ティム・クックがかんがえる「Apple Vision Pro」がひら未来みらいと、そのめたる可能かのうせいのすべて

アップルはふくあい現実げんじつ(MR)ヘッドセットの「Apple Vision Pro」を投入とうにゅうしたことで、いかなる未来みらいひらこうとしているのか。CEOのティム・クックをはじめとする主要しゅよう経営けいえい幹部かんぶたちがかたった。
アップルCEOのティム・クックが、カリフォルニア州クパチーノのオフィスで「Apple Vision Pro」を初めて着用したときの様子。
アップルCEOのティム・クックが、カリフォルニアしゅうクパチーノのオフィスで「Apple Vision Pro」をはじめて着用ちゃくようしたときの様子ようすPhotograph: Norman Jean Roy

ティム・クックはじめて「Apple Vision Pro」体験たいけんしたとき、それはまだ「Vision Pro」とはばれていなかった。もうなんねんまえのことだ。6〜7ねんまえ、いや、8ねんまえかもしれない。アップルが宇宙船うちゅうせんのような社屋しゃおく「アップル・パーク」建設けんせつするまえのことだ。

そしていま、わたしたちは、そのすうキロメートルにもおよ曲面きょくめんガラスでおおわれた素晴すばらしい円形えんけい建物たてものなかで、漂白ひょうはくされたオークざいのテーブルのまえすわっている。しばらくあめっていたが、まつ柑橘かんきつじゅかえでれつうえくもはじめ、日光にっこう牧草ぼくそういけまぶしく反射はんしゃして幻想げんそうてき風景ふうけいだ。そしてクックは、アラバマしゅうロバーツデールの心地ここちよいアクセントで、すうねんまえにそれをはじめてたときのことをはなしてくれた──。

すべては「怪物かいぶつ」のようなはこからはじまった

それはインフィニット・ループのきゅうキャンパスのはしにあった「Mariani 1」という、まどくろつぶされたなん変哲へんてつもない低層ていそうビルのなかでのことだった。この場所ばしょ極秘ごくひいで、アップルの「隠密おんみつ作戦さくせん」のための施設しせつのひとつとしてられている。

アップルではたらすうせんにんという従業じゅうぎょういんのほぼ全員ぜんいんが、そこにはあしれたことがない。ドアはなんじゅうにもなっていて、そのまえにもうしろにもかぎがかけられている。しかし、クックは最高さいこう経営けいえい責任せきにんしゃ(CEO)なので、どこにでもくことができる。だからかれは、入室にゅうしつ制限せいげんされた部屋へや散策さんさくした。

そこではたたしきiPhoneや、収納しゅうのう可能かのうなキーボードをそなえたMacBook透明とうめいなテレビが夢見ゆめみられていた。そのほとんどすべてがこの建物たてものからることはなく、これらの機器ききかぎのかかった戸棚とだななかかぎのかかったペリカンケースに保管ほかんされている。

つまり、この建物たてものはアップルにとっての“民間みんかん伝承でんしょう”とでもいえるもので、iPodやiPhoneはそこで発明はつめいされたのだ。それとおな建物たてものでクックはインダストリアル・デザイン・チームのメンバーにい、実質じっしつてきだれもその存在そんざいらない“それ”をにすることになる。

アップルのビジョン・プロダクツ・グループのバイスプレジデントであるマイク・ロックウェルは、クックがはいってきて「それ」をたときにそのにいた。まるで「怪物かいぶつ」みたいなものだと、クックはう。「おおがかりな装置そうち」だ。

すわるよううながされたクックは、この巨大きょだい怪物かいぶつのような機械きかいかお装着そうちゃくする。それは巨大きょだいはこのようなざつなつくりで、内部ないぶにはふくすうまいのディスプレイがたがいにかさなっており、カメラがひげのように外側そとがわしている。

「そのときはまだ、それを“身に着けている”とは言えなかったんです」と、彼は語る。「どう考えても“ウェアラブル”ではありませんでしたから」

かお両側りょうがわにはおおきな冷却れいきゃくファンがあり、安定あんていしたひくいハミングのようなおとててまわっている。そして、この装置そうちからはがりくねったケーブルがていて、それがゆかいちめんひろがり、べつ部屋へやまでびている。そしてスーパーコンピューターに接続せつぞくされ、ボタンがされ、ライトが点灯てんとうし、CPUとGPUが1秒間びょうかんなんじゅうおくというサイクルで脈動みゃくどうはじめる。すると──ティム・クックはつきにいるのだ!

