今年ことしは“mid”がアツい！　「LJL 2024 Summer Split」Week1を終おえてのメタ解説かいせつ＆チーム紹介しょうかい

「2024年ねん夏なつのLJLが，開幕かいまくッッッ！」


　カーサスのUltの気分きぶんで叫さけんだところで，本稿ほんこうはPCオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」（League of Legends。以下いか，LoL）の日本にっぽん最強さいきょうを決きめる夏季かき大会たいかい「LJL 2024 Summer Split」の解説かいせつ記事きじだ。

※LJL＝「League of Legends Japan League」

　なお，本ほん大会たいかいは先週せんしゅう2024年ねん6月がつ7日にちから開幕かいまくしており，Week1（初はつ週しゅうの6試合しあい）を終おえている。今回こんかいはその結果けっかを見みつつ，メタ的てきなチャンピオン解説かいせつをはじめ，参加さんかチームの紹介しょうかいや気きになる点てんを確認かくにんしていく。

「LoL Esports JP」YouTubeチャンネル

Week1で一番いちばん使つかわれたチャンピオンは？

　ヴ　ァ　ル　ス　です。

最もっとも選えらばれたのはこの男おとこ，ヴァルスでした

　Week1で最もっともピックされたヴァルスは「射程しゃていが長ながい」「レーンが強つよい」「行動こうどう妨害ぼうがい（CC）持もち」「ビルドが柔軟じゅうなん」と，プロシーンにおいて不可欠ふかけつとも言いえる要素ようそがてんこもりのボットレーン向むけadcである。

　その柔軟じゅうなんさをひとかけらでもサミーラとかに分わけてあげてほしい。

SHG，SG，V3，DFMの4チームでピックされた。かなり優先ゆうせんされているのが分わかる

　彼かれが重宝ちょうほうされる理由りゆうは山やまほどあるが，個人こじん的てきには“今いまが旬しゅんなコーキに強つよい”のが大おおきいのではと思おもっている。

　コーキはmidでもbotでも活躍かつやくできる，いわゆるフレックスタイプのチャンピオンだが，Ultを覚おぼえるまではスキル・通常つうじょう攻撃こうげき（AA）ともに射程しゃていが短みじかく，対面たいめん相手あいてによってはかなりキビしい。

　なかでも長ちょう射程しゃていadcは天敵てんてきで，コーキを取とった側がわの気持きもちは「ヴァルスがいるボットレーンに送おくりたくない……」で満場一致まんじょういっちだろう。つまり，ヴァルスを取とればコーキの持もち味あじをほぼ打うち消けせるのである。

とはいえ，Week1ではSsol選手せんしゅがコーキで見事みごとに勝かってみせた。一応いちおう，世界せかい的てきには（パッチ14.10，全ぜん地域ちいきを見みた結果けっかではあるが）ヴァルス側がわの勝率しょうりつは7割わりほど

　ついでに，ヴァルスの天敵てんてき“ブリンクないヤツ絶対ぜったい殺ころす王子おうじ”ことジャーバンIVが顔かおを見みせないのも大おおきいだろう。彼かれがバフされ，またピックされるようになれば，ヴァルスの居心地いごこちも変かわりそうである。

ジャーバンIVと同どう系統けいとうの“ベタ足あし絶対ぜったい焼やくメカ”ことランブルくんは，BANされてほとんど出でてこない。Week1でのBAN数すうが計けい11回かい。1試合しあいを除のぞけばすべてBANされていることになる

　コーキのほうは現在げんざい（パッチ14.11），ちょっと強つよすぎる状態じょうたいにある。同どうパッチにより，ダメージ出力しゅつりょくを物理ぶつり寄よりにするリワーク（かなりざっくりとした表現ひょうげんなので，詳細しょうさいはパッチノートを参照さんしょう）と，adcアイテムが調整ちょうせいされ，無類むるいの強つよさを手てに入いれている。

　とくにmidでの運用うんようは強力きょうりょくで，レーンも強つよけりゃ終盤しゅうばんも強つよい。なんならポークもDPSもアサシンもできるとんでもねえ存在そんざいとなった。

Week1 Day2では，AXCのEugeo選手せんしゅが前ぜんブリンクからのバーストで，V3のAce選手せんしゅのフェイを落おとした場面ばめんが印象いんしょう的てきだった。遠距離えんきょりミサイルをペチペチ撃うってたコーキはもういない

