サイズから
性能まで,すべてがモンスターだったNVIDIAのAda Lovelace
世代GPU「
GeForce RTX 4090」(
以下,RTX 4090)。そんなRTX 4090を
採用したクロックアップモデルは,どれくらい
性能が
伸びるのか
気になるところだ。そこで,Palit Microsystems(
以下,Palit)の「
GeForce RTX 4090 GameRock OC」(
以下,Palit RTX 4090 GameRock OC)を
取り
上げ,クロックアップモデルはモンスター
度がさらに
増すのかを
確かめてみたい。
GeForce RTX 4090 GameRock OC
メーカー:Palit Microsystems
メーカー想定売価:30万8000円前後(税込)
|
ブーストクロックを2610MHzに引き上げ。負荷をかけると2820MHzまで上がる
GPU-Z(Version 2.50.0)でPalit RTX 4090 GameRock OCのスペックを確認したところ
|
まずは,Palit RTX 4090 GameRock OCの
動作クロック
設定から
見ていこう。
本製品はベースクロックが2235MHzで,ブーストクロックが2610MHzと,
前者はリファレンス
仕様そのままながら,
後者は90MHz
引き
上げられている。なお,メモリクロックは21GHz
相当で,こちらはリファレンスと
変わらない。
NVIDIAコントロールパネルで,Palit RTX 4090 GameRock OCのシステム情報を確認したところ
|
|
ちなみに,
後述するテスト
環境において,GPU-Zで
動作クロックを
追ってみたところ,2820MHzまで
上昇しているのを
確認した。RTX 4090 Founders Editionが2715MHzだったので,こちらは105MHzも
伸びているわけだ。
さらに,Palit RTX 4090 GameRock OCでは,「Performance mode」と「Silent mode」という2
種類のVBIOSを
搭載している。
先述の
動作クロックは,Performance modeの
場合で,Silent modeでは,ブーストクロックが2520MHzに
低下し,リファレンスどおりの
設定となった。
カード裏面のブラケット寄りに,VBISO切り替え用のディップスイッチがある(左)。ちなみに「P」がPerformance modeで,「S」がSilent modeだ。GPU-ZでSilent mode時のスペックを確認したところ(右),ブーストクロックが2520MHzに引き下げられていた
|
|
動作クロックについてはほかにも,Palit
製の
設定アプリケーション「Thunder Master」(Version 4.11)を
使用すれば,ブーストクロックを−1000〜+1000MHzの
範囲で1MHz
刻みに,メモリクロックも−1000〜+3000MHzの
範囲で1MHz
刻み(※4Gamer
表記では2MHz
相当刻みで−2000〜+6000MHz
相当)にそれぞれ
増減可能だ。
また,GPUコアの
電圧も,
現在の
値に
対する
相対値という
形で2
倍となる100%まで,1%
刻みに
増やせる。
さらに,フレームレート
上限や
消費電力上限,さらにGPU
温度上限といった
各種リミッター
設定も
用意されているので,その
気になれば
細かい
調整が
可能だ。
設定アプリのThunder Masterは,各種ステータスのリアルタイムモニタリングが可能だ
|
Thunder Masterには,オーバークロック向けの設定も多く用意されている
|
カード長は実測で約324mm
Founder Editionよりも厚い3.5スロット占有
それでは,
続いてPalit RTX 4090 GameRock OCのカードそのものについて
見ていこう。
Palit RTX 4090 GameRock OCの外観。裏面側の金属製プレートで覆われている
|
|
カード
長は,
実測で
約324mm(※
突起部除く)で,RTX 4090 Founder Editionが
約3
16mmだったのに
比べると,9mmほど
長い。
カード長は実測で約324mmと,若干ではあるがRTX 4090 Founder Editionより長い
|
カード後方はGPUクーラーがはみ出ており,前面から裏面に向けて空気が流れる構造となっている
|
ただ,
基板自体は
約215mmほどしかないようで,GPUクーラーが100mmほどカード
後方にはみ
出た
格好だ。
垂直方向には,ブラケットから30mmほどはみ
出ており,PCI Express(
以下,PCIe)
補助電源コネクタの
取り
付けも
考慮すると,Palit RTX 4090 GameRock OCを
搭載するには,PCケースにはカードの
上方向にかなりの
余裕が
必要になるだろう。
重量は,
実測で
約1967gと2kgを
