千葉景子法相は28日、2死刑囚の死刑を執行したと明らかにした。死刑執行は、自民党・森英介前法相時代の21年7月以来1年ぶり。法相就任後では初めてで、民主党政権下でも初の死刑執行となる。千葉法相は死刑廃止論者として知られ、法相就任後もこれまで死刑執行に慎重姿勢を見せていた。
死刑が執行されたのは平成12年、宇都宮市の宝石店に放火、女性店員6人を殺害した強盗殺人事件で刑が確定した篠沢一男(59)=東京拘置所=と、15年、埼玉県熊谷市で男女4人を殺傷した尾形英紀(33)の両死刑囚。
記者会見した千葉法相は「慎重に検討した上で執行した。見届けることが責務と思い、自ら死刑執行に立ち会った」と述べた。
篠沢死刑囚は12年6月、宇都宮市江野町の「ジュエリーツツミ宇都宮店」で、女性店長=当時(49)=ら6人を粘着テープで縛り、ガソリンをまいて放火。店を全焼させて6人を殺害し、指輪などの宝飾品293点(1億4千万円相当)を奪った。
尾形死刑囚は15年8月、交際していた少女から飲食店店員=当時(28)=に体を触られたなどと聞き、埼玉県熊谷市のアパートを訪れ、店員を包丁で刺殺。さらに、同アパートに住む店員の同僚=当時(21)=ら女性3人を車で拉致。口封じのために同県秩父市内などで同僚を殺害、残る2人にも重傷を負わせた。
千葉法相は、記者会見で自らが死刑執行に立ち会ったと明らかにしたうえで、「死刑の在り方について検討する勉強会を立ち上げる」と述べ、東京拘置所の刑場を報道機関が取材する機会を設けるよう指示したことを明らかにした。