読売新聞は、2009年11月に創刊135年を迎え、世界最大部数となる1000万部を維持しています。
近年、欧米の有力新聞の倒産、合併等が続出し、紙のニュースを主とする新聞の時代は終わったとの声が出ています。しかし、戸別配達の割合が低い欧米の新聞と、強固な戸別配達網を確立し、返品のない完全注文生産をしている日本の新聞とは、本質的な経営構造が違っています。さらに、広告収入依存度が7、8割に達している欧米の新聞と、それが3割程度に過ぎず、7割は安定した購読料収入に依存している日本の新聞との違いがあります。
我々は、ネットによる情報発信を無視しているわけでなく、ヨミウリ・オンライン(YOL)などで様々なネット情報も発信しています。しかし、戸別配達制度とニュースの一覧性、記録性、正確で格調の高い評論、便利で有用な生活情報等を持つ新聞メディアへの需要は、民度の高い日本では衰えることはありません。
その証拠に、読売新聞は1000万部を堅持していますし、全国約30か所の工場と約8000の販売店、約9万人の配達従業員による戸別サービス網は世界に類がありません。先人たちの努力の蓄積により、多くのビル・不動産も所有しています。かつ戦後からの巨額な投資は完全に償却済みで、現在はほぼ無借金経営を続けています。
こうした財務上の実力があるので、大手町の印刷工場を中心とした旧社屋を解体し、この地域で最高層となる新社屋の建設に着手しました。2014年の完成まで、銀座の日産自動車旧本社ビルを借り、移転した次第です。ほとんどの企業が設備投資を控えているなかで、読売新聞が大胆な投資に踏み切れたのは、本社の底力を示すものであります。
社論は、公正・正確・中庸を堅持し、識者や政財官界での評価も確立しています。
また読売巨人軍や読売日本交響楽団、中央公論新社など、音楽、美術等の文化や各種スポーツを含め、多角的な事業を展開しております。大衆紙であると同時に知的高級紙でもある、世界にまれな新聞であります。
健全で普及率の高い新聞は、国と社会の安定のために欠くことのできない存在だと自負しています。
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