「毛糸けいとのカービィ プラス」プレイレポート。毛糸けいとの世界せかいで繰くり広ひろげられる冒険ぼうけんは，新しん要素ようそが“プラス”され，楽たのしさが大おおきく広ひろがった

　任天堂にんてんどうはニンテンドー3DS用ようソフト「毛糸けいとのカービィ プラス」を，本日ほんじつ（2019年ねん3月がつ7日にち）発売はつばいする。本ほん作さくは，2010年ねんにWiiでリリースされた「毛糸けいとのカービィ」をニンテンドー3DSに移植いしょくしたもので，タイトルに「プラス」とある通とおり，さまざまな新しん要素ようそが追加ついかされている。毛糸けいとならではの変幻へんげん自在じざいとも言いえるアクションを楽たのしめる本ほん作さくのプレイレポートをお届とどけしていこう。


　プププランドに突如とつじょ現あらわれたマントの男おとこが持もっていた靴下くつしたの中なかに吸すい込こまれ，毛糸けいとや布ぬのの世界せかいへと迷まよい込こみ，自身じしんも毛糸けいとの姿すがたとなってしまったカービィ。本ほん作さくでは，これまでのシリーズとはひと味あじ違ちがった，手芸しゅげいにまつわるアクション要素ようそが盛もり込こまれている。

ストーリーシーンは絵本えほんのようなビジュアルとナレーションによる読よみ上あげが優やさしい

毛糸けいとの世界せかいで出会であう王子おうじフラッフ。彼かれのお願ねがいを聞きいて，バラバラになってしまった世界せかいを元もとに戻もどすことが目的もくてきだ

　身体しんたいが毛糸けいとになったことで，得意とくいの吸すい込こみアクションは空気くうきが抜ぬけてしまうためできなくなったが，その代かわりに毛糸けいとを投なげて引ひっかける「ひっかけアクション」が可能かのうとなった。ひっかけアクションでは，毛糸けいとを投なげ縄なわのように利用りようし，道中どうちゅうの物体ぶったいにひっかけることで，「めくる」「引ひっ張ぱる」「ぶら下さがる」などのワイヤーアクションが行おこなえる。引ひっかける対象たいしょうによって変化へんかする，さまざまな演出えんしゅつも本ほん作さくの楽たのしみのひとつだ。

毛糸けいとを投なげるひっかけアクション。赤あかい目印めじるしが見みえているものに引ひっかけてみよう

ボタンに引ひっかけるとぶら下さがって，振ふり子このようにスイングして移動いどうできる

　また，敵てきに対たいして毛糸けいとを投なげると，糸いとをほどいて倒たおすことができるのだが，ボタンを押おしたままの状態じょうたいにすると巻まき取とって毛糸けいと玉だまを作つくれる。これを投なげつけて攻撃こうげきしたり，道中どうちゅうのブロックを壊こわすことも可能かのうだ。

ひっかけアクションで引ひっかけた敵てきはほどけてしまう

　本ほん作さくのカービィはひっかけアクション以外いがいにも，毛糸けいとにまつわる能力のうりょくを身みに付つけている。
　そのひとつは，Wii版ばんにはなかった新しん要素ようその「さいほう能力のうりょく」。これは敵てきを倒たおしたときなどにドロップする「さいほうのもと」を入手にゅうしゅすると使つかえるようになる能力のうりょくで，いつでも毛糸けいと玉だまを作つくれる「あみぼう」，ハリガネのソードで攻撃こうげきする「ハリガネ」，竜巻たつまきに変身へんしんして体当たいあたり攻撃こうげきができる「ナイロン」，爆ばく弾だんを作つくって投なげる「ボタン」など多彩たさいなバリエーションがある。
　敵てきの攻撃こうげきを受うけたり，任意にんいに外はずすと能力のうりょくを失うしなうが，落おとしたさいほうのもとを取とれば再ふたたびその能力のうりょくを使つかえるというルールは，従来じゅうらいのコピー能力のうりょくと同一どういつで，プレイフィールも近ちかしいものを感かんじられた。

