橋下旋風が勢いを増している。関西の地方現象とみたり単なるポピュリズム(大衆迎合主義)と評したりする向きもあるが、本物の政治家が誕生したと私はみる。
◆着手点、着眼点とも正攻法
橋下徹氏は、2008年に大阪府知事として出発したときから着手、着眼点が正攻法だった。知事は選挙で選ばれた政治家で、職員は政治家の方針を実行するのが役割だ、と“身分の違い”をまず押さえたのは出色だった。近年の知事は「県民党」などと自称するから、選挙で勝った者は誰か、職員は何をすべきかも曖昧になるのが常だ。与野党で候補を一本化したりする悪習が生んだ弊害だ。
橋下氏は就任早々、「政治家の務めは財政規律を守ることだ」と述べ、膨大な府の赤字の削減に取りかかった。職員の給与を16~4%、退職金を10~5%カットした。次に、ダブル選挙で大勝し大阪市長になった際も、府と同率の給与カットを市職員に申し渡している。前回は7時間の、今回は3時間半の団交を行った。どちらも、組合が納得したわけではないが、手順を尽くしたうえで実行に移す度胸を備えている。府知事時代は28のハコモノを整理し、市にも同様のことを行うという。