かれは“そこ”にすわっている。なんとつきに! アポロ11ごうのバズ・オルドリンやニール・アームストロングと一緒いっしょ周囲しゅうい見渡みわたすと、ほしりばめられたくろそらした、そこには古代こだいちりのかすかなかがやきがあった。壮大そうだいだ。素晴すばらしい。とおくに地球ちきゅうえる。あおてんだ。そして、この魔法まほうのすべてはそこできている。

だが、クックはただがつにいるわけではない。その秘密ひみつ部屋へやにもいるのだ。あの秘密ひみつ建物たてものに。そして、ロックウェルをはじめとするアップルの従業員や、自分の手を見ることもできる。

それが意味いみすることを、すぐにクックは理解りかいする。まるで宇宙うちゅう自分じぶんなにかをげているようだ。かれは、これこそがコンピューティングとエンターテインメント、そしてアプリと記憶きおく未来みらいであることをり、あたま装着そうちゃくしたこのざつなつくりの装置そうちがすべてをえるであろうことをる。そして、アップルがこれをつぎ製品せいひんカテゴリーにしなければならないということをるのだ。

クックにわからなかったのは、別室べっしつにスーパーコンピューターが必要ひつようで、かつ冷却れいきゃくファンや複数ふくすうのディスプレイを必要ひつようとするこの装置そうちを、エンジニアたちがどうやってスパゲッティ1はこよりすこおも程度ていどのゴーグルのおおきさにまで小型こがたするのか、ということだった。

「わたしたちがここに到達とうたつするであろうことは、なんねんまえからわかっていました」と、クックはかたる。「いつになるかはわかりませんでしたが、ここに到達とうたつするであろうことはわかっていたんです」

そして、そのときがついにた。初代しょだいVision Proは、おおきな靴箱くつばこほどのおおきさのしろはこれられ、店頭てんとうならぶことになった。そして、すでになんまんにんものアップルマニアやアーリーアダプターたちが、それを予約よやくしている。

もちろん、ニッチな群衆ぐんしゅうきつけることは簡単かんたんだ。クックやアップルの幹部かんぶたちも、それはわかっている。アップルは、日常にちじょう生活せいかつにおいて仕事しごと娯楽ごらく瞑想めいそうちょう現実げんじつてき家族かぞくおも撮影さつえいに、あるいはそれらすべてのために、空間くうかんコンピューターに3,500ドル(やく53まんえん)を支出ししゅつする必要ひつようがあることを、それ以外いがいのすべての人々ひとびと納得なっとくさせなければならないのだ。

人々ひとびとの「絶賛ぜっさん」のうらにあるもの

友人ゆうじんわせれば「マトリックスの世界せかいでスキーをしている」ようにえるこのヘッドセットでは、すくなくともいまのところNetflixやYouTubeのような人気にんきアプリは利用りようできない。Vision Proをためしてもらうことはむずかしくはないだろうが、購入こうにゅうしてもらうとなればはなしべつだ。しかし、アップルにとって幸運こううんなことに、発売はつばいまえにこれを装着そうちゃくした人々ひとびと熱狂ねっきょうてき改宗かいしゅうしゃのごとく、この製品せいひんでできることの素晴すばらしさをいているようだ。

「わたしの体験たいけん宗教しゅうきょうてきなものだったとっていいでしょうね」

Vision Proとのはじめての出合であいについてたずねたとき、映画えいが監督かんとくのジェームズ・キャメロンはそうった。「最初さいしょ半信半疑はんしんはんぎでした。アップルという偉大いだいかみまえにひれすわけではないですが、本当ほんとう圧倒あっとうされましたよ」

もうひとりの著名ちょめい映画えいが監督かんとくであるジョン・ファヴローも、おなじような感想かんそうかたっている。かれは、このテクノロジーとこれがストーリーテリングにもたらすものに「圧倒あっとうされた」とかたっているのだ(ファヴローはアップルのために、とくにこのデバイスの3D機能きのう紹介しょうかいするためのコンテンツを制作せいさくした。そこでは恐竜きょうりゅうがスクリーンからして、Vision Proを装着そうちゃくしたユーザーをべようとするかのような映像えいぞうることができる)。 「これまでかたれなかったようなストーリーをかたれるようになることに、わくわくしています」と、ファヴローはかたる。

つづいてジャーナリストのオム・マリクに電話でんわすると、かれはそれ以上いじょう絶賛ぜっさんしていた。かれはテックけいのジャーナリストが電卓でんたくかんする記事きじいていたころからテクノロジーの記事きじいてきた人物じんぶつだ。

素晴すばらしいよ! しんじられない!」と、マリクは熱狂ねっきょうしていた。「宇宙うちゅうのバイブレーションをかんじられる!」

Vision Proをため機会きかいたほかのひとたちの反応はんのうはこうだ。投資とうし(「うわぁ!」)、デザイナー(「うぉ!」)、アナリスト(「おぉ!」)、プロデューサー(「あぁ!」)。

