エルミタージュ図書館としょかん

　たま〜にしかアップしないが、たま〜にしか読書どくしょをしていないわけではない。
　面白おもしろい本ほんでも備忘録びぼうろくを書かくには至いたらないこともあれば、備忘録びぼうろくをアップしたいがために読よみ直なおした本ほんもある。
　今回こんかいの作品さくひんは最初さいしょから備忘録びぼうろくを書かくつもりで紐解ひもといた。
　書店しょてんで注文ちゅうもんして本ほんを取とり寄よせることはまずない。ネット書店しょてんも使つかわない。欲ほしい本ほんがある時ときには気長きながに書店しょてん巡めぐりをする。音楽おんがくでは初回しょかい特典とくてんが欲ほしくて予約よやくすることもたま〜にあるが、予約よやくしたら安心あんしんして取とりに行いくのは発売はつばい２か月げつ後ごなんてのもざらだ。今回こんかいの『日本にっぽんでいちばん小ちいさな出版しゅっぱん社しゃ』は、生うまれて初はじめて朝あさ起おきて一番いちばんに高揚こうようとした気持きもちで書店しょてんに走はしった本ほんである。

　そもそもネットサーフィンをしていて見みつけた「出版しゅっぱん屋やの仕事しごと」というブログの書籍しょせき化か。ブログから書籍しょせき化かされた作品さくひんを何なん作さっか立だち読よみしたことがあるものの、ブログを紙かみの上うえに印字いんじ製本せいほんし直なおしただけのような安直あんちょくなものが多おおく、１分ふんくらいでＫＯの判定はんてい。しかし、今回こんかいはサイのマークの「晶文社しょうぶんしゃ」からの作品さくひん。期待きたいは高たかまる。

　ブログ「出版しゅっぱん屋やの仕事しごと」を斜ななめ読よみしていた人間にんげんにとっては、それなりに楽たのしい内容ないようだった。
　この出版しゅっぱん社しゃが他たの零細れいさい出版しゅっぱんと著いちじるしく異ことなる点てんは、書籍しょせきは取次とりつぎ（とりつぎ）という卸売おろしうりルートを利用りようして書店しょてんに本ほんを供給きょうきゅうするのだが、この取次とりつぎ口座こうざ開設かいせつがなかなか大変たいへんなようで、出版しゅっぱん社しゃ出身しゅっしんでも元もとライターでもないという人間にんげんが出版しゅっぱん社しゃを始はじめ、トーハン・日販にっぱんという２大だい取次とりつぎの口座こうざを持もつというから休眠きゅうみん口座こうざの譲渡じょうとを受うけたのか、廃業はいぎょう直前ちょくぜんの出版しゅっぱん社しゃの口座こうざを買収ばいしゅうしたのかと思おもっていたら、友人ゆうじんハッタリ君くんの指南しなんで２大だい取次とりつぎといきなり新規しんき口座こうざ開設かいせつしたということ。これは特筆とくひつに値あたいすることである。ただ注意ちゅういしなければならないのは、ネット上じょうには零細れいさい出版しゅっぱん社しゃの奮戦ふんせん記きがいくつかある。「ひとり出版しゅっぱん社しゃ」というのは数多かずおおく存在そんざいするようで、資本しほん金きんからしてもこの出版しゅっぱん社しゃが「日本にっぽんでいちばん小ちいさな出版しゅっぱん社しゃ」というのは正確せいかくでない。著者ちょしゃは、相場そうばで儲もうけ、高級こうきゅう車しゃに乗のり、文章ぶんしょうも書かけ、イラストも描えがけ、コンピューターも自在じざいに操あやつれ、余裕よゆうを持もって出版しゅっぱん業ぎょうを楽たのしんでいるので、ほかの零細れいさい出版しゅっぱん社しゃにみられるような切羽詰せっぱつまった試行錯誤しこうさくごや追おい詰つめられたストーリーはない。ほかの零細れいさい出版しゅっぱんの奮戦ふんせん記きを読よんでいる限かぎり、この本ほんを出版しゅっぱん社しゃ開業かいぎょうの参考さんこう書しょにすると過あやまちを犯おかしてしまうような気きがする。

　晶文社しょうぶんしゃの作品さくひんなのでブログを移植いしょくしただけの書籍しょせきではないものの、実践じっせん的てき内容ないようより徒然つれづれ的てき表現ひょうげんが多おおく感かんじられた。特とくに、出版しゅっぱん界かいに興味津々きょうみしんしんの読者どくしゃにとって肝心かんじんなシステムの話はなしなどにおいては、著者ちょしゃの推測すいそくで書かかれ、著者ちょしゃの推測すいそくのまま、あるいは「わからない」で終おわってしまっている箇所かしょがいくつかあり、読よんでいて消化しょうか不良ふりょうを起おこしてしまった。本ほんの内容ないよう上じょう、営業えいぎょう部ぶも初期しょきの編集へんしゅうに参加さんかさせ、欄外らんがい注釈ちゅうしゃくなども用もちいて、もう一いち歩ほ踏ふみ込こんだものにしてほしかった。

　それにしても、サイのマークの本ほんを買かったのは久ひさしぶりだが、なんか「情報じょうほうセンター出版しゅっぱん局きょく」の『気分きぶんはダボダボ出版しゅっぱん社しゃ』的てきテイストに感かんじたのは私わたしだけだろうか？