　現げん環境かんきょうは新しん登場とうじょうのAPアイテム「黒くろ炎えんのトーチ」の影響えいきょうが強つよく，タリヤ，ブランド，カーサス，リリアなどのAPjg（魔法まほう系けいのジャングラー）が台頭たいとうしていることもコーキ活躍かつやくの一因いちいんとなる。チーム全体ぜんたいのダメージバランス（※）の観点かんてんから，ADmidの価値かちが相対そうたい的てきに高たかまっているわけだ。

※チーム内ないにおけるダメージの種類しゅるい（物理ぶつりAD・魔法まほうAP）のバランス感覚かんかく。どちらか偏かたよりすぎると，片方かたがた対策たいさくの防御ぼうぎょ特とく化かで対処たいしょされやすく，「タンクが溶とかせないよぉ〜〜〜」な場面ばめんに陥おちいることになる

　同おなじ理由りゆうで，ヨネも存在そんざい感かんを見みせた。ADmidの分類ぶんるいなら，アクシャンやゼドなんかも出でないかなあ……とひそかに期待きたいしていたのだが。

SGにはヨネを高こう次元じげんで操あやつれるJett選手せんしゅがいるため，ありがたいメタかも？

　一方いっぽう，黒くろ炎えんのトーチを持もつタイプではなくとも，ニダリーもAPjgとして高たかい評価ひょうかを受うけている1人ひとりだ（1匹ひき？）。

　彼女かのじょはとにかくファームが早はやく，壁かべ越こえや視界しかい確保かくほもスキルで行おこなえる。カウンタージャングル（敵陣てきじんジャングルのモンスターを奪うばうこと）も非常ひじょうに強力きょうりょくで，Day2におけるV3 vs.AXCの試合しあいでは，Van選手せんしゅがHRK選手せんしゅのリー・シンに100cs以上いじょうの差さをつけていた。

悠々ゆうゆうと敵陣てきじんに入はいり込こみ，槍やりをタワー下かに投なげ込こむ，由緒ゆいしょ正ただしきニダリーしぐさ

　「じゃあトップレーンはどないなっとんねん」という話はなしだが，ここは岩いわ投なげサソリ（スカーナー）とトンファーゴリラ（カ＝サンテ）の棲すみ処しょとなっており，もはや砂漠さばくっぽくて暑苦あつくるしいので，真夏まなつがやってくる前まえにクーラーでも設置せっちすればいい感かんじになるんじゃなかろうか。

　などと話はなしを終おわらせると，4Gamer編集へんしゅう者しゃに書かき終おわるまでインペイルされそうなので，ちょっと真面目まじめに書かいておこう。

たま〜〜〜にサソリとゴリラの目めを盗ぬすんで，スライム（ザック），動物どうぶつ変化へんかおじさん（ウディア），おっきくなっちゃう子こ（ナー）なども出でてくる

　一言ひとことで評ひょうすると，現げんtop環境かんきょうはインチキvs.インチキだ。硬かたくて痛いたくてレーン戦せんでも集団しゅうだん戦せんでも強つよいやつらが無法むほうで暴あばれている。

　なかでもスカーナーとカ＝サンテは「アイテム変更へんこうガー」「メタニ即そくシテテー」といった理由りゆうではなく，“シンプルに強つよい”の一いち点てんだけでもてはやされている。この2チャンピオンが強力きょうりょくすぎて，結果けっか的てきに彼かれらを中心ちゅうしんにメタが回まわっている，という印象いんしょうを受うけるほどに。

スカーナーはパッチ14.7でフルリワークされた。複数ふくすうの割合わりあいダメージとハードCCを持もち，“ダメージの出でるタンク”という許ゆるされざる存在そんざいとして，以降いこうはずっとブイブイ言いわせてる

ヴォイドグラブの重要じゅうよう性せいが上あがったことで，試合しあい展開てんかいとして「レベル6タイミングでの強つよさ」がより重要じゅうよう視しされることになったのも大おおきい。V3のTaNa選手せんしゅがピックしていたエイトロックスには（パッチ14.11では）その力ちからはなかった

