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図書館のあるシェアハウス。ご近所さん、夢追い中の人、疲れた人などが多様に学び・癒やされる場所「Co-Livingはちとご」管理人・板谷さんに聞いた 茨城県水戸市 | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
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内田うちだ優子ゆうこ
2024ねん5がつ11にち (土)

図書館としょかんのあるシェアハウス。ご近所きんじょさん、ゆめちゅうひとつかれたひとなどが多様たようまなび・やされる場所ばしょ「Co-Livingはちとご」管理人かんりにん板谷いたやさんにいた 茨城いばらきけん水戸みと

学びと回復の場所~小さな図書館のある住み開きシェアハウス「Co-Livingはちとご」・茨城県水戸市
写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ
茨城いばらきけん水戸みとに、「Co-Livingはちとご」(以下いか「はちとご」)というちいさな図書館としょかん併設へいせつしたひらきシェアハウスがある。「ひらき(すみびらき)」とは、住居じゅうきょなどのプライベートな空間くうかん一部いちぶ開放かいほうし、さまざまなひとつど場所ばしょとして共有きょうゆうする活動かつどう運動うんどう、それらに使用しようされる拠点きょてんのこと。「はちとご」や、まちにひらいたコミュニティスペース「はちとご文庫ぶんこ」には、近隣きんりんひとだけでなく、遠方えんぽうからも、多様たようひとつどう。「はちとご」のなにひとせるのか。このげ、現在げんざい管理人かんりにんとして運営うんえいする板谷いたやはやぶさ(いたや はやぶさ)さんに、はなしくため現地げんちおとずれた。

部屋へや一部いちぶをまちにひらいたシェアハウス「Co-Livingはちとご」

「はちとご」誕生後、初めて住民全員が集合した日(画像提供/板谷隼さん)

「はちとご」誕生たんじょうはじめて住民じゅうみん全員ぜんいん集合しゅうごうした画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

2022年当時の「はちとご文庫」(画像提供/板谷隼さん)

2022ねん当時とうじの「はちとご文庫ぶんこ」(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

筆者ひっしゃが「はちとご」の存在そんざいったのは、とあるプラットフォームの「はちとご」にかよ大学生だいがくせい投稿とうこうだった。かれが「こころあたたまる空間くうかん」と表現ひょうげんした「はちとご」でインターネット検索けんさくをすると、かかわったひとたちがさまざまにかたっていた。長野ながの東京とうきょう拠点きょてん生活せいかつをする女性じょせい拠点きょてん活動かつどうする映像えいぞうクリエイター、「はちとご」在住ざいじゅう大学生だいがくせい……。共通きょうつうするのは、「はちとご」が、「大切たいせつ場所ばしょ」であり、「かた影響えいきょうをもたらす場所ばしょ」だったこと。

現地げんちたずねると、「はちとご」は、住宅じゅうたくなかにあった。「はちとご」をげた板谷いたやはやぶささん(以下いかはやぶささん)は、みずからシェアハウスにみながら「はちとご」を運営うんえいしている。「はちとご」がいま場所ばしょ引越ひっこしてきたのは、2023ねん12月。もともと、「はちとご」は、おな水戸みと市内しない住宅じゅうたくはじまった。そこが手狭てぜまになり、さきさがはじめ、近所きんじょのゲストハウスオーナー宮田みやた悠司ゆうじさんの紹介しょうかいで、現在げんざい物件ぶっけん出会であう。木造もくぞう2かいての一軒家いっけんやには、かつて診療しんりょうしょとして使つかわれていた建物たてもの隣接りんせつしていた。「ここも使つかえるかも!」と一目いちもくぼれしたはやぶささんだったが、「もうだれにも気持きもちはない」と大家たいかさんにことわられてしまう。そこで、大家たいかさんに「はちとご」をてもらうことで理解りかいふかめてもらい、宮田みやたさんの頑張がんばりもあって、無事ぶじ承諾しょうだくることができた。いまでは、大家たいかさんは、はやぶささんの理解りかいしゃだ。