カービィが被こうむった帽子ぼうしでさいほう能力のうりょくを確認かくにんできる。中なかにはひっかけアクションを同時どうじに行おこなえるものも

ハリガネはコピー能力のうりょくのソードに近ちかいさいほう能力のうりょく。敵てきやギミックを斬きって進すすんでいける

　本ほん作さくのカービィは，ダッシュ時じは車くるま，落下らっか時じはパラシュート，プレス時じは重おもり，水中すいちゅうでは潜水せんすい艦かんの姿すがたに変化へんかしアクションを行おこなうのだが，それとは別べつに「メタモル能力のうりょく」という強力きょうりょくな変身へんしん能力のうりょくが備そなわっている。
　この能力のうりょくは，ステージ道中どうちゅうにある「メタモルリング」を取とることで使用しようできるのだが，さいほう能力のうりょくのように任意にんいで使つかうわけではなく，ステージ攻略こうりゃくをするうえでのイベント的てきな立たち位置いちの能力のうりょくとなっている。用意よういされている変身へんしんフォームは，巨大きょだいロボやUFOなどさまざま。強力きょうりょくな攻撃こうげきや特別とくべつなアクションがゲームプレイをより盛もり上あげてくれる。

最初さいしょのステージでいきなり使つかえる「ビッグロボ」。無敵むてきのロボットがミサイルを発射はっしゃして進すすむ

ステージによってはまるごとメタモル能力のうりょくで進すすんでいく場合ばあいも。これは土どを掘ほり進すすむ「パワーモール」

　本ほん作さくのゲームシステムの大おおきな特徴とくちょうとして，ゲームオーバーの概念がいねんがないということが挙あげられる。敵てきに攻撃こうげきされたり穴あなに落おちたりといったミスをしても，ステージのスコアアイテムである「ビーズ」を落おとしてしまうだけで，ゲームオーバーになることがない。
　さらにはポーズ中ちゅうの下しも画面がめんにいる「エンジィ」をタッチすると，そのステージをスキップして次つぎのステージに進すすめるという「超ちょうが付つくほどの親切しんせつ設計せっけい」は健在けんざいだ。ゲームを触さわったばかりの子こどもや，ほとんど遊あそんだことがない人ひとでもゲームを進すすめられる優やさしい仕様しようとなっている。

敵てきとして一番いちばん多おおく出現しゅつげんするワドルディだが，武器ぶきを持もっていなければ触さわってもダメ―ジを受うけない。さまざまな部分ぶぶんがゲーム初心者しょしんしゃ向むけにチューニングされている

　アクションゲームとしては少すこし簡単かんたん過すぎるきらいがあったわけだが，それを払拭ふっしょくする新しん要素ようそとして，「デビルモード」が追加ついかされている。このモードはステージ開始かいし時じに選えらべるもので，おじゃまキャラの「デビル」が常つねにスクロールについて回まわり，さらにライフとミスの概念がいねんが追加ついかされたことで，一般いっぱん的てきなアクションゲームのような感覚かんかくでのプレイが可能かのうとなった。

デビルモードはステージ選択せんたく時じに選えらべる。ライフは1回かいにつき5つまで

　デビルは無敵むてきではないものの，倒たおしても延々えんえんと復活ふっかつするため，かなり煩わずらわしい存在そんざいといえる。そこまでの高こう難なん度どというわけではないが，Wii版ばんでのプレイ経験けいけんがある人ひとは新鮮しんせんな気分きぶんで本ほん作さくを楽たのしめるのではないだろうか。なお，前述ぜんじゅつのエンジィのステージスキップは，このデビルモードではできなくなっている。

