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新築でも中古でも最も妥協したのは「予算より高い価格」。注文住宅では性能にこだわりも 令和5年度住宅市場動向調査 | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト
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連載れんさい今週こんしゅうじゅうかつトピック
やまくみさん正方形
山本やまもと 久美子くみこ
2024ねん8がつ28にち (水)すい

新築しんちくでも中古ちゅうこでももっと妥協だきょうしたのは「予算よさんよりたか価格かかく」。注文ちゅうもん住宅じゅうたくでは性能せいのうにこだわりも れい5年度ねんど住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ

新築でも中古でも最も妥協したのは「予算より高い価格」。注文住宅では性能にこだわりも 令和5年度住宅市場動向調査
写真しゃしん/PIXTA)
国土こくど交通省こうつうしょうは、れい5年度ねんどの「住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ」の結果けっかをとりまとめ、公表こうひょうした。毎年まいとし実施じっししている大型おおがた調査ちょうさではあるが、コロナて、住宅じゅうたく環境かんきょうわりつつある。その影響えいきょうがどうあらわれているか、ていくことにしよう。
今週こんしゅうじゅうかつトピック】
れい5年度ねんど住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ」の結果けっか公表こうひょう国土こくど交通省こうつうしょう

調査ちょうさ対象たいしょうしゃ住宅じゅうたく取得しゅとく時期じき価格かかく上昇じょうしょういちじるしかった2022年度ねんど

この調査ちょうさは、2022年度ねんど(2022ねん4がつ~2023ねん3がつ)にえやえ、リフォームをおこなった世帯せたい対象たいしょうったもの。注文ちゅうもん住宅じゅうたく中古ちゅうこ住宅じゅうたく全国ぜんこくを、分譲ぶんじょう住宅じゅうたく民間みんかん賃貸ちんたい住宅じゅうたく、リフォームについてはさん大都市だいとしけん対象たいしょうにしている。

さて、調査ちょうさ対象たいしょうとなる2022年度ねんど住宅じゅうたく市況しきょうかえってみよう。コロナ住宅じゅうたくニーズにささえられ、どのエリアでも住宅じゅうたく価格かかく上昇じょうしょうしていた時期じきだ。2022ねん2がつにロシアがウクライナに侵攻しんこうするウクライナ危機ききによって、エネルギーなどさまざまなコストの上昇じょうしょうえんやすなども進行しんこうした。

一方いっぽうで、欧米おうべい諸国しょこく利上りあげにうごいたのにたいして、当時とうじ日本銀行にっぽんぎんこう黒田くろだ総裁そうさいてい金利きんり政策せいさく維持いじしていたが、2022ねん12月には長期ちょうき金利きんり上限じょうげんを0.25%程度ていどから0.5%程度ていどげた。これによって、長期間ちょうきかん金利きんり固定こていする住宅じゅうたくローンの金利きんり上昇じょうしょうする可能かのうせいたかまった。

2024ねん現時点げんじてんでは、住宅じゅうたくローンの金利きんり上昇じょうしょう既定きてい路線ろせんになり、住宅じゅうたく価格かかく都心としんとそれ以外いがいうごきがことなるといった市況しきょうになっている。2022年度ねんどとは市況しきょうわっているので、調査ちょうさ対象たいしょうしゃまいの選択せんたくについては、そのてん承知しょうちしておく必要ひつようがあるだろう。

妥協だきょうしたもの、になったものは住宅じゅうたく種類しゅるいによってことなる?

調査ちょうさ結果けっかで、まず「妥協だきょうしたもの」はなにか(1)をていこう。
程度ていどこそあるが、新築しんちく住宅じゅうたくけい注文ちゅうもん住宅じゅうたく分譲ぶんじょう戸建こだて住宅じゅうたく分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたく)では、まずは「価格かかく予定よていよりたかくなった」ことをげ、いで「住宅じゅうたくひろさ」をげている。価格かかく上昇じょうしょうで、予算よさんより価格かかくたかくなってしまったり、予算よさんおさまるようにひろさをおさえたり、といったことがなされたことがうかがえる。