初代「はちとご」の住居で行われた絵本と短編をテーマにした「はちとご文庫」「(画像提供/板谷隼さん)

初代しょだい「はちとご」の住居じゅうきょおこなわれた絵本えほん短編たんぺんをテーマにした「はちとご文庫ぶんこ」「(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

引越し作業では、「はちとご」住民や仲間で庭の草刈りやDIYもした(画像提供/板谷隼さん)

引越ひっこ作業さぎょうでは、「はちとご」住民じゅうみん仲間なかまにわ草刈くさかりやDIYもした(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

板谷隼さん。「はちとご文庫」のお店番もする(写真撮影/内田優子)

板谷いたやはやぶささん。「はちとご文庫ぶんこ」のお店番みせばんもする(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

住宅じゅうたく部分ぶぶんをシェアハウス「はちとご」が使つかい、きゅう診療しんりょうしょ一部いちぶ私設しせつ図書館としょかん「はちとご文庫ぶんこ」として地域ちいき開放かいほうしている。シェアハウスには、現在げんざい板谷いたやさんをふく大学生だいがくせい社会しゃかいじん住民じゅうみん6にんらしている。そのほか、「つき5にち住民じゅうみん」「つき10にち住民じゅうみん」など短期たんきらす住民じゅうみんが4にんあししげくかよってきてときにリビングにまっていくひともいる(2024ねん5がつ5にち現在げんざい

花見弁当づくりの真っ最中。キッチンの窓越しに「一緒におにぎりにぎってよ」と声がかかる(写真撮影/内田優子)

花見はなみ弁当べんとうづくりの最中さいちゅう。キッチンのまどしに「一緒いっしょにおにぎりにぎってよ」とこえがかかる(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

料理長は、普段はカメラマンとして活動している石川大地さん。「はちとご」住民ではないがふらっと来て、お掃除やお料理をしてくれる(写真撮影/内田優子)

料理りょうりちょうは、普段ふだんはカメラマンとして活動かつどうしている石川いしかわ大地だいちさん。「はちとご」住民じゅうみんではないがふらっとて、お掃除そうじやお料理りょうりをしてくれる(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

「はちとご」にらすことでひろがったきる選択肢せんたくし

大学だいがく2年生ねんせいとき引越ひっこまえの「はちとご」をった熊谷くまがい真輝まきさん(大学生だいがくせい・22さい)は、「はちとご」で、「自分じぶんがこれからすすむであろうとおもわれるみちそときている」大人おとなたちに出会であい、最初さいしょおどろいたという。

学校がっこう生活せいかつ枠組わくぐみできてきたから、大人おとな印象いんしょうは、おや先生せんせいぐらいでした。知識ちしきおしえようとする大人おとなおおなか、『はちとご』で出会であった大人おとなたちは、ぼくらの意見いけんってはなしいてくれました」と熊谷くまがいさん。
「いろんな大人おとながいたんですけど、理学りがく療法りょうほう調理ちょうり資格しかくがあるのにあえて定職ていしょくいてないひとだったり、大学だいがくを4年間ねんかん卒業そつぎょうしないで休学きゅうがくして自分じぶんっている先輩せんぱいがいたり。大人おとな意思いしって、みち模索もさくしているんだなと。なんさいになってもチャレンジする姿勢しせいを『はちとご』の12じょうのスペースから、かんることができて、住人じゅうにんになろうとおもいました」(熊谷くまがいさん)

以前の「はちとご」の「はなれ」と呼ばれていた12畳ほどのコミュニティスペースで本を読む熊谷さん(画像提供/板谷隼さん)

以前いぜんの「はちとご」の「はなれ」とばれていた12じょうほどのコミュニティスペースでほん熊谷くまがいさん(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

「隼さんは、見返りを求めない人。人に施すことに生きがいを感じている人だなと思います」(熊谷さん)(写真撮影/内田優子)

はやぶささんは、見返みかえりをもとめないひとひとほどこすことにきがいをかんじているひとだなとおもいます」(熊谷くまがいさん)(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

