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2010年7月28日(水)
いきなり100万円ハネ上がる!?
消費税アップで気になる住宅価格の行方
菅首相が「10%を参考に」とつぶやいたひと言で、消費税引き上げが参院選の争点としてにわかにクローズアップされた。ただでさえ景気の先行きが不透明ななか、消費者にとって心配事がひとつ増えたといえるかもしれない。だが、税率アップで最も大きな影響を受けそうなのが住宅価格というウワサがあるから、これから家を買う人にとっては気になる話だ。
消費税が10%になると、住宅価格が100万円アップ
意外と見落とされがちだが、家を買うときにも消費税がかかる。土地は非課税だが、建物に課税されているのだ。住宅価格は消費税込みの金額となっているので、表面上はいくらかかっているのか分かりにくいだけだ。
では消費税の税率が10%に上がったらどうなるのか。例えば税抜きの建物価格が2000万円とすると、現行の消費税はその5%で100万円なので、税込みの建物価格は2100万円だ。税率が2倍の10%にアップすると、消費税も2倍の200万円となる。そのまま価格に税額が上乗せされると、住宅価格が一気に100万円値上がりする計算だ。
これではせっかく明るい兆しが見えてきた住宅市場がまた冷え込まないかと心配になるが、本当に住宅の消費税もアップするのだろうか。税理士法人タクトコンサルティング情報企画室の遠藤純一氏は以下のように解説してくれた。「住宅の消費税については自民党政権下でも業界団体などで議論されており、非課税化や軽減措置を求める要望が出ていました。ただ、住宅だけ非課税にすることには政府サイドに否定的な見解が根強く、還付による軽減措置のほうが現実的だと思われますが、まだ本格的に議論はされていないようです」
消費税が上がっても、住宅価格は逆にダウン!?
消費税をめぐっては過去にも2回、1989年の導入時と97年の税率引き上げのときに住宅市場が揺れ動いたことがある。新築マンション市場ではいずれも課税強化の前に価格上昇が起こったのだ。だが、翌年には逆に価格がダウンした。「消費税引き上げで価格がアップする」という流れにはなっていないようだ。
東京カンテイ市場調査部の中山登志朗氏によると、その理由はこうだ。「マンションは価格に占める建物価格の比率が高いため、消費税の税率引き上げは価格上昇につながりやすいといえます。そのため過去にも駆け込み需要が発生し、価格が一時的に高止まりしたこともありました。ただし、税率引き上げが実施された後は反動で需要が減退するため、価格が軟調に推移したのです」
100万円単位の増税はたしかに小さくはないので、消費税がアップする前に動くのもひとつの策だろう。ただし、家を買う消費者側としては、税率アップに一喜一憂して希望や予算に合わない物件を慌てて買うのは得策ではない。消費税以外にも地価や金利動向など、住宅購入のコストに直結する動きに気を配ることが、間違いない家選びにつながりそうだ。
取材・文/大森広司(オイコス)