Courrèges
SLIM HOLY BAG
メビウスの帯。クレージュの2025年春夏コレクションのテーマは、19世紀に発見された空間図形だった。
表も裏もなく単一の面積をもつという点では2次元の曲面だが、ねじれているという点では3次元の空間のみに存在するという特殊さは、これまでも多くのアーティストの着想源となってきたし、ミニマルで幾何学的なアプローチを得意とする、アーティスティック・ディレクターのニコラス・デ・フェリーチェが、インスピレーションを得るのも自然な流れのように映る。
実際コレクションで登場したルックは、ねじれや円形といった安直なかたちの反映でもなければ、もちろん無駄な装飾もなく、60年以上のメゾンの遺産に新たな光を与え、まるで美しい数式をたどるようなエレガントさと発見があった。
メゾンのアイコンバッグとなっているHOLY BAGの新作なんてまさしく。まるでシュレーディンガー方程式のよう、とまではいわないが、そこに使われる偏微分の記号∂のシルエットに似てなくもない。
PHOTOGRAPHS: TORU OSHIMA
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima
Photograph: Toru Oshima
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF Courrèges