「はちとご」にらしてやく2ねんになる菱田ひしだえりかさん(大学生だいがくせい・22さい)さんが、大学だいがく入学にゅうがくしたころはコロナ最中さいちゅうで、授業じゅぎょうのほとんどはオンラインだった。

一人暮ひとりぐらしでさびしいおもいをしたので、2年生ねんせいからはひとかかわりたいなとおもって。友達ともだちから『はちとご』をおしえてもらいました」(菱田ひしださん)

しかし、当時とうじ、シェアハウスには、男性だんせいしかんでいなかったこともあり、おや反対はんたいされてしまった。「それまでまわりの期待きたいこたえようとしてきた」という菱田ひしださんだが、気持きもちはるがなかった。

「どうしてもみたかったのでおや説得せっとくしました。『はちとご』のひとたちは、自分じぶんのやりたいことをどんどんやっていて刺激しげきけられたし、自分じぶんもやってみたいという気持きもちがあって。ここにんだら、わくわくすることがきるんじゃないかっておもえたんです」(菱田ひしださん)

「隼さんは、シェアハウス全体のことを考えている人。気が付くと、誰もやってくれない家事とかゴミ出しとか、掃除をしているのは隼さん」(写真撮影/内田優子)

はやぶささんは、シェアハウス全体ぜんたいのことをかんがえているひとくと、だれもやってくれない家事かじとかゴミしとか、掃除そうじをしているのははやぶささん」(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

わすれられないおもは、なべパーティのこと。さむに「なべべたい。だれかつくってくれないかな」とつぶやいた菱田ひしださんに、はやぶささんは、「自分じぶんこえかけてやっちゃえばいいんだよ、そういうのは」とこえをかけた。

いままでやってもらうのがたりまえだったので、まわりのひとんで、なにかをやったのははじめて。あたらしいことをやるハードルがひくくなった感覚かんかくはありました。いまは、ちゃんとまわりを説得せっとくして、努力どりょくをすれば、すべかなえられるわけじゃないけど、かえってくるぶんもあるのかなとおもっています」(菱田ひしださん)

「はちとご」の住民でお祝いした菱田さんの誕生日パーティ(画像提供/板谷隼さん)

「はちとご」の住民じゅうみんでおいした菱田ひしださんの誕生たんじょうパーティ(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

まなびやづきがあって回復かいふくできる場所ばしょでありたい

「はちとご」には、地元じもと大学生だいがくせい社会しゃかいじんらがらし、近隣きんりんひとのほか、はやぶささんをたずねてさまざまな年代ねんだいひとがやってくる。

子どもたちとつくった段ボールハウス「はちとご」(画像提供/板谷隼さん)

どもたちとつくっただんボールハウス「はちとご」(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

はやぶささんがどんなおもいで「はちとご」をげたのかをたずねると、意外いがいこたえがかえってきた。

地域ちいき活動かつどうられることもありますが、自分じぶんとしてのじくは『地域ちいき』というより『ひと』。ただそのひと地域ちいきにいるから、結果けっかてき地域ちいき活動かつどうっぽくえるのかもしれません。また、『はちとご』はぼくにとって『やりたいこと』ではなく『たい景色けしき』だとおもっています。みんながたのしげにしていて、まなびやづきがあって、回復かいふくできる場所ばしょだれかが自分じぶんからなにかを『やってみたい』とって、それがかたちになるのをているのがきです。その景色けしきつくるのに、ぼくが必要ひつようがあるならよろこんで!というスタンスです」(はやぶささん)

Instagramの写真は、ほとんどが隼さん撮影。「見たい景色なので僕がその中に入ってなくていい」と隼さん(画像提供/板谷隼さん)

Instagramの写真しゃしんは、ほとんどがはやぶささん撮影さつえい。「たい景色けしきなのでぼくがそのなかはいってなくていい」とはやぶささん(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

引越し前の「はちとご」で行われた絵本イベントの風景(画像提供/板谷隼さん)

