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JAXAなど、宇宙から雲の上下の動きを測定–世界初、気候変動予測の精度向上に期待 - UchuBiz

JAXAなど、宇宙から雲の上下の動きを測定--世界初、気候変動予測の精度向上に期待

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JAXAなど、宇宙うちゅうからくも上下じょうげうごきを測定そくてい世界せかいはつ気候きこう変動へんどう予測よそく精度せいど向上こうじょう期待きたい

2024.06.28 08:00

UchuBizスタッフ

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 5月29にちげられた地球ちきゅう観測かんそく衛星えいせい「EarthCARE」(和名わみょう「はくりゅう」)に搭載とうさいされた「くもプロファイリングレーダー(Cloud Profiling Radar:CPR)」のはつ観測かんそく画像がぞう公開こうかいされた。CPRは宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこうJAXA)と情報じょうほう通信つうしん研究けんきゅう機構きこうNICT)が共同きょうどう開発かいはつした。

 CPRは、周波数しゅうはすうたいが94GHzのドップラーレーダー。6月12~13にちはつ観測かんそく実施じっし日本にっぽん東海とうかいじょうにある梅雨つゆ前線ぜんせんじょうにあるくもいき観測かんそくくも内部ないぶとらえ、世界せかいはじめて、宇宙うちゅうからくも上下じょうげうごきを測定そくていすることに成功せいこうしたという。

CPRのレーダー反射強度(左)とドップラー速度(右)の高さ分布を3次元的に示した図。雲の水平方向の分布は気象衛星「ひまわり9号」データを利用している(出典:JAXA、NICT、ESA)
CPRのレーダー反射はんしゃ強度きょうどひだり)とドップラー速度そくどみぎ)のたか分布ぶんぷを3次元じげんてきしめしたくも水平すいへい方向ほうこう分布ぶんぷ気象きしょう衛星えいせい「ひまわり9ごう」データを利用りようしている(出典しゅってん:JAXA、NICT、ESA)

 CPRは上空じょうくうやく13kmにたっするくも分布ぶんぷとらえ、高度こうどやく5kmよりしたたかさで「ドップラー速度そくど」がしも方向ほうこうおおきくなる特徴とくちょう確認かくにんできたという。あめしずく落下らっか速度そくどしめしているとかんがえられると説明せつめい。こうした観測かんそくは、従来じゅうらい観測かんそく地点ちてんかぎられる地上ちじょう航空機こうくうきのレーダーでしたられないものだったが、衛星えいせい搭載とうさいされたCPRから地球ちきゅう全体ぜんたい均一きんいつ観測かんそくできるとしている。

 ドップラー速度そくどは、救急きゅうきゅうしゃ通過つうかおと高低こうてい変化へんかすることで体感たいかんできる「ドップラー効果こうか」を利用りようして、反射はんしゃ周波数しゅうはすうのズレを測定そくてい(ドップラー計測けいそく)して、測定そくていから換算かんさんした対象たいしょうぶつ速度そくど

 CPRでさまざまなくもいき観測かんそくすることでくもつぶ降雨こうう成長せいちょうする仕組しくみの解明かいめい貢献こうけんできると説明せつめいくも気候きこうシステムにあたえる効果こうかは、くもたかさやかさなりかた種類しゅるいなどにおおきく影響えいきょうされることから、CPRでくもたか方向ほうこう情報じょうほうくも上下じょうげうごきもふくめて、世界せかい規模きぼ計測けいそくすることでくも気候きこう変動へんどうあたえる影響えいきょう解明かいめいにも貢献こうけんできるとしている。

 EarthCARE(Earth Cloud Aerosol and Radiation Explorer)はJAXAと欧州おうしゅう宇宙うちゅう機関きかんESA)が共同きょうどう開発かいはつ。CPRのほかに「大気たいきライダー(ATmospheric LIDar:ATLID)」、「波長はちょうイメージャー(Multi-Spectral Imager:MSI)」、「広帯域こうたいいき放射ほうしゃ収支しゅうしけい(Broad-Band Radiometer:BBR)」を搭載とうさいしている。くものほかに、大気たいきちゅう存在そんざいするホコリやチリなどの微粒子びりゅうしである「エアロゾル」をぜん地球ちきゅうてき観測かんそくして、気候きこう変動へんどう予測よそく精度せいど向上こうじょう目指めざす。

 気候きこう変動へんどう予測よそくは、コンピューターでシミュレーションされるが、シミュレーションの正確せいかくさは、自然しぜん現象げんしょうをいかに正確せいかく反映はんえいしているかが重要じゅうようになる。

 気候きこう変動へんどう予測よそく関係かんけいする自然しぜん現象げんしょうのすべてがあきらかになっているわけではないことから、現在げんざい気候きこう変動へんどう予測よそく確実かくじつせいがあると指摘してきされている。確実かくじつせいをもたらす要因よういんでとりわけおおきいとされているのが、地球ちきゅう大気たいき収支しゅうしでのくもやエアロゾルの効果こうかかんがえられている。

 EarthCAREは、これまで十分じゅうぶん観測かんそくされてこなかった垂直すいちょく方向ほうこうくもつぶやエアロゾルの分布ぶんぷくもつぶ上昇じょうしょう下降かこうする速度そくど計測けいそくするなどして、くもやエアロゾル、その相互そうご作用さようから放射ほうしゃ収支しゅうしのメカニズムを解明かいめいして、気候きこう変動へんどう予測よそく精度せいど向上こうじょうさせることが期待きたいされている。

 今後こんごは6カ月かげつあいだ、CPRの初期しょき機能きのう確認かくにんすすめたのち定常ていじょうてき観測かんそく運用うんよう移行いこうする予定よてい。データはJAXAのウェブサイト「G-Portal」などから提供ていきょうされる予定よてい。EarthCAREに搭載とうさいされる、のこり3つのセンサーはESAが開発かいはつしており、ESAが初期しょき機能きのう確認かくにんすすめている。CPRとESAのセンサーをふくあわした画像がぞう後日ごじつ公開こうかいする予定よていとしている。

EarthCARE(出典:JAXA、ESA)
EarthCARE(出典しゅってん:JAXA、ESA)

関連かんれん情報じょうほう
JAXAプレスリリース
EarthCARE/CPR特設とくせつサイト
EarthCARE特設とくせつサイト(ESA)
EarthCARE概要がいよう

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