中国の首都、北京と最大の経済都市、上海を専用線で結ぶ高速鉄道「京滬線(けいこせん)」が7月1日に開業する。中国共産党が創立90周年を迎えるタイミングに開業を間に合わせ、経済発展や技術力を内外に誇示するとともに国威発揚を狙う。京は北京、滬は上海を意味する。
最短4時間48分
2008年の北京五輪、10年の上海万博に続く国家的プロジェクトだ。東京五輪開催の1964年に開業した東京-新大阪間の東海道新幹線が、その後の日本の高度経済成長期を運輸面から支え、70年の大阪万博を成功に導いた時代にイメージを重ね合わせることもできる。
北京-上海間は1318キロで所要時間は最短4時間48分と、現在の半分以下に短縮される。北京-上海間の飛行時間約2時間の空路と比較しても、空港でのチェックインや遅延リスクなどを考えると、十分に対抗可能な交通機関となる。設計時の最高時速は350キロだったが、安全性を再考した結果、当面は最高速度300キロと250キロの2種類の列車を混成して運行する。
北京-上海間の乗車料金は時速300キロの普通車指定席で555元(約7000円)と、エコノミークラス航空機利用に比べ3分の1程度となる。