(Translated by https://www.hiragana.jp/)
実は東野ファン、『さまよう刃』でベテラン刑事役 伊東四朗さん(前編) : あの人らしく : 生き方!私流 : 新おとな総研 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20091012043515/http://otona.yomiuri.co.jp:80/people/jaward/091009.htm
現在位置は
です

本文です

抽選ちゅうせんでギフトカードをプレゼント! ユーザーアンケート実施じっしちゅう

じつ東野とうのファン、『さまよう』でベテラン刑事けいじやく 伊東いとう四朗しろうさん(前編ぜんぺん

 主役しゅやくではないが、このひと登場とうじょうすると作品さくひんあつみとおもみがくわわる。そんな雰囲気ふんいき俳優はいゆう伊東いとう四朗しろうさんだ。伊東いとうさんの最新さいしん出演しゅつえんさくは、発表はっぴょうされるたびにテーマが話題わだいになる人気にんき作家さっか東野とうの圭吾けいごさん原作げんさくの『さまよう』。少年しょうねんほうこす矛盾むじゅんと、むすめをレイプ殺人さつじんうしなったちち無念むねんめながら、ほうのっと職務しょくむ遂行すいこうするベテラン刑事けいじ真野まのえんじている。「このなか、ちょっとへんだ」とかんじながら、伊東いとうさんは真野まの刑事けいじえんじたという。

原作げんさくえた翌日よくじつに、出演しゅつえん依頼いらい

――『さまよう』は、おも内容ないよう反比例はんぴれいするように150まんのベストセラーとなりましたが、被害ひがいしゃ家族かぞく報復ほうふくえが衝撃しょうげきてき内容ないようゆえに、映像えいぞう困難こんなんといわれていました。

 わたしも、主人公しゅじんこう長峰ながみねいだったら、かれ手助てだすけしているでしょうね。もう、原作げんさくみながら、なにとかしてやりたいとかんがえていましたから。

 じつは、わたし東野とうのさんの小説しょうせつはほぼんでいまして、この仕事しごと前日ぜんじつにこの原作げんさくえていたんですよ。マネジャーから「『さまよう』というほんんでもらいたい」と電話でんわがあって、「ちょうど、昨日きのうえたところだけど」「えっ!? じつはその映画えいがはなしたんです」と。すごい偶然ぐうぜん興奮こうふんでした(笑)かっこわらい

 

――伊東いとうさんご自身じしん熱心ねっしん読者どくしゃということで、東野とうの作品さくひん魅力みりょくおしえてください。

 ハッピーエンドじゃないのがいいんです。東野とうのさんのかたは、淡々たんたんとした描写びょうしゃつづくうちにこわくなる衝撃しょうげきてきなことを何気なにげなくくからこま(笑)かっこわらいむかしからの怪談かいだんばなしも、おどろおどろしく映像えいぞうにするとこわくなくなっちゃう。それよりてこないおけや幽霊ゆうれいほうこわいものでしょ。それとおなじ。『さまよう』はそのうえで、読者どくしゃに「もしあなたなら、どうしますか?」といかけて、こりゃこまったもんだとかんがえさせる。わたしだけではなく、『さまよう』をんだひとも、映画えいがひとも、少年しょうねんほうかんして「このなか、ちょっとへんだ」とおもうはずなんです。時代じだいわない少年しょうねんほうでいいのかと。だからといって、家族かぞくによる報復ほうふく復讐ふくしゅうゆるされるのだろうかと。

 読者どくしゃあたましんさぶる傑作けっさくではあるけれど、映画えいがしないだろうとおもっていた。映画えいがてきはながないからね(笑)かっこわらい。それが、映画えいがになるってことにビックリ、わたし真野まの刑事けいじやくだということでビックリ。年齢ねんれいてきにも、ペンションのおやじさんかなとおもってましたから。

 

生活せいかつかんのない刑事けいじやくせるものは

――原作げんさくでは目立めだたない存在そんざいだった真野まの刑事けいじが、映画えいがでは捜査そうさぱしりがちな織部おりべ刑事けいじを諫(いさ)めるやくとして、かなり重要じゅうようなポジションになっていますね。

 そう。脚本きゃくほんのラストちかくをんで、「え、わたしが?」とさんビックリ(笑)かっこわらい

 真野まの刑事けいじだってわかころは、たけ野内やないゆたかくんがえんじた織部おりべ刑事けいじのように、じょうながされたり、正義せいぎつらぬこうと熱意ねつい先走さきばしることがあったとおもうんです。それが長年ながねんあいだに、いろんな人間にんげん、しがらみにはばまれ、諦観ていかんいたったんでしょう。真野まの刑事けいじ真実しんじつおしえてほしいとすがる遺族いぞくにウソをついたのちで、織部おりべ刑事けいじに「遺族いぞくはどんなことでもりたがる」とかた場面ばめんがあるんですが、あのセリフは被害ひがいしゃがわにしたら、なんて傲慢ごうまん(ごうまん)なんだとおもわれるセリフですよね。でも、過去かこかえると、結局けっきょくそれがベストの対応たいおうだったと、経験けいけんからはっせられた言葉ことばなんでしょう。

 

――伊東いとうさんはこれまでに、『西村にしむら京太郎きょうたろうサスペンス十津川とつかわ警部けいぶシリーズ』などで警官けいかん刑事けいじやくえんじていらっしゃいましたが、真野まの刑事けいじはかなりタイプのちが刑事けいじですよね。

 刑事けいじドラマにおきまりの「バカ野郎やろう!!」なんて怒鳴どなるシーンがないのがよかった(笑)かっこわらい

 原作げんさくでも映画えいがでもそうだけど、真野まの刑事けいじがどんなところにんでいて、息子むすこむすめがいるのか、普段ふだんどんなことをしているのか、まったく生活せいかつかんがなかったのがよかった。真野まの刑事けいじ年齢ねんれいだとおそらく子供こどもがいるはずで、中学生ちゅうがくせいおんながレイプされてころされる事件じけん担当たんとうしたら、おやじょう仕事しごと影響えいきょうしそうでしょう。真野まの刑事けいじ生活せいかつかんたせないことで、かれのストイックでぶれないめんせているんです。

 おそらく、かれおなじような事件じけんてきて、その都度つどやりきれなくなるんじゃなくて、「まただ」とおもうんでしょうね。なにとかしたくてもできないし、定年ていねん退職たいしょくむかえても心残こころのこりばかりで……。自分じぶんえんじながら、「あのひとはこののち、どうなっちゃうんだろう」と心配しんぱいになりました。

後編こうへんつづきます。)

伊東いとう 四朗しろう(いとう しろう)

1937ねん東京とうきょうまれ。58ねん浅草あさくさ演技えんぎじょうでデビュー。62ねんにてんぷくトリオを結成けっせいし、国民こくみんてき人気にんきはくす。TVドラマ、バラエティー番組ばんぐみ舞台ぶたい幅広はばひろ活躍かつやく。87ねん『マルサのおんな』、06ねん『THE 有頂天うちょうてんホテル』、07ねん『しゃべれどもしゃべれども』、08ねん築地つきじ魚河岸うおがしさん代目だいめ』など多数たすう映画えいが出演しゅつえん

2009ねん10がつ09にち  読売新聞よみうりしんぶん

▲この画面がめんうえ

現在位置は
です