アップル本社ほんしゃ敷地しきちないをスティーブ・ジョブズ・シアターにかってあるきながら、これらの「うわぁ」や「うぉ」「おぉ」や「あぁ」についてかんがえていた。「SJT」の略称りゃくしょうでもばれるこの建物たてものは、かべがガラスだけでできていて、巨大きょだい円筒えんとうがた屋根やねがまるで空中くうちゅうかんでいるようにえる。

伝説でんせつ人物じんぶつであり、このすべてを夢見ゆめみおとこへのオマージュであるこの建物たてものを、わたしはそのときはじめておとずれた。アップルの従業じゅうぎょういんが、弁当べんとうばこほどのおおきさのペリカンケースをっててきた。なかなにはいっているのかはわかった。ああ、あれだ、と。そして、その男性だんせいて、数カ月すうかげつまえはじめてアップルとはなしをしたとき、そのケースの中身なかみためすことにまったく興味きょうみがなかったことをおもした。

興味きょうみゼロだった。かけらもなかったのだ。

2023ねん6がつ実施じっしされたVision Proにかんするクックの基調きちょう講演こうえんなかった。詳細しょうさい解説かいせつするブログ投稿とうこうも、SNSじょう無知むち憶測おくそくまなかった。“ハリー&メーガン”の記事きじるときとおなじように、ただ画面がめんをスクロールしつづけたのだ。

クックとおな部屋へやすわっていたとき、そのことをクックにつたえた。なぜなら、この“げき”を以前いぜんたことがあるからだ。そのげきだい1まくだい2まくがどんなものなのか、そして結末けつまつっている。

初代しょだいiPhoneにれたときのおどろ

時計とけいはりを2013ねんもどそう。ロサンゼルスのある会議かいぎしつで、はじめてオキュラス仮想かそう現実げんじつ(VR)ヘッドセットを装着そうちゃくしたときのことだ(オキュラスは資金しきんりょくのあるスタートアップだったが、のちメタ・プラットフォームズ社名しゃめい変更へんこうするフェイスブック買収ばいしゅうされた)。

オキュラスのヘッドセットは、たしかにクールだった。それは間違まちがいない。パブロ・ピカソがアヘンをいすぎてデジタル世界せかいをデザインしたかのような、ブルータリストてき角張かくばったグラフィックのビデオゲームをプレイしながら、わたしは「うわっ」とうなり、「おぉ」とか「あぁ」といった言葉ことばなんはっした。

ところが、すうふんには閉所恐怖症きょうふしょうのような気分きぶんになってしまう。バーチャル世界せかいでしか自分じぶん姿すがたえないことで、休憩きゅうけい時間じかんのころまでには、自分じぶんはもう現実げんじつ世界せかいんでいないのではないかという実存じつぞんてき危機ききおちいってしまったのだ。

それからグラフィックスはよりなめらかになり、チップはより高速こうそくになったが、過去かこ10ねんにわたってあたらしいVRデバイスを経験けいけんするたびに、おなじことがこりつづけた。「Oculus Rift」「HTC VIVE」「Oculus Quest」「Oculus Quest 2」「Meta Quest 3」。どれも1〜2かいほど使つかったが、かおなにかを装着そうちゃくして閉所恐怖症きょうふしょう気分きぶんになりたくないので、しや戸棚とだな地下ちかしつはこなかかたづけてしまった。

そして2023ねん8がつ、わたしはアップルのロサンゼルスオフィス(正式せいしきには傘下さんかのBeatsの本社ほんしゃ)にまねかれた。そこでは、またべつのVRデバイスを体験たいけんすることになるはずだったのだ。

みがかれたゆかしろいオークざい家具かぐ配置はいちした洗練せんれんされた部屋へやとおされたときには、なんごろに帰宅きたくできるのか、帰途きとくころには405号線ごうせんだい混雑こんざつするだろうから一般いっぱんどう使つかうべきだろうか──といったことしかかんがえていなかった。

グレーの長椅子ながいすすわっていると、アップルの従業じゅうぎょういんまえかれたVision Proをってあたまうえくようにとげた。すすまなかったが、はやわらせたい一心いっしんでそのとおりにした。すると、世界せかいが“えた”。VRヘッドセットでは定番ていばんながれで予想よそうしていたとおりだが、それもすう秒間びょうかんだけのことだった。デジタルカーテンがひらき、その背後はいごからあらわれたものは“現実げんじつ世界せかい”だったのだ。視線しせんさき自分じぶんあしることができ、まえにはアップルのアプリのアイコンがいろとりどりのまぼろしのように出現しゅつげんした。

それはVRヘッドセットとはほどとおいものだった。たとえるなら、プライベートジェット機じぇっとき使つかわれる小型こがた「Gulfstream G800」とSCHWINN(シュウィン)せいどもよう自転車じてんしゃほどかけはなれていた。はじめてったiPodのスクロールホイールを指先ゆびさきうごかしたときや、初代しょだいiPhoneの画面がめんれてゆび画像がぞう拡大かくだいしたときのような感覚かんかくだったのである。