引越ひっこまえの「はちとご」でおこなわれた絵本えほんイベントの風景ふうけい画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

勝手かってたのしんで勝手かってまなべる状態じょうたい構築こうちくする

はやぶささんの本業ほんぎょうは、サッカークラブ「水戸みとホーリーホック」のアカデミーコーチ(どもたちのコーチ)。日々ひび一緒いっしょにボールをりながら、どもたちにっている。

づくりをするときの理想りそうは、ぼくがいなくてもいい状態じょうたいにすること。『自分じぶんかんがえさせたいんですけど、どうすればいいですか?』とかれることがあるんですが、それだと、自分じぶんかんがえているってわないですよね。なにもしなくてもどもたちが勝手かってまなんで勝手かってたのしんでいる状態じょうたい構築こうちくするにはどうしたらいいんだろうっていつもかんがえています」(はやぶささん)

現在の「はちとご」。木造2階建て部分がシェアハウス(写真撮影/内田優子)

現在げんざいの「はちとご」。木造もくぞうかい部分ぶぶんがシェアハウス(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

「はちとご」に暮らす人、通ってくる人の、なんてことのない日常の風景(写真撮影/内田優子)

「はちとご」にらすひとかよってくるひとの、なんてことのない日常にちじょう風景ふうけい写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

はやぶささんが「づくり」や「まちづくり」にはじめてれたのは、筑波大学つくばだいがく大学院生だいがくいんせいのころ。大学だいがくのサッカーのコーチをしたり、スポーツ心理しんりがく研究けんきゅうしつ活動かつどうするかたわら、大学だいがくちかくにできたコワーキングスペースにかようようになった。

「さまざまな背景はいけいひとていて、仕事しごとをしたり、休憩きゅうけいしたり、ゆうんだり。勉強べんきょうしている中学生ちゅうがくせいよこで、おさけみながらギターをいているおとながいて、それぞれが心地ここちよさそうにしている。ぼくにとって、コワーキング(Co-working)じゃなくて、コリビング(Co-Living)でした」(はやぶささん)

その、2020ねんはる水戸みと引越ひっこしてきたものの、コロナ最中さいちゅう。「このままではまち友達ともだちができないかも」とあせったはやぶささんは、もともと水戸みともよおされていた「あさみと!」というイベントを引継ひきついで、運営うんえいすることにした。

毎週月曜に開催していた朝活イベント「あさみと!」(画像提供/板谷隼さん)

毎週まいしゅう月曜げつよう開催かいさいしていたあさかつイベント「あさみと!」(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

「あさみと」は、毎週まいしゅう月曜日げつようびあさ、コミュニティスペースやカフェにあつまって、はやぶささんがれたコーヒーをみながらおしゃべりするかい。そこで、イラストレーターのふじのさきさんに出会であった。転勤てんきん横浜よこはますことになったふじのさんから、『水戸みとはなれがたい』というおもいをいたはやぶささん。以前いぜんよりシェアハウスのらしに興味きょうみがあったので、「これは自分じぶんでつくれということか」と直感ちょっかん。ふじのさんが拠点きょてんとして使つかえるようなシェアハウスを構想こうそうした。いえさがはじめてほどなく茨城大学いばらきだいがくそばに5LDKの物件ぶっけん出会であう。そこが、「Co-Livingはちとご」のはじまりだった。

誕生してから引越しまでの2年間、たくさんの人が訪れた(画像提供/板谷隼さん)

誕生たんじょうしてから引越ひっこしまでの2年間ねんかん、たくさんのひとおとずれた(画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

シェアハウスやコミュニティ運営うんえいするじょう苦労くろうしたり、ときにはきずついたり、いかりをかんじることはないのだろうか。

生活せいかつをしていて、あまりじんおこるってことがないんです。寛容かんようでいたいとおもっています。たとえば台所だいどころらかっていてイライラがいたらふと『だれかがなんとかしてくれると期待きたいしてたんだな』とづいたりしますね。そもそもになったんなら自分じぶんでやるなり、なんとかしようよって自分じぶんから発信はっしんすればいいんです。そんな雰囲気ふんいきをつくりたいなとおもって、はちとごではぼくのこだわりで掃除そうじ当番とうばんめていません。当番とうばんをつくると、掃除そうじしなかったひとめられるんですけど、当番とうばんをつくらなかったら、掃除そうじしたひとめられるんじゃないかとおもって。げたころから当番とうばんつくらずどこまでいけるかなと実験じっけんしているところです」はやぶささん)

