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連載「雪の女王」インタビュー 秀島史香さんに聞く : 100人のジブリ : ジブリをいっぱい : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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連載れんさいゆき女王じょおう」インタビュー しゅうとうさんに

しゅうとう (ひでしま ふみか)さん


しゅうとう (ひでしま ふみか)

神奈川かながわけんまれ。FM番組ばんぐみのDJを中心ちゅうしんに、TV・映画えいが・CMナレーションなどで活躍かつやくJ-WAVE「GROOVE LINE」平日へいじつ毎日まいにち午後ごご4時半じはんから8まで放送ほうそうちゅう


 東京とうきょう渋谷しぶやのシネマ・アンジェリカなどで公開こうかいちゅうのアニメーション映画えいがゆき女王じょおう」《新訳しんやくばん》は、アンデルセンの同名どうめい童話どうわ原作げんさくに、ゆき女王じょおうられた少年しょうねんカイをおさななじみの少女しょうじょゲルダがさが物語ものがたり宮崎駿みやざきはやお監督かんとくえがつづけているヒロインぞう原点げんてんともわれるこの映画えいがについてかたってもらうインタビュー連載れんさいだいかいはJ―WAVEの人気にんき番組ばんぐみ「GROOVE LINE」でDJをつとめるしゅうとうさんに、「三鷹みたかもりジブリ美術館びじゅつかん」で開催かいさいちゅう企画きかく展示てんじ「『ゆき女王じょおう』とその時代じだいてんてもらいながらいた。(依田よだ謙一けんいち

――映画えいが感想かんそうは。

しゅうとう ロシアのアニメーションには、これまであまり馴染なじみがなかったのですが、うつくしさにいっぺんにまれました。すごく「つよ作品さくひん」ですね。とくにゲルダの意思いし。カイとあそんでいるうちは可愛かわいらしいだけだったのが、かれがさらわれてしまうと、すぐにたすけにかおうとする姿すがた印象いんしょうてきでした。しかもその意志いしは、シーンをうごとによりつよくなっていく。人生じんせいたにになったときふかまる感情かんじょうが、うまく表現ひょうげんされていますよね。

――ゲルダはいろんなひと迷惑めいわくをかけながらすすむので、共感きょうかんできないという意見いけんもあるようです。

しゅうとう そういう意見いけん理解りかいできますが、ちょっとさびしい気持きもちになります。たしかになかきびしいけど、そんなふうにかんがえてしまったら、なにはじめられないのではないでしょうか。人生じんせいは、おもうほどあまくないけど、おもうほどからくもない。ゆめ余地よちもないと、だれかをたすけにもくこともできないはずです。大人おとなになって、余計よけいにそうかんじるようになりました。

――印象いんしょうてきだった場面ばめんは。

しゅうとう ゆき女王じょおう宮殿きゅうでんらすようになったカイが、こおり結晶けっしょうかかげて「なにという正確せいかくさ! 間違まちがったせんひとつもない」と賞賛しょうさんするシーンをて、正確せいかくなものをもとめすぎるということは、しんこおってしまうことでもあるんだと、につまされました。ラジオ番組ばんぐみでも「あいだちがってはいけない」ということに執着しゅうちゃくしてしまうことがありますが、それはかならずしも「つたわる」こととイコールではない。間違まちがえても問題もんだいないということではありませんが、正確せいかくなものだけをうつくしいとしんじてやっているほうが、じつ簡単かんたん危険きけんです。むしろ、人間にんげんがやる魅力みりょくというのは、もっと曖昧あいまいなところにあるんだということをわすれたくない。音楽おんがくもそうですよね。かすれたこえ不協和音ふきょうわおんほうが、ただしい音程おんていよりもつたわることがありますから。

――「GROOVE LINE」も、めごとがすくなそうな雰囲気ふんいきがいいあじしていますよね。

しゅうとう 本番ほんばんが3あいだはんもあるのに、台本だいほんもなくて進行しんこうひょうが4ページあるだけなんですよ(笑)。められたこと以外いがいの「もと部分ぶぶん」がいかに大切たいせつかを日々ひび痛感つうかんしています。毎日まいにち、ふたをけてみるまでからないという一方いっぽうで、一瞬いっしゅんごとにえていってしまうのが生放送なまほうそうこわさとたのしさです。今日きょう、ジブリ美術館びじゅつかんてみて、館内かんない構造こうぞうがまるでおもちゃばこのようだったり、どこに目線めせんをやっていいかからないというてんで、ここも正確せいかくであることを目指めざしていないから面白おもしろいんだってうれしくなりました。

――企画きかく展示てんじ「『ゆき女王じょおう』とその時代じだい」は、宮崎みやざき吾朗ごろうさんが監修かんしゅうとデザインをがけています。

しゅうとう 映画えいがつくられたいまから50ねんまえのロシア(ソ連それん)の状況じょうきょうについて、新聞しんぶん記事きじ使つかって解説かいせつするという方法ほうほう面白おもしろかった。歴史れきし背景はいけいることで、スターリンによる支配しはい時代じだいわって、当時とうじ人々ひとびとかんじていた抑圧よくあつから解放かいほうされるかもしれない希望きぼうとか、全体ぜんたい主義しゅぎてきなものへの風刺ふうしといったことも、作品さくひんめられているのではというというがしました。ふとおもしたのが、高校生こうこうせいのときにんだジョージ・オーウェルの「動物どうぶつ農場のうじょう(Animal Farm)」。動物どうぶつたちがこす革命かくめいによってスターリンを批判ひはんしていますが、それにつうじるものをかんじます。

――ゲルダは、宮崎みやざき監督かんとくえがつづけているヒロインぞう原点げんてんだとわれています。

しゅうとう 宮崎みやざき作品さくひんのヒロインは、どれも「おんな度胸どきょう」なのが素敵すてきです。たとえば「天空てんくうしろラピュタ」のシータ。められても毅然きぜんとしていながら、おんならしい可愛かわいらしさをわすれない。ゲルダもおなじですよね。カイをにしながら「わたしまもる!」とゆき女王じょおう相対そうたいする姿すがたは、パズーのまえち、ムスカとうシータそのものです。わたしはとにかくちいさいので、ああいうふうに土壇場どたんばひらなおれるつよさにあこがれます。今日きょう本番ほんばん頑張がんばらないと(笑)。

 ※12月じゅうにがつ25にちしゅうとうさんをゲストにまねいての「ゆき女王じょおう」トークイベントが決定けってい! くわしくはこちら




ゆき女王じょおう」《新訳しんやくばん》(レフ・アタマーノフ監督かんとく
 1957ねんにロシア(ソ連それん)で制作せいさくされた作品さくひん東京とうきょう渋谷しぶやのシネマ・アンジェリカ、立川たちかわのシネマシティで公開こうかいちゅう配給はいきゅうは「三鷹みたかもりジブリ美術館びじゅつかん翻訳ほんやく児島こじま宏子ひろこさん。公式こうしきサイトはこちら。 (C)2004 Films By Jove Inc. in association with Soyuzmultfilms studio

企画きかく展示てんじ「『ゆき女王じょおう』とその時代じだい
 映画えいがまれた当時とうじソ連それん日本にっぽん歴史れきし読売新聞よみうりしんぶん記事きじ使つかってかえるほか、イメージボードなどを展示てんじ監修かんしゅう・デザインは宮崎みやざき吾朗ごろう監督かんとく来年らいねんがつまつまで。入場にゅうじょう予約よやくせいわせは0570−055−777。(C)Museo d' Arte Ghibli


2007ねん12月18にち  読売新聞よみうりしんぶん
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