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音の渦に佇む獏さん 『陰陽師 蒼猴ノ巻』 (夢枕獏 著)|書評|仲野 麻紀(サックス奏者)|本の話WEB
The Wayback Machine - https://web.archive.org/web/20170522042225/http://hon.bunshun.jp:80/articles/-/2181
書評しょひょう

おとうずたたずばくさん

陰陽いんよう あおい猴ノまき』 (夢枕ゆめまくらばく ちょ

ぶん仲野なかの 麻紀まき|サックス奏者そうしゃ

なんねんまえったばかりのあゆ水筒すいとうれてあらわれたそのほうは、作家さっか夢枕ゆめまくらばくさん。場所ばしょ小田原おだわら老舗しにせ和菓子わがしはな」のオーナーが経営けいえいする「うつわ はな」というギャラリーでおこなわれた、サックス奏者そうしゃであるわたし演奏えんそうかいのこと。あゆさかなに、りのことを一生懸命いっしょうけんめいはなすその姿すがたくことを生業せいぎょうとし、厖大ぼうだい執筆しっぴつりょうをこなすその姿すがたきることは、わるくないな。演奏えんそう高揚こうようもあってか、そのよるおもふけ(ふけ)った。そのせきで、大胆だいたんにもフランスで人気にんき漫画まんが陰陽いんよう原作げんさくしゃとしてのばくさんのおはなしを、是非ぜひいてみたい、というわたし一方いっぽうてきおもいを、多忙たぼうにもかかわらず快諾かいだくしてくださり、わたりふつしていただいた。講演こうえんかいだい成功せいこう。わざわざ南仏なんふつからパリまでたフランスじんのファンのほうは、満員まんいん講演こうえん会場かいじょうれなく、とびらそといていたという。翌日よくじつはパリ10おこなわれたわたしのライブに、なんとばくさんがホテルでげたばかりの「陰陽いんよう」を演奏えんそう一緒いっしょ朗読ろうどくするというハプニングが。大凡おおよそ(おおよそ)のあらすじをおしえてもらい、それをフランスじんミュージシャン2にん説明せつめい一緒いっしょ演奏えんそうするヤンのかなでるウード(アラブリュート)という楽器がっきは、ばち弦楽器げんがっき元祖がんそであり、琵琶びわ原型げんけい。その音色ねいろばくさんの表現ひょうげんどおり、「嫋嫋じょうじょう(じょうじょう)」と。一方いっぽうでトマは、以前いぜん高野たかのさん演奏えんそうしたさい会場かいじょうとなったみなみいんにわいけ水面すいめんはたかなでた、打楽器だがっき奏者そうしゃ。そして、博雅はくがらすふえ見立みたてて、体現たいげんするなどもってのほか、ではあるけれど、サックスとアラブのふえNay(ナイ)をかなでるわたしじつはこの3にん陰陽いんようしろ比丘尼びくに」の舞台ぶたいにもなった高野たかのさんはかつらぎまち上天野かみあまのにある、なまうり(うつひめ)神社じんじゃにて奉納ほうのう演奏えんそうをしている。なんというごえんだろうか。さて、本番ほんばんではわたしばくさんの物語ものがたりのちかたちフランス語ふらんすご逐次ちくじ通訳つうやく演奏えんそうしゃ、そして聴衆ちょうしゅうは、まれたばかりの物語ものがたりみみかたむけ、空間くうかん言葉ことばつかまえききいった。それは、フランスじん日本人にっぽんじんへだてなく、各々おのおの想像そうぞうてき世界せかいに、各々おのおの陰陽いんよう世界せかいまれる瞬間しゅんかんでもあった。こういったフランスでの出来事できごととおして、夢枕ゆめまくらばくさんという作家さっかの、何事なにごとにも挑戦ちょうせんする姿すがたそのものを垣間かいまみたがする。かれりゅうの、人生じんせいというスペクタクルだ。

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陰陽いんよう あお猴ノまき
夢枕ゆめまくら ばくちょ

定価ていか:1,400えんぜい発売はつばい:2014ねん01がつ14にち

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