□Hi-STANDARDギタリスト・横山健
■経営を独学、銀行にも乗り込んだ
--ミュージシャンであると同時に、音楽レーベル「PiZZA OF DEATH(ピザ・オブ・デス)」の代表取締役です。会社の経営はどのように学んだのですか
横山 独学です。まず、法人の立ち上げ方を勉強しました。法務局とか商工会議所によく行きましたよ。銀行にも足を運びました。
--ミュージシャンが突然「会社のことで」と来たら、銀行は驚きますね
横山 そうですね。知人と一緒に飛び込みで行ったのですが「何ですか、あなた方は」という感じで言われました。最終的には「うちで口座を開くのはいいですけど、営業には行けませんよ」なんてことまで言われてしまい、とりあえず口座だけ作ってもらいました。でも後日、メーンバンクを変えようって、その銀行は切ってしまったんですけど。
--会社経営と同時にミュージシャンとして活動するのは大変ですね
横山 仲間同士で会社を作るものではないですよ。ピザ・オブ・デスはメンバー3人で作ったのですが、ほかの2人と温度差ができてしまったのも活動休止の原因のひとつです。本当は皆でステップアップしていかなければならないのに、僕だけ先に行ってしまった感じになってしまいました。
--バンド以外の誰かをトップに据えようとは思わなかったのですか
横山 それでは意味がないんですよ。飾りでもいいから、ミュージシャンがトップにいないと。組織としてモノの説得力が絶対、違ってきます。だから、つらくても降りなかったんです。
--プライベートでは2児の父親ですね
横山 僕は「イクメン」ですよ。毎日のお風呂係です。夜8時になると、社員に「帰っていい?」と聞いて、「子供を風呂に入れないといけないから」と愚痴を言いながら帰ります。子供は僕のことを「チャーくん」って呼びます。
--ファンも子供がいる世代になりました
横山 お客さんが子供を連れてライブに来てくれるんです。肩車された子供が「ケンちゃーん」なんて声をかけてくれて。きっとパパが「ケンって呼べ!」って言っているんでしょうね。
--そういう世代は今、忙しいですよね。伝えたいことはありますか
横山 皆さん、それぞれ思っている以上に力があるんですよ。そこに目を向けて力いっぱい生きていきましょう。楽しむ才能というのがあり、好きでいる才能もあります。そういうことにちょっと目を向けたら、思わぬ楽しさに気づくかもしれないですね。(嶋中貴史)