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ゴスペラーズ、マイナーだったアカペラがメジャーへ「責任感が薄れた」 27年間の想い | ORICON NEWS
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ゴスペラーズ、マイナーだったアカペラがメジャーへ「責任せきにんかんうすれた」 27年間ねんかんおも

 5人組にんぐみボーカルグループ・ゴスペラーズが、18ねんぶり2まいのアカペラのみで構成こうせいされたアルバム『アカペラ2』を完成かんせいさせた。昨年さくねん10がつから5ヵ月かげつ連続れんぞく配信はいしんでアカペラきょくをリリースし、そのすべてがiTunes R&B;ソウルチャート1獲得かくとくほんさくではアカペラクリエイターとしてYouTubeでも注目ちゅうもくの「とおるす」や、しん世代せだいのアカペラグループNagie Laneのメンバー「松原まつばらヒロ」などしん世代せだい面々めんめん参加さんかしている。デビューから27ねん。シーンをけんいんしてきたかれらが、つぎ見据みすえる世界せかいとは。村上むらかみてつやと北山きたやま陽一よういちいた。

「J-POPで“いまのアカペラ”をえるのは自分じぶんたちだけ」当時とうじ自負じふ

  • アカペラのみで構成されたアルバム『アカペラ2』(2021年3月10日発売)

    アカペラのみで構成こうせいされたアルバム『アカペラ2』(2021ねん3がつ10日とおか発売はつばい

──18ねんぶりにアカペラアルバムに着手ちゃくしゅした経緯けいいおしえてください。

村上むらかみてつや】アルバムの制作せいさく自体じたいは2ねんほどまえからはじまってたんですよ。2019ねんまつにメジャーデビュー25周年しゅうねんのシングルコレクションをリリースして、そこからつづくツアーがわったタイミングでおとどけするようなイメージで。まあ、残念ざんねんながらツアーのほうは満足まんぞくいくかたち完走かんそうすることはできなかったんですけど、そんなふうに25周年しゅうねん一区切ひとくぎりさせたところで、自分じぶんたちのゼロポジションにかえってみる意味いみめてアカペラアルバム制作せいさくんだと、そんな自然しぜんながれではありました。

北山きたやま陽一よういち18ねんまえに1まいのアカペラアルバムをしたころくらべたら、我々われわれなかあきらかに「アカペラへの責任せきにんかん」がうすれたことも、着手ちゃくしゅできた要因よういんの1つにはありましたね。

──「責任せきにんかんうすれた」とは?

北山きたやま陽一よういちもちろんアカペラは歴史れきしある音楽おんがく手法しゅほうだし、おおくの尊敬そんけいする先人せんじんがいます。ただぼくらがデビューした27ねんまえには、J-POPシーンで「いまのアカペラ」をうことのできるグループはゴスペラーズだけだった自負じふがありました。あくまで自分じぶんたちの認識にんしきではありますが。そうしたマイナー競技きょうぎであるがゆえに、ぼくらの楽曲がっきょくによってともすれば「アカペラ」というものの固定こてい観念かんねんけてしまうおそれもある。これは非常ひじょうおも責任せきにんだなとかんじていました。

村上むらかみてつや】自分じぶんたちに“しばり”をかけてきたところもありましたね。マイク5ほんだけで、いかになかおどろかせるパフォーマンスを追求ついきゅうするかという。ただアカペラというジャンルの認知にんちひろがったことで、しん世代せだいもたくさんはいってきて。手法しゅほうもどんどんアップデートされていますしね。

──いまやYouTubeにも「アカペラでうたってみた」動画どうが無数むすう投稿とうこうされています。

北山きたやま陽一よういちJ-POPシーンにもたのもしい後輩こうはいがいっぱいてきて、もはや「自分じぶんたちがアカペラの中心ちゅうしんになわなければ」という意識いしき必要ひつようはなくなりました。そういう意味いみではきょくづくりなんかもリラックスしてできた反面はんめん、アカペラへの認知にんち定着ていちゃくしたいまだからこそ提示ていじするべきゴスペラーズとしてのこたえ、わか世代せだいにもうったえられるものをつくらなければいけないというのも、ほんアルバム制作せいさくのテーマの1つでした。