ただし、そのにいるひとこまってしまうようなひとあらわれた場合ばあいはやぶささんがあいだはいって「チューニング」をすることもあるという。

たとえば、年上としうえというだけでえらそうにしたり、自分じぶんはなしをしゃべりつづけたりするひとには、ぼくからいます。『いつも自慢じまんばなしするんだからー』って。ぼくを生意気なまいきだとおもひとなくなるし、それでもてくれるひとはそのうち馴染なじめるひとなんだろうなと。自分じぶん力不足ちからぶそくだれかがきずついたり、かなしいおもいをすると、ひどくみますね」(はやぶささん)

「もやっとしてそうだなって顔をできるだけ見つけるようにしたい」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

「もやっとしてそうだなってかおをできるだけつけるようにしたい」(はやぶささん)(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

回復かいふくには、ふらっとれて、距離きょりたもてる場所ばしょ必要ひつよう

まちライブラリーの仕組しくみを使つかった私設しせつ図書館としょかん「はちとご文庫ぶんこ」は、引越ひっこさき再開さいかいし、いまでは、おとずれたひとったほんすこしずつ蔵書ぞうしょえている。

隼さんのお気に入りは、田尻久子さん、塩谷舞さんのエッセイ(写真撮影/内田優子)

はやぶささんのおりは、田尻たじり久子ひさこさん、塩谷しおやまいさんのエッセイ(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

「本があると、来る言い訳にはなっているんじゃないかな」(隼さん)(写真撮影/内田優子)

ほんがあると、きたるいいわけにはなっているんじゃないかな」(はやぶささん)(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

常連さんがお店番することも(写真撮影/内田優子)

常連じょうれんさんがお店番みせばんすることも(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

あるとき、はちとご文庫ぶんこに、近所きんじょきこもりの女性じょせいがふらっとおとずれた。はやぶささんやひとおもおもいに作業さぎょうしたり、ほんんでいる空間くうかんで、3~4あいだソファでひとりほんみ、「またます」とかえっていく。ふとしたきかっけでおしゃべりするようになり、次第しだいい、ついには「はちとご文庫ぶんこまである日記にっき」というZINEを発行はっこういまでは、はちとご文庫ぶんこ常連じょうれんさんのひとりだ。

地域ちいき活性かっせいみって、元気げんきひとあつまるのが前提ぜんていなのかな、と時々ときどきおもいます。でも、まちには元気げんきじゃないひとももちろんいて、そういうひとにもひらいたでありたいとおもっています。ここにはちょっと元気げんきじゃないひとたりしますが、ぼく躍起やっきになってどうこうしようとはあまりしませんね。相談そうだんされたら一緒いっしょかんがえるけど、こちらからは。元気げんきがなくてもふらっとれて、ひとといい距離きょりかんでいて、徐々じょじょに、自分じぶん本来ほんらいのありようにもどっていけるようなになればいいなとおもっています 」(はやぶささん)

「書き手の姿が表れているものが好き」と隼さん(写真撮影/内田優子)

姿すがたあらわれているものがき」とはやぶささん(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

本をたくさん持っていたので、「自分の本棚をオープンにする感じ」で始めたという(写真撮影/内田優子)

ほんをたくさんっていたので、「自分じぶん本棚ほんだなをオープンにするかんじ」ではじめたという(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

「はちとご」は、元気げんきじゃなくてもられる場所ばしょ

「はちとご」がスタートしたときからはやぶささんと一緒いっしょらしてきたむらたゆうきさん(映像えいぞうクリエイター・24さい)も、「はちとご」で「回復かいふく」したひとりだ。