　一応いちおう，彼かれらをレーン段階だんかいでボッコボコにできるランブルくんというステキなチャンピオンもいるが，それゆえBAN筆頭ひっとう候補こうほで，Week1では最多さいたBAN対象たいしょうに君臨くんりんした。天敵てんてきのほうが厄介やっかいだった結果けっかである。

　こう見みると環境かんきょうめぐってるね。トホホ。

唯一ゆいいつピックされた試合しあいはsup出場しゅつじょう。こいつもこいつでハチャメチャなので困こまりもの

あとはトランプ投なげるマン（ツイステッド・フェイト）なんかも有効ゆうこうなピックだ。スカーナー＆カ＝サンテはどちらも射程しゃていが長ながい相手あいては苦手にがてとしている

　最後さいごに“supのちょっと特殊とくしゅなビルド”にも触ふれておこう。

　現在げんざい，タンクsupは「ワーモグアーマーを初手しょてに積つむビルド」が流行りゅうこうしている。アフターショック＆セレスティアル オポジションで耐久たいきゅうを確保かくほし，敵てきにエンゲージして，死しななければワーモグで回復かいふく……という便利べんりもとい当あたり屋やみたいなビルドがブームとなっている。

　これはパッチ14.9にて，ワーモグから付与ふよされるヘルスが＋1000になった影響えいきょうが大おおきい。単純たんじゅんに防具ぼうぐとしてのコスパもよく，さらにサポートアイテムを完成かんせいさせれば自動じどう効果こうか“ワーモグの心臓しんぞう”（非ひ戦闘せんとう状態じょうたいだとヘルスがギュンギュン回復かいふくする）が発動はつどうするのも追おい風かぜとなった。

AXCのIno選手せんしゅが使つかうレルのビルドがそれ。この状態じょうたいでもだいぶ強つよい

　こういった理由りゆうからか，今いまはエンゲージ手段しゅだんのあるタンクsupがめっぽう強つよいメタとなった。Week1でもレルが4戦せん3勝しょうと勝率しょうりつが高たかく，同おなじくピックの多おおいノーチラスやレオナとも一線いっせんを画かくしている。

　とはいえ大会たいかいは始はじまったばかりのため，現状げんじょうの結果けっかだけで「レル＞ノーチラス＝レオナ」と算出さんしゅつするのは気きが早はやい。ひとまず，この3チャンピオンは重宝ちょうほうされているという情報じょうほうだけ覚おぼえておこう。

タンク以外いがいだと，アッシュがめちゃめちゃ強力きょうりょくなsupとして注目ちゅうもくされている。おかげでBANされることも多おおく，Week1では1試合しあいしか登場とうじょうしなかった

LJLではニーコのsup運用うんようもうまくいっている様子ようす。初はつ週しゅうは3戦せん3勝しょうで負まけなし

Week1注目ちゅうもくのマッチアップ
「ツイステッド・フェイトvs.パンテオン」

　Week1で気きになるマッチアップがあったので軽かるく触ふれておきたい。それはBCT vs.DFMの試合しあいで，BCTがトップレーンにツイステッド・フェイトを送おくり込こんだところ，DFMがパンテオンを突つき合あわせたのだ。

　そもそもパンテオンがピックされたこと自体じたいが意外いがいであり，これにどのような意図いとがあったのかをちょっと考かんがえてみた。

槍やりをぽこじゃか投なげまくれたあの日ひのパンテオンじゃないのに，なぜ長ちょう射程しゃていの相手あいてに？

　結論けつろんだけ言いうと，おそろしく機能きのうしていた。

　パンテオンはW-「跳とべ撃げきの盾たて」で敵てきに肉薄にくはくしながらスタンを与あたえ，相手あいてのヘルスを大おおきく削けずれるのがウリだ。このスキルは対象たいしょう指定していで飛とんでくるため避さける手段しゅだんがなく，低てい耐久たいきゅうのツイステッド・フェイトはレーニングでかなりの緊張きんちょう感かんを強要きょうようされる。DFM側がわにはセジュアニもいたため，ガンクされればほぼ間違まちがいなく倒たおされるマッチアップでもあった。

　さらに，ツイステッド・フェイトのスタン効果こうかをE-「イージスの猛攻もうこう」の無敵むてきでしのいだり，Ultによる戦場せんじょう介入かいにゅうをUlt-「偉大いだいなる星ほし路ろ」で追おいかけたりと，よくよく見みるとカウンター要素ようそがたくさんあって，対面たいめんへの回答かいとうとしては実じつに理りにかなっていた。