下回った。2.2kgほどあるRTX 4090 Founder Editionよりも200g
以上軽い。
実測重量は約1967gで,RTX 4090 Founder Editionよりも軽い
|
Palit RTX 4090 GameRock OCと付属品。写真中央下にあるのが組み立て式ステーで,左側がPCIe補助電源コネクタの変換ケーブル,右にあるのはLEDイルミネーション用ケーブルだ
|
とはいえ,これだけの
重量を
備えるために,
製品ボックスにはカードを
支える
組み
立て
式ステーが
付属している。このステーは,
長さ108mmが2
本と40mmが1
本,それに70〜95mmで
高さが
変えられる4つのパーツで
構成されており,さまざまな
高さに
対応可能だ。
拡張スロット
上に
取り
付けた
別のカードも
同時に
支えられるのはユニークな
点だろう。
GPUクーラーは,
近年のGameRockシリーズ(
関連記事)と
同様に,クリスタルデザインのクーラーを
採用している。ただ,Palit RTX 4090 GameRock OCでは,3.5スロット
占有タイプに
厚さが
増えており,RTX 4090 Founder EditionのGPUクーラーが3スロット
占有タイプであったのと
比べても,さらに
分厚くなっている。
クリスタルデザインを採用したGPUクーラー
|
厚さは実測で約70mm(左)。1スロットが20mmなので,ちょうど3.5スロット分となる。ブラケット側からカード全体を見ると(右),3スロット分のブラケットをGPUクーラーの高さが大きく上回っているのが見て取れよう
|
|
ファンブレードの端が,上方向に折れ曲がっている
|
GPUクーラーには,100mm
径相当のファンを3
基搭載する。これらのファンは,Palitが「Gale Hunter Fan」と
呼んでいるもので,ブレードの
終端が
折曲がっているのが
特徴的だ。
同社曰く,これがウィングレット(
翼端板)として
機能することでエアフローが
凝縮されて,
流れを
乱す
渦巻き
効果を
解消できるという。それにより,
滑らかで
安定したエアフローを
実現することで,
直下のサーマルモジュールへの
風量を
増しているとのこと。
先述のThunder Masterを
使用すると,
左右のファン2
基と
中央1
基の
回転数を,
個別に
設定できる。Thunder Masterでは,ファンの
回転数を30〜100%の
間で1%
刻みに
固定したり,ファン
回転数を
示す
折れ
線グラフから,
各温度における
回転数を
任意に
指定したりできる。なお,これらのファンはアイドル
時に
回転を
停止する
機能もあり,
初期設定の
折れ
線グラフを
見るに,GPUコアの
温度が60℃を
切ると,
回転が
停止するようだ。
Thunder Masterでファン設定を変更している様子。画面左が左右のファン用で,画面右が中央ファン用の設定だ
|
これも
従来のGameRockシリーズと
同じだが,GPUクーラー
前面のクリスタル
部分は,LEDイルミネーションが
組み
込まれており,
前面全体と
側面の「GEFORCE RTX」ロゴおよび「GameRock」のロゴが
点灯する。これらのLEDは,Thunder Masterにより
制御可能で,さまざまなイルミネーションに
変更できる……はずだ。ただ,
試用機は
発売前のサンプルであるためか,
本稿執筆中に
使用したThunder Masterでは,LED
設定がうまく
動作しなかったので,カスタマイズは
試せていない。
Palit RTX 4090 GameRock OCのLEDが点灯している様子。クリスタルデザインにLEDの灯りが透過して,非常に煌びやかな印象だ
|
|
|
カードを
横からのぞき
込むと,
放熱フィンは
左側(ブラケット
側)と
右側の2ブロック
構成で,その
間を6mm
径と8mm
径のヒートパイプ
計8
本でつなげている。また,GPUに
直接触れるベース
部分には,ベーパーチャンバー
式の
放熱部品を
用いており,
熱伝導の
向上を
図っているそうだ。
カードを横から見たところ。放熱フィンが左右に分かれているのが見てとれよう
|
カード左側に目を凝らすと,ベーパーチャンバーを採用したという銅製GPUベースの姿も確認できる
|
PCIe補助電源コネクタは,16ピンタイプを1基備える
|
PCIe
補助電源コネクタは,RTX 4090 Founders Editionと
同じく16ピンタイプを,カードの
背に1
基搭載している。4
系統の8ピンを1
本に16ピンに
束ねる
変換ケーブルが
付属する
点もRTX 4090 Founders Editionと
変わらない。
接続する
補助電源ケーブルが3
本でも
動作する
点も,RTX 4090 Founders Editionと
同じだ。
映像出力インタフェースは,DisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1×1という
一般的な