「『はちとご』は、一般いっぱんてき世間せけんのシェアハウスのイメージと乖離かいりがあるがします。シェアハウスっていわゆるパーティきみたいなひとがいっぱいワーッていそうなだとおもっているひともいるとおもうんですが、『はちとご』の場合ばあいは、一見いっけんそうはえなくてもさびしそうなひと人生じんせいつかれているひとおおいようながしてます」(むらたさん)

「『はちとご』に住んだことで、対人関係がより滑らかに進められるようになったと思います」(むらたさん)(写真撮影/内田優子)

「『はちとご』にんだことで、対人たいじん関係かんけいがよりなめらかにすすめられるようになったとおもいます」(むらたさん)(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

むらたさんは、インターンのため、茨城いばらきから東京とうきょうて、わない仕事しごとつづけたことで、んでしまい、とてもつら時期じきがあったという。東京とうきょうからかえって、ふさぎこんでいたむらたさんを心配しんぱいしたはやぶささんたちは、ある、むらたさんの部屋へや勝手かってんで餃子ぎょうざはじめたという。

よわってるときって、きっかけがあると、精神せいしんてきにすごく距離きょりちぢまるとおもうんです。それで、家族かぞくちか感覚かんかくがりました。よわめんせていいんだって。ここは、すごく居心地いごこちがいいです。2年間ねんかんぐらい、全然ぜんぜん違和感いわかんなくらしています。実家じっかにいるのとあまりわらないし、はやぶささんは、おやっていうよりは兄弟きょうだいえたみたいなかんじです。役職やくしょくてきには管理人かんりにんなんですけど、おにいちゃんが一番いちばんイメージちかいのかなとおもってますね」(むらたさん)

部屋にこもって動画編集することも。リラックスできるように間接照明にこだわっている(写真撮影/内田優子)

部屋へやにこもって動画どうが編集へんしゅうすることも。リラックスできるように間接かんせつ照明しょうめいにこだわっている(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

はやぶささんが、「最近さいきんやさしくなったとおもうよ。よりひとのためにうごけるようになった。本当ほんとうたよりにしてるよ」と言葉ことばをかけると、むらたさんは、「あまりめられないんで。毎月まいつき取材しゅざいてください(笑)」とはにかんだ。

隼さんからむらたさんに相談したりお願いすることも増えた(写真撮影/内田優子)

はやぶささんからむらたさんに相談そうだんしたりおねがいすることもえた(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

ひとをつなぐと自然しぜん交流こうりゅうまれる

「はちとご文庫ぶんこ」に滞在たいざいしていると、ふらっとおとずれるひとがいる。かならずしも一緒いっしょなにかするわけではなく、おもおもいの場所ばしょで、ほんんだり、パソコンをひらいたりしている。

目線の高さが変わるように椅子やテーブルを配置しているから、一人一人お気に入りの場所が見つかる(写真撮影/板谷隼さん)

目線めせんたかさがわるように椅子いすやテーブルを配置はいちしているから、一人ひとりいちにんりの場所ばしょつかる(写真しゃしん撮影さつえい板谷いたやはやぶささん)

座敷のスペースには絵本が置かれている。隼さんのイチオシは、「うどんのうーやん」(写真撮影/板谷隼さん)

座敷ざしきのスペースには絵本えほんかれている。はやぶささんのイチオシは、「うどんのうーやん」(写真しゃしん撮影さつえい板谷いたやはやぶささん)

プラットフォームに文章を投稿した横山黎さん。「はちとご」は、「きっかけと思わないきっかけをくれる場所」(写真撮影/内田優子)

プラットフォームに文章ぶんしょう投稿とうこうした横山よこやまはじむさん。「はちとご」は、「きっかけとおもわないきっかけをくれる場所ばしょ」(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

玄関から見える窓辺に隼さんが灯したライト。「ここにいるよ」と伝わるように(写真撮影/内田優子)

玄関げんかんからえる窓辺まどべはやぶささんがともしたライト。「ここにいるよ」とつたわるように(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

