前代未聞ぜんだいみもんの総合そうごうエンタテインメント「BATTLE OF TOKYO」とはーーEXILE HIROインタビュー

小説しょうせつ BATTLE OF TOKYO vol.1 (角川かどかわ文庫ぶんこ)

著ちょ：

月島つきしま 総記そうき

出版しゅっぱん社しゃ：

KADOKAWA

発売はつばい日び：

2021/02/25

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　前代未聞ぜんだいみもんの総合そうごうエンタテインメント・BATTLE OF TOKYO（以下いか、BOT）はどのように着想ちゃくそうされ、どれほどのスケールを伴ともなったプロジェクトなのか？ BOTプロジェクトを統括とうかつする、LDHのチーフ・クリエイティブ・オフィサーEXILE HIROに話はなしを聞きいた。

　2016年ねんのGENERATIONSのライブツアーのテーマと演出えんしゅつを決きめる際さいに、メンバーたちを架空かくうの世界せかいの怪盗かいとう団だんにキャラクター化かしてみようと考かんがえ、ストーリーを作つくり3DCGの映像えいぞうを製作せいさくしてライブのオープニングや幕間まくあいで表現ひょうげんしました。

　今いままでも、EXILE TRIBEのライブはテーマやコンセプトから様々さまざまなストーリーを作つくって表現ひょうげんしてきたのですが、この時ときのGENERATIONSのライブでは、ライブだけで終おわらない、ずっと繋つながっていく新あらたなストーリーを創造そうぞうしたいなと。

　完成かんせいした映像えいぞうを観みた時ときにすごく可能かのう性せいを感かんじましたし、GENERATIONSだけでなくJr. EXILEのメンバーみんなをキャラクター化かして、アーティストとしてのリアルの世界せかいとアバターとしてのバーチャルな世界せかいが連動れんどうした大おおきなストーリーを作つくってみようと思おもったことがBOTに繋つながりました。

　昔むかしから、LDHで発信はっしんされる全すべてのリアルなエンタテインメントを、バーチャルな世界せかいに落おとし込こみたいという想おもいはとても強つよかったですし、個人こじん的てきに「誰だれもやっていない」とか「世界せかい初はつ」ということへの取とり組くみが大好だいすきなんです（笑）。

　今回こんかいのBOTプロジェクトが、今後こんごのLDHのエンタテインメントの在あり方かたを表現ひょうげんする第一歩だいいっぽになってくれると思おもっています。

　コンピレーションアルバム『BATTLE OF TOKYO 〜ENTER THE Jr. EXILE〜』から、今回こんかいの再始動さいしどうまで1年ねん半はん近ちかく時間じかんが空あいたのは、コロナの影響えいきょうもありましたが、Jr. EXILEのメンバー38人にんのキャラクター化かやストーリーの構築こうちく、3DCGモデルの製作せいさく、そして新あらたなミュージックビデオの企画きかくから4曲きょく分ぶんを製作せいさくするのに相当そうとうな時間じかんをかけているからです。それでもこのクオリティのものをこの早はやさで仕上しあげられたのは、BOTに関かかわってくれているスタッフの皆みなさんが、それぞれの分野ぶんやで一流いちりゅうの方々かたがたであり、製作せいさくもクラフターさんだったからですね。

　また、BOTには「HiGH&LOW」シリーズ（以下いか、「ハイロー」）で学まなんだことがいろいろと活いかされているんです。

「ハイロー」はLDHらしい、LDHが得意とくいとする手法しゅほうで様々さまざまなエンタテインメントを繋つなげていく感覚かんかくで進すすめてきました。楽曲がっきょく、MV、ドラマに映画えいが、そしてドームツアーまでの構想こうそうを同時どうじに進すすめていったプロジェクトなので、普通ふつうのドラマや映画えいがの作つくり方かたとは全まったく違ちがうスケジュール感かんであり、凄すごい勢いきおいでメディアミックスされ、同時どうじ進行しんこうだからこそ成なり立たつ総合そうごうエンタテインメントとして進すすめてきました。

　BOTに関かんしては、そのスケール感かんやインパクト、新あたらしいエンタテインメントを創造そうぞうする感覚かんかくは一緒いっしょなのですが、ハイローのように同時どうじ進行しんこうというより、ハイローのようなスケール感かんの中なかで一ひとつひとつのエンタテインメントをわかりやすく明確めいかくに発信はっしんしながら、時間じかんをかけて作つくっている感かんじですね。

　今回こんかいは東ひがし（弘明ひろあき）監督かんとくや脚本きゃくほんの佐藤さとう大まさるさんなど、日本にっぽんのCG映像えいぞうやアニメ界かいの第だい一線いっせんで活躍かつやくする方々かたがたに立たち上あげの段階だんかいから集あつまっていただき、クラフターさんと共ともにコンセプトアートを描えがき世界せかい観かんの設定せっていやストーリーを丁寧ていねいに作つくるところから始はじめています。