構成で,このあたりもRTX 4090 Founders Editionと
変わらない。
映像出力は,3系統のDisplayPortと,1系統HDMIを装備。ブラケットのほとんどは,ハニカム構造の通気孔となっている
|
RTX 4090からの性能の伸びを検証
それでは,Palit RTX 4090 GameRock OCのテスト
環境に
話を
移そう。
今回,
比較対象には
RTX 4090 Founders Editionと,「GeForce RTX 3090」
搭載カードであるPalit
製「
GeForce RTX 3090 GamingPro OC」を
用意した。RTX 4090 Founders Editionからのパフォーマンスの
伸びを
明確にし,クロックアップモデルと
前世代の
差異を
確認しようというわけだ。なお,GeForce RTX 3090 GamingPro OCは,メーカーレベルで
動作クロックが
引き
上げられたクロックアップモデルなので,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.5 Beta2)でブーストクロックをリファレンスクロックまで
下げて
使用している。
使用したグラフィックスドライバは,RTX 4090 Founders Editionの
レビュー記事で
用いたものと
同じ「GeForce 521.90 Driver」で,OSにはWindows 11を
使用している。そのほかのテスト
環境は
表のとおり。
以下,
文中とグラフ
中は,RTX 4090 Founders Editionを「RTX 4090 FE」,GeForce RTX 3090 GamingPro OCは「RTX 3090」と
表記する。
表1 テスト環境
CPU |
Ryzen 9 5950X(16C32T,定格クロック3.4GHz,最大クロック4.9GHz,共有L3キャッシュ容量64MB) |
マザーボード |
MSI MEG X570 ACE(AMD X570,BIOS 7C35v1) |
メインメモリ |
G.Skill F4-3200C16D-16GIS PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2(DDR4-3200の16-16-16-36設定で利用) |
グラフィックスカード |
Palit Microsystems GeForce RTX 4090 FE GameRock OC(GeForce RTX 4090 FE,グラフィックスメモリ容量24GB) |
GeForce RTX 4090 Founders Edition(グラフィックスメモリ容量24GB) |
Palit Microsystems GeForce RTX 3090 GamingPro OC(GeForce RTX 3090,グラフィックスメモリ容量24GB)
|
ストレージ |
Samsung Electronics SSD 850 EVO(MZ-75E500,500GB) |
電源ユニット |
Corsair CMPSU-1200AX(定格1200W) |
OS |
64bit版Windows 11 Pro(22H2,Build 22621.521) |
チップセットドライバ |
AMD Chipset Drivers 4.08.09.2337 |
グラフィックスドライバ |
GeForce:GeForce 521.90 Driver |
テスト
内容は,4Gamerの
レギュレーション25に
準拠。ただし,「3DMark」に
関しては,DLSS 3に
対応したレビュワー
向けバージョンとなる「3DMark Version 2.22.8009」を
用いている。
また,3DMarkでは,レイトレーシングのテストである「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」,それに「NVIDIA DLSS feature test」を
追加した。NVIDIA DLSS feature testでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEは「DLSS 3」(3.0)を,RTX 3090のみは「DLSS 2」(2.0)を
選択したうえで,DLSS modeは,いずれも「Quality」に
設定している。なお,DLSS 3では1920×1080ドットが
選択できないため,
今回は3840×2160ドットと2560×1440ドットの2
種類で
実施している。
さて,ここまで
説明したテスト
環境は,テスト
方法を
含めてRTX 40のレビュー
記事とまったく
同じだ。そのため,RTX 4090 FEとRTX 3090の
数値に
関しては,
同記事のもの
流用している
点をここで
断っておく。
2〜3%程度の性能向上を実現
しかしCPUが足かせとなる場面がより顕著に
いつものように3DMarkの
結果から
順に
見ていこう。
グラフ1は,DirectX 11
