FASHION

不可能ふかのう多様たようたい”から着想ちゃくそうた、クレージュのコレクションとあたらしいアイコン|AS A TOOL: Entanglement

量子りょうし性質せいしついは、わたしたちの経験けいけん直感ちょっかん通用つうようしないといわれるけれど、いやしかし。先進せんしんせい際立きわだつプロダクトには、かさわせやもつれがありそうな。たとえばこのはるのクレージュ(Courrèges)は、独自どくじのミニマリズムと幾何きかがくてきなアプローチがますます洗練せんれんされている。テーマは「メビウスのおび」。つまりひょううらかさわせ。
“向き付け不可能な多様体”から着想を得た、クレージュのコレクションと新しいアイコン|AS A TOOL Entanglement
Photograph: Toru Oshima

Courrèges
SLIM HOLY BAG

メビウスのおび。クレージュの2025ねんはるなつコレクションのテーマは、19世紀せいき発見はっけんされた空間くうかん図形ずけいだった。

ひょううらもなく単一たんいつ面積めんせきをもつというてんでは2次元じげん曲面きょくめんだが、ねじれているというてんでは3次元じげん空間くうかんのみに存在そんざいするという特殊とくしゅさは、これまでもおおくのアーティストの着想ちゃくそうげんとなってきたし、ミニマルで幾何きかがくてきなアプローチを得意とくいとする、アーティスティック・ディレクターのニコラス・デ・フェリーチェが、インスピレーションをるのも自然しぜんながれのようにうつる。

実際じっさいコレクションで登場とうじょうしたルックは、ねじれや円形えんけいといった安直あんちょくなかたちの反映はんえいでもなければ、もちろん無駄むだ装飾そうしょくもなく、60ねん以上いじょうのメゾンの遺産いさんあらたなひかりあたえ、まるでうつくしい数式すうしきをたどるようなエレガントさと発見はっけんがあった。

メゾンのアイコンバッグとなっているHOLY BAGの新作しんさくなんてまさしく。まるでシュレーディンガー方程式ほうていしきのよう、とまではいわないが、そこに使つかわれるへん微分びぶん記号きごう∂のシルエットにてなくもない。

PHOTOGRAPHS: TORU OSHIMA
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF Courrèges

「SLIM HOLY BAG」 ¥135,000
〈Courrèges/エドストローム オフィス tel.03-6427-5901〉
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雑誌ざっし『WIRED』日本にっぽんばん VOL.56特集とくしゅうQuantumpedia」より転載てんさい


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雑誌ざっし『WIRED』日本にっぽんばん VOL.56
「Quantumpedia」

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