今は勉強に集中。悩みは職業の選択。
ニューヨーク・ブルックリンのイーストリバー沿いの歩道で
ブルックリンにあるエドワード・マロー高校に通っているんだ。学校の名前は、第2次世界大戦(だいにじせかいたいせん)でも活躍した有名なジャーナリストにちなんでいる。1974年の開校当時はジャーナリズム教育に力を入れようと、この校名にしたと聞いている。今では一般教養(いっぱんきょうよう)に熱心な公立総合高校として知られた存在だよ。
マロー高校はとにかく自由なところがいいね。選択科目だって多い。僕はインターネットのウェブサイトをデザインする授業をとっている。クラブ活動も盛んで、アニメ観賞(かんしょう)からコンピューターゲーム、料理まで50くらいある。ユニークなのは同性愛(どうせいあい)の生徒のためのクラブ。自分が同性愛者だと公表する生徒も多くて、親睦(しんぼく)を目的としたイベントをいろいろ開いている。
僕は1年生の時は討論(とうろん)クラブに入っていたけど、2年生の今は勉強に集中している。でも、勉強の合間には読書を楽しんでいるよ。いま読んでいるのはチャールズ・ディケンズの「二都物語(にとものがたり)」。だんだん面白さがわかってきた。忘れられないのは、小学校6年の時に読んだ「ア・レーズン・イン・ザ・サン」(日なたの干しぶどう)だね。
卒業後は、ハーバードやエールなど名門大学に進学する生徒も多い。僕? まずジョージア工科大、その後はジョージタウン大のロースクールに進もうと思っている。将来の職業として弁護士を選ぶか、コンピューター技術者を選ぶか、そこが悩みだね。(文と写真・大塚隆一)
■エドワード・マロー 伝説的(でんせつてき)な放送ジャーナリスト。第2次大戦中、米CBSの特派員(とくはいん)としてドイツ軍のロンドン空爆(くうばく)をラジオで生々しく伝えた。戦後はCBSテレビのニュースの初代キャスターを務めた。
■ア・レーズン・イン・ザ・サン 黒人の女性劇作家ロレイン・ハンスベリーのロングセラー戯曲(ぎきょく)。シカゴの黒人家庭を描いた作品で、1959年にブロードウェーで初演。映画やテレビドラマにもなった。
(2006年3月28日 読売新聞)