ソニー・インタラクティブエンタテインメントより
発売中の,PlayStation 5
用オープンワールドアクションRPG「
Rise of the Ronin」。SIEとコーエーテクモゲームスのTeam NINJAが
手がけた
本作で,
重要人物として
登場する
坂本龍馬を
演じるのは,
人気声優の
武内駿輔さんだ。
今回,PlayStation Blogほか
複数メディア
合同で
武内さんから,
本作の
収録における
役作りや,
収録時の
苦労,
武内さんが
抱いた
坂本龍馬像などについて
話を
聞いた。
武内駿輔 (たけうちしゅんすけ)さん
声優。東京都出身。代表作に「アイドルマスター シンデレラガールズ」プロデューサー役,「アナと雪の女王」オラフ役,「A3!」兵頭十座役,「怪獣8号」神楽木葵役などがある。2015年に第10回声優アワード新人男優賞を受賞
|
これまで演じられてきた坂本龍馬に共通する“童心”
そこにある種の“軽薄さ”を加え,新たな坂本龍馬に
──
初めて「Rise of the Ronin」の
坂本龍馬というキャラクターを
見たときに,どう
思われましたか?
武内駿輔さん(以下,武内さん):
僕が
見てきたフィクションの
世界の
坂本龍馬は,
武骨というか,
男臭さがすごくある
人でした。
自分の
見た
目もあまり
気にしなさそうで,
情熱とか
志みたいなものに
誇りを
持っていて,そこに
周りの
人を
巻き
込んでいく。そんな
人物像を
多く
見てきたような
気がします。
「Rise of the Ronin」の
龍馬は,"イケおじ"とでもいうのでしょうか(笑)。
恰好もおしゃれですし。
皆さんがイメージする
今までの
龍馬像を
崩さないまでも,
自分自身でこの
龍馬を
操作してみたいとか,この
龍馬と
一緒に
戦ってみたいとか,そう
思わせる
魅力を
持ったキャラクターだと
思いました。
言動もそうですよね。
遊び
心があるというか,ほかの
作品の
龍馬よりもノリがちょっと
軽かったり,
茶目っ
気があったり,
母性本能をくすぐるような
仕草や
表情を
見せます。そのあたりが
愛くるしくもあって,
良いキャラクターですよね。
──
実際の
坂本龍馬に
関して
事前のイメージはどのようなものでしたか? また,ご
自身で
調べられたことや,
生かされたことはありますか?
武内さん:
歴史上の
人物なので,
媒体によって
坂本龍馬に
対する
解釈が
違うんですよね。いろいろと
調べましたが,
実はこういう
人間だったとか
実際の
人物について
考えるよりも,「Rise of the Ronin」の
龍馬をどれだけ
魅力的に
演じられるかに
力を
注ごうと
思いました。
いろいろな
役者さんが
演じた
龍馬も
拝見して,
何となく
共通する
龍馬像──しゃべりのテンポ
感や
人情味のあるイメージは,ある
程度参考にはしています。たとえば
武田鉄矢さんはご
自身が
龍馬好きであることを
公言されているので,そういう
龍馬が
好きな
方のインタビューを
見たり,
龍馬について
解説している
人の
龍馬に
対する
思いを
読んだりもしました。そういう
方々にも
本タイトルの
龍馬を
愛していただきたかったので,
龍馬のイメージにある
種の
統一感を
持たせつつ,
新しい
龍馬像に
仕上げられたらと
思いました。
──ゲーム
開発スタッフからキャラクター
作りの
指導などはありましたか?
武内さん:
見た
目はけっこうダンディですが,あまり
渋くならなくていい,という
指導はありました。
例えば,
日本を
変えていく
自分の
夢を
語るところで,
政治的なニュアンスを
強くするのではなくて,
発明家のようなテンション
感で
演じるような。みんなで
会議をしているときも,「こうしたらええと
思っちょるが,おまんはどうじゃ」とか,
龍馬だけテンションが
違うんですよね。
頭の
中にイメージやアイデアが
先行して
浮かんでいる,そういう
感じを
大切にしました。
あとは
女性にデレデレなところとか,
呑むときはとことん
呑んで「でへへ」みたいになっちゃうところとか。でも,ただのちゃらんぽらんな
人間ではなくて,
自身の
目的を
遂行するための
芯が
通っている。
収録ではそういうところを
照らし
合わせながら,「
今のはグデグデ
過ぎますかね?」とか「ちょっと
恐くなっちゃいましたね」とか,スタッフの
皆さんと
一緒に
調整していきました。
──
収録ではどんなことが
印象に
残っていますか?