村上むらかみてつや】ここすうねん出会であってきたわかいクリエイターや後輩こうはいにもたくさんはいってもらってね。ボーカルのエフェクトとかミックスもふくめて、なかには「これもアカペラなの?」とおどろくような楽曲がっきょくもあります。さっきった“しばり”をはらったような。一方いっぽうぼくらが追求ついきゅうしてきたマイク5ほんのみによるパフォーマンスも、初志しょし貫徹かんてつすることができた。その方向ほうこうちから拮抗きっこういながら、2021ねん現在げんざいのアカペラアルバムとしてのこたえがせたんじゃないかなとおもってます。

27年間ねんかんつづけてこられた秘訣ひけつは「ギャラが5にん均等きんとうという“原始げんし共産きょうさんせい”システム」

──初回しょかい限定げんていばんには「ゴスペラーズ27ねん真実しんじつ」とだいしたDVDも付属ふぞく内容ないようになるところですが、この27年間ねんかん不動ふどうの5にんでやってこられた秘訣ひけつはどこにありますか?

北山きたやま陽一よういちギャラが均等きんとうに5わりという“原始げんし共産きょうさんせい”のシステムをってきたことじゃないですかね。これは冗談じょうだんきで、ぼくらは選曲せんきょく会議かいぎかならずメンバー全員ぜんいんでやるんですけど、楽曲がっきょくクレジットによってギャラがまるシステムだったら、自分じぶんつくったきょくすメンバーがてきかねない(笑)。ほかのグループはわからないですけどね。そこが原始げんし共産きょうさんせいであることで、純粋じゅんすい音楽おんがくてき尺度しゃくどでいいかどうかのはないができる、ここは非常ひじょう重要じゅうようなことだったとおもっています。

──なるほど。ただ27年間ねんかん活動かつどう休止きゅうしすることもなくあゆんでこられた功績こうせきおおきいとおもいます。解散かいさん危機ききなどはなかったんですか?

村上むらかみてつや】それがなかったんですよね。かといって協調きょうちょうせいがある5にんかというと、まあ性格せいかく嗜好しこうもバラバラで。そんなことなる感性かんせいった5にんが、アンサンブルとかハーモニーといった共通きょうつうのルールのなかでどれだけあばれられるかを追求ついきゅうする面白おもしろみもあるんですけど…。
 ただ、個人こじんてきにはグループがつづいていること自体じたいには意味いみがないとおもってるんです。ありがたいことにゴスペラーズはグループとしては一定いってい評価ひょうかをいただいているけど、まだまだ個々ここ力量りきりょうばさなきゃいけない。もっとえば、5にんそれぞれが独立どくりつしてなかみとめてもらえるような商業しょうぎょうてき成功せいこう目指めざ必要ひつようがあるんじゃないかとおもってるんです。

北山きたやま陽一よういちそうですね。ぼくも5にんそれぞれがつねにグループのそとにも世界せかいっていること。自分じぶん美学びがく追求ついきゅうするという選択肢せんたくし見据みすえておくことが、逆説ぎゃくせつてきですけど、グループをつづけるうえでは一番いちばん重要じゅうようだとおもっています。

──つまりソロ活動かつどうということですか?

村上むらかみてつや】ぼくいちボーカリストとしていまのエレカシの宮本みやもと浩次こうじ)さんをてて、率直そっちょくくやしいなとおもうんですよ。かえ場所ばしょがありつつ、ああやって『異邦いほうじん』をうたいまくる姿すがたながら「チクショウ」とつぶやいたりして(笑)。ボーカリスト集団しゅうだんとしては、ぼくら5にんそれぞれもあれくらいあそべる存在そんざいにならなきゃいけないんです。ハーモニーだなんだっても、ときに緊張きんちょうかんをはらむ関係かんけいせいじゃないと面白おもしろいものもまれないですしね。

──それこそ52まいシングルの『VOXers』では、5にんこえがぶつかりいながらハーモニーをす“ケンカアカペラ”という世界せかいかんしました。

村上むらかみてつや】『アカペラ2』の最後さいごはいってる『インターバル』という北山きたやまいたきょくも、タイプはちがうけどメンバーそれぞれのこえあじわってもらうのがコンセプトです。
 ゴスペラーズが27年間ねんかんつづいてきたことで、ともすれば「ボーカルグループはこうあるべきだ」とおもってしまう後輩こうはいがいたら、それはまずいなとおもうんです。むしろ緊張きんちょうかんあるグループのかたそのものをこれからはせていきたいし、後輩こうはいにもいでもらいたい。そういう意味いみでは、まだまだゴスペラーズとしてやるべきことはたくさんあるんですよね。

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