音楽を楽しむことへの初期衝動
──水島さんはアニメ「D4DJ First Mix」で監督を務めますが、放送以前から「D4DJ」プロジェクトに携わり、ユニットの1つ・Photon Maidenの音楽プロデュースを担当していますよね。音楽プロデュースは初挑戦だったとのことですが、オファーを受けた際はどう思われましたか?
もともと音楽が好きで、作品内の音楽にはこだわってきたつもりなので、チャンスをいただけたことが単純にうれしかったですね。
──「D4DJ」にはPhoton Maidenを含む6組のユニットと、それぞれに斎藤滋さん、上松範康さんといった担当の音楽プロデューサーがいらっしゃいます。ほかのユニットや楽曲、音楽プロデューサーから刺激を受けることはありますか?
もちろんです。皆さんユニットの特徴を活かし、強い曲を出してくるので、負けられないなと。コンテンツ側からザックリとした発注は来るので、それをどう解釈しPhoton Maidenらしくするか、新人らしく、先輩方に挑むつもりで、よく考えて、迷わずフルスイングで作っています。
──アニメ監督としてはベテランの水島さんが、新人のつもりで挑まれているというのはすごく素敵ですね。ご自身でDJ活動もされていらっしゃいますが、DJを始めたきっかけはなんだったのでしょうか。
ニッポン放送の吉田尚記アナウンサーがアニソンDJをしていて、僕の音楽好きを知っていて、DJをやってみないかと誘ってくれました。軽い気持ちでやってみたところ、思った以上に楽しくて、その日のうちに機材を注文してしまいました。DJの楽しさはいろいろあると思いますが、僕は自分のおすすめの曲をどう繋いでフロアを盛り上げるか、選曲のストーリー作りに魅力を感じています。
──では、そんな水島監督から見て、DJを題材にしたコンテンツである「D4DJ」の魅力はどんなところにありますか?
「D4DJ」はライブ、ゲーム、アニメが同時展開するコンテンツです。それぞれがメディアの特徴を活かしていて、1つひとつでも楽しいけど、全部味わうとそのおいしさが倍増するところでしょうか。それぞれが意識し合い、刺激し合っています。
──2018年12月に発表され、CDリリースやキャストによるライブを重ねてきた「D4DJ」ですが、10月からはいよいよTVアニメが始まりますね。制作を手がけるサンジゲンと水島監督がタッグを組まれるのは2015年の「うーさーのその日暮らし 夢幻編」以来だそうですが、3DCGの30分アニメの制作ということで、新鮮に感じる部分はありますか?
「うーさー」は1話5分未満のミニアニメですから、作業の多さ、複雑さはだいぶ違いますね。まして、DJがテーマというハードルの高さで、従来のフローに加えて、DJや音楽制作の描き方、リアリティの出し方には専門的な知識も必要なので、監修を仰ぎながらも日々トライアンドエラーの繰り返しです。
──まだまだ走り出したばかりのプロジェクトなので、TVアニメのストーリーについて期待を寄せるファンも多いかと思いますが、ストーリーにおける見どころを教えてください。
ストーリーはHappy Around!を軸に進んでいます。音楽を楽しむことへの初期衝動。DJやトラックメイキングを通して、登場人物のつながり、絆を描く王道の青春ストーリーです。アニメならではの密度でキャラクターやパフォーマンスを描いていきます。毎回パフォーマンスシーンもありますし、面白くできている手応えがあります。明るく楽しいフィルムになっていますので、是非ご覧ください!