刀剣を輸入する
現在、世界中の多くの国で、刀剣類・銃砲類は法令で管理されています。外国人(非居住者)への販売を禁止していたり、専門機関への届け出が必要だったりする国もあるので、注意が必要です。
また、外国人(非居住者)に対する規制がない国だとしても、刀剣類を購入した人が販売した刀剣で問題を起こしてしまった場合には、販売元の店や業者が厳しく罰せられる恐れがあることから、販売する側が、購入者に刀剣類を販売することに難色を示す場合も考えられるのです。
さらに、日本と同様に、購入後の管理や持ち運びに関しての許可や届け出が必要な場合も考えられるので、事前にしっかりと調べ、必要な手続きを踏んでおきましょう。
西洋刀の輸入
近年、インターネット上で、西洋の剣が販売されているECサイトを多く見かけることがあります。また、海外のアンティークショップなどでも、その国の販売許可を得た西洋刀や、レプリカの西洋刀が売られていることも。
ロングソードやレイピアといった美術品としての価値が高い西洋剣を手に入れたいと考えるコレクターも多いのではないでしょうか。しかし、現在の日本においては、西洋刀の輸入は模造品であっても殆ど不可能と言われるくらいに難しいとされています。
日本の税関では、鉄や銅、ステンレスのように、研磨すれば刃になる素材は「武器」とみなされるため、輸入禁止品目として没収されてしまうのです。この場合、自ら税関に出向き、刃(ブレード部分)を切断し、柄と鞘のみ持ち帰ることは可能。当然、西洋刀に対しての銃砲刀剣類登録証は発行されません。
日本刀よりも西洋刀に対する規制が厳しい背景には、銃砲刀剣類登録証制度の理念として、「日本刀の技術や伝統、価値を守る」目的であると言う点にあると言えます。また、日本の税関では、磁力検査が行われ、磁力が発生する素材の西洋刀は、日本国内に持ち込むことはできませんので注意が必要です。
また、日本と同様に、それぞれの国独自の規制のもとに刀剣類の所持(登録)を認める許可証を発行している国もあります。西洋刀を購入する際には、その国の刀剣類所持許可についてもよく調べておくことが大切です。
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中世ヨーロッパのロングソード
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ルネサンス期に流行したファルシオン
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ドイツ起源の大剣ツヴァイハンダー
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古代ローマ期の短剣ダガー
日本刀を海外から逆輸入
海外から日本刀を逆輸入する場合にも、税関での磁力検査があります。また、税関を通過することができた場合でも、銃砲刀剣類所持等取締法14条の規制対象になる日本刀は所持できない場合も。規制対象とならないためには、該当の日本刀が武器ではなく美術品であることを証明する必要があります。
そのためには、その日本刀の素材が和鋼であり、日本の作刀技術を用いた鍛錬によって作られていることが必要。この条件を満たした場合、美術品としての日本刀であることが認められ、審査を経て銃砲刀剣類登録証が発行されます。該当の日本刀の素材が洋鋼だと、模造品だとしても、輸入することはできませんので、購入する前によく確認しましょう。
フランスの例
フランスでは、刀剣類、銃砲類は武器として扱われるため、法令で規制されています。武器類はカテゴリ別に分類されており、刀剣類は制限の一番低い「カテゴリD」です。
このカテゴリDは、18歳以上であれば、外国人(非居住者)に対する刀剣類の販売に規制はなく、購入制限や、当局への届け出も求められません。ただし、用途、保管、輸送、携帯することに対しては法令遵守を求められます。
そして、前述したように、刀剣類の販売者によっては、販売をためらったり、拒んだりする場合もあるので、そういった場面では、刀剣類の使用目的や、法令を遵守できることを説明する必要がありますので注意しましょう。