Vision Proでは、アプリのアイコンをえらび、指先ゆびさきをくっつけるようにしてタップするだけでアプリをげることができた。まえ起動きどうしたアプリの解像度かいぞうどは、これまでにたなかでもっと素晴すばらしかった。画像がぞうをスワイプし、ゆびものうごかすこともできた。

ほかのVRヘッドセットではコントローラーを使つかわなければならないので、ではなくロブスターのハサミをあやつっているような気分きぶんになる。これにたいしてVision Proでは、がマウスのように完全かんぜんにシームレスに機能きのうする。

こうした体験たいけんについてクックに感想かんそうつたえると、「びっくりしたでしょう」とかれった。 「3Dの世界せかいんでいるのに、わたしたちがたのしむコンテンツは平面へいめんてきなんです」

最初さいしょのデモで“おとずれた”のは、オレゴンしゅうにある象徴しょうちょうてき成層せいそう火山かざんのフッドやまだった。なにひゃくまんもの雨粒あまつぶがミラーみずうみ様子ようすて、みみくこともできた。本当ほんとうにそのにいるかのような臨場りんじょうかんだった。唯一ゆいいつけていたのは、あめれたかおりである。

これまでたことのないほど鮮明せんめいなグラフィックに空中くうちゅうれ、そのすべてをマウスやキーボードではなく自分じぶんゆびたしかめた。空間くうかんビデオをたのははじめてだった。この機能きのう驚異きょういてきどころではない。まえ人物じんぶつが、本当ほんとうにそこにいるかのようにかんじられるのだ。ばして“れる”こともできる。

はば100フィート(やく30.5m)で映画えいが一部いちぶは、どんなIMAXよりもあざやかで明瞭めいりょうだった。しかし、なによりも重要じゅうようだったことは、周囲しゅうい世界せかい視界しかいにあったことである。 その部屋へやなかにだ。

閉塞へいそくかんはなかった。閉所恐怖症きょうふしょうこらなかった。 そこにいながらにして、同時どうじにあらゆる場所ばしょにいるような感覚かんかくだった。

言葉ことばうしなうことになった体験たいけん

そのはアップルのオフィスをてからちかくのコーヒーショップにはいった。ノートPCをひらくと、その比較的ひかくてきあたらしいはずのコンピューターが、ソビエト連邦れんぽうソ連それん時代じだい発電はつでんしょのがれきからした遺物いぶつのようにおもえた。

「よくある反応はんのうのなかでもわたしたちのおりは、『って、ちょっとだけって。いまなにきたのか整理せいりさせてください』とわれれることです」と、アップルのワールドワイドマーケティング担当たんとう上級じょうきゅうふく社長しゃちょうのグレッグ・ジョズウィアックは、アップル・パークで昼食ちゅうしょくをとりながらかたっていた。「もとはれらしいでしょう。プロダクトを体験して、衝撃のあまり言葉を失うなんてことはめったに起こりません。そう思いませんか」

本当ほんとう言葉ことばうしなうことになったのは、2かいのデモだった。 最初さいしょ体験たいけんから数カ月すうかげつ、ロサンゼルスのオフィスをふたたおとずれたときのことである。2人ふたりのアップル従業じゅうぎょういん案内あんない部屋へやはいり、Vision Proを装着そうちゃくした。するとカーテンがひらいて、わたしのまえかれらがいるのがえた。前回ぜんかいことなっていたてんは、ティーカップをっていたことだ。

このあたらしいデモの最中さいちゅうに、わたしはばしてティーカップををり、紅茶こうちゃいちくちんだ。すると、そのあいだゆびの1ほん明滅めいめつした。現実げんじつとまったくおなじシミュレーションの世界せかいにいながら、そこで誤作動ごさどう遭遇そうぐうしたかのようだった。

って。なにているんでしょうか」と、は困惑こんわくしながらたずねた。「あなたたちは“本物ほんもの”ですか? それとも……」

「いいえ、あなたがているのはリアルタイムでレンダリングされているわたしたちの映像えいぞうなんです」と、従業じゅうぎょういんのひとりが説明してくれた。わたしは言葉を失い、ただしばらく座っていた。見えているものは現実の世界で、その上にあらゆるデジタルの奇跡が重ねられているのだとばかり思っていた。透明なVision Proの上をテクノロジーのレイヤーが覆っているイメージだ。ところが現実は、その逆だったのである。

