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[GDC 2024]「マーベル ミッドナイト・サンズ」の独特なシステムができるまでに味わったFiraxis Gamesの苦悩
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  • 2K
  • Firaxis Games
  • 発売はつばい:2022/12/02
  • 価格かかく通常つうじょうばん:7700えん
    デジタル+エディション:9100えん
    レジェンド・エディション:1まん3000えん
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印刷2024/03/23 20:43

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[GDC 2024]「マーベル ミッドナイト・サンズ」の独特どくとくなシステムができるまでにあじわったFiraxis Gamesの苦悩くのう

 Firaxis Gamesが開発かいはつした「マーベル ミッドナイト・サンズ」PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)は,戦術せんじゅつシミュレーションにマーベル・コミックの世界せかいかんをうまく融合ゆうごうさせたタイトルだ。そんな意欲いよくさくのゲームデザインをかた講演こうえん「From Soldiers to Superheroes: Designing Combat for Marvel's Midnight Suns」が,「Game Developers Conference 2024」おこなわれた。登壇とうだんしゃは,ほんさくのリードデザイナーのJoe Weinhofferだ。

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「マーベル ミッドナイト・サンズ」公式こうしきサイト


 最初さいしょにWeinhoffer強調きょうちょうしたのが,ほんさく開発かいはつするにあたって,マーベル・ヒーローの魅力みりょくの1つである“ヒーローしかとした体験たいけんさい重視じゅうししたことだ。プロジェクトの当初とうしょは,「XCOM」のゲームメカニクスをマーベルの世界せかいとしもうとかんがえていた。しかしXCOMは,プレイヤーがつね劣勢れっせいたされるように設計せっけいされているため,そのままではヒーローの雄姿ゆうしえがれないとづいたという。

 「ハルクのうごきを制限せいげんしたり,攻撃こうげきはずしたり,かくれることをいたりするようなルールはれづらかった」とWeinhofferかたる。そこで開発かいはつチームはまず,あたらしい戦術せんじゅつゲームのプロトタイプ制作せいさくはいった。プロトタイプでは,ある意味いみ,XCOMらしさでもあった移動いどう制限せいげん遮蔽しゃへいぶつかくれる必要ひつようせい命中めいちゅう判定はんていのランダムせいといった要素ようそをすべて除外じょがいした。

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 これにより,ゲームのかくとなる要素ようそのループ」極限きょくげんまで単純たんじゅんされた。ヒーローはターンないであればどこまでも移動いどうできるし,射程しゃてい無制限むせいげんだ。そして攻撃こうげきは100%命中めいちゅうする。それでこそヒーローというかんじだ。プレイヤーは自分じぶんのターンで目標もくひょうてきえらべば,ヒーローは即座そくざ攻撃こうげきうつる。……これがもっと単純たんじゅんされたヒーロー体験たいけんのループだった。

 ただし,このプロトタイプにはゲームとしてのふかみがけていた。ただてきをなぎたおすだけで面白おもしろくないゲームになってしまったのだ。そこで,XCOM開発かいはつ知見ちけんかし,戦術せんじゅつせい緊張きんちょうかんれつつ,マーベル作品さくひんらしいヒーロー体験たいけんそこなわないバランスをさぐ作業さぎょうはいった。

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 戦術せんじゅつせいれる最初さいしょこころみは,ランダムせい導入どうにゅうだ。しかし,XCOMで採用さいようされていた「命中めいちゅう判定はんていのランダム」はヒーローのつよさをそこねかねない。そこで着目ちゃくもくされたのが,カードゲーム発想はっそうだった。

 ゲームないでカードを使つかえば,そのカードにしるされた効果こうかは100%発動はつどうするが,プレイヤーが使つかえるカードはランダムでまる。この仕組しくみで確実かくじつせい確実かくじつせいという相反あいはんする要素ようそ両立りょうりつさせたのだ。

 カードゲームのコンセプトを採用さいようしたメリットはほかにもある。デッキの概念がいねんやカードをく,てるといったしたしんだルールをわざわざ説明せつめいする必要ひつようはない。さらに,カードそのものが,能力のうりょくかりやすい表現ひょうげんになったという。

 その一方いっぽう,XCOMの戦術せんじゅつせいをカードゲームにえると,管理かんりするリソースが大幅おおはばえてしまった。XCOMはユニット単位たんいでリソースをっていたが,カードゲームではかくヒーローが個別こべつのリソースを必要ひつようがある。そこで開発かいはつじんはさまざまなあん検討けんとうし,最終さいしゅうてき「チーム共有きょうゆうのリソースプール」きついた。

 あたえられたリソースないで,プレイヤーは自身じしん手札しゅさつからプレイ可能かのうなカードをえらぶ。能力のうりょく選択せんたく自由じゆうだが,使つかえるリソースには制限せいげんがある。このバランスが,十分じゅうぶん戦術せんじゅつせい確保かくほしつつヒーロー体験たいけんそこなわないポイントになったという。

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 つぎにクリアしなければならなかったのが,移動いどう位置いちりの問題もんだいだ。上記じょうきのように移動いどう制約せいやく撤廃てっぱいされていたが,あらたに導入どうにゅうされた要素ようそともない,ユニット配置はいち重要じゅうようせいしたのだ。

