オートバイの世界選手権250ccクラスで、初の年間チャンピオンに輝いた青山博一選手(28)が26日、ホンダ本社で会見を開いた。青山選手は「チームがないところから始まった今季、まさかチャンピオン争いができるとは思っていなかった。いまの日本モータースポーツ界の気持ちが僕を押し上げてくれた」と感謝していた。10年からは「インターヴェテン・ホンダ・モトGPチーム」から「RC212V」で、世界最高峰「モトGP」への参戦が決定。「最高峰で僕のレベルをどんどん高めていって、(モトGPクラスで)世界チャンピオンを獲れるように頑張っていきたい」とさらなる飛躍を誓った。
青山選手は5歳でポケットバイクに出合い、14歳のときロードレースを目指してミニバイクに移行。その後、プロレーサーの育成機関「桶川塾」(埼玉県川島町)に入塾し、技術を磨いた。98年、18歳で国内のロードレースにデビューし、翌年には名門「ハルクプロ」から「全日本ロードレース選手権」125ccクラスに挑戦し、2度の優勝を経験。00年には同250ccクラスに転向し、3勝を挙げ年間2位で新人王に輝いた。続く02年も年間2位と安定した強さで、03年は全6戦中5度の優勝を飾り初の年間王者に。実力が認められ、「ホンダ・レーシングスカラシップ」の第1期生に選出され、04年から世界選手権の250ccクラスにステップアップした。
05年、「日本グランプリ(GP)」で初優勝し年間ランキング4位に。スカラシップを終えた06年は、この年からレースに新参戦した「KTM」に移籍し、エースラーダーとしてチームをけん引、「日本GP」では2年連続優勝を果たしている。「KTM」の撤退で、今季はホンダの「スコット・レーシング・チーム」から参戦。開幕戦4位、続く「日本GP」で2位に入る活躍を見せ、第3戦の「スペインGP」では壮絶なバトルを制し、2年ぶりの優勝を手にした。年間4勝を挙げ、自身初のシリーズタイトルもつかんだ。同クラスで日本人選手が優勝するのは01年の加藤大治郎選手以来、日本人3人目。
会見では、年間優勝を決めた第17戦「バレンシアGP」について、「11位で終えればチャンピオンが決まったが、これまで(同クラスで)9勝していたので、10勝目を挙げたいと思っていた」といい、レース中コースを飛び出した場面では「心臓が飛び出そうでした。神様に、チャンピオンはそう簡単に取れないよと言われた気がした」と苦笑い。終盤に王者の座を争った選手が転倒したことで、レース中に年間優勝が決まったことが分かった際は「まさかと思った。一生忘れないレース」と振り返っていた。【西村綾乃】