　パンテオン自体じたいは主流しゅりゅうなピックではないのだが，メタ外がいの答こたえで殴なぐり返かえす戦たたかい方かたは，いかにも強豪きょうごうDFMらしい。流行りゅうこうとは別べつ軸じく知識ちしきと対策たいさくでパフォーマンスを見みせつけてくれるのは，見みている側がわも楽たのしいものだ。

パンテオンであれば，中盤ちゅうばん以降いこうに（相対そうたい的てきに）射程しゃていが短みじかくなるコーキがサイドレーンに出でてきたとき，逆ぎゃくにソロキルを狙ねらえる。このあたりもピックの狙ねらいだったのでは？

Jett選手せんしゅの復帰ふっき。Eugeo選手せんしゅの覚醒かくせい
今期こんきのLJLは“mid”がアツい

　ここからはWeek1を終おえてのチームごとの評価ひょうかに移うつる。まず個人こじん的てきな総論そうろんを挙あげておくと，今期こんきアツいのは間違まちがいなくmidレーンだ。

　SGにはJett選手せんしゅが復帰ふっきした。SHGもDasheR選手せんしゅが昨さくシーズンから調子ちょうしを上あげてきていて，BCTでも新規しんき加入かにゅうのJool選手せんしゅが要ようとなっている。春はるの王者おうじゃを逃のがしたDFMのエース，Aria選手せんしゅも黙だまってはいない。

スカーナーをキャッチアップしたシーンは「まさにJettここにあり！」という動うごきだった。直ちょく当あてのUlt-「冥めい封ふう一閃いっせん」，体からだを入いれてスカーナーの退路たいろをふさぎ，苦くるし紛まぎれのUlt-「インペイル」にはEで対処たいしょ。カンペキ

　と，上うえではKR（韓国かんこく）選手せんしゅ勢ぜいを中心ちゅうしんに挙あげさせてもらったが，個人こじん的てきな注目ちゅうもく株かぶはAXCのEugeo選手せんしゅ，V3のAce選手せんしゅだったりする。

　Eugeo選手せんしゅは得意とくいチャンピオンのフェイが黒くろ炎えんのトーチのおかげでメタに上あがったことに加くわえ，本人ほんにんのパフォーマンスがWeek1で抜群ばつぐんに上あがっていた。なにせあの“Jett選手せんしゅのヨネ”を抑おさえ込こんだのだ。


　Ace選手せんしゅのほうは，現げん環境かんきょうでさらに強力きょうりょくになったmid陣じんにどう食くらいつくか……いや，どう打うち倒たおしていくのか。V3の勝利しょうりのピースになるだろうという意味いみで目めが離はなせない。

　Ace選手せんしゅがかつてLJLの頂点ちょうてんを獲える姿すがたを見みていた者ものとしては，彼かれの実力じつりょくは疑うたがうべくもない。勝かちに飢うえていた昨年さくねん，強引ごういんにアカリをピックしたときのような，「オレがキャリーするんだよ！」といったギラついた姿勢しせいを見みせてくれることを大おおいに期待きたいしている。

Week1でも，バロン裏うらでヨネに肉薄にくはくされた状態じょうたいから見みせた芸術げいじゅつ的てきなステップでキッチリ時間じかんを稼かせぐなど，すばらしいプレイングが光ひかっていた

　とにかくmidが注目ちゅうもくな今こんシーズン。

　あらためて，それぞれのチーム順位じゅんいなどを見みていく。

現在げんざい（Week1終了しゅうりょう時じ）の順位じゅんい表ひょうがこちら。右みぎのPTSが勝かち点てんになる。勝利しょうりで3点てん，引ひき分わけ1点てん，負まけ0点てんで計上けいじょうされる

〇SoftBank Hawks Gaming（SHG）
　順位じゅんい：1位い（2勝しょう0引ひき分わけ0敗はい：勝かち点てん6）

　相そうも変かわらず常勝じょうしょうのSHG。宿敵しゅくてきDFMが相手あいてでも2-0と快勝かいしょうし，「誰だれが止とめんのこのチーム？」と言いわんばかりの独走どくそう状態じょうたいを見みせた。PCSプレイオフでの世界せかい戦せんの経験けいけんが，躍進やくしんのきっかけであることは間違まちがいない。

