インターネットには、人々ひとびとを繋つなげるという建設けんせつ的てきで有益ゆうえきな面めんもあるけれど、
人ひとが傷きずつくような危険きけんなことも可能かのうにする

−−調子ちょうしはいかがですか？

マドンナ：元気げんきよ。そう、1週間しゅうかんぐらい寝ねていないけれど、調子ちょうしはいいわ。

−−今週こんしゅう起おこったことを考かんがえれば、そうですよね。

マドンナ：ホント、この数すう週間しゅうかんはかなり強烈きょうれつだったから。

−−今いまは大丈夫だいじょうぶですか？最近さいきん起おこったことをふまえて。

マドンナ：そうね。未み発表はっぴょうのデモが流出りゅうしゅつして、今いまとなっては世界中せかいじゅうの人々ひとびとがそれを聴きいて、批判ひはんしたりできる状況じょうきょうには、もちろん不満ふまんよ。ことが起おこってしまってから、とにかく対策たいさくを急いそいだ。まずは、どこからリークしたのかを突つき止とめること、そして完成かんせいした曲きょくをリリースすることで、誰だれも聴きくはずではなかったデモからみんなの関心かんしんをそらすこと。だから、寝ねてないの。

−−その渦中かちゅうで、「ビッチ、私わたしはマドンナよ。」、こんなこと私わたしに起おきるはずじゃない、と周まわりにもらすことはありましたか？

マドンナ：ノー。「クソ、これが今いま私わたしたちが生いきている時代じだいなのね。」とは言いったけれど。とにかくクレイジーよ。ソニー・ピクチャーズの一いち件けんもそうだけど、私わたしたちが暮くらしてる時代じだいのせいね。ホントにクレイジー。インターネットには、人々ひとびとを繋つなげるという建設けんせつ的てきで有益ゆうえきな面めんもあるけれど、人ひとが傷きずつくような危険きけんなことも可能かのうにする。両刃りょうばの剣けんなの。

−−曲きょくが盗ぬすまれたものだとおっしゃいましたが、日々ひびの仕事しごとのルーチンにはどのような影響えいきょうがありましたか？セキュリティをより強化きょうかしたとは思おもいますが、近年きんねんはすべてがヴァーチャルなので、手ての施ほどこしようにも限かぎりがありますよね。日々ひび音楽おんがくを作つくったり、アルバムをレコーディングする上じょうで、何なにか変化へんかはありましたか？

マドンナ：サーバーに音楽おんがくをアップロードするのは止とめたわ。作業さぎょうをコンピューターでする場合ばあい、Wi-Fi、インターネットは一切いっさい使つかわないし、他人たにんが情報じょうほうを得えられるような方法ほうほうでは仕事しごとをしない。音楽おんがくが入はいったハード・ドライブは、手持てもちで届とどけられている。その辺あたりに曲きょくを放置ほうちすることもないわ。フォト・シュートやビデオ・シュートがある時ときは、全員ぜんいん携帯けいたいを入口いりくちに預あづけなければならない。最悪さいあくだけど、残念ざんねんながら止やむを得えないことなの。リークというのは、こうやって起おきるから。

−−残念ざんねんですね。

マドンナ：本当ほんとうにね。フォト・シュートで、自分じぶんの曲きょくをガンガンにかけて、踊おどって、“祝福しゅくふく”したいのに、それが出来できないんだから。
　何なんでもリークするのが、日常にちじょう茶飯事さはんじになっているのは、わかってる。でも、今回こんかいは多おおすぎよね！何なんか月げつも前まえから、事細ことこまかにプランを立たてて…たとえば、「シングルはこう、アルバムはこういう方法ほうほうで発表はっぴょうする。」って考かんがえているのに、その順序じゅんじょが狂くるってしまった。そのおかげで、すべがを前倒まえだおしになった？「すぐにもシングルのプロモーションをはじめよう！」ってなると思おもう？
　とにかく私わたしたちを過熱かねつさせた。普通ふつうと同おなじ考かんがえじゃダメだった。こんな風ふうに自分じぶんのアルバムをリリースすることは計画けいかくしてなかった。私わたしは…、すべてを事前じぜんに計画けいかくしたかった。シングルをリリースして、ミュージック・ビデオを撮影さつえいして、アルバムの取材しゅざいを受うけ始はじめる。そして、アルバムをリリースする準備じゅんびをする、全部ぜんぶ完璧かんぺきに計画けいかくしてから。私わたしは、そういう人間にんげんだし、それが一番いちばんベストな方法ほうほうだと思おもうから。けれど私わたしたちに選択せんたくの余地よちはなかった。

