KURO GAMESは2024
年5
月23
日,
新作オープンワールドアクションRPG
「鳴潮」(
PC /
iOS /
Android)の
正式サービスを
開始した。
なお,
読み
方は
“めいちょう”である。
なりしお
派の
人はさっそく
切り
替えよう!
本作は,アニメ
調のキャラクターグラフィックスやハイスピードアクション,
広大なオープンワールド
探索が
特徴のゲームだ。
事前登録者数も全世界3000万人以上を突破したことでも
注目を
集めた。
筆者は
過去のクローズド
βテストに2
度応募し,2
度落選した。ここからも
世間の
注目度の
高さが
分かっていただけるだろう。
悲しかったね。
KURO GAMESと
言えばパニグレ(パニシング:グレイレイヴン)で
知られ,
爽快なアクションに
定評があるわけだが,オープンワールドのエッセンスまで
加えられた
鳴潮は,いったいどのような
仕上がりになっているのか?
今回はサービス
開始直後から
遊んでみての,
率直なプレイインプレッションをお
届けする。
「悲鳴」で崩壊した惑星。記憶なき「漂泊者」
舞台は,「
悲鳴」と
呼ばれる
災害により
崩壊した
惑星「ソラリス」。ここでは
悲鳴とともに
現れた
新たな
生命体「
残像」が
人々の
安全を
脅かし,
対抗できるのは
進化を
遂げた
一部の
人類「
共鳴者」だけだった。
プレイヤーは,
今州城という
居住区の
近くで
記憶を
失って
倒れていた,
素性の
分からぬ
謎の
人物「漂泊者」だ。ゲーム
開始後,
見知らぬ
場所で
目覚めると,
「秧秧(ヤンヤン)」と
「熾霞(シカ)」という
2人の
女性に
助けられ,
危険地帯を
脱するべく
彼女たちに
同行する。
この手のゲームとしてはおなじみになりつつある,プレイヤーキャラクターのタイプ選択。ともに黒が基調のスタイリッシュなデザインだ
|
|
「秧秧」(ヤンヤン)と「熾霞」(シカ)。読みがムズい!
|
|
世界観については,
“悲鳴により滅びた世界”というポストアポカリプス
的なテーマであるが,
画面から
伝わってくるのは
陰鬱にまみれた
雰囲気ではなく,
明るい
空気感が
主となっている。
崩壊した
世界と
言えど,
町ごと
逃げ
回る
移動都市が
必要になるほどの
環境ではなく,
荒廃した
地域こそあるものの,
遠隔通信ができるデバイスも
存在しているほど
文明は
維持されている。
所感としては
(大多数の人たちに)受け入れられやすい世界といった
印象である。
「
人死にまくり! お
先真っ
暗!
大好き!」といった
状況を
望む
人は
肩透かしを
食らうかもしれないが,そうじゃないなら
安心しよう。
序盤の雰囲気は明るいが,随所で「なんか大変なことが起きそうな不穏さ」も感じる
|
もう
一点,
作中の
語は「
音・
演奏」をイメージしたものが
多いのだが,そこになんらかのコンセプトが
宿されているように
思われる。
ちなみに,タイトル
名の
鳴潮という
単語は(
日本語においては)
存在しないが,「
潮鳴り(しおなり)」という
単語はある。これは“
海の
波が
寄せては
返す
音”とされる。これもまた
物語に
対するメッセージ
性が
込められているのだろうが,
真相は
追ってみないことには
分からない。
光の表現がすばらしいオープンワールド
キャラクターはアニメ
調のグラフィックスであるが,「アニメ
調と
言えば!」
的な
強めのデフォルメがかかった
美少女のみならず,なかにはリアル
寄りなデザインの
人物たちもチラホラいる。
というのも
本作は,
頭身の
比率を
基準にデザインが
差別化されているようで,
長身キャラはリアルで大人っぽく,
低身長キャラはデフォルメを利かせてかわいらしく,といった
方向性で
表現されている。
キャラクターごとの
好みは
人それぞれだろうが,
幅広いバリエーションのおかげで,
多くの
人が“
推し”を
見つけやすいはずだ。
ストーリーを進めていると,急に性癖のデパートみたいな女の子が出てきたんですけど,この子いつプレイアブル化するんですか???
|
太ももが太い!!!! 100点!!!!