この経験けいけんについて映画えいが監督かんとくのキャメロンにはなすと、「進化しんかてきなものではなく革命かくめいてきなものだとかんがえています。18ねんにわたってVRにたずさわってきた立場たちばからの意見いけんです」 とかれった。キャメロンの説明せつめいによると、Vision Proがに4Kの画像がぞうを“んで”いるせいで、とてもリアルにえるのだという。「それぞれの眼球がんきゅうに75インチサイズのテレビの解像度かいぞうど、つまり2,300まん画素がそんでいるようなものですから」

総体そうたいてきると、平均へいきんてきな4Kテレビがやく800まん画素がそである。アップルのエンジニアは、4Kディスプレイのかくから長方形ちょうほうけいってVision Proにんだわけではない。しかし、エンジニアたちはその2ばいのピクセルを眼球がんきゅうほどしかない空間くうかんにどうにかして圧縮あっしゅくしたのである。 この分野ぶんややく20ねんにわたってんできたキャメロンのような人々ひとびとにとっては、これは「あらゆる問題もんだい解決かいけつする」ものだ。

ところが、現実げんじつとデジタルで合成ごうせいされたものを区別くべつできないほど明瞭めいりょうあざやかな2,300まん画素がそという脅威きょういをもってしても、アップルが解決かいけつできていない問題もんだいがある。すくなくとも、いまのところはだ。

スティーブ・ジョブズがのこした伝説でんせつ

シリコンバレーには、伝説でんせつしているスティーブ・ジョブズの逸話いつわがある。やく25ねんまえのことだ。クックがすうねん最初さいしょのVision Proのプロトタイプをることになった場所ばしょおなじく、それは隠密おんみつ作戦さくせんようなん変哲へんてつもないビル「Mariani 1」できた。

1990年代ねんだい後半こうはん、ジョブズは初代しょだいiPodの開発かいはつむエンジニアチームをかかえていた。ちいさなはこめるような最小さいしょうサイズのiPodのプロトタイプをつくろうと、物理ぶつり法則ほうそくげ、工学こうがくてきなアクロバットを駆使くししながらチームは懸命けんめいはたらいていたのだ。

これ以上いじょうちいさくすることが不可能ふかのうというところまでたどりいたエンジニアたちは、それをジョブズにせた。こうしたプロトタイプにはすうひゃくまんドルか、ときにはそれ以上いじょうのコストがかかっている。ところが、ひとどお点検てんけんえたジョブズは、もっとちいさくする必要ひつようがあるとった。エンジニアたちは、それ以上いじょう小型こがたはできないと返答へんとうした。するとジョブズは水槽すいそうかってあるいてき、プロトタイプをみずとしてしまった。しずんでいくプロトタイプをて、「そこからている気泡きほうえないのか? もっとちいさくできるはずだ」と、ジョブズは指摘してきしたのだ。

「ここにM2チップが……R1チップがあって……遅延ちえんはほぼゼロで……5,000けん特許とっきょに……7ねん……」。インダストリアルデザイン担当たんとうふく社長しゃちょうのリチャード・ハワースは、イングランドのレスター地方の強いなまりでそう語った。説明しながらハワースが指差していたのは、分解され、目の前に広げられた数十個のVision Proの部品である。

かれ説明せつめいきながらもあたまなかめていたのは、水槽すいそうとされたiPodのプロトタイプのことだった。もしジョブズがいまもきていたら、Vision Proを水槽すいそうれ、「あわえるんだから、もっとちいさくできるはずだ」とうだろうか。

Vision Proについて一貫いっかんした不満ふまんがあるとすれば、それはおおきさとおもだろう。やく20オンス(やく567g)というと、さほどのおもさではないようにこえるかもしれない。オンスは食材しょくざい重量じゅうりょうであり、につけるものとしてはれない単位たんいだ。しかし、これはバター5ほんぶんおなおもさである。バター5ほんいちにちちゅうかおせてあるまわ様子ようす想像そうぞうできるだろうか。

VRのパイオニアであるキャロライナ・クールズ=ネイラは、デバイスの装着そうちゃくほうがVR技術ぎじゅつたいする反応はんのうふか影響えいきょうするものであるとおしえてくれた。「わたしは30ねん以上いじょうにわたってVRにんできましたが、スキューバダイビングマスクの形状けいじょう卒業そつぎょうしてより目立めだたないかたちにできるまで、この技術ぎじゅつ大衆たいしゅうけにすることはできないでしょうね」と、クルーズ=ネイラはう。「そしてスキューバダイビングのマスクのようなおおきさやおもさは、1ねん解決かいけつできるものではありません」

Vision Proが経済けいざいてき成功せいこうするかどうかのかぎは、おもにこの問題もんだいにぎっている。アップルの幹部かんぶからは、これまでの売上うりあげについて「期待きたいできる」としかくことができなかった。一方いっぽうウォうぉル街るがいのアナリストは、オンライン予約が始まった週末にアップルが約18万台を販売したと見積もっている。

