(Translated by https://www.hiragana.jp/)
調整一巡後は、ドル売りが優勢か : 為替を読む : 投資講座 : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20091024123940/http://www.yomiuri.co.jp:80/atmoney/kouza/kawase/20091019-OYT8T00869.htm



現在位置は
です

投資とうし講座こうざ

一覧いちらん
本文です

調整ちょうせいいちじゅんは、ドルりが優勢ゆうせい


1 概況がいきょう一段いちだんとドルやすすすむも、もどしが優勢ゆうせい

 先週せんしゅうのドルえん相場そうばは、1ドル89えん水準すいじゅんまでドルやすすすんだものの、しゅう後半こうはんにドルのもどしが優勢ゆうせいとなり、91えんだいまで上昇じょうしょう結局けっきょくぜん週末しゅうまつ1えん18ぜにえんやすドルだかの90えん92ぜにでクローズした。

 先週せんしゅう前半ぜんはん、ドルは上値うわねおも推移すいい。12にちセントルイス連銀れんぎん総裁そうさいの「インフレリスクを過小かしょう評価ひょうかすべきでない」との発言はつげんや、北朝鮮きたちょうせん短距離たんきょりミサイルを発射はっしゃしたとの報道ほうどうにもかかわらず、ドル上昇じょうしょう限定げんていてきだった。一方いっぽう比較的ひかくてき良好りょうこうべい企業きぎょう決算けっさんけたべいかぶだかと、商品しょうひん市況しきょう上昇じょうしょうから利益りえき確定かくていのドルりがふくらみ、13にちのドルえん一時いちじ88えん83ぜに週間しゅうかん安値やすねをつけた。しかし、88えんだいにはながくとどまらず、クロスえんいにささえられ89えんだいもどした。

 15にちえいちゅうぎん金融きんゆう政策せいさく委員いいんフィッシャーのインタビュー記事きじに、えいちゅうぎん資産しさんりを一時いちじ休止きゅうしするのではないかとの憶測おくそく市場いちばながれ(一部いちぶにM&Aにからむフローがあったとのうわさもあるが)、これまでりの通貨つうかとされていたいぎりすポンドが急速きゅうそくもどされ、為替かわせ市場いちば全体ぜんたいこう調整ちょうせいしやしている通貨つうか反対はんたい売買ばいばいして、決裁けっさい残高ざんだか調整ちょうせいすること)のながれとなった。資源しげん通貨つうかやユーロがられてドルが上昇じょうしょう、ドルえんもドルだかえんやすながれとなり、90えんだいなかばのポイントをうえけた。16にちには、週間しゅうかん高値たかねの91えん33ぜにをつけ、90えん92ぜに近辺きんぺんしゅうえとなった。

2 見通みとおし:ドル下落げらく局面きょくめん継続けいぞく

 今週こんしゅうのドルえん相場そうばは、こう調整ちょうせいのドルいにしゅうはつはややドル堅調けんちょう地合じあいとなりそうだ。しかし、調整ちょうせいいちじゅんふたたびドルりが優勢ゆうせいとなる展開てんかい予想よそうする。

 オーストラリアちゅうぎん利上りあげ(今月こんげつ6にち)や、先週せんしゅうえいちゅうぎん資産しさん休止きゅうし憶測おくそくなど、市場いちば参加さんかしゃちょう金融きんゆう緩和かんわ出口でぐちろんとそのタイミングについて神経質しんけいしつとなっている。当面とうめん主要しゅようこくではちょう金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく継続けいぞくするとの見方みかた優勢ゆうせいであるが、一方いっぽう株式かぶしき市場いちば商品しょうひん市況しきょうがそれを意識いしきして上昇じょうしょうつづけるようであれば、インフレ懸念けねんなど当局とうきょくしゃ牽制けんせい発言はつげんえるだろう。

 今週こんしゅう注目ちゅうもく指標しひょうは、べい住宅じゅうたく着工ちゃっこう件数けんすう生産せいさんしゃ物価ぶっか指数しすう20日はつか)、べい地区ちく連銀れんぎん報告ほうこく(21にち)、日本にっぽん貿易ぼうえき収支しゅうしべい景気けいき先行せんこう指数しすう(22にち)、中古ちゅうこ住宅じゅうたく販売はんばい(23にち)とつづく。また、金融きんゆう当局とうきょくしゃ発言はつげんとしては、19にち20日はつかべい連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじかい(FRB)のバーナンキ議長ぎちょう講演こうえん注目ちゅうもく。その新聞しんぶん・メディアなどでの重要じゅうよう人物じんぶつ発言はつげんには留意りゅういしておきたい。