|
最初は女性ばかり登場するので誤解されそうだが,カッコイイ男性も多い
|
|
景観の
美しさにも
触れておこう。プレイヤーがはじめに
訪れる
居住区の
今州城は,
中国がモチーフの
城下町で,
立派な
建造物が
立ち
並んでおり,
細部までこだわりが
感じられる
造形になっている。
そしてプレイ
中は
目の
前の
景観だけでなく,ぜひ
空を見上げてほしい。
本作は
光の
表現が
絶妙で,とくに
夜空や
朝日の
美しさが
圧巻の
一言に
尽きる。
筆者はそれらを
目にしてからというもの,
空を
見上げながら
移動するのがクセになったくらいだ。ここはぜひともスクリーンショットではなく,
実際にゲーム
画面で
確かめてほしいポイントである。
ワイヤーアクション,壁ダッシュからの空中回転
移動が苦しくない,爽快なパルクールアクション
本作はオープンワールドRPGらしく,
広大なマップを
走り
回り,
物語や
戦闘,
探索などをこなしていく。アイテムは
宝箱をはじめ,フィールドイベントやパズルギミックなどの
報酬でも
得られる。
オープンワールドというものは,
自由度の
功罪として
“移動の苦痛”がついて
回る。
超高速移動ができると
楽ちんだが,それはそれでゲームの
雰囲気を
壊してしまうケースもあるし,
足が
速すぎるほどコンテンツの
枯渇速度も
加速させてしまう
恐れが
出てくる。
その
点,
本作は「パルクールアクション」を
追求した。
同様の
手法で
移動の
苦痛を
軽減し,
爽快感までをも
付加して
課題解決を
試みたゲームは
少なくないが,ここもKURO GAMES クオリティ。パルクールの
作り
込み
自体が
「動かしてるだけでおもしろい!」レベルなのである。
本作のマップはとっても広大。探索しきるにはかなりの時間がかかりそう
|
本作のパルクールアクションの
代表は
「壁走り」だ。こちらは
難しい
操作も
求められず,
壁に
向かって
進むだけで,
勝手に
壁面を
駆け
上がるように
走ってくれる。しかも,
建造物の
屋根のように“ネズミ
返し”があっても,
出っ
張りを
腕でつかみ,クルッと
一回転して
飛び
上がり,いともたやすく
段差を
登りきっては,また
壁走りを
続行してくれる。
動いている
最中のモーションはかなり
複雑なのだが,
見た
目も
手間も
違和感なく
組み
込まれていることに
思わず
感心させられた。
一部建造物を除き,壁走りはどこでも出せる。腕力で登っていく「壁登り」のアクションもあるが基本は壁走りだけでも問題なさそう
|
このような出っ張りがある壁でも……
|
空中で一回転飛びして,さらに上に登れる!
|
|
ほかにも,そもそもの
通常ダッシュがスタミナ消費なしなのもうれしいし,
小さな
障害物は
自動のハードル
跳びで
乗り
越えてくれるし,
鈎縄によるワイヤーアクションや,
高速で
動く
空中回避も
可能である。
ゲーム
序盤だと,
全部が
全部使いどころがあるわけではないのだが,
見栄えがいいので
移動中についつい
使いたくなる。そう,
動かしているだけで
爽快だから,
意味がなくとも
操作しまくっちゃうのだ。
ワイヤーアクション用のターゲットオブジェクトも存在するが,短距離であればターゲットがなくても,空中に鈎縄を引っかけて移動できる。原理や理屈は……わからん!
|
|
小さい障害物なら,自動でハードルのように跳び越えてくれる
|
空中回避は空を蹴って回転しながら跳躍。原理や理屈は……わからんがカッコいい!