世代の「Fire Strike」における
総合スコアをまとめたものとなる。
RTX 4090 FEと
比べたPalit RTX 4090 GameRock OCの
伸びは,
最大でも3%
弱といったところ。ブーストクロックの
上昇が4%
弱なので,Fire Strike UltraやFire Strike Extremeは,ほぼ
順当な
伸びといっていい。Fire Strike“
無印”でほとんど
差が
付いていないのは,CPUがボトルネックとなって,スコアの
頭打ちが
発生しているためだろう。
続いて
グラフ2は,Fire Strikeから「Graphics test」の
結果を
抜き
出したものになる。
CPU
性能の
影響がなくなるためか,Fire Strike UltraやFire Strike Extremeでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEのスコア
差が,ブーストクロック
差に
近い
約3.6%となった。それでもFire Strike“
無印”で
差が
付かないのは,
描画負荷が
軽くGPUが
遊んでいる
状態となり,ブーストクロックが
最大となる
場面がほとんどないためではないだろうか。
同じくFire Strikeから,ソフトウェアベースで「Bullet Physics」を
実行する
事実上のCPUテスト「Physics test」の
結果を
抜き
出したものが
グラフ3となる。CPUが
共通なので,スコアはおおむね3
万7500
前後で
横並びとなっている。
GPUとCPU
両方の
性能がスコアに
影響する「Combined test」の
結果が,
グラフ4だ。
ここでは,Fire Strike“
無印”でPalit RTX 4090 GameRock OCがRTX 4090 FEから
約1%スコアを
伸ばしているものの,それでもRTX 3090に
届いていない。これは,RTX 4090 FEのレビュー
記事でも
指摘したように,Fire Strike“
無印”では
負荷が
軽いためCPUバウンドが
発生し,GPUの
使用率が
上がらないためだ。Fire Strike UltraやFire Strike Extremeでは,Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 4090 FEからスコアを
約3%
伸ばしており,クロックアップの
効果を
発揮している。
続いて,3DMarkのDirectX 12のテストである「Time Spy」の
総合スコアをまとめたものが
グラフ5となる。
Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの
差は,1〜2%
程度となり,Fire Strikeよりも
差が
詰まっている。
負荷の
高いTime Spyでは,ブーストクロック
引き
上げの
効果が
表れにくいということなのだろう。
それは,
グラフ6のTime SpyからGPU testの
結果を
抜き
出したものを
見ても
同じだ。
Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの
差は,
総合スコアと
同様に
最大でも
約2%ほどしかない。Palit RTX 4090 GameRock OCのブーストクロックは,90MHzしか
変わっていないので,
大幅な
性能向上につながるものでないことは,
理解しておくほうがよさそうだ。
Time SpyにおけるCPU testの
結果が
グラフ7だ。ここではCPUが
同じなので,Fire Strikeと
同様にスコアもほぼ
横並びとなった。
リアルタイムレイトレーシングの
性能を
計るPort Royalの
結果が,
グラフ8だ。
Port Royalでは,Palit RTX 4090 GameRock OCがRTX 4090 FEに3%
強の
差を
付けた。ブーストクロックの
引き
上げが,リアルタイムレイトレーシング
性能も
向上させていることが,この
結果から
明らかだ。
それは,もうひとつのレイトレーシングテストとなるDirectX Raytracing feature test(
グラフ9)の
結果からも
明らかだ。
Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 4090 FEに4%
弱の
差を
付けており,
対RTX 3090では2.6
倍ものスコアを
叩き
出している
点は
立派だ。
続いて,DLSSの
性能を
見るNVIDIA DLSS feature testの
結果が
グラフ10となる。
DLSS on
時の
結果だけを
比較すると,Palit RTX 4090 GameRock OCは,RTX 409に2〜3%
程度の
差を
付け,RTX 3090
比では3
倍前後にまで
達している。そこで,DLSSによってどれだけフレームレートが
向上したかを
算出すると,Palit RTX 4090 GameRock OCが2.14〜2.69