モルガン・スタンレーは、今後こんご5年間ねんかんでVision Proの年間ねんかん販売はんばいすうが200まんから400まんだいにまで増加ぞうかし、アップルのあたらしい製品せいひんカテゴリーになると予想よそうしている。これにたいしてアップルのサプライチェーンのアナリストとしてられるミンチー・クオ(かくあきら錤)のように、しばらくはニッチな製品せいひんにとどまるとみている専門せんもんもいる。

とはいえ、はなしいたアナリストたちは、ほぼ全員ぜんいん最終さいしゅうてきには成功せいこうするものとかんがえている。「すうねんにはサングラスのように改良かいりょうされ、1,500ドル(やく22まん6,000えん未満みまん販売はんばい価格かかくになるとかんがえています」と、ウェドブッシュ証券しょうけんのシニアアナリストのダン・アイヴスはう。

重量じゅうりょうについては、アップルのインダストリアルデザイン担当たんとうふく社長しゃちょうのハワースにたずねるまでもなかった。かれがわから話題わだいげてきたのだ。

ハワースは重量じゅうりょうについて説明せつめいするにあたり、この部品ぶひんとあの部品ぶひんはマグネシウムとカーボンファイバーとアルミナム(かれは「アルミニウム」ではなく「アルミナム」と発音はつおんした。おな英国えいこくじんとして尊重そんちょうさせてもらう)でつくられているとかたり、これらは地球ちきゅうじょうもっとかる素材そざいであって、また現状げんじょう以上いじょう小型こがたする方法ほうほうもなかったのだと説明せつめいした。ハワースの説明せつめいによると、「これ以上いじょう軽量けいりょうすることも、小型こがたすることもできなかった」「最先端さいせんたん製品せいひん」なのだという。

アップルではなしたほかの人物じんぶつだれもが、おなじような発言はつげんをしていた。「未来みらい世界せかいばし、この製品せいひんつかってきたようなかんじです」と、ワールドワイドマーケティング担当たんとう上級副社長のジョズウィアックは語っている。「未来を顔に装着する、というわけです」

アップルのビジョン・プロダクツ・グループのバイスプレジデンのロックウェルも同様どうようで、つぎのようにかたってくれた。「あれほどちいさな形状けいじょうに、できるかぎりテクノロジーをんだのです」

解決かいけつさくえない“問題もんだい

「おのぞみなら、ソファに寝転ねころんだ状態じょうたい天井てんじょうにディスプレイをうつすことだってできます」と、クックはう。「わたしは(テッド・)ラッソのシーズン3を天井てんじょううつしてたんですが、素晴すばらしかったですよ!」

そこでいえかえってから自分じぶんのVision Proで『フォードvsフェラーリ』を天井てんじょううつしててみたが、空間くうかんオーディオのおかげでケン・マイルズのフォード「GT40」が部屋へや自分じぶん一緒いっしょにいるかのようにかんじられた。「わたしの感想かんそうですが、これまで経験けいけんしたものとはくらべものにならないレベルで瞑想めいそうすることができました。わたしの瞑想めいそうれきながいんですよ」と、クックはかたる。わたしはずっと瞑想めいそうをうまくこなせなかったのだが、このけんについてもクックはただしかった。「そして、わたしは瞑想めいそう生産せいさんせい向上こうじょうのために活用かつようしているんです」と、クックはう。

Vision Proの仮想かそうキーボードを使つかった文字もじ入力にゅうりょくは、あしゆびあいだにペンをはさんできものをする行為こういすこている。不可能ふかのうではないにしろ、実用じつようてきではないのだ。

ところが、Vision Proを装着そうちゃくしたまま自分じぶんのMacBook Proをひらいたところ、拡張かくちょう現実げんじつ(AR)世界せかいにMacBookの画面がめんんできて、かなりシームレスに作業さぎょうをこなすことができた。のところ、いまあなたがんでいる文章ぶんしょうは、Vision Proを装着そうちゃくしながらMacBookでいている。

いまえることは、もしこの状況じょうきょうをあなたがたら、まるで『マイノリティ・リポート』のトム・クルーズのようにえるだろう、ということだけだ。とはいえ、ほんのすこしだけ、もっとハンサムにはえるだろう。

そして、空間くうかんビデオだ。わたしは自分じぶんどもがただゆうんだりしゃべったりしている様子ようす空間くうかんビデオとして録画ろくがし、視聴しちょうし、ありふれた瞬間しゅんかんつい体験たいけんしてみた。再生さいせいされた空間くうかんビデオは、とても感情かんじょうてき没入ぼつにゅうできる代物しろものだった。まるできとしたいきづかいまでかんじられる記憶きおくあしれたかのようだったのである。