　春はるシーズンからパフォーマンスを上あげているDasheR選手せんしゅ/midは，ここにきてさらに調子ちょうしを上あげてきたように思おもえる。
　多おおくの戦場せんじょうを渡わたってきたベテランにして，LJLの“トップ of top”と呼よべるであろうEvi選手せんしゅの存在そんざいもあり，以降いこうの試合しあいのフィードバックによってチーム戦術せんじゅつもさらに洗練せんれんされていくであろう。

　果はたして，この連勝れんしょう街道かいどうを止とめるチームは現あらわれてくれるのか。そこが気きになっている。こんな「誰だれか一矢いっし報むくいてくれ−！」なんてニュアンスの書かき方かたをしてしまうくらい，今いまのSHGにはまるで隙すきがない。

DFMとの2試合しあい目めは，まさに完封かんぷうと言いっていい試合しあい運はこびだった

【注目ちゅうもくするなら】Forest選手せんしゅ（jg）
　春はるではいきなり突出とっしゅつする場面ばめんも目立めだっていたが，世界せかい戦せんが濃密のうみつな経験けいけんになったか，今季こんきは不安定ふあんていなそぶりすら見みせない。
　mid戦せんで有利ゆうりを取とれがちな今いま，相手あいてジャングルに介入かいにゅうしていくアグレッシブな動うごきは，今後こんごもっと生いかせるようになりそうだ。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 2「DFM vs.SHG」。春はるシーズンの決勝けっしょう戦せんの再来さいらいだ。序盤じょばんに大おおきな有利ゆうりを築きずいたDFMのAria選手せんしゅに対たいし，SHGがどういった対処たいしょを見みせていくのかに注目ちゅうもくしてほしい。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

〇AXIZ CREST（AXC）
　同率どうりつ2位い（1勝しょう1引ひき分わけ0敗はい：勝かち点てん4）


　Jett選手せんしゅ擁ようするSG相手あいてに苦戦くせんするかと思おもわれた初戦しょせんで，見事みごとな勝かち星ぼしを上あげたAXC。Day2ではV3のTaNa選手せんしゅ/topのヴェインに対たいして，スワップで対処たいしょするという戦術せんじゅつ面めんの広ひろさを見みせつけた。

　選手せんしゅたちのパフォーマンスが春はるよりもよくなっていることが好調こうちょうの一因いちいんだろうが，個人こじん的てきにはメタの合致がっちも強つよみに思おもえた。
　Eugeo選手せんしゅ/midが得意とくいとするフェイの台頭たいとうをはじめ，エンゲージ系けいタンクsupが旬しゅんである現状げんじょう，チーム全体ぜんたいで得意とくいとするチャンピオンをピックしやすいのは間違まちがいなく勝因しょういんに関かかわっている。

　唯一ゆいいつ，「APjgとADmidのタッグが強つよいなか，メイジ系けいを得意とくいとするEugeo選手せんしゅはどうなるのか」なんて声こえもあったが，Day2のコーキピックで不安ふあんもしっかりと払拭ふっしょくされた。移うつり変かわっていくメタに柔軟じゅうなんに対応たいおうしていくことができれば，夏なつの頂点ちょうてんで照てっても不思議ふしぎではない。

Ssol選手せんしゅとEugeo選手せんしゅがコーキを使つかえるというのは，現在げんざいのメタにおいて非常ひじょうにたのもしい。相手あいてをするチームはできればBANで対応たいおうしたいはずだ

【注目ちゅうもくするなら】Van選手せんしゅ（jg）
　Cassin選手せんしゅが健康けんこう上じょうの問題もんだいで出場しゅつじょう不可ふかとなったため，AXCに急遽きゅうきょ加入かにゅうしたVan選手せんしゅ。カウンタージャングルなどの攻撃こうげき的てきな動うごきが得意とくいなようで，ニダリー使用しよう時じのパフォーマンスがピカイチだった。
　同おなじ強つよみを持もつCassin選手せんしゅがコーチングしているという話はなしもあるため，チーム全体ぜんたいでの動うごきやコミュニケーションにも心配しんぱいなさそうだ。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 2「V3 vs.AXC」。V3相手あいてにスワップが行おこなわれたこの試合しあいで，Van選手せんしゅはニダリーを連続れんぞくピックし，両りょう試合しあいで大おおきく活躍かつやくした。LJL新顔しんがおの実力じつりょくが気きになる人ひとたちは要ようチェックだ。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