一方いっぽう中古ちゅうこ住宅じゅうたくけい既存きそん戸建こだて住宅じゅうたく既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたく)では、おなじくまずは「価格かかく予定よていよりたかくなった」ことをげているが、新築しんちく住宅じゅうたくけいよりは妥協だきょうした割合わりあいひくくなっている。新築しんちくでは予算よさんとのおおきいが、中古ちゅうこならそのちいさかったということだろうか。つぎに、既存きそん戸建こだて住宅じゅうたくでは「交通こうつう利便りべんせい」を、既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたくでは「間取まどり・部屋へやすう」をげ、「ひろさ」については新築しんちくけいよりは順位じゅんいひくい。全体ぜんたいてきにも、中古ちゅうこけいのほうが妥協だきょうした項目こうもく割合わりあい新築しんちくけいよりひくくなっており、新築しんちくけいほど妥協だきょうせずにんだことがうかがえる。

住宅選択にあたり妥協したもの(出典:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査」調査結果の概要より転載)

1)住宅じゅうたく選択せんたくにあたり妥協だきょうしたもの(出典しゅってん国土こくど交通こうつうしょうれい5年度ねんど住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ調査ちょうさ結果けっか概要がいようより転載てんさい

つぎに、えた住宅じゅうたく選択せんたくした理由りゆうると、注文ちゅうもん住宅じゅうたくでは「信頼しんらいできる住宅じゅうたくメーカー/不動産ふどうさん業者ぎょうしゃだったから」が最多さいたの52.2%。分譲ぶんじょう戸建こだて住宅じゅうたく分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたくでは「新築しんちく住宅じゅうたくだから」が最多さいたで、それぞれ 64.9%、69.4%だった。既存きそん戸建こだて住宅じゅうたく既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたくでは「価格かかく適切てきせつだったから」が最多さいたで、それぞれ 67.9%、59.5%だった。新築しんちくにこだわるか、価格かかく重視じゅうしするかで、新築しんちくうか中古ちゅうこうかがかれるといえそうだ。

また、住宅じゅうたく選択せんたく理由りゆうとなった設備せつびとうについてる(2)と、分譲ぶんじょう戸建こだて住宅じゅうたく分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたくでは、「間取まどり・部屋へやすう適当てきとうだから」、「住宅じゅうたくひろさが十分じゅうぶんだから」、「住宅じゅうたくのデザインがったから」の3項目こうもく僅差きんさ上位じょういになっている。既存きそん戸建こだて住宅じゅうたく既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたくでは、「間取まどり・部屋へやすう適当てきとうだから」、「住宅じゅうたくひろさが十分じゅうぶんだから」が上位じょういになるものの、「住宅じゅうたくのデザインがったから」は新築しんちくけいほどにはたかくない。中古ちゅうこけい場合ばあい間取まどりやひろさが希望きぼうっていても、デザインはこのみでないとかんじる場合ばあいもあるようだ。

興味深きょうみぶかいのは注文ちゅうもん住宅じゅうたくで、おな新築しんちくけいであっても「間取まどりや部屋へやすう」「住宅じゅうたくのデザイン」にくわえ、「こう気密きみつこう断熱だんねつ住宅じゅうたくだから」や「火災かさい地震じしん水害すいがいなどへの安全あんぜんせいたかいから」といった、性能せいのうめん項目こうもく上位じょういになっている。最近さいきん注文ちゅうもん住宅じゅうたくでは、しょうエネせい安全あんぜんせいなどの性能せいのうたかさが特徴とくちょうになっているからだろう。

設備等に関する選択理由(出典:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査 報告書」より転載)

2)設備せつびとうかんする選択せんたく理由りゆう出典しゅってん国土こくど交通こうつうしょうれい年度ねんど住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ 報告ほうこくしょ」より転載てんさい

予算よさんよりたか価格かかくで、返済へんさい計画けいかく大丈夫だいじょうぶ

住宅じゅうたく価格かかく建築けんちく費用ひよう)の上昇じょうしょうまいえらびに影響えいきょうしていることがうかがえる結果けっかだが、では、それぞれをえらんだ世帯せたい購入こうにゅう資金しきん返済へんさい計画けいかくなどはどうなっているのだろう?