またしてもこれをわねばならないのだが、Vision Proがもたらした環境かんきょうが、どれほどリアルにかんじられたかを表現ひょうげんすることはむずかしい。だが、わたしは定期ていきてきに“ミラーみずうみ”へもどってすべての通知つうちり、ただ水際みずぎわあめ様子ようすを5ふんから10ふんほどしずかにながめたりいたりしてから仕事しごともどる──ということをするようになった。

Vision Proを使つかうにあたり、おかしいとかんじる部分ぶぶんはたくさんある。おりのトラブルのひとつは、ある部屋へやでVision Proを使つかってからべつ部屋へやき、おなじアプリをひらくと、そのアプリをつけすために部屋へやちゅうさがさなければならない、というてんだろう。

さがしているアプリは天井てんじょうにあることもあれば、ゆかにあることもある。先日せんじつはテキストアプリをつけることができず、かえってみたところバスルームにあるところを発見はっけんした(後日ごじつ、デジタルクラウンをすうびょうほどせばリセットできることをまなんだ)。

だが、過去かこ2週間しゅうかんにわたりVision Proを使つかむほどに、あるあきらかな問題もんだいかんじるようになった。その問題もんだいとは重量じゅうりょうのことではない(問題もんだいではあるが、いずれかるくなることだろう)。サイズのことでもない(バージョンアップのたびにちいさくなるだろう)。

Vision Proのせいで、ひとりでコンテンツを消費しょうひする機会きかいがさらにえるだろうという心配しんぱいでもない(すでに半数はんすうちかくの米国べいこくじんがテレビをひとりで観るようになっている)。メタやネットフリックス、スポティファイ、そしてグーグルといった巨大テック企業が現時点では自社のアプリをVision Pro用に出すことを控えている、という話でもない(消費者が現れればコンテンツ制作者もやって来るようになるかもしれない。それにディズニーのような一部の制作者はすでにVision Proを活用しており、スター・ウォーズやマーベルといったメガフランチャイズを含む150本の映画を3Dで視聴できる)。

そして、価格かかくですらない。なぜならアップルは、Vision Proの購入こうにゅう金銭きんせんてき補助ほじょしたいとかんがえたなら、それを実行じっこうできる企業きぎょうである。実際じっさいにそうした場合ばあい財務ざいむじょう影響えいきょうといえば、クックが5セントのコインをソファのクッションのあいだになくした程度ていどでしかないだろう。

いま話題わだいにしているのは、解決かいけつさくえないはなしである。

この問題もんだい最初さいしょづいたのは、アップル・パークにあるスティーブ・ジョブズ・シアターの地下ちかオフィスでのことだった。このときはジョシュア・ツリー国立こくりつ公園こうえん舞台ぶたいにしたデモをており、乾燥かんそうした大地だいちがもたらす魅力みりょくてき砂漠さばくのシルエットのなかすわっていた。

そして「Fruit Ninja」であそんだ。素手すででフルーツをきざむゲームだ。その、DJアプリをためした。ターンテーブルが自分じぶんまえ展開てんかいし、フェーダーをスライドしたり、ミキサーを調整ちょうせいしたり、レコードをスクラッチしたりすることができた。そしてうごくレイバーたちがまわりでおどるなか、魔法まほうのように天井てんじょうくディスコボールをしたのである。

DJセットにかこまれているときに、アップルの従業じゅうぎょういん終了しゅうりょう時間じかんだとげてきた。そこでVision Proをいだのだが、そのときに“例の問題”が起きた。その問題は家に帰った後、過去数週間で撮影した子どもたちの空間ビデオをスクロールし、まるで子どもたちが眼前にいるかのように感じながら視聴した際にも起きた。そしていまから数分後、わたしがこの記事を書き終わり、IMAXの画面並みのサイズがあるMicrosoft Wordのドキュメントが消え去った際にも起きるだろう。

Vision Proをいださいに、ほかのあらゆる機器きき退屈たいくつ味気あじけなくかんじられてしまうのだ。自宅じたくにある75インチの有機ゆうきELテレビは、まるで90年代ねんだいブラウン管ぶらうんかんモニターのようにかんじてしまうし、iPhoneでさえ往年おうねんたたしき携帯けいたい電話でんわのようにかんじてしまう。自分じぶんまわりの現実げんじつ世界せかいさえ、おどろくほど退屈たいくつかんじてしまう。

これが問題もんだいなのだ。オーディオシステムなしにクルマを運転うんてんすることなんてかんがえられないように、ひととコミュニケーションをとったりどもの写真しゃしんったりするためのスマートフォンをあるかないことなんてかんがえられないように、そしてコンピューターきにはたらくなんてかんがえられないように、わたしたちのだれもがARきにきるなんてかんがえられなくなるがやってくると、わたしには予想よそうできる。