〇Sengoku Gaming（SG）
　同率どうりつ2位い（1勝しょう1引ひき分わけ0敗はい：勝かち点てん4）


　Geang選手せんしゅが日本人にっぽんじん枠わくとなったことで，Jett選手せんしゅ/midが再ふたたびロースター入いりし，ellim選手せんしゅとあわせて3KR体制たいせいとなった今季こんきのSG。
　Jett選手せんしゅには1シーズンのブランクがあったものの，その精強せいきょうさは健在けんざいで，対戦たいせん相手あいてが苦戦くせんを強しいられることは想像そうぞうに難かたくない。

　ただし，Week1の試合しあい内容ないようは（筆者ひっしゃ的てきに）顔かおぶれに反はんした完成かんせい度どだったのも事実じじつだ。勝かった試合しあいも完勝かんしょうではなく，リーグ全体ぜんたいの競争きょうそう力りょくが上あがってきたことを差さし引ひいても，SGにはかなりの修正しゅうせい点てんが残のこっているように映うつった。まだSHGやDFMといった強豪きょうごうとの戦たたかいも控ひかえていることだし。

　などと，少々しょうしょう厳いむしめに見みてしまっているが，サクセスストーリーというのは得えてしてこういうスタートから始はじまるものである。

レオナで横よこから入はいって，みたいなGeang選手せんしゅの鋭するどいエンゲージには今後こんごも期待きたい

【注目ちゅうもくするなら】Yuhi選手せんしゅ（adc）
　Week1で一番いちばんビックリした，と言いうと失礼しつれいかもしれないが，Yuhi選手せんしゅのパフォーマンスがハンパないことになっていた。
　ダメージをギリギリまで出だし続つづける立たち回まわり。キルラインの見極みきわめも完璧かんぺき。かつてのYutorimoyashi選手せんしゅを思おもい起おこさせるようなフィジカル（いわゆる操作そうさ技術ぎじゅつなど）。当とうのYutorimoyashi選手せんしゅは現在げんざいSGでコーチを務つとめているので，彼かれの強つよみが継承けいしょうされたおかげかもしれない。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 1「SG vs.AXC」。引ひき分わけ試合しあいではあるが，それだけに見応みごたえがすごい。なかでもYuhi選手せんしゅのカイ＝サはUlt-「キラーヴォイド」の使つかい方かたがおもしろく，2試合しあい目めの集団しゅうだん戦せんでは相手あいての意識いしきを引ひきつけ，体力たいりょく1ドットになるまでダメージを出力しゅつりょくしてから生還せいかんした。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

〇DetnasitoN FocusMe（DFM）
　4位い（1勝しょう1敗はい0引ひき分わけ：勝かち点てん3）


　今年ことしは春はるの王者おうじゃを逃のがしたDFM。国際こくさい戦せんでも健闘けんとうはしたものの，7位いという苦くるしい結果けっかに終おわり，チームの冬ふゆは続つづいていそうだ。

　春はるの決勝けっしょう戦せんのリベンジとも言いえたDay2のSHG戦せんでは，王者おうじゃ復権ふっけんのごとき勢いきおいも見みせるも，結果けっかだけ見みれば完封かんぷうされてしまった。
　とくに2試合しあい目めはピックからして勝かち筋すじをうまく作つくれていないように思おもえて，SHGとの間あいだの壁かべがさらに高たかく見みえてしまった。

　だからといって，DFMが弱よわくなったというわけではないだろう。Day1でのBCT戦せんでは完膚かんぷなきまでに圧勝あっしょうする姿すがたを見みせており，DFMらしい柔軟じゅうなんなピックを生いかしたドラフトの強つよさも見みられた。
　チームとしての完成かんせい度どがLJL随一ずいいちであることに変かわりない。あとはこの夏なつ，再ふたたび王者おうじゃへと返かえり咲ざく姿すがたが見みられるかどうかだ。