購入こうにゅう資金しきんる(3)と、土地とち購入こうにゅうした注文ちゅうもん住宅じゅうたく新築しんちく世帯せたい平均へいきん5811まんえん世帯せたい平均へいきん5745まんえんだ。土地とち取得しゅとく費用ひよう有無うむがあるのにあまりわらないのは、えた注文ちゅうもん住宅じゅうたくゆか面積めんせき平均へいきん136.3平方へいほうメートルともっとひろく、土地とち購入こうにゅうした注文ちゅうもん住宅じゅうたく平均へいきん116.2平方へいほうメートルとそれよりちいさいので、面積めんせきちがいによる影響えいきょうもあるのだろう。

また、購入こうにゅう資金しきんはそれぞれ、分譲ぶんじょう戸建こだて住宅じゅうたくで4290まんえん分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたくで4716まんえん既存きそん戸建こだて住宅じゅうたくで2983まんえん既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたくで2793まんえんとなっている。興味深きょうみぶかいのは、分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたく自己じこ資金しきんおおいことだ。借入かりいれがくすくない中古ちゅうこけいわせて、自己じこ資金しきん比率ひりつが5わりちかくまでたかくなっている。

購入資金(出典:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査 報告書」より転載)

3)購入こうにゅう資金しきん出典しゅってん国土こくど交通こうつうしょうれい年度ねんど住宅じゅうたく市場いちば動向どうこう調査ちょうさ 報告ほうこくしょ」より転載てんさい

ただし、平均へいきん自己じこ資金しきん比率ひりつたかいものは、ローンをまずに全額ぜんがく自己じこ資金しきんという比率ひりつたかい。住宅じゅうたくローンを利用りようしたのは、注文ちゅうもん住宅じゅうたくえ)で48.7%、分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたくで54.8%、既存きそん戸建こだて住宅じゅうたくで46.5%、既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたくで38.8%となっている。

そこで、住宅じゅうたくローンのれがある世帯せたい返済へんさい負担ふたんりつ(※)をてみよう。住宅じゅうたくローンの年間ねんかん返済へんさいがく返済へんさい負担ふたんりつ以下いかのようになった。いずれの場合ばあいも、返済へんさい負担ふたんりつは2わり比較的ひかくてき安全あんぜん返済へんさい計画けいかくてたことがかる。

住宅じゅうたくローンの年間ねんかん返済へんさいがく返済へんさい負担ふたんりつ※)
注文ちゅうもん住宅じゅうたく全体ぜんたい):155.2まんえん(19.4%)
分譲ぶんじょう戸建こだて住宅じゅうたく  :125.0まんえん(17.6%)
分譲ぶんじょう集合しゅうごう住宅じゅうたく  :123.6まんえん(15.5%)
既存きそん戸建こだて住宅じゅうたく  :108.3まんえん(16.1%)
既存きそん集合しゅうごう住宅じゅうたく  :110.6まんえん(15.7%)
返済へんさい負担ふたんりつとは、年間ねんかん返済へんさいがく年収ねんしゅうめる割合わりあい

ちなみに、民間みんかん金融きんゆう機関きかんかられた世帯せたい金利きんりタイプをると、「変動へんどう金利きんりがた」が79.2%だった。ちょうてい金利きんりつづいていた時期じきなので、より金利きんりひく変動へんどう金利きんりがたえらぶのがスタンダードだったのだろう。

まいをえらさいに、だれもが重視じゅうしするのが「価格かかく」「間取まどりやひろさ」「立地りっち」だろう。ただし、その時々ときどき住宅じゅうたく市況しきょうによって、そのいずれをより重視じゅうしするか、いずれを妥協だきょうするかは、わってくるようだ。一方いっぽう近年きんねんは、しょうエネせい災害さいがい対策たいさくなど、住宅じゅうたく性能せいのうかんする関心かんしんたかまっている。異常いじょう気象きしょう猛暑もうしょ、ゲリラ豪雨ごうう巨大きょだい地震じしんへの不安ふあんなどが、まいの重視じゅうし項目こうもくえる可能かのうせいもある。

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