ふんどし復権、長崎に日本初の専門店 女性も愛用
ふんどしが静かな人気を呼んでいる。通気性や着心地の良さが見直され、おしゃれなデザインの商品が登場。県内では専門ショップも開業し、女性の愛用者が増えているという。
長崎市大浦町の旧外国人居留地にある店先で、「赤ふん」姿の天使像が客を出迎える。昨年11月にオープンした日本初のふんどしセレクトショップ「TeRAYA(テラヤ)」だ。店内には、ピンクや青といったカラフルなものや、フリルやレース付きの商品が並ぶ。
店主のかのこゆりさん(42)は昨年5月、「ふんどしは体にいい」と書かれた本を読んで試した。翌日、いつもの下着をはくと、「ゴムが痛い」。ビキニラインがじわじわ締め付けられる不快感を我慢していたことに気づいたという。
以来、ふんどしが手放せず、「もっとかわいいものが欲しい」と会社を辞めて店を開いた。「木綿や麻の天然素材で、締めつけがないから体も心も軽くなった」と効果を力説する。
最も一般的なのは「越中ふんどし」。1メートルほどの布に腰を結ぶひもが付いている。前垂れがなく、腰の横でひもを結ぶ「もっこふんどし」。お祭りなどで登場する「六尺」は、きりっと締め上げる伝統の男らしさが特徴だ。
戦後の洋装化に伴い、急速に廃れたふんどし。その伝統肌着がなぜ今、見直されつつあるのか。全国14のメーカーが加盟する「日本ふんどし協会」の中川ケイジ会長は「クールビズや震災後の節電が意識され、日本の蒸し暑い夏に適したステテコがおしゃれになって浸透した。ふんどしもこの延長線上にある」と分析する。ステテコは2008年、大阪の肌着メーカーが若者向けを売り出して一躍、ヒット商品になった。
中川さんも知人にふんどしを紹介され、「何も着けていないような心地よさに人生が変わった」。11年に起業し、おしゃれなふんどしブランド「SHAREFUN(しゃれふん)」を展開する。「ひもを締めれば気も引き締まる。伝統の良さを広めたい」と力を込める。
2014年06月28日
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