![Business Media 誠 (Copyright (c) 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.)](https://web.archive.org/web/20120501180207im_/http://kaw.stb.s-msn.com/i/E9/DD1ABA71EDAB60C067977D3D7CFE6E.gif)
By 経済・話題, Business Media 誠, 2012年4月12日 10:55更新
「ピンクスライム」は問題にならないのか 食品業界の裏側に迫る
![「ピンクスライム」は問題にならないのか 食品業界の裏側に迫る](https://web.archive.org/web/20120501180207im_/http://kaw.stb.s-msn.com/i/75/59254C61FC051354C8B1FEA18D90.jpg)
Business Media 誠
相場英雄の時事日想:
ここ数週間、米国のファストフード業界が揺れているのをご存じだろうか。ファストフードのビジネスモデルの根幹を成す「低価格」を支えたある加工食品がやり玉に上がっているのだ。
米当局や専門家はこの加工食品の安全性に問題はないと指摘しているが、同国の消費者からは猛烈な反発を招いている。これは同国だけの問題なのか。筆者は強く否、と主張する。
●ピンクスライムの衝撃
冒頭で触れた加工食品とは、「ピンクスライム」のことだ。これは、牛の屑肉をアンモニア水で洗浄し、食品添加物や化学調味料と混ぜてでき上がるピンク色をした「肉由来製品」のことだ。
米国では大手ファストフードチェーンが主力のハンバーガーのパテのつなぎとして多用してきた経緯がある。ところが、先に著名な英国の料理家がこの加工食品のいかがわしい面に焦点を当て、動画を公開したことから、米国の消費者から猛烈な批判の声が上がったのだ。
料理家ジェイミー・オリバー氏がピンクスライムを説明した動画がネット上で話題となり、読者の中にも目にした向きが少なくないはず。日本のファストフード業界はどうなっているのか、との議論も活発化した経緯がある。
筆者は拙著『震える牛』(小学館)の中で、日本の加工食品業界の内幕に触れた。執筆に当たっては、『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』(著・安部司、東洋経済新報社)を始め、多くの関連書籍に目を通した。
このほか、実際に食品加工の現場を知る人物にも取材した。こうして得た知識や情報を勘案すると、日本でもファストフードだけでなく、さまざまな食品に関わる業界で、米国の「ピンクスライム」と同様の“加工品”が広く使用されている事実を知り、愕然(がくぜん)とした。
例えば、ラーメン。
多くの有名店や人気店が多店舗展開を強化しているが、「スープやタレの味を系列店で均一化させるため、食品添加物や化学調味料で味を作っている」(某チェーン店幹部)といった事柄が当たり前となっている。
ラーメンのスープは、素材となる鶏ガラや煮干しなどの品質にムラがある上、出汁を導くための水の質によってもがらりと味が変わってしまう。
「ラーメン店の全国展開には、店独自のスープの素を添加物で調合する必要がある。店舗に配送して“店の味”として客に提供する」(同)といった具合だ。
もちろん、添加物は国の基準を満たし、安全性が確認されたものだ。だが、「食後に喉が渇いたり、舌に雑味が残るなどの作用はある」(同)という。
●低価格弁当の中身は
デフレ経済の長期化とともに、大手流通各社はこぞって「激安弁当」を売り出し、メディアもこれを大きな話題として取り上げた。300円、250円の弁当がニュース素材としてテレビや新聞に取り上げられたことをご記憶の向きも多いはず。
ただ、先のラーメン店の全国展開、ひいては米国のピンクスライム問題と同様に、「徹底的に安い食材を大量購入し、添加物まみれにしなければ激安価格は実現できない」(食品加工会社関係者)という側面はあまり注目されてこなかった。
例えば、弁当に入る機会の多いソーセージはどうか。『震える牛』の取材段階では、「原料の屑肉が5トンで、最終的に工場から出荷される際は11トンから12トンになっている」(同)という声に接した。
原料が屑肉だというのはある程度覚悟していたが、水増しされた添加物の量の多さ、そして実際に「水」を添加して分量を増やすと知らされ、筆者は仰天した。
取材を経てからは、自宅はもちろんのこと、外食した際も低価格のソーセージを一切口にしなくなった。