わたしたちがこれまで以上いじょうにテクノロジーにかこまれた生活せいかつおくるようになれば、このようなメガネをまるでドラッグであるかのようにもとめるときがやってくるのだろう。まさにいま、わたしたちがiPhoneをもとめるかのようにだ。しかも、これほどまでの解像度かいぞうどほこるARがもたらしうる、ドーパミンの放出ほうしゅつもとめる欲望よくぼう上乗うわのせされる。

わたしは内心ないしん、Vision Proの没入ぼつにゅうかんすさまじすぎるとかんがえている。それにもかかわらず、自分じぶんがしたいことといえば、Vision Proをつうじて世界せかいることだけなのだ。

間違まちがいなく、このテクノロジーは素晴すばらしいものです。とはいえ、いまでも失敗しっぱいしてくれないかとかんがえていますし、ねがっています」と、あるシリコンバレーの投資とうしかたる。「アップルのことはすこしずつ、リハビリを提供ていきょうするフリをした“テックばんフェンタニル”[へん註:フェンタニルは鎮痛ちんつうざいとして使用しようされる非常ひじょう強力きょうりょく合成ごうせいオピオイド。中毒ちゅうどく米国べいこく深刻しんこく社会しゃかい問題もんだいになっている]のディーラーのようにかんじるようになってきています」

ひどいいようだが、かれかんじていることはだれもがかんじていることだ。すなわち、わたしたちはスマートフォンの奴隷どれいになっているのではないか、というはなしである。かれ現在げんざいのような状況じょうきょう以前いぜんにも目撃もくげきしたわけで、そのだい1まくだい2まくがどうなるかをっているのだ。そして、最終さいしゅうてきにどうわるのかもっている。

アップルがいざなう未来みらい

この問題もんだいについて、わたしはクックに質問しつもんしなかった。なぜなら、数日すうじつほどつまでなにもかもづかなかったからだ。しかし、テクノロジーの進展しんてん急激きゅうげきすぎないか、という質問しつもんはした。AIや空間くうかんコンピューティング、わたしたちのテクノロジーにたいする依存いぞんといったテクノロジーにかんするあらゆることがぎの状態じょうたいになってはいないのかと──。

わたしはクックに、「テクノロジーの未来みらいとは、いったいどのようなものになるのでしょうか?」と質問しつもんした。

「それを正確せいかく予測よそくすることはむずかしいとおもいます」と、かれかえした。

「けれど、あなたはテクノロジーをつくっているがわ存在そんざいです」とわたしはった。「予測よそくしようとはしないのですか?」

なにかとてもわくわくすることに出会であい、まわはじめる。そしてその『なにか』がわたしたちをどこにみちびくのかをたしかめる。わたしたちがしているのはそういうことなんです」と、クックはかたった。「そうですね。ロードマップなどでいろいろと計画けいかくてています。それに、わたしたちは明確めいかく見解けんかいをもっています。とはいえ、そのだい部分ぶぶんは『探求たんきゅう解明かいめい』とぶべきものでもありますが」

そしてクックは、こうげんって会話かいわめくくった。「ときにてんてんむすびつき、おもいもよらなかった場所ばしょへとみちびいてくれるものなのです」(むすびついたてん道標どうひょうにするというはなしは、ジョブズが以前いぜんよく話題わだいにしていたことだった)

疑問ぎもんになるのはつぎてんだ。これからわたしたちがかうさき、すなわち空間くうかんコンピューティングの時代じだいというものは、わたしたちの生活せいかつをよりよいものにするのだろうか? それとも、空間くうかんコンピューティングはつぎなる必需ひつじゅひんしたテクノロジーになってしまい、わたしたちはARなしの世界せかいではきられなくなってしまうのだろうか?

ジョズウィアックは「未来みらい世界せかいばし、この製品せいひんつかってきたようなかんじです。未来みらいかお装着そうちゃくする、というわけです」とかたっていたが、これは半分はんぶんしかっていないと個人こじんてきにはかんがえている。おもうに、そのぎゃくなのだ。アップルがわたしたちを未来みらいに、コンピューティングのあたらしい時代じだいへとれてこうとしているのである。

全力ぜんりょくでその未来みらいへとたどりこうとしている人間にんげんもいれば、無理むりやりきずられていくものもいる。しかし、全員ぜんいんかうはめになる。わたしたちはだれもがこれから、つきへとかうのだ。そしてくらほしりばめられたそらした太古たいこちりからはっせられるぼんやりとしたひかり見回みまわすことになる。そしてわたしたちは、これがコンピューティングとエンターテインメントとアプリとメモリーの未来みらいであると、自分じぶんたちのあたまかれた装置そうちがこれからなにもかもえていくのだと、ただおもることになるのだ。

Vanity Fair US/Edit by Daisuke Takimoto)

※『WIRED』によるApple Vision Proの関連かんれん記事きじはこちらアップルの関連かんれん記事きじはこちら


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