武内さん:
そこはもう,とにかく
土佐弁ですね(笑)。
僕は
東京出身なので,
方言が
難しかったです。
今までもいろいろな
方言のキャラクターを
演じてきて,
富山弁や
鹿児島弁なども
経験しましたが,その
中でも
土佐弁は
一番難しかったかもしれません。
よく
聞く「おまん」という
単語も,その
後ろに
続く
文章によって,
平板になったり「おま(↑)ん」と
中高になったりするんです。なので,
一つの
発音を
学んでも,「いや
武内さん,この
場合はこういうイントネーションになるんです」と
言われたりして,けっこう
大変でした。
事前に
全部のセリフを
監修の
方に
読み
上げてもらって,それを
聞いてからスタジオに
入るんですけど,メモだけだとどうしてもうまくいきませんでしたね。
あとは,
言葉の
立てどころ。
細かい
違いもあるので,イントネーションだけ
真似しても,ネイティブの
方にはなかなか
近付けません。そのため
収録のときも,
監修の
方にセリフを
読んでもらって,
僕がそれをオウム
返しで
再現するみたいな
形になっていました。ゲームをプレイされた
中に
土佐弁ネイティブという
方がいれば,ぜひ
感想を
聞いてみたいです。
ちなみに,
土佐弁を
監修してくれたのはコーエーテクモゲームスのスタッフさんで,
土佐出身でこの
時代についても
勉強されている
方でした。
僕と
同じ
分量のセリフを
読んでもらったので,
相当大変な
作業だったと
思います。
僕一人の
作業というより,
二人の
作業という
感じで,
終わったときはお
互いにねぎらい
合いました(笑)。
──
印象に
残っているゲーム
内イベントなどありますか?
武内さん:
僕は
知ってますよ。みなさんが
龍馬とどういうことをしようとしているのかを(笑)。まさかのキャラクター
達との
親密度によってロマンティックなイベントがあるということで,
本編以外のところも
盛り
上がっていますよね。
僕も
台本を
読んで「こういうイベントもあるんだ」と
知っていましたが,
収録する
段階ではロマンス
系の
映像がまだ
出来上がっていませんでした。シチュエーションの
細かい
指定もなかったので,なんとなくの
距離感をイメージして
演じましたが,
実際の
映像を
見たら「こんなに
近い
距離感だったんだ!」とか「こんな
肌着みたいな
姿なの!?」とか,これはドキドキしちゃいますよね。
これまでの
幕末のお
話だったら,
男同士が
血と
汗と
涙を
流して,
自分の
志のために
戦う,そんな
印象が
強かったと
思います。でも,
親密度が
上がるイベントが
導入されることによって,
当時の
人達のリアルな
心情を
想像できるような
奥行きが
生まれたのかな,と。だからこそキャラクターに
愛着が
湧くと
思いますし,すごくよい
試みだと
感じました。
一見するとゲームに
関係のないイベントに
感じるかもしれませんが,それがあることによって,ストーリーの
本筋がより
楽しくなります。
実際にユーザーの
皆さんが,そこに
興味を
持って
喜んでくださっているのを
見ると,すごくうれしいですね。
4Gamer:
数々の
作品で
演じられてきた
坂本龍馬と,
今回,
武内さんが
演じた
坂本龍馬の
共通点と
違いはどこにあるでしょうか。また,どんなことを
意識して
演じられましたか?
武内さん:
共通点でいうと,
子供っぽい
気持ちをずっと
持っていた
方という
部分でしょうか。その
童心みたいなところは,
彼の
原動力にもなっていたでしょうし。
僕は“
童心”というものを,
今あることに
対して
常に
疑問や
好奇心を
持つことだと
思っています。
今回の
龍馬も,エンディングシーンでキラキラとした
表情をしながら
町並みを
見渡すシーンがありますが,
誰かに
自分の
思いを
伝えるときに
説教くさくならないんですよね。
自分の
情熱を
伝えるのもうまい
人だと
思いますし,そのあたりの
子供っぽい
表情や
情熱みたいなものは,
共通点として
表現できたと
思います。
自分ならではのところでいうと,ある
種の“
軽薄さ”というか,
現代的なニュアンスを
入れてみました。ベースとしては
当時の
時代感を
背負っていて,
桂 小五郎の
子安(
武人)さんとか
高杉晋作の
小西(
克幸)さんのしゃべりは
芯の
通った
武士の
伝え
方になるんですけど,
龍馬だけはみんなと
並んでいる
中で
不思議なしゃべり
方に
感じられるような。でも,
現代に
生きている
僕らも,
自分達のしゃべり
方が
最新のつもりでいるけど,10
年,20
年経ったら
違う
言葉遊びや
流行語が
増えていると
思うんですよね。
龍馬本人は
過去よりも
未来の
希望を
持っていた
人物だと
思うので,そういう
意味で,
当時のルールだけに
縛られない
雰囲気を
取り
入れてみようと
思いました。
PlayStation 5という
最新のゲーム
機ですから,
映像もフィルム
感とか
砂嵐のある
雰囲気ではなくて,ハイクオリティで
解像度が
高く,
衣装の
布の
質感までよく
描かれていますよね。その
意味でも,
現代的なカメラでとらえたときの
坂本龍馬を
表現したいと
思いました。
4Gamer:
坂本龍馬に
関するシーンの