|
マップ
内には
高低差のある
地形が
多いものの,これらを
駆使すると
手間もなく
突き
進める。
小高い
山の
上で
宝箱を
見つけられると,「こんな
簡単に
登って
手に
入れちゃっていいの?」と
感じてしまうほどだ。
オープンワールド
定番の
滑空アクションも
備えているので,
高いところから
遠くまで
飛んでいくこともできる。
総じて
優秀で
快適だ。
パラシュートのデザインも洗練されている
|
探索の楽しさが増す「音骸」の収集
探索自体の
楽しさを
増しているのが,
装備品相当の
「音骸」の
収集だ。
音骸はフィールド
上の
敵「残像」を
倒すと
一定確率で
吸収できる
収集要素で,ゲーム
的には“5つまで
装備できる
武具”である。
音骸はステータス
上昇効果だけでなく,1
枠限定の「メイン
音骸スロット」に
装備することで「
音骸スキル」が
発動できるようになる。
音骸スキルは,
残像を
召喚したり,
残像に
変身したり,
使用者のHPを
回復したりと,
物によって
効果が
異なる。ゆえに
選択も
悩ましい。
音骸には
「レベル」と
「チューニング」という
育成要素があり,
素材を
消費してレベルを
上げるとステータスが
上昇する。そして
一定レベルに
達するとチューニングが
開放され,チューニング
時は“
攻撃力やクリティカルなどの
追加ステータスがランダムで
付与”される。
勘のいい
人は
気付くだろうが,つまるところはハック&スラッシュ
的なやつであり,これが
本作における
厳選要素なのである。
音骸は
残像を
倒したときに
確率で
入手できるが,
集めた
種類に
応じて
「データドッグレベル」が
上昇する。このレベルを
上げると,
音骸のドロップ
確率やレアリティが
徐々に
向上していく。より
多くの
音骸を
手に
入れることが,
強くなるための
近道でもあるわけだ。
これのなにが
楽しいのかというと,
例えば
宝箱を
見つけたとき。
従来的なRPGだと,
周りに
敵がいたら「
宝箱の
前で
厄介な
敵だ」と
感じそうなところだが,
本作では
敵自体が“より
強くなるための
付加価値のある
存在”と
認識できるため,
宝箱と
同じくらいおいしい
獲物に
感じてしまう。だから
残像を
見かけるたび,つい
戦闘してみたくなるのだ。
経験値や
一過性のドロップ
以外でも,
敵を
倒すことが
楽しいと
思える。そんな
仕組みを
開発がきちんと
練ってきたのがよく
分かる。
スタイリッシュでハイスピードなバトル
最も
注力されているであろう
戦闘関連のシステムは,すべてがハイクオリティであり,
現時点でも
完成度が
高いと
感じた。
基本的な
戦闘アクションは,
通常攻撃,キャラクター
固有の
「共鳴スキル」「共鳴解放」,
音骸スキルがある。さらに
相手の
動きに
対するリアクション
行動として,
敵の
攻撃に
合わせて
避ける
「ジャスト回避」,
敵の
攻撃を
弾く
「パリィ」がわりと
重要になっている。
共鳴解放はいわゆる必殺技。発動時にカットイン演出が挿入される
|
|
ジャスト回避時は,次の通常攻撃が「回避反撃に強化」されるなどのメリットがある
|
パーティは
最大3
人編成で,
操作キャラクターを
切り
替えながら
戦う。
攻撃時などにチャージされる「
協奏エナジー」が
最大状態のときにキャラを
切り
替えると,
退場キャラは
「終奏スキル」を,
出場キャラは
「変奏スキル」を
発動する。
いずれの
効果もキャラによって
異なるが,
例えば
銀髪美少女の「
散華」なら,
終奏スキルで
“次に操るキャラの通常攻撃の威力上昇バフ”をかけてくれるため,
通常攻撃主体のキャラにつなげると
価値が
高まる。
こうした
切り
替え
効果のために,
戦闘の
流れを
意識して
編成を
組むと,パーティシナジーがより
高まっていくわけだ。
なお,ジャスト
回避は
類型のアクションゲームと
比べると
発動判定がゆるい。
回避自体もスタミナのある
限り
連続で
出せるし,パリィも
通常攻撃をただただ
振っているだけでたまに
発動するほどだ。
総じて,ゴリッゴリでギリッギリな
回避が(
少なくともゲーム
序盤においては)
求められることはない。アクションゲームとしての
難度は
高すぎず,
多くの
人が
楽しめるバランスに
仕上げられている。
パリィ時は,敵のHPバーの下にある「共振度」を大きく削ることができ,削り切ると敵が無力化状態になる。あと,パリィしたときの音が気持ちいい
|
そのうえで
歯ごたえのある
戦闘を
楽しめる
要素として,フィールドには
多数の
「強敵」が
用意されている。
強敵は
通常敵と
比べてステータスが
高い
代わりに,パリィや
回避反撃,
変奏スキルなどのダメージがとおりやすくなっている。
会敵時はリアクション
行動の
重要性が
増すわけだ。しかし,
強敵のレベルは
固定のため,
育成を
進めればのちのち
楽に
倒せるようになる。
腕を
磨いて
挑むもよし,じゃなければレベルで
暴力するもよし。
好きに
戦おう。
忘れてはいけないのが,
エフェクトとモーションの秀逸さだ。
本作では
派手な
演出と
大胆な
動作により,
戦闘を
眺めているだけでも
臨場感が
半端ではない。
動きのパターンに
応じて
納刀モーションが
変わるなど,
芸の
細かさもばっちりだ。
細部までこだわり
抜かれていることがひと
目で
分かるので,
移動でも
戦闘でも
快感を
味わってほしい。
気になるガチャ要素などは?