−−でも、ミュージック・ビデオは作つくるんですよね？

マドンナ：もちろんよ！計画けいかくしていたことはすべてやるつもり。ただ、もう完成かんせいした曲きょくを6曲きょくみんな聴きいているけれど。

−−とはいえ、素晴すばらしい曲きょくたちですよ。

マドンナ：ありがとう！

−−とても素敵すてきなサプライズでした。投なげつけられたレモンを使つかって、レモンドロップ、またはレモネードを作つくったような感かんじですよね、お好すきな表現ひょうげんを選えらんでもらえればと思おもいますが。

マドンナ：そう、その比喩ひゆは、私わたしと（マネージャーの）ガイ・オセアリーも使つかってる。レモンからレモネード作つくったって。なんとなく、そんな感かんじよね！

反抗はんこう的てきな面めん、ロマンチックな面めんが、すべて入いり混まじったものになるわ

−−不運ふうんなことからも、ポジティブなことが生うまれなければならないですからね。では、音楽おんがくの話はなしをしましょう。この6曲きょくをEPとしてリリースして、残のこりをまた新あらたなEPとしてリリースすることは考かんがえなかったのですか？それとも1つの作品さくひん―『レベル・ハート』として、曲きょくを一緒いっしょに発表はっぴょうすることにこだわったのですか？

マドンナ：元々もともとは、すべて一ひとつの作品さくひんとしてリリースしたかった。曲きょくがたくさんありすぎて、このアルバムを“レベル・ハート”と呼よぼうと思おもったのは、自分じぶんの中なかのまったく異ことなる2つの人格じんかくを探究たんきゅうしているから。反抗はんこう的てき、反逆はんぎゃく的てきな面めんとロマンチックな面めん。まるで、自分じぶんが2枚まい組ぐみのアルバムを作つくりたかったかのよう。この曲きょくたちと、こっちの曲きょくたちって具合ぐあいに。それが私わたしの元々もともとのゴールだった。けれど、デモがリークした為ために、そうすることは出来できなくなってしまった。だから最初さいしょに6曲きょくリリースして、グラミー賞しょうのタイミングでもう数すう曲きょく発表はっぴょうし、残のこりの曲きょくはアルバムと共ともに（3月がつに）リリースされる。反抗はんこう的てきな面めん、ロマンチックな面めんが、すべて入いり混まじったものになるわ。

−−グラミー賞しょうの話はなしがあがりましたが、様々さまざまなゲストとともに「Living For Love」をパフォーマンスする姿すがたが、既すでに目めに浮うかびます。

マドンナ：そうね。

−−…グラミー賞しょうで観みれたら素晴すばらしいパフォーマンスじゃないかな、と思おもって。

マドンナ：イエス、素晴すばらしいと思おもうわ。それは、ひょっとしたら起おこるかもしれないわね（笑）。

−−ひょっとしたら？

マドンナ：そう、ひょっとしたら。

−−今いまは、まだすべて明あかせないと。

マドンナ：そうよ。

−−では、1stシングルの「Living For Love」について伺うかがいたいです。何なんか月げつか前まえにディプロがビルボード誌しの表紙ひょうしを飾かざった際さいに、この曲きょくには20ほど異ことなるヴァージョンがあると話はなしていたのですが、20というのは、大袈裟おおげさに言いっていたのではなく、本当ほんとうですか？

マドンナ：う～ん（長ながい沈黙ちんもく）。20は少すこしい過いすぎかもしれないわね。でも、10以上いじょうあったのは確たしかよ。様々さまざまなヴァージョンがあった。ダンス・アルバムを作つくりたいというのは確たしかだった。でもダンス・ミュージックと言いってもレベルは様々さまざまだし、ハウス・ミュージックにも多おおくのカテゴリーがある。ベースラインは、どんなサウンドにする？ミニマルでまばら、それとも凝縮ぎょうしゅくされたもの？それはシカゴ・ハウス？それともUKハウス？取とっ散ちらかってる？ヴォーカルラインが1つしかない感かんじのもの？聖歌せいか隊たいが歌うたっているもの？実験じっけんをかさね、様々さまざまなことを試ためしてみた。どのヴァージョンもいい感かんじだったけれど、最終さいしゅう的てきにはタイムレスなサウンドのものにしたかった。その時とき限かぎりではなくてね。

