住まいの売買契約を結んだら、もう後戻りはできない。 契約前に行われる重要事項説明は物件チェックの最後の機会だ。担当者の説明をよく聞いて、分からない点は遠慮なく質問を。
物件や契約の内容について、十分に理解、納得してから契約書に署名・捺印しよう。
重要事項説明書には専門用語が多く、一見してウンザリしてしまう人も多い。
でも、書かれている内容は、これまであなたが行ってきた物件チェックの総まとめなのだ。分からないところには印を付けて、仲介会社の担当者にしっかり聞くこと。肩の力を抜いて、目を通してみよう。
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主な内容 |
チェックポイント |
物件の表示 |
売買の対象となる物件の所在地や面積など |
記述に誤りなどがないか、パンフレットと見比べる。 専有面積が50㎡前後の場合、登記簿面積を確認。これが50㎡未満だとローン控除などが受けられない |
登記簿に記載された事項 |
住戸の所有者や抵当権者など、住まいの権利関係について |
購入する住戸の所有者と、売主は同じ人か、抵当権が付いている場合は、引き渡しまでにはずされるか確認 |
法令上の制限 |
物件のある地域の「用途地域」や「建ぺい率・容積率」など、法律で定められた内容について |
築年の古い物件は、将来建て替える場合、今より広い建物にできるか確認。 また、バルコニーの向かい側に空き地や駐車場がある場合、何階建ての建物が建つ可能性があるのか聞いてみよう |
土地・建物の形状と構造 |
敷地の形状や建物の構造、仕様について詳しく説明される |
・過去、住戸内の設備などが故障したことがないか確認(重要事項説明書には記載されない)
・物件状況確認書」の「物件の状況」「付帯設備確認表」などをチェック |
管理について |
管理形態や管理費、修繕積立金の説明 |
管理規約や管理委託契約書、長期修繕計画なども見せてもらい、管理の内容をチェック。
管理費、修繕積立金の金額も、もう一度確認しておこう |
共用部分について |
建物の共用部分や施設の内容や使用料などについて |
図面集の敷地配置図や平面図を見ながら、どの部分が共用部分なのか確認しておこう |
売買契約時に取り交わす約束ごと(契約条項)の中で、特に重要なものについても説明が行われる。
一般的に交わされる契約と同じ内容かチェックしておこう。
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主な内容 |
チェックポイント |
手付金 |
手付金の金額等について記載される |
手付金の金額は事前の打ち合わせ通りか (売主が不動産会社の場合は、売買代金の20%が限度、保全措置が講じられる) |
契約の解除 |
「相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付金の放棄、売主は手付金の倍額を返して契約解除できる」とするケースがほとんど |
「契約の履行に着手」は、具体的にいつのことを指すのか、聞いておこう。 「○月×日まで」と明確に期日を決めるケースもある |
契約不履行と違約金 |
「相手方が契約不履行の場合などは、契約を解除できる。契約不履行者は違約金を払わないといけない」とするケースがほとんど。 違約金の金額についての規定もある。 |
違約金の金額はいくらくらいか (売主が不動産会社の場合は、売買代金の20%が限度) |
ローン特約(金銭貸借のあっせん) |
「借り入れを予定している住宅ローンが借りられない場合、買主は売買契約を無償解除できる。売主は既に受け取ったお金を返還する」などとするケースがほとんど |
借入予定の住宅ローンの具体的な内容が明記されているか (金融機関名、融資額、融資期間、利率、返済方法など) |
重要事項説明書の最後にある「承認事項」には、購入者が事前に知っておくべきことがズラリと書かれている。
事前に了解しておかないと後のトラブルにつながる内容もあるので、全部に目を通し、意味が分からない条項は、不動産会社の担当者に質問しておこう。
売買契約を結んだ後でキャンセルすると、手付金は戻ってこない。キャンセル時期によっては、それとは別に違約金を請求されることもある。
契約は必ず、重要事項説明と契約書の内容を十分に理解・納得してから行おう。
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主な内容 |
チェックポイント |
物件の表示 |
売買の対象となる物件の所在地や面積、建物の構造や共用施設などについて |
記述に誤りなどがないか、パンフレットと見比べる。専有面積が50m2前後の場合、登記簿面積を確認。 これが50m2未満だとローン控除などが受けられない。 |
売買代金とその支払方法 |
売買代金の金額、支払方法(いつ、いくら支払うのか、また、住宅ローンをいくら借りるのかなど) |
事前に打ち合わせた通りか確認 |
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手付金、契約解除に関すること、ローン特約など |
契約条項に、重要事項説明書と同じ内容が書かれているか確認 |
売買面積 |
土地については、公簿売買とする旨、住戸については登記簿面積と専有面積の違いについての確認事項が記載される |
住戸の面積について、専有面積(住戸を囲むコンクリート壁も含む、壁心面積)と、登記簿面積(コンクリート壁の内側を測って計算する内法面積)の違いを理解しておこう |
危険負担 |
地震や火災等の災害で、引渡前に建物が壊れた場合、修繕費用等は売主が負担する。 倒壊などの場合、契約は白紙解除となる |
左のような内容か確認 |
瑕疵担保責任 |
引渡後に欠陥(瑕疵)が見つかった場合、一定期間中であれば、買主は売主に対し無料補修などを請求できる |
瑕疵担保責任の期間は、売主が不動産会社の場合は最低でも2年間(※)。 売主が個人の場合は、2カ月前後のケースが多い |
共有持分管理等 |
土地や建物の共用部分は、各住戸の所有者(区分所有者)の共有で、その権利だけを切り離して処分することができないなどと記載される |
このほか、「管理や共用部分の使用について、管理規約などを守る」と念を押す条項が記載されることもある |
そのほか |
引き渡しまでの約束事、登記費用や税金の分担について記載される |
買主に特に不利な内容がないか。 「買い替え特約」を結ぶ場合、その条項があるか確認 |
※不動産会社が売主で、2009年10月1日以降引き渡しの物件について。瑕疵担保責任を履行する資力確保のため、不動産会社に一定金額以上の供託または保険等への加入が義務付けられる