 金融きんゆう当局とうきょくしゃ発言はつげんそうじて、為替かわせ水準すいじゅんには限定げんていせず、過度かど為替かわせ変動へんどう注意ちゅういはらっているものがおおい。一方向いちほうこう相場そうばぎると調整ちょうせいはいることはいなめず、注意ちゅういしながらのドル下落げらく局面きょくめんがまだ継続けいぞくするとかんがえる。

3 ズバリ:今週こんしゅう予想よそうレンジ

予想よそうレンジ
89.00〜92.00えん

ちょう金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく出口でぐちろん神経質しんけいしつ市場いちば

 今月こんげつ6にちごうちゅうぎん政策せいさく金利きんりを0.25ポイントげた。G20(世界せかい20かこく地域ちいき)のなかでは金融きんゆう危機きき以降いこうはつであり、金利きんりきを予想よそうしていた市場いちば関係かんけいしゃにとってはサプライズな出来事できごととなった。

 ごうちゅうぎん総裁そうさいは、「深刻しんこく景気けいき縮小しゅくしょうリスクはもはやり、金融きんゆう政策せいさくにより景気けいき刺激しげき徐々じょじょゆるめる」とべ、さら後日ごじつ利上りあげに臆病おくびょうになりぎることはできない」と追加ついか利上りあげにふくみをたせる発言はつげんをした。豪州ごうしゅうかんしては欧米おうべい諸国しょこくくら経済けいざいがりが比較的ひかくてきはやいとられていたので、サプライズは市場いちばれられた。

 米国べいこくにおいては、バーナンキFRB議長ぎちょうが8にち緩和かんわさく長期ちょうきにわたり正当せいとうされる公算こうさんおおきい」としつつも、「しかしながら景気けいき回復かいふくろすにれて金融きんゆう政策せいさくめる必要ひつようせいがあるだろう」とコメント。市場いちば一瞬いっしゅんグラついたが基本きほんてきかんがかた変化へんかはないとすぐおさまった。

 先週せんしゅう英国えいこく金融きんゆう政策せいさく委員いいんフィッシャー新聞しんぶんインタビュー記事きじ市場いちばふたたびグラついた。ちゅうぎん利下りさげや量的りょうてき緩和かんわさく効果こうかをもたらしているとコメントし、その記事きじ内容ないようからもっとおそいとおもわれていた英国えいこく量的りょうてき緩和かんわ解除かいじょはやまるのではないかと市場いちば憶測おくそくながれたためである。

 現状げんじょうのグローバルな景気けいき判断はんだんからすると、欧米おうべいなど先進せんしん主要しゅようこくちょう金融きんゆう緩和かんわ政策せいさく解除かいじょはやくても来年らいねんだい2四半期しはんき以降いこうとの見方みかたおおい。しばらくは潤沢じゅんたく流動りゅうどうせい資金しきん余剰よじょう環境かんきょうかぶ債券さいけん商品しょうひんなど資産しさん市場いちば回復かいふく傾向けいこうつづくものとられている。為替かわせ市場いちばにおいては、資源しげん通貨つうか新興しんこうこく通貨つうか高金利こうきんり通貨つうか選好せんこうされ、対価たいかでドルや金利きんりひく先進せんしん主要しゅようこく通貨つうかられる傾向けいこうがまだ継続けいぞくしそうだ。

 ただし、ヘッジファンドなど海外かいがいぜい決算けっさんである11月や12月がちかづくにれ、相場そうば一方向いちほうこうぎた場合ばあい金融きんゆう当局とうきょくしゃ出口でぐちろんなどへの発言はつげん意図いとせざるおおきなこう調整ちょうせいさそうことも想定そうていされる。これからの時期じきくれぐれも注意ちゅういしたいところである。


プロフィール

 たけし  (かべ・たけし)
みずほコーポレート銀行ぎんこう 国際こくさい為替かわせ


みずほコーポレート銀行ぎんこう国際こくさい為替かわせ為替かわせディーラーが執筆しっぴつ担当たんとうします。(「先週せんしゅう」「今週こんしゅう」などの表記ひょうきは、執筆しっぴつ基準きじゅんにしています)
2009ねん10がつ19にち  読売新聞よみうりしんぶん
現在位置は
です