連載れんさい小説しょうせつ：裂さけた明日あした　佐々木ささき譲ゆずる

尾行びこう者しゃから逃にげる途中とちゅう、信也しんやは真智まちと離はなれて行動こうどうすることになってしまう。由奈ゆなと二に人にん、非常時ひじょうじのための待まち合あわせ場所ばしょに辿たどり着つくが……。

内戦ないせんにより、分断ぶんだんされた日本にっぽん。相次あいつぐ震災しんさいと原発げんぱつ事故じこ、そして例れいの病気びょうきの蔓延まんえんで、国民こくみんの生活せいかつは壊滅かいめつ的てきな影響えいきょうを受うけていた。家族かぞくを亡なくし一いち人にん暮くらす男おとこの元もとへ、逃亡とうぼう者しゃが現あらわれる――。＜作家さっかの眼めが、現実げんじつを鋭するどく照射しょうしゃする。近きん未来みらいの分断ぶんだん日本にっぽんを描えがく、スリリングなSF長篇ちょうへん＞

テロ組織そしきの女おんなが訪たずねてきたのではないか―？　身みに覚おぼえのない問といを受うけ、信也しんやはそれを否定ひていするが…。

民間みんかん防衛ぼうえい隊たいに追おわれる旧友きゅうゆうの娘むすめの訪問ほうもんを受うけた信也しんや。その胸むねに過去かこの記憶きおくが去来きょらいする。

追おっ手てから逃のがれるために、軍事ぐんじ境界きょうかい線せんを越こえたいという真智まち。内戦ないせん後ごの日本にっぽんは、あまりに複雑ふくざつな状況じょうきょうに陥おちいっていた。

逃亡とうぼう者しゃとなった母はは娘むすめは、信也しんやの想像そうぞう以上いじょうに危険きけんな境遇きょうぐうに置おかれていた。二人ふたりのために何なにができるのか、信也しんやは思案しあんする。

自分じぶんを頼たよって逃にげ延のびてきた旧友きゅうゆうの娘むすめと孫まご。信也しんやは二に人にんの命いのちを救すくうため、逃亡とうぼうを手助てだすけしようと心しんに決きめる。

放射線ほうしゃせん量りょうが高たかく、立入禁止たちいりきんしとなったエリアを通とおることに真智まちは不安ふあんを示しめす。しかし、信也しんやにはある切きり札ふだがあった。

陸上りくじょう自衛隊じえいたいの特殊とくしゅ車両しゃりょうで軍事ぐんじ境界きょうかい線せんを突破とっぱするーー。地元じもとの道みちに詳くわしい長谷川はせがわから逃走とうそうの指南しなんを受うけるが……。

突然とつぜん現あらわれた民間みんかん防衛ぼうえい隊たいに、長谷川はせがわが撃うたれてしまう。防護ぼうご車しゃを急きゅう発進はっしんさせた信也しんやは、全すべてを振ふり切きるように軍事ぐんじ境界きょうかい線せんを目指めざす。