春はるから加入かにゅうしたRayFarky選手せんしゅの活躍かつやくも目覚めざましい

【注目ちゅうもくするなら】Yutapon選手せんしゅ（adc）
　LJLの最さい古参こさんながら，今年ことしもすばらしいプレイを見みせてくれる。BCT戦せんでのステップワークは目めを見張みはるものがあり，仕上しあがりは抜群ばつぐんだ。ルーン性能せいのうを生いかす独特どくとくなビルドも“Yutaponらしさ”だ。
　長年ながねん，王者おうじゃチームのエースとしてあり続つづけた彼かれが挑戦ちょうせん者しゃに戻もどった今いま，上位じょういの壁かべをどのように“射うち”壊こわしてくれるのか楽たのしみで仕方しかたない。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 1「BCT vs.DFM」。オレリオン・ソルをピックした終盤しゅうばん寄よりの構成こうせいでありながら，序盤じょばんから有利ゆうりを取とって相手あいてをたたきつぶす試合しあい運はこびは，「つっよ……」の感想かんそうしかひねり出だせない。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

〇Burning Core Toyama（BCT）
　同率どうりつ5位い（0勝しょう0引ひき分わけ2敗はい）


　BCTは2敗はいからのスタートという苦くるしい立たち上あがりとなった。しかし試合しあい内容ないようは悪わるくなく，むしろこれからに期待きたいできるものだった。

　なかでもSG戦せんの1試合しあい目めはチームとしての狙ねらいがばっちり共有きょうゆうされ，目的もくてき意識いしきをあわせた“ちゃんとしたチームの動うごき”が実現じつげんされていた。バロンを触さわって相手あいてを動うごかすなど，判断はんだんもワクワクさせてくれる。

　チームとしてきっちりまとまってきた現在げんざい，新人しんじん選手せんしゅたちについては個人技こじんぎが上位じょうい選手せんしゅたちと比くらべて物足ものたりない節ふしもあるため，個々人ここじんの成長せいちょうが牽引けんいん力りょくのカギとなりそう。あとはいつ，扉とびらを開ひらくかだ。

Geang選手せんしゅの隙すきを見逃みのがさず，しっかり追おってソロキル。こういうシーンがもっと見みたい

【注目ちゅうもくするなら】HowLa選手せんしゅ（adc）
　2024年ねん5月がつ，自身じしんのXアカウントにて「（チームが）3位い内ないに入いれなければ引退いんたいします」と宣言せんげんしたことで注目ちゅうもくせざるをえないHowLa選手せんしゅ。
　有望ゆうぼうな若手わかてが去さるのは界隈かいわいの損失そんしつでしかないが，個人こじん的てきにはこのスピリッツを肯定こうていしたい。「よう言ゆうた！」くらいの気持きもちすらある。

　実際じっさい，彼かれのパフォーマンスはかなりよくなってきた。なんとしてでもプレイオフに出場しゅつじょうし，3位い以内いないとは言いわず，1位いをもぎ取とって全員ぜんいんの度肝どぎもを抜ぬいてほしい。私見しけん交まじりで恐縮きょうしゅくだが，応援おうえんのしたさがすごい。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 2「SG vs BCT」。序盤じょばんで有利ゆうりを作つくり，あと一いち歩ほのところまで相手あいてを追おい詰つめたが，惜おしくも負まけてしまった一戦いっせん。SG相手あいてに戦たたかえる地力じりきを持もったチームであることに間違まちがいないので，後半こうはん戦せんどころか今日きょうを折おり返かえしとし，一花咲ひとはなさかせてほしいところだ。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

〇V3 Esports（V3）
　同率どうりつ5位い（0勝しょう0引ひき分わけ2敗はい）


　BCTと同おなじく，V3も全敗ぜんぱいからのスタート。トップレーンからキャリーできるTaNa選手せんしゅ/topの強つよみをあまり生いかせないメタなのが苦くるしいか。

　ヴェインやケネン，エイトロックスを渡わたして試合しあいを作つくろうとはしていたが，結果けっかとして戦績せんせきは芳かんばしくない。ランブルが空すくことがあればまた違ちがってくるとは思おもうのだが，現時点げんじてんだと望のぞむべくもないだろう。

　だが，春はるからHRK選手せんしゅ/jgの調子ちょうしがかなり上あがってきているので，TaNa選手せんしゅとともにトップ側がわから試合しあいを動うごかせればまた変かわってくるはず。
　そして展開てんかいの有利ゆうりをmidまでうまく波及はきゅうさせられれば，サモナーズリフトをもっと円滑えんかつに支配しはいできるようになるのではなかろうか。