　その過程かていで月島つきしま総記そうきさんと出会であい、小説しょうせつの執筆しっぴつをお願ねがいすることにもなりました。世界せかい観かんやストーリーを作つくっていく上うえで重視じゅうししたのは、Jr. EXILEのメンバー38人にんが自分じぶん自身じしんでキャラクターの設定せっていを考かんがえるなど企画きかくに参加さんかしてもらうことでした。

　自分じぶんで名前なまえを決きめたり、細こまかい設定せっていも自由じゆうに考かんがえてもらうことで、キャラクター化かしたアバターに自分じぶん自身じしんを投影とうえいできるようになりますし、メンバーの生おい立たちや成なり立たち、人間にんげん関係かんけいもBOTの世界せかい観かんに反映はんえいさせて、アバターのストーリー自体じたいもリアルなメンバーのストーリーと似にせていきたいと思おもいました。

　また、BOTはこれまでとは違ちがう新あらたな表現ひょうげんになりますが、メンバーが持もっている表現ひょうげん者しゃとしての魂たましいに火ひを付つけたい、という思惑おもわくもこのプロジェクトにはありました。

　まだスタートしたばかりなんですが、ものすごくいいものができあがっている感触かんしょくが既すでにありますね。

　そして、海外かいがい進出しんしゅつにも本腰ほんごしを入いれたいと思おもっています。

　昔むかしから自分じぶんたちのエンタテインメントをグローバルマーケットに展開てんかいしていく準備じゅんびはしていましたが、ここ3、4年ねんで一番いちばん感かんじた日本にっぽんの強つよみはアニメ、ゲーム、アート、マンガやグルメといったカルチャーに世界中せかいじゅうの人ひとたちがものすごく興味きょうみを持もっていると実感じっかんしたことです。自分じぶんたちの音楽おんがくに日本にっぽんのカルチャーをリンクさせるようなコンテンツが作つくれたら面白おもしろいですし、音楽おんがくだけでなく日本にっぽんの強つよみを一緒いっしょに発信はっしんすることで、より世界中せかいじゅうにインパクトを与あたえていけるエンタテインメントを日本にっぽん発はつで作つくれるのかなと……。

　そんな思おもいを抱だいていたことも、BOTに繋つながっています。

　あと、アバターは本人ほんにんが稼働かどうしなくても様々さまざまな展開てんかいができるので、多忙たぼうなスケジュールのメンバーを考かんがえると、可能かのう性せいは広ひろがりますよね。

　また、ライブ活動かつどうを引退いんたいしたメンバーのセカンドキャリアとしても絶対ぜったいに活躍かつやくしますし、LDHにとって、新あらたなアーティストが増ふえることに繋つながると思おもいます。

　その意味いみでも全社ぜんしゃを挙あげて、BOTの可能かのう性せいに挑戦ちょうせんしていきたい。今いまはJr. EXILEチームを中心ちゅうしんにプロジェクトを進すすめていますが、BOTが一種いっしゅのプラットフォームになり、アクセスした人ひとはアバター化かされる、その中なかから新人しんじんが出でてくる……、みたいな展開てんかいができたら面白おもしろいかもしれない。

　Jr.EXILEのみんなの脂あぶらが一番いちばん乗のり切きっている時期じきに、BOTが社会しゃかい現象げんしょうになるくらい盛もり上あげていきたいと思おもいます。これからのエンタテインメントを考かんがえた時ときに、デジタルやバーチャルの世界せかいは可能かのう性せいに満みちているのでBOTは戦略せんりゃく的てきに10年ねん以上いじょう続つづけていきたいとは思おもっています。

　2020年ねんはコロナ禍かで未み発表はっぴょうの公演こうえんを含ふくめると、334公演こうえんを中止ちゅうしせざるを得えませんでした。ですが同時どうじに、自分じぶんたちが進すすもうとしていた方向ほうこう性せいは間違まちがっていなかったんだ、と確信かくしんできた年としにもなりました。

　これまでのLDHはリアルでのアーティストによるライブというエンタテインメントが柱はしらでしたが、今後こんごはBOTを中心ちゅうしんにデジタルテクノロジーを駆使くししたバーチャルでのエンタテインメントをもうひとつの柱はしらとして育そだてていきたいと考かんがえています。

　とにかく、リアルもバーチャルもLDHのエンタテインメントでファンの皆みなさんに喜よろこんでいただけるように、これからも精進しょうじんしていきたいですし、LDHのファンで良よかったと言いってもらえるように頑張がんばっていきたいと思おもいます。

取材しゅざい・文ぶん：吉田よしだ大助だいすけ
（本ほん記事きじは『ダ・ヴィンチ』2021年ねん3月がつ号ごう「BATTLE OF TOKYO」特集とくしゅうからの転載てんさいです）