倍程度,RTX 4090 FEでも2.12〜2.66
倍程度,RTX 3090が1.61〜1.79
倍程度となった。ブーストクロックの
引き
上げが,DLSSの
効果を
高めていることが
分かる。
では,
実際のゲームにおける
性能はどうか。
グラフ11〜13は「Far Cry 6」のテスト
結果だ。
Far Cry 6において,RTX 4090 FEと
比べたPalit RTX 4090 GameRock OCの
伸びは,
平均フレームレートで
約1%といったところ。
最小フレームレートに
関しては,まったく
変わらない
結果が
出ており,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの
効果は
限定的だ。また,4090
勢は,2560×1440ドット
以下の
解像度ではCPUがボトルネックとなり,フレームレートが
頭打ちになってしまっている。
次に「バイオハザード ヴィレッジ」の
結果が
グラフ14〜16となる。
ここでは,Palit RTX 4090 GameRock OCのフレームレートの
伸びが
見られなくなった。
平均フレームレートにおけるPalit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの
差は,1%にも
達しておらず,2560×1440ドット
以上の
解像度における1パーセンタイルフレームレートで,ようやく
約1%の
差に
届く
程度だ。Far Cry 6がそうであったように,バイオハザード ヴィレッジにおいてクロックアップの
効果を
実感できる
場面はほぼないと
言っていい。
「Call of Duty: Warzone」(グラフ
中はCoD: Warzoneと
表記)のテスト
結果が
グラフ17〜19だ。
Palit RTX 4090 GameRock OCは,3840×2160ドットでRTX 4090 FEに
対して
平均フレームレートで4%
弱,1パーセンタイルフレームレートで2%
弱の
差を
付けるいる。ただ,それ
以外では
明確な
差が
表れていない。その
理由は,やはりCPUが
足かせとなって,フレームレートが
伸び
悩んでいるのが
原因のようだ。
続いては,「Fortnite」の
結果を
グラフ20〜22に
示す。
Fortniteでも,Call of Duty: Warzoneとほとんど
同じ
傾向が
見られ,Palit RTX 4090 GameRock OCが,RTX 4090 FEに
有意な
差を
付けたのは3840×2160ドットだけだ。それ
以外の
解像度では,それぞれの
差は1%にも
達しておらず,CPUの
足かせは,クロックアップモデルでさらに
顕著に
表れている
印象だ。
「Borderlands 3」の
結果が
グラフ23〜25となる。
平均フレームレートにおいては,Palit RTX 4090 GameRock OCの
伸びはほとんどなくなり,RTX 4090 FEに1920×1080ドットで
約1%
引き
離すのがやっと。ほぼ
肩を
並べていると
言っていい。1パーセンタイルフレームレートになると,3840×2160ドットでようやく
差が3%
弱になるものの,Borderlands 3では,CPUも
最上位を
用意しない
限り,クロックアップの
効果はほとんどないと
言っていいだろう。
続く
グラフ26は,「ファイナルファンタジーXIV:
暁月のフィナーレ ベンチマーク」(
以下,FFXIV
暁月のフィナーレ ベンチ)の
総合スコアをまとめたものだ。
ここでは,
解像度が
高くなるにつれて,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの
差は
広がり,3840×2160ドットで
約3%まで
広がっている。
低解像度での
差が
小さいのは,やはりCPUがボトルネックにしまっていることによるものだろう。
RTX 4090 FEが,3840×2160ドットで2
万3000と
非常に
高いスコアを
発揮したことは,
非常にインパクトがあった。Palit RTX 4090 GameRock OCが,そこからさらにスコアを
伸ばしている
点は,クロックアップモデルのポテンシャルの
高さが
垣間見えたと
言えようか。
グラフ27〜29は,FFXIV
暁月のフィナーレ ベンチにおける
平均フレームレートと
最小フレームレートをまとめたものになる。
平均フレームレートは,
総合スコアを
踏襲したもので,3840×2160ドットでもRTX 4090 FEと
変わない
約165fpsを
記録した。その
一方,
最小フレームレートはCPU
性能の
影響が
色濃くなるため,いずれも
大きな
差は
見られない。
ゲームテストの
最後となる「Project CARS 3」の
結果が,
グラフ30〜32だ。
ここでも,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの
効果は
限定的だ。
平均フレームレートでは,Palit RTX 4090 GameRock OCとRTX 4090 FEの
差は
最大で
約1%,
実フレームレートにすると0.5fpsしか
変わっておらず,ほとんど
横並びだ。2560×1440ドットの
最小フレームレートでは,その
差が2〜3%
程度に
開くものの,それでも1fps
程度の
違いにしかならない。Palit RTX 4090 GameRock OCで,Project CARS 3の
快適さがRTX 4090 FEから
変わるかと
言えば,そういうことはない。
RTX 4090 Founders Editionから消費電力はさらに15W前後増加
Palitの
製品情報によると,Palit RTX 4090 GameRock OCの
消費電力は450Wで,
使用には1200W以上の定格出力を持った電源ユニットを推奨している。クロックアップ
版はリファレンス
仕様からどの
程度消費電力が
上昇しているかも
気になるところだ。
そこで,ログの
取得が
可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を
用いて,システム
全体の
最大消費電力も
計測してみた。
ここでのテストにあたっては,Windowsの
電源プランを「バランス」に
設定。さらに,ゲーム
用途を
想定し,
無操作時にもディスプレイ
出力が
無効化されないよう
指定したうえで,
各アプリケーションベンチマークを
実行したとき,
最も
高い
消費電力値を
記録した
時点をタイトルごとの
実行時,OSの
起動後30
分放置した
時点をアイドル
時としている。
なお,
今回もNVIDIA
製の
消費電力計測ツール「
PCAT」(Power Capture Analysis Tool)を
使用していないのは,
同ツールが3
本までのPCIe
補助電源コネクタしか
対応しておらず,Palit RTX 4090 GameRock OCでは4
本のPCIe
補助電源コネクタを
使用するためだ。
最大消費電力の
計測結果を
グラフ33に
示そう。
Palit RTX 4090 GameRock OCは,
各ゲーム
実行時で,RTX 4090 FEから13〜34W
程度,
消費電力が
増加している。RTX 4090 FEもたいがいな
電力喰いだったが,Palit RTX 4090 GameRock OCは,それよりもさらに
電力を
消費する
点は,マイナスポイントだ。ブーストクロックを90MHz
高くするために
支払った
代償は
決して
小さくない。
最後にGPUの
温度もチェックしておきたい。ここでは,
温度を
約24℃に
保った
室内で,テストシステムをPCケースに
組み
込まず,いわゆるバラックに
置いた
状態から,3DMarkの30
分間連続実行時を「
高負荷時」として,アイドル
時ともども,GPU-Zから
温度を
取得することにした。その
結果が
グラフ34だ。
GPUごとに
温度センサーの
位置は
異なり,また,
温度の
制御法もGPUクーラーも
異なるため,
横並びの
評価に
意味はない。それを
踏まえたうえでスコアを
見ていくと,Palit RTX 4090 GameRock OCは
高負荷時でも70℃を
割っており,GPUクーラーの
冷却性能は
申し
分ない。アイドル
時はファンの
回転が
停止するため40℃
台前半と
高くなるものの,
実用レベルで
問題になることはまずないはずだ。
最後に
筆者の
主観であることを
断りつつ,Palit RTX 4090 GameRock OCの
動作音について
触れると,RTX 4090 FEに
負けず
劣らず,かなり
静かな
印象を
受けた。もちろん,
高負荷時には
若干の
動作音が
聞こえてくるが,PCケースに
入れてしまえば
気にならないレベル。このクラスの
製品として,
静音性は
申し
分ないできと
言っていい。
実勢価格は30万8000円前後。GPUクーラーに魅力を見いだせる人ならこの1枚
Palit RTX 4090 GameRock OCの製品ボックス
|
以上のテスト
結果から
明らかなように,Palit RTX 4090 GameRock OCにおけるクロックアップの
効果はかなり
限定的だ。ブーストクロックを90MHzを
引き
上げても,それをゲーム
内で
実感することは
難しく,その
割に
消費電力が
増大してしまう
点は
看過できない。
Palit RTX 4090 GameRock OCの
価格は30
万8000
円と,
非常に
高価なので,すべてのゲーマーに
勧められるような
製品ではないことは
確かだ。ただ,GameRockシリーズの
特徴である
派手に
光るGPUクーラーが
好みに
合ったり,
冷却性能がしっかりしたGPUクーラーの
製品が
欲しかったりするなら,RTX 4090の
購入を
検討している
人には,Palit RTX 4090 GameRock OCは
有力な
選択肢として
挙げられるだろう。