「親子、兄弟の血縁関係で経営をたらい回しにし、会社を私物化してきたことの表れ」(アナリスト)。相次ぐお家騒動の理由に創業家支配を挙げる声は多い。
セイコーは服部時計店を興した服部金太郎氏が創業者。長男の玄三氏が2代目、二男の正次氏が3代目を務め、4代目に玄三氏の長男の謙太郎氏、5代目に二男の礼次郎氏が就いた。インスツルを解任された純市氏は謙太郎氏の長男。
6代目以降は一族以外から就いたが、礼次郎氏が事実上の権力を掌握。10代目の真二氏で再び創業家に戻る。真二氏は謙太郎氏の二男で叔父に当たる礼次郎氏の養子という複雑な関係だ。しかも礼次郎氏は名誉会長の肩書のまま残る。
「創業家は経営から離れ、株主としての所有と経営を分離すべきだ」(同)との指摘も聞かれる。だが、真二社長は「検討課題だが、(創業家社長は)長期的な視点が持てる」とし、「独断専行にならないよう気をつける」と、その気はないようだ。
世界に輝く「SEIKO」ブランドは、再び輝きを取り戻すことができるのだろうか。(飯塚隆志)