高校生個人情報とIBMプログラム拡散…容疑の男逮捕
神奈川県立高校に2006年度に在籍した全生徒約11万人の個人情報が流出した問題に絡み、警視庁は29日、東京都八王子市館町、無職川嶋一洋容疑者(50)を著作権法違反容疑で逮捕した。
発表によると、川嶋容疑者は昨年11月7日、日本IBM(東京都港区)が著作権を持つ社内向けプログラムを、ファイル交換ソフト「シェア」を使ってインターネット上に流出させ、同社の著作権を侵害した疑い。
川嶋容疑者はこのプログラムと一緒に、県立高校の生徒の個人情報を流出させたが、ファイル交換ソフトでの情報流出を取り締まる法律がないことから、プログラムの著作権法違反だけが問われる形となった。
この問題を巡っては、同県立高校の授業料徴収システムの開発を受注した日本IBMの下請け業者のパソコンがウイルスに感染し、08年6月、生徒の名前や振替口座番号などが含まれた計約11万人分の個人情報が流出。流出に気付いた川嶋容疑者は同年11月、このうち生徒約2000人分をシェアを使って、さらに拡散させたという。
川嶋容疑者は調べに対し、「IBMが情報流出の発覚後もきちんと対応しなかったため、(警告のため)流した」と供述。同庁では、流出元がIBMであることを周知するため同社のプログラムも一緒に公開したとみているが、川嶋容疑者は「プログラムの公開が違法になるとは知らなかった」と供述している。
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2004年頃に日本で開発され、無料配布されているファイル交換ソフト。インターネットを通じ、不特定多数の人と文書や画像などを共有できる。先に開発された「ウィニー」に比べて知名度が低かったが、匿名性が高いとされ、一時、利用者が急増した。 |
(2009年7月30日 読売新聞)