不穏ふおんなBGMとともに現あらわれるデビル。画面がめんを飛とび回まわりつつ，爆ばく弾だんによる攻撃こうげきを仕掛しかけてくる

デビルはボスステージにも登場とうじょう。ボスとデビル，どちらの攻撃こうげきにも気きを付つけて立たち回まわろう

　本ほん作さくのステージはエリアごとに複数ふくすう用意よういされており，各かくステージをクリアすることで次つぎのステージへの扉とびらを開ひらく「ステージワッペン」が手てに入はいる。ステージをクリアしていき，ボスを倒たおすと次つぎのエリアが開放かいほうされ，エリア間あいだの行いき来きができるようになるという仕組しくみだ。もちろんクリア済ずみのステージに再さい挑戦ちょうせんし，ステージに隠かくされた「たからもの」を集あつめたり，お金かねの代かわりとなるビーズを稼かせぎにいくことも可能かのうとなっている。

ステージワッペンにより次つぎのステージをアンロックする演出えんしゅつも楽たのしい。下した画面がめんのタッチで即時そくじにスタートも可能かのうだ

　本ほん作さくはコレクション要素ようそが非常ひじょうに充実じゅうじつしていて，「キルトのまち」エリアで，それらを楽たのしめるようになっている。中なかでもステージのたからものや，ショップで入手にゅうしゅする「インテリア」を使つかった部屋へやのコーディネートは，「どうぶつの森もり」シリーズのようなエディットの面白おもしろさがあり，ゲームプレイのモチベーションにもつながっている。3DS版ばんでは，インテリアの数かずも増ふえ，すれちがい通信つうしんによる部屋へやの交換こうかんができるというからやる気きも上あがるはずだ。

キルトのまちにある「カービィのへや」。インテリアはひとつあればコピーして複数ふくすう配置はいちできる

部屋へや作づくりのお手本てほんとなるモデルルーム。一部いちぶのインテリアはカタログから注文ちゅうもんできる

ゲームを進すすめると「おみせ」がオープン。インテリアを購入こうにゅうできるようになる

　そのほかのプラス要素ようそとして，カービィシリーズの人気にんきキャラクターであるデデデ大王だいおうとメタナイトを主人公しゅじんこうとする新しんモード，「デデデでドドド」と「メタナイトスラッシュ」の2つが追加ついかされた。これらはミニゲーム的てきな立たち位置いちであるが，ゲームデザインが洗練せんれんされており，遊あそんでいて気持きもちがいい。ともにスコアアタックの要素ようそが強つよいゲームなので，いつでも遊あそべて，ほかの誰だれかと一緒いっしょに楽たのしめる3DSのハードの性質せいしつにもマッチしている。

「デデデでドドド」は，デデデ大王だいおうがノンストップでステージを走はしる。障害しょうがい物ぶつを避さけたり破壊はかいして進すすむのだ

「メタナイトスラッシュ」は，ビーズを取とりながら敵てきを斬きって倒たおしていく。斬きれば斬きるだけ制限せいげん時間じかんが伸のびる

　Wii版ばんから評判ひょうばんだった毛糸けいとや布ぬのの質感しつかんをうまく表現ひょうげんしたグラフィックスは，3DSでもバッチリ再現さいげんされている。序盤じょばんから見みているだけでも楽たのしめる演出えんしゅつが満載まんさいで，そういう意味いみではやさしめの難なん度ど設定せっていもありだと感かんじた。ちなみに3D立体りったい視しには非ひ対応たいおう。筆者ひっしゃはこのグラフィックスを3D立体りったい視しで見みてみたかったので，そこは少すこし残念ざんねんだった。
　また，見みた目めだけでなくピアノを主体しゅたいとしたBGMの完成かんせい度どが高たかいのもポイントで，個人こじん的てきに初期しょきエリアである「グラスランド」のエリアマップ曲きょくはいつまでも聴きいていられる名曲めいきょくだと思おもっている。3DSは内蔵ないぞうスピーカーの音質おんしつが優すぐれているが，ここはぜひヘッドホンやイヤホンを用意よういしてプレイしてみてほしい。

3DSのタッチ操作そうさによりエリアやステージなどの選択せんたくも容易よういになった

「毛糸けいとのカービィ プラス」公式こうしきサイト