(Translated by https://www.hiragana.jp/)
「お母さんの写真」を聴く【前編】saigenjiさん : 100人のジブリ : ジブリをいっぱい : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20111026184403/http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/ghibli/cnt_interview_saigenji.htm


現在位置は
です

本文です
一覧いちらんニュースインタビューほん・DVD・CDコクリコざかから作品さくひん
ジブリをいっぱい

「おかあさんの写真しゃしん」をく【前編ぜんぺん】saigenjiさん

saigenji(サイゲンジ)さん


saigenji(サイゲンジ)

9さいときにケーナをはじめ、ファルクローレとばれる南米なんべいアンデス地方ちほう民族みんぞく音楽おんがく古今ここんのブラジル音楽おんがくなどの幅広はばひろいジャンルの音楽おんがく経験けいけん独自どくじのアプローチで演奏えんそうするギタリスト・歌手かしゅ小西こにしやすし、モンドグロッソなど、コンピレーションアルバムの参加さんかオファーもおお

 大人おとなみなさん。最近さいきん音楽おんがくいていますか? 「以前いぜんはたくさんいていたのに、このころさっぱり」というひとおおいかもれない。

 そんな大人おとなのために、宮崎駿みやざきはやお監督かんとくがCDをプロデュースした。タイトルは「日本にっぽんしんしい おかあさんの写真しゃしん」。作家さっかじん矢野やの顕子あきこ久石ひさいしゆずる宮沢みやざわ和史かずしらをむかえ、ぜん16きょく上條かみじょう恒彦つねひこうたっている。

 このアルバムを、様々さまざまなジャンルで大人おとなかい人々ひとびといてもらおうとおもう。初回しょかいは、仕事しごとがえりの大人おとなたちをむかえる場所ばしょでのライブがおおいミュージシャン、saigenji(サイゲンジ)さん。(依田よだ謙一けんいち

――アルバムをいた感想かんそうは。

saigenji 「大人おとなのための」とはりませんでしたが、自然しぜん大人おとな音楽おんがくだとかんじました。とく久石ひさいしゆずるさんが作曲さっきょくした表題ひょうだいきょく「おかあさんの写真しゃしん」が印象いんしょうてきでした。こういういたまがって、ありそうでなかなかないですよね。

――久石ひさいしさんのきょくを、よくギターでいていたそうで。

saigenji 以前いぜんから尊敬そんけいしていた作曲さっきょくですが、アルバムをいてあらためて素晴すばらしいとおもいました。「ふうたにのナウシカ」(1984ねん)の冒頭ぼうとうながれるきょく和音わおんに、感激かんげきしたのをおもします。サウンドトラックをかえいては演奏えんそうしていましたね。久石ひさいしさんの音楽おんがくは、ブラジル音楽おんがくでいうところの「サウダージ」にあふれているとおもうんです。

――サウダージとは。

saigenji 日本にっぽんでは「郷愁きょうしゅう」というやくされかたをしますが、それはいちめんで、いろんなめんがあります。ぼくとっては、サン=テグジュペリの「ほし王子おうじさま」にてくる「しんなくちゃ、ものごとはよくえないってことさ。かんじんなことは、えないんだよ」というきつねの言葉ことば。まさにサウダージだとおもうんです。いたいとおも気持きもち、さびしいとおも気持きもち、うれしいとおも気持きもち、これらすべてを内包ないほうするのがサウダージではないでしょうか。

――「おかあさんの写真しゃしん」のターゲットである「大人おとな」をかりに「はたらひと」だとすると、いちにちわりに演奏えんそうされることがおおいブラジル音楽おんがくは、まさにはたらひと音楽おんがくではありませんか。


saigenji 現地げんちではとくにそうですね。ぼく普段ふだん人々ひとびと仕事しごとえてやってくる場所ばしょ演奏えんそうしていますが、日本にっぽんでは気軽きがる音楽おんがく場所ばしょがなかなかありません。ジャズはらないとたのしめない雰囲気ふんいきもありますし。そのてん、ブラジル音楽おんがく間口まぐちひろく、はじめてひとからくわしいひとまで、それぞれにたのしむことができます。これは「おかあさんの写真しゃしん」にもつうじますね。

――いま大人おとなは、saigenjiさんのにどんなふうにうつっていますか。

saigenji つかれているひとおおいようですが、ぼくまわりには、素敵すてきひとおおい。気配きくばりができて、自分じぶんのことばかりかんがえない人々ひとびとです。それに、かれらに共通きょうつうするのは、自分じぶん解放かいほうするのがうまいということ。日頃ひごろ音楽おんがくなどを吸収きゅうしゅう=インプットすることはとても大切たいせつですが、それ以上いじょうに、はきす=アウトプットすることが大切たいせつです。たとえば、音楽おんがくいたら、そこでかんじたことをひとせるつもりで簡単かんたんにメモするだけでもいい。そうするだけで、ずいぶん自分じぶん感情かんじょうゆたかになってくるはずです。

――スタジオジブリ作品さくひんはごらんになっていますか。

saigenji 「天空てんくうしろラピュタ」(86ねん)が大好だいすきです。おとこならきになっちゃうにまってるじゃないですか。「ラピュタ」以外いがいでも、ジブリ作品さくひんからは、とても誠実せいじつつくっているんだという意思いしつたわってきます。最近さいきん音楽おんがくシーンをていると、もっとまじめに作品さくひんづくりしたほうがいいんじゃないかとかんじることもおおいので、ジブリ作品さくひんにはとても共感きょうかんできます。(つぎページへつづく)

2003ねん9がつ22にち  読売新聞よみうりしんぶん
現在位置は
です