−−曲きょくには、MNEKも参加さんかしているのですか？

マドンナ：MNEKが歌うたっているヴァージョンを作つくったのは確かくか。原曲げんきょくを書かき始はじめた時ときに、ディプロがよく仕事しごとをしている…MNEKに似にた声こえを持もつシンガーを起用きようしている。MNEKのヴォーカルが入はいったリミックスは、のちにリリースすると思おもうけれど、今こんリリースされている曲きょくにはMNEKは参加さんかしてない。それと、アニーというロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイアで歌うたっている女性じょせいシンガーがいて、彼女かのじょが参加さんかしている。ちなみに、私わたしはMNEKの大だいファンよ。

−−アリシア・キーズが一緒いっしょに歌うたっているのかと思おもいましたが、彼女かのじょではないですよね。

マドンナ：いいえ、違ちがうわ。アリシア・キーズは歌うたっているのではなくて、ピアノを弾ひいている。

−−分わかりました。誰だれが参加さんかしているのか、把握はあくするのがとても難むずかしくて。

マドンナ：分わかるわ（笑）！アリシアはピアノを弾ひいていて、女性じょせいヴォーカルがアニーよ。「Living For Love」には、MNEKが歌うたっているバージョンもいくつかあって、それもいずれはリリースされる。

−−ソウル・ミュージックとハウス・ミュージックの絶妙ぜつみょうなバランスを保たもっていますよね。不快ふかいに感かんじさせることなく、どのようにバランスを保たもったのですか？

マドンナ：昔むかしの私わたしと現在げんざいの私わたしが織おり交まざっている感かんじね。

−−すべてあなたなんですね！様々さまざまなヴァージョンのマドンナ。

マドンナ：そう、その通とおりよ。そうなの！

−−「Ghosttown」もすごくクールな曲きょくですよね。刺激しげき的てきで、詞しがとても美うつくしい。ゴーストタウンを連想れんそうしますね、寒さむくて、街まちに残のこったのは2人ふたりのみ。この曲きょくは、エヴァン・ボガート、ショーン・ダグラス、ジェイソン・エヴィガンと一緒いっしょに書かいた曲きょくですか？それとも完成かんせいした曲きょくがあなたの元もとに？

マドンナ：違ちがうわ。

−−では、どのように形かたちになったのですか？

マドンナ：全員ぜんいんで、同おなじ部屋へやに入はいり、彼かれらがコードを弾ひきはじめ、考かんがえ始はじめたの…。私わたしは他たの人ひとと曲きょく作づくりをする時ときに、一緒いっしょにテーマを決きめるの。何なにについて曲きょくを書かきたいか？この曲きょくはアルマゲドンが起おこった後のちの街まちについて。燃もえ尽つきた街まち、建物たてものが崩くずれ、火ひが収おさまった後のちにも煙けむりが立たち込こめている。わかるかしら？残のこされた人間にんげんはごくわずか、これからどうやって立たち直なおっていくのか？少すこしドラマチックね（笑）。でも、まだ希望きぼうはあるって感かんじかしら。

曲きょく作づくりは終おわっていて、レコーディングももうすぐ終おわる
もう少すこしで完成かんせいするわ

−−まぁ、そうですよね。今後こんごどうなるかなんてわからないですからね。

マドンナ：そうなの。現実げんじつ的てきになって、何なににでも立たち向むかえるように準備じゅんびしてなきゃ。

−−現実げんじつ的てきにならないとですね。何なん年ねんか後ごには、みんな一緒いっしょに燃もえ尽つきたゴーストタウンにいるかもしれないですし。

マドンナ：イエス、その通とおり！そしたら私わたしたちにとっての“ゴーストタウン”、それかある種しゅの“ゴーストタウン”にいることになる。だから、最終さいしゅう的てきにはお互たがいしかいないということ。この曲きょくは、そのことについてよ。