劣勢れっせいでも勝かちを拾ひろいにいける，TaNa選手せんしゅの力強ちからづよさは健在けんざい。ガングプランクあたりの得意とくいチャンピオンがメタに戻もどってくると，さらに厄介やっかいな選手せんしゅになるだろう

【注目ちゅうもくするなら】Ace選手せんしゅ（mid）
　再三さいさん言いっているが，筆者ひっしゃとしては今季こんき最もっともアツいのはmidレーンだ。なかでもV3は上半身じょうはんしん（top/jg/midのことを総合そうごうしてこう呼よぶことがある）主体しゅたいでゲームを動うごかすのが勝利しょうりへの道筋みちすじになりそうなので，なんとしてもmidで勝利しょうりしてほしい……と勝手かってに願ねがっている。

　トップレーンから有利ゆうりを広ひろげるのではなく，むしろ自分じぶんが有利ゆうりを取とることでTaNa選手せんしゅをより動うごかしやすくするなど，そういった動うごきにつなげられるかどうか。ほかのチームもメキメキと実力じつりょくを上あげている昨今さっこん，Ace選手せんしゅにはV3の“エース”としての活躍かつやくが求もとめられる。

　注目ちゅうもくの試合しあいは，Day 2「V3 vs.AXC」。TaNa選手せんしゅの強つよさが見みられた試合しあい。AXC側がわの行動こうどう妨害ぼうがいスキルがなくなったと見みるやいなや突つっ込こみ，おびただしい数かずの首くびを取とって帰かえっていく，鬼神きじんのごときヴェインが見みられる。最後さいごの集団しゅうだん戦せんも，なにかひとつ違ちがえば全員ぜんいん倒たおしていたかもしれない。

注目ちゅうもく試合しあいの動画どうが（YouTube）

Week2は本日ほんじつ開始かいし！

　そんなこんなで講釈こうしゃくを垂しだれてきたが，とりあえずWeek1を見みた感想かんそうは「今季こんきもLJLはおもしろいッ！」のひと言ことに尽つきる。

　春はるに参加さんかチーム数すうが減少げんしょうしたのは今いまも寂さびしく思おもっているが，そのぶん実力じつりょくが凝縮ぎょうしゅくされ，より濃密のうみつな戦たたかいになってきたことは間違まちがいない。

Van選手せんしゅのスティール（バロンフィニッシュなどを相手あいてから奪うばう行為こうい）には心しんを躍おどらされた。まさか初はつ出場しゅつじょうでチームの危機ききを救すくう最高さいこうのスティールをやってくれるなんて！

　LJL 2024 Summer SplitのWeek2 Day1は，本日ほんじつ6月がつ15日にち17時じより各種かくしゅ動画どうがサイトにて配信はいしんされる。初戦しょせんはSG vs.BCTとなる。

　今週こんしゅうはAXCが春季しゅんき最さい上位じょういチームのSHG，DFMと当あたるため，調子ちょうしを上あげているEugeo選手せんしゅがDasheR選手せんしゅ，Aria選手せんしゅに対たいしてどう立たち回まわるのかが見みどころだ。週末しゅうまつの夕方ゆうがた以降いこうはぜひともリアルタイムで観戦かんせんし，配信はいしんのコメント欄らんやX上うえで感想かんそうを交かわし合あってみよう。

今後こんごの放送ほうそう予定よていはこんな感かんじ

今季こんきからはたくさんのストリーマーがウォッチパーティに参加さんかしている。LJLは誰だれかと見みるのがめちゃくちゃ楽たのしいので，一度いちどこういった配信はいしんにも訪おとずれてみるのもいいかも？

キャスター陣じんもウォッチパーティを開催かいさい予定よてい。LoLについてより詳くわしく知しりたいのなら，こちらで質問しつもんをしながら観戦かんせんするといいだろう

　第だい1週しゅうが終おわったばかりで，まだまだ見逃みのがせないLJLの夏なつ。Week2も梅雨つゆの湿気しっけなんてぶっ飛とばすような，アツい試合しあいを期待きたいしている。

「LoL Esports JP」YouTubeチャンネル