(Translated by https://www.hiragana.jp/)
楽コレ! 人生は夕方から楽しくなる:8年ぶりソロアルバム 財津和夫さん - 毎日jp(毎日新聞)
The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20091203075922/http://mainichi.jp:80/tanokore/interview/002600.html
 
インタビュー

人生じんせい夕方ゆうがたからたのしくなる:8ねんぶりソロアルバム 財津ざいつ和夫かずおさん

2009ねん11月30にち

 「ぼくにとってチューリップは、しずかな別荘べっそうにある一軒家いっけんやというかんじなんですよ」。そのココロは? 「ウフフ。どうしてもきたくなるときがあるんです」。でも見慣みなれた風景ふうけいでずーっといるときてしまう? 「かっているんですけどね」

zaitu.jpg

 1970年代ねんだい、チューリップをひきいてニューミュージックというあらたな分野ぶんやひらき、「しんたび」「青春せいしゅんかげ」など数々かずかず名曲めいきょくおくした財津ざいつ和夫かずおさん(61)。いまはソロとしてはしつづけるみずからの原点げんてんを、吟遊詩人ぎんゆうしじんのように「別荘べっそう」にたとえた。

 財津ざいつさんの音楽おんがくには青春せいしゅんのイメージがただよう。希望きぼうあふれるぶしとして、だけではない。わかさゆえにうちててしまった大切たいせつなものへの悔悟かいごときににじむ。けれども、8ねんぶりとなるオリジナル・ソロアルバム「ふたりがながめたまどこう」はいささかおもむきことにする。若々わかわかしいポップな色合いろあいはうすれ、しずかな曲調きょくちょう作品さくひん構成こうせいされている。言葉ことばひとひとつがみみますものしんひびく。「たとえちいさくても あたためていれば(りゃく)それはつかめるはず つたえたいきみに しあわせのこと」(「かぜのみえる部屋へや」)。そこには"わがままなおとこ"や"ゆるせないおんな"もてこなければ、"いちにん汽車きしゃってしまうボク"もいない。「ちいさなしあわせでいい」とつづるには素直すなおなまなざしだけがひかる。

 「昨年さくねん還暦かんれきむかえました。やはり年齢ねんれいということなのでしょう。等身とうしんだい自分じぶんなんですね。消極しょうきょくてきえば、わかいときのようにうたうことができないんです」

 謙遜けんそん(けんそん)だろう。かみしろいものがえたとはいえ、透明とうめいかんのあるこえわらない。けれども「余命よめい」なんていうドキリとする言葉ことばくちにする。

 「自分じぶんはこれからどれだけ作品さくひんせるのだろうかという、焦燥しょうそうかんのようなものが年々ねんねんつよくなっています。あと、どれくらい――とかんがえると、できることはいまのうちにやっておきたい、というおもいが本当ほんとうつよくなってきました」

 50さいむかえたとき、あるインタビューで「青春せいしゅんぎ、いまあき紅葉こうようたのしむ時期じき」とはなしていたというのに、還暦かんれきさかいえる風景ふうけいがまるでわってしまったようだ。

 「春夏秋冬しゅんかしゅうとう、その意味いみではもうふゆ片足かたあしはいっているかんじがしますね」

 Wake Upというわけにいかないのか......。

 浪人ろうにんちゅう、ビートルズの日本にっぽん公演こうえんたのをきっかけに、故郷こきょう福岡ふくおかでバンド活動かつどうはじめた。71ねんにチューリップを結成けっせいすえだったが、バンドではリーダーとして長男ちょうなん役割やくわりになった。89ねんに18ねん活動かつどうまくろした。そのなん期間きかん限定げんていさい結成けっせいをしているが、音楽おんがく活動かつどうれき38ねんむかえるなか、ソロとしての活動かつどうれきのほうがながい。

 「じつは、福岡ふくおかから上京じょうきょうしたおりも、3ねんでいいとおもっていたんです。自分じぶんらないあらたな分野ぶんやにチャレンジしたいとおもっているうちに、がついたらここまでてしまった、というかんじなんです」

 しかし、こうくわえた。

 「やりたいことがまだまだあるんですよ。ボクのあたまなかには、あと2、3まいのアルバムができているんです。アメリカンポップスにハードロック。ふゆつぎはる。そう、はるえてくるまでは、やっていきたいとおもっているんです」

 春夏秋冬しゅんかしゅうとう、そしてはる――。

 かたむはじめたあきがビルがいをあかねしょくはじめた。ならんでちかくの公園こうえんへ。唐突とうとつに「学生がくせい時代じだい、バンドをやったことは?」とたずねられた。なんこたえていいかからないまま「いや......もう」とひとりごちていると、財津ざいつさんはしみじみとした口調くちょうはなはじめた。

 「ぜひ、またはじめたほうがいいですよ。ウン、それがいい」

 いち呼吸こきゅういてつづけた。

 「バンドのほうたのしいことはおおいですよ。なるほどくるしいこともありますけどね、一人ひとりでやると孤独こどくですよ。煮詰につまってしまうんです」

 ひょっとして、別荘べっそうきたくなってきたとか?

 「ってみたら、『またなんで?』なんておもったりしてね」

 口元くちもとにほのかな含羞がんしゅう(がんしゅう)のいろがさした。【隈元くまもとひろし彦】

 ■人物じんぶつ略歴りゃくれき

 ◇ざいつ・かずお 1948ねんまれ。がけた楽曲がっきょくは600以上いじょうしんアルバムには小田おだ和正かずまさらが参加さんかした。12月じゅうにがつ中旬ちゅうじゅんにはソロベスト「財津ざいつ和夫かずおきょくたち 1・2」がリリース。

はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事きじ印刷いんさつ

PR情報

インタビュー アーカイブ一覧いちらん

昭和しょうわ毎日まいにち
ふる昭和しょうわ時代じだいへタイムトラベル。あのころなつかしい写真しゃしんやニュースを掲載けいさいします。

紅葉こうよう情報じょうほう2009】
紅葉こうよう写真しゃしん募集ぼしゅうちゅううつくしい紅葉こうよう写真しゃしん投稿とうこうしてみませんか。

あき夜長よなが物思ものおもいにふけることはありませんか?

つづきを

おすすめ情報じょうほう

注目ちゅうもくブランド

一覧いちらん

特集とくしゅう企画きかく