ニュース

HAPSの携帯けいたい電話でんわ周波数しゅうはすう帯たいが拡張かくちょう、「グローバルバンド」が利用りよう可能かのうに

2023.12.29 10:00

　成層圏せいそうけん通信つうしんプラットフォーム（High Altitude Platform Station：HAPS）で携帯けいたい電話でんわが使つかえる周波数しゅうはすう帯たいに700～900MHz帯たい、1.7GHz帯たい、2.5GHz帯たいが追加ついかされた。HAPSでのモバイルブロードバンド通信つうしんを導入どうにゅうする際さいに周波数しゅうはすう帯たいを柔軟じゅうなんに選択せんたくできるようになり、既存きそんのスマートフォンで利用りようできるようになる。

　国際こくさい標準ひょうじゅん化か活動かつどうを進すすめてきたというソフトバンクが12月28日にちに発表はっぴょうした。

　ソフトバンクは、HAPSの携帯けいたい電話でんわ基地きち局きょくで利用りようできる周波数しゅうはすう帯たいで拡大かくだいするよう国際こくさい電気でんき通信つうしん連合れんごう（International Telecommunication Union：ITU）の部門ぶもんの一ひとつである無線むせん通信つうしん部門ぶもん（ITU-R）やアジア・太平洋たいへいよう電気でんき通信つうしん共同きょうどう体たい（Asia-Pacific Telecommunity：APT）で日本にっぽんを代表だいひょうして議論ぎろんを主導しゅどうしてきたと解説かいせつする。

　11月20日はつか～12月がつ15日にちにアラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうのドバイで開催かいさいされたITU-Rの2023年ねん世界せかい無線むせん通信つうしん会議かいぎ（World Radiocommunication Conference 2023：WRC-23）で700～900MHz帯たい、1.7GHz帯たい、2.5GHz帯たいが追加ついかされた。

　ソフトバンクは、ITU-Rの2019年ねん世界せかい無線むせん通信つうしん会議かいぎ（WRC-19）で次つぎに開ひらかれるWRC-23の議題ぎだいとしてHAPSの携帯けいたい電話でんわ基地きち局きょく向むけ周波数しゅうはすう帯たいの拡大かくだいを議論ぎろんするよう提案ていあん。提案ていあんの実現じつげんを目指めざしてITU-RやAPTで議論ぎろんを主導しゅどうしてきたと説明せつめいする。

　拡張かくちょう候補こうほ帯域たいいきである700～900MHz帯たい、1.7GHz帯たい、2.5GHz帯たいについて技術ぎじゅつ的てき研究けんきゅうや無線むせん通信つうしん規則きそくの改定かいてい案あんの検討けんとうを議論ぎろん、APTからWRC-23に提案ていあんする無線むせん通信つうしん規則きそくの改定かいてい案あんのとりまとめなどもソフトバンクが進すすめてきたとしている。

　HAPSを携帯けいたい電話でんわの基地きち局きょくとして利用りようする場合ばあい、これまでITU-Rが規定きていする無線むせん通信つうしん規則きそくでは、2GHz帯たいが国際こくさい的てきに認みとめられている。その一方いっぽうで、海外かいがいや日本にっぽんで共通きょうつうで利用りようされている携帯けいたい電話でんわの周波数しゅうはすう帯たい「グローバルバンド」である700～900MHz帯たい、1.7GHz帯たい、2.5GHz帯たいの利用りようが認みとめられていなかった。

　WRC-23での決定けっていはITU-Rが規定きていする無線むせん通信つうしん規則きそくを改定かいていし、2GHz帯たい以外いがいのグローバルバンドに拡張かくちょうすることでHAPSの導入どうにゅうがより柔軟じゅうなんになるという。世界中せかいじゅうで携帯けいたい電話でんわの基地きち局きょくとしてHAPSを導入どうにゅうしやすくなるとしている。

　将来しょうらい的てきには、HAPSの携帯けいたい電話でんわ基地きち局きょくとユーザーの間あいだで既存きそんのスマートフォンを使つかって直接ちょくせつ通信つうしんできるようになるという。

　HAPSは“空そら飛とぶ基地きち局きょく”となり、地上ちじょうの基地きち局きょくではカバーしづらい上空じょうくうや離島りとう、山岳さんがく地帯ちたいや発展はってん途上とじょう国こくなど通信つうしん環境かんきょうが整ととのっていない場所ばしょでも安定あんていしたネットワークが利用りようできるようになる。大だい規模きぼな災害さいがいで地上ちじょうの基地きち局きょくが使つかえなくなり、通信つうしんサービスが中断ちゅうだんした場合ばあいでもHAPSで通信つうしんサービスを迅速じんそくに復旧ふっきゅうできることも可能かのうだ。

　ソフトバンクグループでHAPSでのサービス提供ていきょうを目指めざしていたHAPSモバイルはソフトバンクとAeroVironmentが2017年ねんに設立せつりつした合弁ごうべん会社かいしゃ。成層圏せいそうけんを飛とぶ無人むじん飛行機ひこうき（Unmanned Aerial Vehicle：UAV）で地上ちじょうへの通信つうしんサービス提供ていきょうを目指めざしていた。HAPSモバイルは2023年ねん10月がつにソフトバンクが吸収きゅうしゅう合併がっぺいした。

　成層圏せいそうけんは通常つうじょうの航空こうくう路ろよりはるかに高こう高度こうどで気象きしょう変化へんかの影響えいきょうを受うけずに済すみ、成層圏せいそうけんを飛行ひこうする航空機こうくうきは一般いっぱんの飛行機ひこうきより長時間ちょうじかん連続れんぞく飛行ひこうできるとされている。人工じんこう衛星えいせいに準じゅんじる高度こうどを飛とんで飛行機ひこうきと人工じんこう衛星えいせいをそれぞれ補完ほかんする機能きのうを提供ていきょうできることから「高こう高度こうどプラットフォーム」や「高こう高度こうど疑似ぎじ衛星えいせい」とも呼よばれる。

　HAPSではUAVのほかに気球ききゅうの利用りようも検討けんとうされている。成層圏せいそうけんよりも高たかい、高度こうど2000km以下いかの地球ちきゅう低てい軌道きどう（LEO）を周回しゅうかいする衛星えいせいやHAPSを含ふくめた非ひ地上ちじょう系けいネットワーク（Non-Terrestrial Network：NTN）が注目ちゅうもくされている。