(田中たなかさん)

一定いってい範囲はんいえて使用しようしたぶんしたがえりょうせいでの課金かきん検討けんとうしているそうだが、さむ時期じきでも暖房だんぼうにせず快適かいてきごせる安心あんしんかんおおきい。

建物たてもの性能せいのうげてのしょうエネは、だつ炭素たんそ社会しゃかい実現じつげんするためのスタンダードに

建物たてもの断熱だんねつせいげるというニセコまちでのみは、地元じもと経済けいざいてきうるおう「域内いきない経済けいざい循環じゅんかん」にもつながる。たとえば『断熱だんねつによるしょうエネ』でいた光熱こうねつぶんのおかねは、ものをしたり外食がいしょくをしたりといった地元じもと周辺しゅうへん地域ちいきでの消費しょうひにつながる。地元じもと工務こうむてん断熱だんねつ施工しこう技術ぎじゅつまなび、施工しこうおこなうことで、地元じもと工務こうむてん職人しょくにん利益りえきにつながる。ニセコミライのような木造もくぞう住宅じゅうたく国産こくさんざい使用しようすれば、おかね地域ちいきすくなくとも国内こくない流通りゅうつうする。地域ちいきがいていってしまうおかね最小さいしょうするという自治体じちたい戦略せんりゃくとして汎用はんようせいがあり、とく地方ちほう都市としにとってはおおきなメリットだ。

環境かんきょう保護ほごめんだけでなく、地域ちいき経済けいざいめんでのメリットもある建物たてものこう断熱だんねつは、だつ炭素たんそ社会しゃかい目指めざ自治体じちたいにとってこれからのスタンダードになるはずだ。

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連載れんさい 断熱だんねつしん時代じだい 住宅じゅうたく性能せいのうなかでも、おおきく関心かんしんたかまっているのが「断熱だんねつ性能せいのう」。技術ぎじゅつ進化しんかによりエコ貢献こうけんがアップデートされ、健康けんこうごすために必要ひつようという認識にんしきたかまりました。断熱だんねつ重要じゅうようし、れるうごきがいま加速かそくしています。
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