本作には
「集音」という
名のガチャがあり,
利用時はキャラクターや
武器を
入手できる。
集音には,
恒常提供の「
恒常集音」,
期間限定の「イベント
集音」があり,
現在のイベント
集音では
夜帰軍の
将軍「
忌炎」がピックアップされている。とりあえず
見た
目がカッコいい。
恒常集音とイベント
集音では
利用時のアイテムが
異なっており,どちらもゲーム
内のプレミアム
通貨「星声」と
引き
換えで
入手する。
ただし,ゲーム
序盤は
恒常集音のアイテム「唱喚の
渦模様」が
大量に
手に
入るので,
初心者であればまずは,50
連以内に
星5キャラクターが
確実に
入手できる
お得な集音「万象新声」を回すのがベターだ。
万象新声で
星5キャラを
入手すると,さらに「
初心者セレクト
集音」が
利用できるようになる。こちらはピックアップされた
星5キャラ×5
人のなかから
1人を
選択すると,
対象を80
連以内に
確実に
入手できるというものだ。
欲しいキャラがいる
場合は,
優先的に
使いたい。
漂泊に道順はなし! 自由に冒険しよう!
序盤のプレイ
方針については,オープンワールドを
駆け
回り,ストーリーをある
程度進めて,
最低限の
機能開放を
目指すといい。
それが
済んだら,
あとはもう自分の意思で自由に冒険だ!
黙々とストーリーを
進めるもよし。
探索して
星声を
集めて
集音するもよし。
残像を
倒しまくってデータドックレベルを
上げるもよし。あえて
低レベルで
強敵に
挑むもよし。
空にカメラを
構えるもよしと,
選択肢は
無限大である。そういう
遊び
方がしっかりとできるRPGになっている。
プレイしてみての
感想は,
移動や
戦闘が
楽しいし,
物語も
独自の
空気感があるし,
登場人物たちが
魅力的だわ,
探索がパルクールで
快適だわ,
風景が
美麗だわで,
現時点でもオープンワールドアクションRPGとしてのベースがかなりの
高品質にあると
感じられた。
このあたりは,
類似ジャンルの
先行作品たちから
課題をくみ
上げ,こうしてブラッシュアップできる
後続作品の
強みと
言える。
対して,
気になる
部分もある。
一番は「
中国由来? の
用語が
多いことによるテキスト
読みの
難解さ」である。
正直なところ,
人物名ですら
読みが
一度表示されただけでは
一発で
覚えられないものが
多い。
ここは
用語辞典のようなものを
用意するか,むしろもっと
読みやすい,なじみのある
言葉にローカライズしてほしいと
感じた。
なんて? となるシーンがいくつかあった。フリガナも専門用語も説明は一度限りのことが多く,また出てきても覚えきれていないことが多い。ここはプレイヤー側に学習や暗記を強いるのではなく,システム的になんとかしてほしいなあと思った所存
|
|
とはいえだ。そんなことはささいだと
思えるほど,
危機に
立ち
向かうストーリーにはワクワクハラハラさせられたし,キャラクターたちとの
出会いも
魅力的で,
実に
繊細に
描かれている。
少々のケチは,ここまで
解説してきた
多数の
魅力を
損なうほどのものではない。
鳴潮が
気になった
人は,ぜひ
実際にプレイしてみて,スタイリッシュかつハイスピードなアクションを
体験してほしい。そして,ついでに
夜は
明媚な
場所で
夜空を
見上げて,
朝は
高所から
朝日が
昇るところを
眺めてみてほしい。それだけでも,
鳴潮の
出来がガツンと
伝わってくる。
3000
万人が
期待した,2024
年5
月の
最新オープンワールドアクションRPGは,
中身もさすがの
“KURO GAMES クオリティ”だ。