老人ろうじんホームの契約けいやくトラブル、都とが苦情くじょう相次あいつぎ事例じれい公表こうひょう

　老人ろうじんホームに関かんするトラブルが相次あいついでいる。入居にゅうきょ契約けいやくや解約かいやくをめぐる苦情くじょうが目立めだつ。

　東京とうきょう都とは、入居にゅうきょ一いち時じ金きんの返還へんかん額がくが少すくないことから起おきたトラブルを、間あいだに立たってあっせんし解決かいけつした事例じれいを公表こうひょう。再発さいはつ防止ぼうしを呼よびかけている。

　都とによると、都内とないで働はたらく６０歳さい代だいの男性だんせいは２００６年ねん、都内とないの介護かいご付つき有料ゆうりょう老人ろうじんホームに９０歳さい代だいの母親ははおやを入居にゅうきょさせるため、入居にゅうきょ金きん約やく４５０万まん円えん（入居にゅうきょ申もうし込こみ金きん約やく１００万まん円えん、入居にゅうきょ一いち時じ金きん３５０万まん円えん）を支払しはらった。

　母親ははおやは入居にゅうきょして１年ねん数すうか月げつ後ご、突然とつぜん病気びょうきになり入院にゅういん。その後ご、快方かいほうに向むかったので老人ろうじんホームに戻もどろうとしたが、「夜間やかんは看護かんご師しが不在ふざいで看護かんごはできない」と言いわれ、やむを得えず退すさ居きょした。

　しかし、入居にゅうきょ時じのパンフレットには「安心あんしんの医療いりょう２４時じ間あいだ体制たいせい」など充実じゅうじつした医療いりょう体制たいせいを印象いんしょう付つける内容ないようが書かかれていた。また、約やく１年ねん６か月げつの入居にゅうきょ期間きかんで入居にゅうきょ一いち時じ金きんの返還へんかん金きんが約やく１０万まん円えんだったことから、男性だんせいは都と消費しょうひ生活せいかつ総合そうごうセンターに相談そうだんをした。

　都知事とちじの付託ふたくにより調停ちょうていなどを行おこなう都と消費しょうひ者しゃ被害ひがい救済きゅうさい委員いいん会かい（会長かいちょう・淡路あわじ剛久たけひさ早大そうだい教授きょうじゅ）は、入居にゅうきょ一いち時じ金きんは家賃やちんの一部いちぶ前払まえばらいにあたり、入居にゅうきょ期間きかんに応おうじて償却しょうきゃくされるべきで、残額ざんがくは返還へんかんすべきだと判断はんだん。老人ろうじんホームが約やく１８５万まん円えんを返還へんかんする内容ないようであっせんし、解決かいけつしたという。パンフレットについても、入居にゅうきょ希望きぼう者しゃに誤解ごかいを与あたえるような表示ひょうじをしないように求もとめた。

　また、今後こんご同様どうようの問題もんだいが発生はっせいした場合ばあい、今回こんかいのあっせん案あんの考かんがえ方かたに沿そった対応たいおうを事業じぎょう者しゃに求もとめた。

　都とは、老人ろうじんホーム入居にゅうきょ検討けんとう時じの注意ちゅうい点てんとして、〈１〉同おなじ会社かいしゃが運営うんえいしていても施設しせつごとに条件じょうけんが異ことなるので、資料しりょうを入手にゅうしゅし、納得なっとくするまで説明せつめいを受うける〈２〉体験たいけん入居にゅうきょを行おこない、介護かいご・看護かんご体制たいせいなどの実情じつじょうを把握はあくする〈３〉退去たいきょしなければならない条件じょうけん、入居にゅうきょ一いち時じ金きんの返還へんかん条件じょうけんをきちんと確認かくにんする――などを挙あげている。

　国民こくみん生活せいかつセンターによると、０８年度ねんどに全国ぜんこくの消費しょうひ生活せいかつセンターに寄よせられた老人ろうじんホームについての相談そうだんは５６３件けんで、３年ねん前まえの１・５倍ばいに増加ぞうかした。

（2009年ねん11月8日にち 読売新聞よみうりしんぶん）