中で
印象に
残っているものや,
関わるキャラクターの
中でお
気に
入りの
人物がいれば
教えてください。
武内さん:
遊郭に
行ったときのシーンは
印象に
残っていますね。
僕はあの
雰囲気,
好きなんですよ。とくにスケベなわけでもなくて,
可愛い
女の
子とお
酒を
飲むのが
楽しい,みたいな。だから
女性キャラクターとの
関わりは,
演じていて
楽しかったですね。
でも,
僕の
中では
主人公(
浪人)に
対する
思いを
強く
持っていて,
主人公と
目的を
共にしたりサポートしたりとつながりが
深いので,
一番はやっぱり
主人公です。
──「Rise of the Ronin」のファンに
向けてメッセージをお
願いします。
武内さん:
僕にはこれまで,
時代物のゲームは
歴史好きの
人が
主に
遊ぶものというイメージがありました。ですが「Rise of the Ronin」が
発売されて,
遊んだユーザーさんがたくさんコメントしているんですよね。「あのキャラクターと
一緒に
戦えるよ」とか,みんなでコメントしていて,いい
意味で
間口の
広いゲームだと
思いました。
歴史好き
以外でもいろいろな
人にプレイいただきたいと
思いますし,ヘビーユーザーの
皆さんには,コーエーテクモゲームスさんやSIEさんに「
続編はまだですか!」と
要望を
送ってほしいですね(笑)。
あとはゲームの
仕組みとして,
幕末だけではなくて,いろいろな
時代や
設定でシリーズ
化が
望めるゲームだと
思いました。それだけの
作り
込みをしていますし,もっともっと
遊んでいただいて
間口もどんどん
広がって,そういう
展開になったらいいなと
思います。ぜひ,これからも
引き
続き
楽しんでいただければ
幸いです。
最後に,コーエーテクモゲームスのTeam NINJA ブランド
長であり,
本作の
開発プロデューサー / ディレクターを
務めた
安田文彦氏から,
武内さんへの
取材を
受けてのコメントを
寄せていただいている。
最後にこちらを
紹介しよう。
1)「Rise of the Ronin」の坂本龍馬に武内駿輔さんを選ばれた理由は?
「Rise of the Ronin」において,
坂本龍馬はゲーム
内のほかのキャラクターからはもちろん,プレイヤーの
皆さんからも
信用され,
好感を
覚えてもらえるような
存在で,
間違いなく
最重要キャラクターの
一人です。さらに,コミカルな
演出からシリアスな
場面,ロマンスまでセリフ
量も
膨大で,どなたに
声の
出演をお
願いするべきなのか,
正直決めかねていました。
そんな
中,これまで「
仁王」シリーズなどTeam NINJAタイトルでご
一緒させていただいている
音響監督の
方から,キャスティング
検討の
際に
武内さんを
推薦していただきました。お
若いながらも
深く,
遊び
心も
感じさせる
雰囲気の
声や
幅広い
演技はもちろん,バラエティ
番組などで
活躍されている
姿も
拝見し,
今作の
龍馬を
演じていただくのにピッタリだと
思い,お
願いさせていただきました。
2)実際に声をあてられたときの武内さんの印象は?
武内さんの
最初の
収録は,
主人公と
龍馬が
横浜の
洞窟で
出会う
場面でした。
収録が
始まり,
龍馬のセリフが
入ってすぐに「ピッタリだね」と
同席していたスタッフ
皆で
同意したのを
覚えています。
独特な
特徴を
持つ
土佐弁には
苦心されていましたが,
長期間の
収録の
間に,うますぎるいろいろなモノマネも
織り
交ぜながら,
楽しそうに
演じられていた
姿は
今も
強く
印象に
残っています。
3)今回の武内さんのインタビューの内容について,ご感想をお聞かせください。
インタビューを
拝見して,タイトルのテイストや
場面ごとのトーン,ほかのキャラクターとの
関係性まで,われわれ
開発者の
意図や
狙い
以上に,
武内様がイメージをふくらませ,こだわって
演じてくださったのだとあらためて
知ることができました。
音声収録の
時点ではゲーム
内の
画が
完成していない
場面も
多かったのですが,
収録させていただいた
音声を
実装しながら
開発を
進めていきましたので,ゲームでは
武内さんのイメージをできる
限り
再現できているはずだと
信じています。
また,あらためて
全編土佐弁で
演じてくださったことには
本当に
感謝しています。
収録の
裏話もいくつか
言及されていましたが,
当社の
土佐弁監修の
担当スタッフが
実際に
土佐弁でセリフを
読んでアクセントをお
伝えして,
武内さんが
演じるという
流れで
収録の
多くを
進めていったのですが,
当社スタッフの
演技が,
武内さんの
演技に
引っ
張られて
少しずつうまくなっていくのも
収録中の
楽しみの
一つでした(笑)。
なお,6月12
日までPlayStation Storeで
開催中の「Days of Play」セールにて,「Rise of the Ronin」は
発売後初のセール
価格として
通常版が25%オフの6735
円(
税込),デジタルデラックス
版が23%オフの7684
円(
税込)で
販売されている。またパッケージ
版も
店舗によっては
割引販売されているので,この
機会をお
見逃しなく。