−−既すでにミュージック・ビデオを思おもい浮うかべることが出来できますね。

マドンナ：そう、確実かくじつにね。

−−『MDNA』に収録しゅうろくされている「Gang Bang」がリリースされた時ときのようですね。まるで映画えいがのようで…。

マドンナ：視覚しかく的てき。

−−目めの前まえに広ひろがる感かんじで。では、「Unapologetic Bitch」についてですが、誰だれかにこう呼よばれたのですか？

マドンナ：いいえ、違ちがうわ。

−−それについて「回答かいとうとなるレコードを作つくる」的てきな？

マドンナ：ノー。

−−誰だれにも、こう呼よばれていないんですね。

マドンナ：いいえ、誰だれにもそんな風ふうに呼よばれたことはないわ。どこからともなく思おもいついたの。

−−この曲きょくを書かいていた時ときに…、

マドンナ：いいえ、延長線えんちょうせんのような感かんじ…、キャリアの始はじめに、プレイボーイ誌しに私わたしの写真しゃしんが掲載けいさいされた時とき、誰だれもが私わたしが恥はずかしさからおじけずく思おもったの。でも私わたしは、「恥はずかしくないわ。隠かくすものはないし、後悔こうかいもしてない。」と言いった。私わたしにとっての「Je Ne Regrette Rien(水みずに流ながして)」というところね。

−−でも謝あやまるべきことは、何なにもないですよね。

マドンナ：あの時ときはね(笑)かっこわらい。

−−もちろん、後悔こうかいしたり、反省はんせいしなければならないようなこともありますが、アーティストとしての方向ほうこう性せいに関かんしては…。

マドンナ：その通とおり。反省はんせいしなければならない状況じょうきょうもあるけれど、あの時ときは違ちがった。

−−このアルバムではたくさんのアーティストと仕事しごとをしていますよね。ここ1年間ねんかんインスタグラムをチェックしていますが、何なん千せん人にんもいるような気きがします。

マドンナ：キッチンには、たくさんのコックが出入でいりしたわ。

−−これまでのほとんどのアルバムでは、あなた以外いがいに（プロデュースと作曲さっきょくの面めんで）中心ちゅうしんとなる人物じんぶつが何なん名めいかいますが、今回こんかいのようにコラボレーターがたくさんいると一環いっかんとした作品さくひんを作つくるのが難むずかしかったのでは？

マドンナ：イエス。とてもハードよ。とっても、とっても、とっても、とっても難むずかしい。一ひとつの都市としに5日間にちかん以上いじょう滞在たいざいすることができない若わかいDJたちと仕事しごとをするのは、私わたしにとって大おおきな挑戦ちょうせんだった。だから、作業さぎょうを完成かんせいさせることが難むずかしかった。そこで、特定とくていのグループの人々ひとびとと仕事しごとをし始はじめて、また他たの人ひととも何なにかをやり始はじめたら、彼かれらがどこかへ行いかねばならなくなって、そしたら違ちがう人ひとが戻もどってきたり、仕事しごとをするのには向むいていない、カオスな状態じょうたいね。アイディアはたくさん思おもい浮うかぶけれど、混乱こんらんも多おおい。クリエイティヴ面めんが回転かいてんドアのような状況じょうきょうで、サウンドと方向ほうこう性せいにおいて、まとまりがある作品さくひんを作つくるのはチャレンジだった。ヘッドライトの先さきで、クリップボードを持もって「OK！」と判断はんだんするのは私わたししかいなかったから（笑）。少すこし学校がっこうの先生せんせいみたいね。

−−ディプロは、アルバムに深ふかくかかわっていると思おもうのですが、彼かれはエグゼクティブ・プロデューサー的てきな？

マドンナ：ノーよ。

−−（これまでリリースされた）3曲きょく以外いがいにも携たずさわっている曲きょくはあるのですか？

マドンナ：3曲きょく以上いじょう一緒いっしょに作つくったわ。エグゼクティブ・プロデューサーとまではいかないけれど、彼かれの意見いけんはアルバムに強つよく反映はんえいされている。彼かれとはたくさんのコラボを行おこなった。他たの曲きょくを聴きいて、何なにが気きに入いって、何なにが気きに入いらないか、とか意見いけんを出だしてくれたけれど、エグゼクティブ・プロデューサーと呼よぶほどではないわ。

−−では、そう呼よびません！

マドンナ：彼かれは、最高さいこうのアイディアを持もつ最高さいこうにイカしたDJよ。

−−アルバムの曲きょく作づくりとレコーディングは終おわっているのですか？

マドンナ：う～ん。曲きょく作づくりは終おわっていて、もうすぐレコーディングも終おわる。あと少すこしで完成かんせいするわ。微ほろ調整ちょうせいするだけ。でも、とりあえずこの6曲きょくを先さきにリリースしなければならなかったの。

Q&A; by Keith Caulfield / 2014年ねん12月21日にち Billboard.com掲載けいさい