 具体ぐたいてきには,「ノックバック」ばれるてき強制きょうせい移動いどうと,環境かんきょう攻撃こうげきだ。ノックバックはヒーロー攻撃こうげき追加ついか効果こうかで,てき一定いってい方向ほうこうばす。また環境かんきょう攻撃こうげきは,マップじょうのさまざまなオブジェクトを使つかった特殊とくしゅ攻撃こうげきだ。これらを行使こうしするには,てき自陣じじん位置いちこまかく計算けいさんする必要ひつようがある。

 しかしヒーローは自動じどう移動いどうするため,プレイヤーはその位置いち直接ちょくせつコントロールできない。この矛盾むじゅん開発かいはつじんあたまなやませたが,最後さいごはこの矛盾むじゅんれたそうだ。
 自動じどう移動いどう簡便かんべんさを理由りゆう維持いじし,手動しゅどう位置いち調整ちょうせいできる」という例外れいがいてきなシステムを用意ようい,それ以外いがい部分ぶぶん工夫くふうかさねた。

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 具体ぐたいてきには,移動いどう可能かのうなマスをハイライト表示ひょうじしたり,キャラクターの移動いどうルートを事前じぜん提示ていじしたりするUIをもうけた。また,ノックバックでされたあとの着地ちゃくち位置いちから,最適さいてきなアクションをえらべるようにもした。さらに挟撃きょうげきのアシストなど,環境かんきょうわせた自動じどう位置いち調整ちょうせいシステムもんだ。

 戦術せんじゅつシステムの設計せっけい並行へいこうして,開発かいはつでは同時どうじにリソース管理かんりシステムの構築こうちくすすめられた。Weinhofferは「XCOMではリソースとしてアクションポイントを使つかっていましたが,そのままではほんさくてきさなかった」とかえる。

 当初とうしょは,カードをしゅたるリソースと位置いちづけていた。つまり手札しゅさつのカード枚数まいすうおうじて,プレイ可能かのう手数てかずあたえられる仕組しくみだ。しかしプレイテストの結果けっか強力きょうりょくなカードをいたがわ圧倒的あっとうてき有利ゆうりになるなど,バランスがれないという課題かだいかびがった。

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 そこで,カードリソース以外いがい「ヒロイズムという補助ほじょてきなリソースをもうけたという。ほとんどのカードは,ヒロイズムを獲得かくとくまたは消費しょうひでき,ゲームをとおしてこのリソースを管理かんりすることになった。

 「これが意外いがいとうまくいった」とWeinhofferかたる。短期たんきてきなリソースとして手札しゅさつのカードを使つかい,長期ちょうきてき/戦略せんりゃくてきにはヒロイズム管理かんりする。このじゅう意識いしきが,ゲームにうまくフィットしたそうだ。

 さらにヒロイズム獲得かくとく補助ほじょ手段しゅだんこうじたという。一度いちど攻撃こうげきおこなうと獲得かくとくできるスキルカードや,ザコてき一撃いちげきたおせる「クイック」などを用意よういしたのだ。こういった仕組しくみによってゲーム中盤ちゅうばん以降いこう,リソース不足ふそくおちいることなくヒーローの本来ほんらいちから存分ぞんぶん発揮はっきできるようになった。

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 以上いじょうがマーベル ミッドナイト・サンズの戦術せんじゅつシステムが完成かんせいいたった過程かていだ。講演こうえん最後さいごに,Weinhoffer開発かいはつつうじてられた教訓きょうくんかえった。

 ゲームデザインにおいて重要じゅうようなのは,まずゲームのかくとなる要素ようそ明確めいかくにすることだとWeinhofferく。それがゲームの北極星ほっきょくせいになり,機能きのう追加ついかするたびにその方向ほうこうせいなおすことになる。マーベル ミッドナイト・サンズの場合ばあいは「ヒーロー体験たいけん」というコアバリューがあり,それにはんするものは排除はいじょされていったという。

 また,シンプルなゲームループをつくることが大切たいせつだと強調きょうちょうした。プレイヤーがもっと頻繁ひんぱんおこなうであろう行為こういをあらかじめ想定そうていし,それを簡略かんりゃくする。そのうえでゲームに複雑ふくざつせい付与ふよしていく手法しゅほうだ。ゲームを最初さいしょから複雑ふくざつしてしまうと,後々あとあと調整ちょうせい困難こんなんになると指摘してきした。

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 さらにWeinhofferは,ゲームデザインにおけるおきてやぶり”についても言及げんきゅうした。プレイヤーの体験たいけんさい優先ゆうせんかんがえ,状況じょうきょうによっては最初さいしょつくった規則きそく無視むしするのもアリというかんがかただ。ゲーム体験たいけん向上こうじょうさい優先ゆうせんさせるべきだとかたる。

 マーベル ミッドナイト・サンズはXCOMの戦術せんじゅつシステムを出発しゅっぱつてんに,マーベル・ヒーローの世界せかいかんとしみながら徐々じょじょ進化しんかげた。その過程かていすうおおくの試行錯誤しこうさくごかさねながら,コアバリューからそれることなく,あたらしいジャンルの確立かくりつ目指めざした。その精神せいしんあらわれたいゲームになったと自負じふしているとべ,講演こうえんめくくった。

Joe Weinhoffer
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