このフィアット500ツインエアは見た目も値段もフツーだが、エンジンだけがフツーでない。その「ツインエア」なる新エンジンはなんと2気筒!! 2気筒なんて、いまどき軽自動車にもないシロモノ。
しかも、それはホコリをかぶった古い安物エンジンでなく、新開発の世界最先端。従来の500には1.2Lと1.4Lがあったが、ツインエアの代わりに消えるのは1.4L。つまり、ツインエアは500では高性能モデルなのだ。
ツインエアは875cc(のターボ)だが、気筒数が2倍で排気量が6割大きい1.4Lより速い。1気筒当たりの排気量も大きいのでパンチ力も頼もしい。だいたい、エンジンをかけた瞬間からツインエアは独特だ。アイドリングはポロポロポロン♪……で、低回転の加減速ではズンドコズンドコ……とそれなりに騒々しく、誰もがフツーでないとすぐに気づく。そこが好き嫌いの分かれ道かも。
しかし、ツインエア最大の魅力は、とにかく高回転まで引っかかりなくブン回ること。で、回せば回すほど振動のツブツブが細かくなって、どんどんパワーが出る。エコ運転は低回転キープが鉄則だが、ツインエアは回すほど気持ちよく快適になるから始末が悪い(?)。それにしても「エンジンは回してナンボ!」とは、最近忘れかけていたイタ車の正しい姿だな。
このポロポロとズンドコを生理的に受けつけない人もいるだろうが、(エンジンの)ピストン運動にロマンを感じるオトコなら、この鼓動にハマるヤツも多いはず。で、いったんハマれば、静かなだけの4気筒なんぞ「オ●マみてえ」としか思えなくなる!? オトコの500は絶対ツインエアだぜ!
(取材・文/佐野弘宗)