はやぶささんは、「ひとひとつないでるんですね」とわれると「すこしもやっとする」という。

意識いしきしているのは、ひとをどうつなぐか。それぞれがつながってリラックスすれば、自然しぜん交流こうりゅうまれるとおもっています。『居場所いばしょづくり』ともわないようにしています。かよってくれるひとが『ここは自分じぶん居場所いばしょだ』とおもってもらうぶんにはいいんですが、そうおもひとえてくるとはじめてのひとやさしくないになるとおもっていて。『居場所いばしょづくり』ではなく『づくり』として、ひと流動りゅうどうせいまれればいいなとおもっています」(はやぶささん)

はやぶささんは、2024ねん4がつに、あたらしいチャレンジをはじめた。地域ちいきひと自由じゆう利用りようできる私設しせつ図書館としょかんとコワーキングやイベントに使つかえるシェアリビングとをわせたふくあい施設しせつ計画けいかくだ。私設しせつ図書館としょかんには、「いちはこ本棚ほんだなオーナー」という自分じぶん専用せんよう本棚ほんだなりてほんならべる仕組しくみをれる予定よてい。シェアリビングは、イベントやワークショップを開催かいさいできる場所ばしょに。それには、地域ちいきひと友達ともだちの「ちょっとやってみたい」を応援おうえんしたいというはやぶささんのおもいがある。物件ぶっけん改修かいしゅう費用ひようてるため、4がつ10日とおか~5がつ13にちはじめてのクラウドファンディングに挑戦ちょうせんちゅうだ。

「はちとご」住民だったイラストレーターふじのさきさんが描いた私設図書館の利用イメージ(画像提供/板野隼さん)

「はちとご」住民じゅうみんだったイラストレーターふじのさきさんがえがいた私設しせつ図書館としょかん利用りようイメージ(画像がぞう提供ていきょう板野いたのはやぶささん)

その場所ばしょ名前なまえは、「シェアベースmigiwa」。なぎさ(みぎわ)とは、水際みずぎわ波打なみうぎわのこと。はやぶささんは、この場所ばしょにやってくるひとやモノ、情報じょうほうを、なみふうたとえた。

「migiwa」の名は、田尻久子さんのエッセイ集「みぎわに立って」から頂いた(写真撮影/内田優子)

「migiwa」のは、田尻たじり久子ひさこさんのエッセイしゅう「みぎわにって」からいただいた(写真しゃしん撮影さつえい内田うちだ優子ゆうこ

流動りゅうどうせいなかで、おとずれるひとまなびや回復かいふくのきっかけがまれればいいなと。『あまねくひと』がれる場所ばしょ理想りそうですが、ひとがやっていることなので相性あいしょうもありますし、わないひともいるはずです。だけど、ぼくみたいなことをやるひと地域ちいきえていけば、そのかずだけおおくのひとをカバーできるんじゃないかと。地域ちいきにひらくとき理想りそうだとおもっているのは、そのひと近隣きんりん住民じゅうみん属性ぞくせい比率ひりつちかくなることですね。私設しせつ公民館こうみんかんつくりたいのかもしれません。将来しょうらいなに問題もんだいきても、『ここ大事だいじだから維持いじしようよ』とみなはなせるといいですね。しかもそれがぼくかいさずにきたら最高さいこうです」(はやぶささん)

取材後に届いたお花見の風景(画像提供/板谷隼さん)

取材しゅざいとどいたお花見はなみ風景ふうけい画像がぞう提供ていきょう板谷いたやはやぶささん)

はやぶささんがている景色けしきつめ、おもいを辿たどなかで、コミュニティは、「みんな」の場所ばしょであるまえに、「ひとり、ひとり」の場所ばしょなんだとかんじた。コミュニティではちかづこうちかづこうとしてしまうが、大切たいせつなのは距離きょりかん。「はちとご」は、コミュニティに「かかわりたいひと」「つくってみたいひと双方そうほうづきとまなびをあたえてくれる。

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